あらすじ
江戸の町で女が次々と殺された。北定町廻(きたじょうまちまわ)り同心の木暮信次郎(こぐれしんじろう)は、被害者が挿していた簪(かんざし)が小間物問屋主人・清之介の「遠野屋」で売られていたことを知る。因縁ある二人が再び交差したとき、事件の真相とともに女たちの哀しすぎる過去が浮かび上がった。生きることの辛さ、人間の怖ろしさと同時に、人の深い愛を『バッテリー』の著者が満を持して描いたシリーズ第2作。
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弥勒シリーズ第二弾。信次郎は正義感あふれた同心……とは真逆で、常に血に飢えて歪なものを嗅ぎ分ける。主人公は信次郎なのか、あるいは遠野屋か、それとも二人の間に絶妙に入ってくる岡っ引・伊佐治か……3人まとめて主役のような感じで、とても面白いです。女流作家の歴史物が少ないので、長く書き続けてほしい。
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⬛︎ストーリー⬛︎
江戸の町で女が次々と殺された。北定町廻(きたじょうまちまわ)り同心の木暮信次郎(こぐれしんじろう)は、被害者が挿していた簪(かんざし)が小間物問屋主人・清之介の「遠野屋」で売られていたことを知る。因縁ある二人が再び交差したとき、事件の真相とともに女たちの哀しすぎる過去が浮かび上がった。
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「真の職人とは、いつも爪と牙を隠し持つ
相手を傷つけ倒すためではなく
己を誇るために詰を磨ぎ、牙を剥く」
「人は誰もが夜叉を飼う
弥勒にも夜叉にもなれる…
いや、仏と鬼の真ん中に人はいる
仏にもなれず鬼にもなれず
人として生きねばならぬという…」
くぅーこの文章が残る
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江戸時代の捕物帖。
シリーズ2作から読んでしまった。
これは、是非とも最初から読まねばなるまい。
現代の警察モノも好みではあるが、昔の方が味があっていい。
足跡が残れど、そこから分かるのは人数とおよそ何があったのかということぐらい。
足跡を証拠に人物を割り出すなんてことはできない。
血痕があれど、それが誰のものかなんて分かりはしない。
指紋も採れない。
とにかく関係のありそうなところを探りに探って情報を集め、そこから推理して犯人を割り出す。
探る側の感覚の鋭さが重要になる。
犯人も、素直だよね。
足が付いたと分かったら、しらばっくれたりしないもんね。
証拠は?とか言わないし。
それにしても、人間は面白い。
その面白さを、すごく分かりやすく書いてくれる作家だな、と思った。
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生きることに飽いて、皮肉な言動しかできない北定町同心信次郎、尋常ならざる過去を持つ小間物問屋「遠野屋」主人清之介、そしてこの二人の緩衝役ともいうべき岡っ引きの伊佐治親分、3人が織りなす「弥勒の月」に続く第2作。
弥勒と夜叉、対をなす二語が文中でも語られる。
「弥勒にも夜叉にも、鬼にも仏にもなれるのが人なのだ。身の内に弥勒を育み、夜叉を飼う。鬼を潜ませ、仏を住まわせる。」
人の抱える底なしの闇に、筆で迫る作者の手練に、冒頭から取り込まれ、たちまちのうちに読み終える。
この作品の主題は「運命と意志」「孤独と希望」だという三浦しをんの、帯の惹句「『読書の楽しみそのもの』といった、贅沢な時間が味わえる」が、けっして誇大広告ではない。
今後も続く、このシリーズから目が離せない。
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やっぱり面白い弥勒シリーズ。
今回は次々と喉を突かれて殺されていく女郎たち。その女たちが持つ小物がまた遠野屋を事件へと結びつける。今回は遠野屋の手代(信三)の人となりもよく分かる一巻。そして、出てくる赤子。
死について描かれることが多かった作品の、若い生。
清之介と信次郎の関係性も少し深くなるそんな夜叉桜。
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まだ映像化はされてないらしい。それなら配役決めよ❗
木暮信次郎 間宮祥太郎 頭脳明晰、鋭い観察眼、冷徹、歪んでいる。場末の女郎屋に通う。死体が出ると空虚な胸の内が満たされるよう。
横浜流星 ちょっとひねくれた歪み今は絶好調で足りないかな
遠野屋清之助 吉沢りょう 上品で人当たりの良い商人と過去の冷酷な刺客、このふたつの顔を演じ分けれるかなあ?殺陣というかアクション?
岡っ引き伊左次 岸谷五郎 重要なのはこの配役。信次郎の人の気持ちをいたぶるような発言をいさめたり世の中の裏表に通じてたり、家族思いだったり。
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それぞれの登場人物が、生きる意味を見出すためにもがく様子を描いている?と考えながら呼んだ。
作品中に、「まっとうに」という単語が使われている。各登場人物が考える、「まっとうに」の意味は何だろう?
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2巻目も遠野屋の背景を謎のまま引っ張られたら嫌だなと思ってたけれど、さすがはあさのさんだけあってそんな姑息な手は使わないですよね。
ある程度想像通りだった彼の新たな人生に対する拘りと、何もかもが歪んでいる信次郎の一筋縄ではいかない関係と、その緩衝材の役割を果たしている実直ながら鋭い眼を持つ伊佐治のバランスがとても良い。
人情的なハッピーエンドでない苦い後味も好ましい大人の作品です。
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弥勒シリーズ第2弾。
父の命令で人を殺め続けた過去を持つ清之介。
兄の「もう、やめろ。これ以上、殺すな」と言う一言で生き直す決心をし、小間物問屋の主となり商才を発揮する。
しかし、この只者ではないデキる男をまわりは放っておくことは出来ない。清之介のまわりには常に殺しがつき纏う。
あんなに優しく穏やかだった兄ですら、あることがきっかけで人が変わってしまう。絶対服従のこの時代に清之介は己の志のみに従い続けることが出来るのか。
人は変われるのか?
人は変わるのか?
過去に犯した罪と向き合い成長出来るのか?
弥勒シリーズの読みどろこである。そこに同心の信次郎、岡っ引の伊佐治の個性的な登場人物が話を面白くしていることに間違いない。
読みだしたら次が気になる作品だ。
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やっぱり清之介がかっこいい。剣を握る清之介が見たくなるけど、そうなるとこの物語は終わってしまう。しかし菊乃の中に夜叉がいるというところは納得がいかない。菊乃の描き方が不足していると感じた。
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弥勒の次は夜叉、月の次は桜。
人の心の奥底に潜むもの、「死そのものより、人間の不可思議さ、暗さ、怪奇さに寒気を覚える」と伊佐治が思う場面が、全てを物語っているかのように感じた。
信次郎と伊佐治が「ほつれ」を解していく。3人の遺体から、読み取る場面は面白い。
清之助は「死」を呼び込むと信次郎は言うが、信次郎もまた同類なのだろう。清之助の周りも俄かに流れていく。面白くなってきた。
弥勒にも夜叉にもなれるのが人だ。内に弥勒を育み、夜叉を飼う。腕の立つ者ほど内を感じ取ることができるのだろう。
清之助の運命が流れるなかで清之助の志は貫けるのか?おりんがなぜ自死したのかが朧げに理解できはじめた。時代ものの背景の中で、人の気持ちを表現する文に引き込まれる作品だった。人の気持ちは時は違えど不変なのだろう。
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「刀なら躱すことができるが、言葉は否応なく降りかかる。」正にその通り。我々人間社会は結局言葉でコミュニケーションをとることで世の中が動くので、言葉に責任を持たなければと思った。
身を売って生きている女の人の世間からのイメージがかなり火の玉ストレートで描かれている。
伊佐次によって、清ノ助と信次郎の関係が絶妙なバランスで保たれている。
今回は儚さや悲しさもあるが、少し清ノ助に希望の光が見えてきた。
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信次郎が主役かと思ったら、遠野屋とのダブル主演ですか。よき。
江戸時代もなかなかいっちゃってる人が多いですなぁ。なかなか事件のコアは切ないお話でした。
2022.9.17
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女郎が立て続けに殺されていく。信次郎達は……って話。
まさか、遠野屋がこんなにもこのシリーズの中心人物になるんだと驚いた。
前作から引き続き読んだのだが、人間関係が分かっているから凄く読みやすく読めた。
遠野屋の過去にも少し触れていくが今後悪く影響する未来しか見えないw幸せにしてあげてよ〜。
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清之介がかどわかせた中盤から一気にのめり込んでしまった。清之介の不屈の精神が、どうぞ全うされますようにと祈る思いで、きっとこのシリーズを読み進めていくと思う。
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面白かった。
このシリーズは3作目だが1番だ。主人公は相変わらずのクソ野郎だけど続きを読みたくなった。連続物として未解決のイシューが幾つかあるので多分あと2冊も読む。
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「弥勒の月」が面白かったので、二作目を予約してみたら、すぐに来た。
「音もなく少女」が気になっていたので先に読み、続けてこの本を読んだ。
文庫470ページほどにぎっしり詰まった本の後では、「夜叉桜」は読みやすく、すぐに終わってあっけなかった。
このシリーズは三作目があるという。検索して見つけた「小暮柿」を早速予約した。
これは前作を凌ぐ出来だと思った。
信次郎は相変わらず、不可解な気質で、その気が無くても周りを振り回し、わざと言葉を使って他人の弱みをちくちくと刺し、生きることに倦み疲れたように、掴みどころが無い。
だが、なぜか清之介の店に拘り頻繁に現れる。
伊佐治は彼を好きになれないでいるが、怜悧な切れ味を持つ信次郎の推理を認めて、心底では憎めないでいる。
そして清之介は「遠野屋」を大店に育て上げ、店は繁盛して活気がある。
そこに女郎の連続殺人が起きる。
最初に殺された女は、「遠野屋」の手代、信三の幼馴染だった。
清之介は、彼を過去から開放してくれた兄に遭った。そして今、兄も逆境の中にいた。
清之介の過去はまだ彼を追っていた。
殺された女郎たちを調べていくうちに、「遠野屋」とのかかわりが浮かび上がる。
因縁の過去が尾を引く、物悲しい話になっている。
何か世間を越えた空間に住み、すね者のような信次郎と、過去に縛られ、受けた恩義の重さでも自分を縛っているような清之介が、人間らしさを垣間見せる。
「あさのあつこ」さんは、こうなるのだろうかと言う期待にこたえてくれることもある。
こうなるの?と言う疑問には明らかに新しい展開で驚かす。
うまい。
そしてとうとう、いったいそれでどうなるの?と終わりまで読ませる。
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遊女の首を裂く連続殺人が発生。誰がなぜー。
小暮信次郎と伊佐治親分が捜査に乗り出す。
一方、商人として商売に励み新しい試みをやろうとする遠野屋。その清之介にも再び過去の闇が手を伸ばす・・・。
ってなお話で、前作「弥勒の月」はやはりシリーズのプロローグ的役割だった模様。こちらを読んでから読むとより味わいが深くなると思われます。
伊佐治親分は相変わらず一服の清涼剤というか、しごく、しごくまっとうで、親分の奥方も息子さんもすごく生真面目でその生真面目が報われている人々でホっとします。
ですが、信次郎さんはひねてますし、遠野屋さんはなかなか前向きにさせてもらえません。反目しながら目が離せない二人の同極の磁石のような関係も張りつめていてよいです。
話の帰結としてはよくある筋かと思いますが(すいません)、キャラクターがたっていて退屈しません。
また次も読みたいです。
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弥勒の月の続巻。
遠野屋清之介にとっての弥勒、おりんが亡くなった後、どう物語が続くのか、続けられるのかと心配したけれど、心配不要でした。
同心の信次郎と若旦那の清之介は、お互いを疎ましく思っていながら、心の底では相手を認めている、その距離感がとても面白い。
シリーズ物なので続きが気になるけれど、1冊で話がきちんと終わっているので、すっきり安心です。
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弥勒の月を暫く前に読んだことは覚えているものの、内容はピンとこないままに購入。
それでも、面白く読めました。
信次郎と清之介の関わりが面白い。
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江戸の同心木暮信次郎と岡っ引きの伊佐治、小間物問屋の遠野屋の清之助
三人のやり取りの何処に真実があるのか気になり物語に引き込まれる
暗いお話でしたが、面白かったです
女郎が次々の惨殺される、下手人は…
江戸時代のミステリー
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「弥勒の月」の続編。
「弥勒の月」の解説に書いてあったのだと思うけど、あさのあつこさんは藤沢周平を敬愛していて、そのために時代小説を書き始めたとか。
帯には「渾身の時代小説」とありますが、まさしく渾身、これでもかこれでもかと言う書き込み方、そして孤高で捻じ曲がった主人公像など、良くも悪くも「バッテリー」のあさのさんだな、と思います。この辺りは余り前作では気にならなかったのですが、冬枯れの雑木林の陽だまりのような藤沢さんの味わいとは相当違います。
でも、こうれも一つの個性で、なかなか面白い作品です。
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。時代小説に衣を借りたミステリー小説。人物描写が長くてくどい。読後感が爽やかではない。言葉と姿形だけでどういった人物かを想像させる文章の方が好み。あまりくどくどしく内面描写をしてほしくない。2点に近い3点。
Posted by ブクログ
弥勒シリーズ第二弾
遠野屋も主役なんですね。
信次郎、遠野屋、伊佐治で物語が続くんですね。
前作よりさらに人物描写の深さを感じます
ぶっちゃけ、遠野屋は好きなキャラですが、信次郎は嫌いなキャラ。そこをバランスとっているのが伊佐治親分という関係性です。
ストーリとしては、
次々と女郎が殺されます。そのうちの一人は遠野屋の手代の幼馴染。そして、その子が持っていた簪。
この簪から、信次郎は遠野屋とのかかわりを掘り下げていきます。
事件の真相は?
さらに、遠野屋が何者かにさらわれるという事態に
その背景にはまた深い闇がありました。
ラスト、明らかになる女郎殺しの真相
そしてそこにあった闇
しかし、最後の最後、遠野屋に新しい光が!
となって、続きが気になります。
これは、やはり1作目から読まないと面白さが半減です。
必ず、1作目から読みましょう!
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第二弾
今回も遠野屋が係る、過去の因縁と現在の商売仲間
女郎が殺される事件が一人は手代の幼馴染
背景には狂った男女の関係と婿養子に入った真面目な商人の闇、二人が絡まった時、そして遠野屋の過去の曰くも
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弥勒の月のシリーズ第二弾。
信次郎は相変わらず寒気を感じる切れ者だが、親分の伊佐次の真っ当な思考と行動が安心感を与えてくれる。そこに過去に訳ありの遠野屋の清之介が主要キャラとして存在し、今作では新たな人殺しの事件が起こる。
前作より、それぞれの人の情念が伝わってきて、面白かった。
それぞれ一作品というより、一巻二巻という続きものとして読む感覚のシリーズで、続きが気になります。