あさのあつこのレビュー一覧
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ミステリーでした。
謎解きの面白さを、本シリーズでこんなに味わうとは思いませんでした。
もし私が犯人だったら「お役人はどの時点で私が怪しいと思ったのです?」と確かめたくなりますね。
すると、おそらく木暮殿はファーストコンタクトのある一点を指し示すことでしょう。恐れ入りました!と言う感じです。
本作は遠野屋ではなく、木暮殿のルーツに関わる展開。シリーズでの意味合いも大きいものです。
剣戟が少ない、と言うより、無いぞ、と思っていたら、それなりに準備されていました。しかし、こう言う付き合わされ方をする周囲の人々は、たいへんですなぁ。本人たちはそれが癖になり、納得づくではあるのでしょうけれど。
書名の -
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ネタバレ初出2022〜23年「小説宝石」 シリーズ第12作目
遠野屋の紅の原料である紅花餅を積んだ舟が行方不明になった。
路地で殺されていた町人が実は武士だった。
第8作『鬼を待つ』で遠野屋を飲み込もうとしていた八代屋の姪で、第9作で遠野屋の押しかけ女中になっていた”おちや”が誘拐された。
これらの事件がつながって、八代屋の跡継ぎが遠野屋を潰そうとした陰謀だったことが分かるが、手を貸したのが浦賀奉行の与力だけではなく、運送を任せている川田屋、こともあろうに嵯波藩の江戸家老がかかわっていた。今回は同心の木暮が大活躍だったが、一切表沙汰にならずに、清之助が釘を刺すだけで終わるが、最後に次の困難が示唆され -
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弥勒シリーズ第4弾。
「東雲の途」では、清之介が同心でいけ好かない切れ者の信次郎、岡っ引で人の心を持った真人間の伊佐治に己の過去を告白する。
清之介が過去に犯した罪を受け入れ、弱さを認め、本物の商人になるための覚悟を決める。自分のまわりで起こる厄介事から逃げてばかりでは何も解決しないと気づく。それは信次郎、伊佐治との出会いが大きい。
清之介の生国で起こっている揉め事を江戸の商人・遠野屋清之介として解決しようと試みる。
前3作とは明らかに毛色が違う。時折、商人・清之介ではなく武士・宮原清弥として描かれているところも心の変化が読み取れる。過去を捨てるのではなく受け入れて行く決心だ。
このまま商才を -
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木練柿を先に読んで感想を書いた。その時思った疑問はシリーズ一作目の弥勒の月を読むことによって全てが腑に落ちた。これがあさのあつこの初の時代小説だなんて凄すぎる!
元武士で今は遠野屋の主で暗い過去を持つ清之介。同心でいけ好かない男の信次郎。岡っ引で人の心を持ちまっとうな男の伊佐治。全く性格が合わない3人の共通点は皆、切れ者であること。
弥勒のような妻・おりんと出会い、暗い過去を断ち切る決心をし、商人として出直そうと決めた清之介。その大切な妻が不可解な死を遂げたのをきっかけに3人は出会う。
あさのあつこの情景描写と心中の描写がとても上手く、話にどんどん引き込まれていく。清之介が自分の過去と向き合い -
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内容(ブックデータベースより)
医塾に通い、医者を目指しつつ、女としての幸せもつかみ取ろうとするおいち。
そんなおいちの祝言の日に事件が……。
「浦之屋」という商家で、毒物混入事件が起きたのだ。おいちは、祝言の席から「浦之屋」に駆けつけ、父・松庵らとともに、苦しんでいる人達の手当てに奔走する。
そして、「浦之屋」の若旦那の乳母が服毒死し、菖蒲長屋の元住人の巳助が犯人として名乗り出る。
この世に思いを残して死んだ人の声を聞けるおいちは、巳助が闇に呑み込まれていく姿を見てしまい、事件の裏に何かある、と思い、真相を突き止めるべく動き始める。
やがておいちの身体に異変が……。父の手伝いと勉強、そし -
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弥勒シリーズ10作目!
引き込まれた〜!
一気に読み終えてしまった!
伊佐治も清之介も、「信次郎の謎解きが見たい中毒」になってしまっている様子が描かれていて面白い。
二人とも、頭の中の靄が晴れて、胸がスッとする、あの感覚を味わいたいたくてたまらないのだ。
「このうずうず、困ったことに癖になりやす」
伊佐治がそう話すだけでなく、清之介までもが、商いの場に多少遅れてでも事の顛末を聞きたくて仕方がない描写があって、遠野屋の従業員と同じく、ちょっと心配になってしまった笑
でもそのうずうずは、まんま読者の感じているうずうずそのもの。
うずうずしながら読み、違和感の正体や、謎が解けた瞬間、淀みが流れていく -
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ネタバレ読書記録です。まだの人は読まないでね。
久しぶりに仙五朗親分に会えた!読んでる途中で「あ、これは読後感が良い作品♪」と確信して最後まで一気に読み切りました。
途中で犯人はわかったし、たぶんそうだろうと思ったとおりの展開だったけど、私にとっては「読むことが癒しになる著者の本」
加代の生い立ち、汚れ仕事も引き受けて、大切な人の敵とみなした相手を始末していく…本来なら残された者が大きく背負うであろう禍根を「自分のしたことだから」と自分で心の臓を止めてしまってまで始末をつけてしまった。これ、刑罰で首を落とされたら残された者はもっと苦しむはず。そして汚れ仕事をさせた側(知っていた旦那と知らなかった奥方 -
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内容(ブックデータベースより)
現代女性にも通じる悩みを抱える主人公を思わず応援したくなる人気時代小説最新刊。
父のような医者になりたいと願う娘おいちに、絶好の機会が訪れる。女性の医者を育てるための医塾が開かれるというのだ。おいちは、希望に胸を膨らませ、夢への第一歩を踏み出そうとする。
そんななか、深川で謎の連続失踪事件が起きる。忽然と姿を消した四人に、共通点は見出せなかった。
不可解な事件が気になるおいちの許に、岡っ引の仙五朗が思いがけない情報を携えてやって来る。
この世に思いを残して死んだ人の姿を見ることができるおいちは、事件を解決に導くことができるのか。
一方、心を寄せ合う新吉との関係 -
Posted by ブクログ
内容(ブックデータベースより)
この世に思いを残した人の姿が見えるという不思議な能力を持つ娘おいちは、父のような医者になることを夢見て、菖蒲長屋で修業を積んでいた。
そんなある日、おいちの前に現れた女が、赤子を産み落としてすぐ姿を消し、殺される。女は一体、どんな事情を抱えていたのか。そして母を亡くした赤子の運命は?
殺された女の、聞こえるはずのない叫びを聞いたおいちは、思わぬ事態に巻き込まれていく。
一方、おいちの父のもとには、老舗の薪炭屋の主人と内儀が訪ねてきていた。母・おきくの病を治してほしいという。店を訪ねたおいちは、鬼女の顔を宿したおきくの心の闇を感じ取る。
二つの出来事は、思いがけ