あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
書店に並ぶ『No.6 再会』という本を見かけました。
「No.6…?なに?なんかのシリーズもの?」
調べてみると『バッテリー』で有名なあさのあつこ先生が描く冒険譚。気になり本作を読んでみました。
面白い…。
完全に調和された理想都市、No.6を舞台に起こる"寄生バチ"事件。犯人に仕立て上げられた主人公の前に数年前命を助けられた男、ネズミが現れる。追っ手から無事に逃げるも主人公の体には宿主の命を奪う寄生バチが巣食っていて…。
プロットの無駄の無いザ・エンターテイメントな面白さ。ネズミのキャラクターも、紫苑のお茶目なところも好感が持てて好きになりました。
これから紫苑はどういっ -
Posted by ブクログ
この危うさと焦燥感、なのにどこまでも甘い夜のようなこの感覚はNo.6でしか味わえないです。
こんなに早く二人の新しい物語が読めるとは…。
無印では紫苑とネズミの関係性の変化が大きな見どころでしたが、再開の紫苑のネズミの関係性は普遍なものになったのですね。
ネズミは大切なものを持つと弱くなると無印では言っていた覚えがありますが、紫苑という大切なものを持つ覚悟をしたのですね。
そんなネズミは無印よりもさらに強くなった気がします。
揺れ動き、戸惑うことは決して弱いことではない。
揺れ動き、戸惑いながらも、大切なものを守る決意をして前に進んでいくことは、とてもとてと強いものなのです。
ああ、どれだけ語 -
Posted by ブクログ
取り急ぎ。
#1が14年の空白を埋めるように時間をかけて展開していったのに対して、#2は無印のエピソードを拾いながらぐいっとひとつ先まで展開していくような印象を受けた。本当に面白い。ストーリーも会話も、何よりも彼らの心情を読み進めるのに心が動いて仕方がない。やっぱりあさの先生の言葉たちが大好き…!!
そしてやっぱり、あなたから紫苑を奪ってもいいか、という台詞。一度本を閉じないと先に進めないくらいの重たい台詞です。無印、beyondまでのネズミは絶対に口にしなかったその類の台詞。心臓が止まりました。しかも火藍もそれを予期していたというのだから。
だけどやっぱり思うのは、紫苑に近しい人たちにとって -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった!beyondで紫苑がした黒いことがずっと気になっていたので、再会二巻で紫苑が自分のしたことをいけないことだと認めて、自分を批判する相手を排除するんじゃなくて話し合おうとする行動をしていたと知れてほっとした。第三の道があるんじゃないかと言った紫苑の純粋さのようなものが失われていなくてよかった。
力河さんが頑張ろうとしていることや、楊眠さんがやり直そうと頑張っているところを見られて嬉しかった。
紫苑からネズミへの感情が沙布から紫苑への感情と同じだと言い切ったことや、誘っていると受け取ってくれて構わないと冗談か本気か判断できないぎりぎりのラインのことを言ったことなど、紫苑からネズミへの感 -
Posted by ブクログ
美しい都市に住む純粋培養の少年と、その都市の外側に住む危険な匂いのする少年が、不思議な巡り合わせで強く結びつく物語。
紫苑とネズミ。当然、無垢で理論的な少年が紫苑であり、薄汚い場所の乱暴者がネズミである。しかしネズミは、粗忽者としか思えない登場の仕方なのにも関わらず、古典や物語に精通した教養を備えており、時折紫苑を小馬鹿にしたように使う敬語も美しく、なんとも途方もなく、魅力的な少年なのである。
紫苑はネズミによってその命を救われる。が、ネズミは紫苑によって、過去すでに命のみならず、その心をも、はからずも救われていたのであった。
「救いの手が奇跡のように差し伸べられることもあるんだって……