あさのあつこのレビュー一覧
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ネタバレ中学一年生になった巧や豪の日常を描く2巻目。
“永倉豪という男は、だれの内側でも、こんなふうに、見通すことができるのだろうか。”
“おまえは、信じてないのか”
“豪、なんで助けにこないんだよ”
など、1巻よりも巧が豪の内面に興味を持ち、また頼りにしたり大切に思ったりしている描写が増えていて、巧の情緒面の成長を感じる。その一方、思っていることを素直に言葉にすることはまだできない。そのもどかしい描写がとてもリアルだった。
集団リンチの場面はさすがに胸が痛んだ。
色々な壁にぶち当たりながら、巧や豪がこれからどのように成長していくのか、次巻が楽しみ。 -
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2024/05/12
野球部を引退し受験勉強に邁進するはずだった高校3年生の渓哉。だが自分の将来を思い描けず、焦燥感に苛まれている。ある日、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになる。また、同じ部活の実紀と共に幼馴染の栄美の温泉旅館にいつものように温泉につかりに行くのだが、里香も一緒についてくることになる。
そこで初めて聞いた里香の弾くオルガン。そして渓哉の苗字を聞いて明らかに動揺している里香だけど何で岡山に来たかということは頑なに触れようとしてくれない。
岡山県美作市が舞台となっていて、読み進めていくたびに美作に行ってみたいなという気持ちが高くなっていくと同時に、読みやすさと合わせた -
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2013年刊同名単行本の文庫化。島清恋愛文学賞受賞作。
陽介を探しに花粧山に登ろうとする真帆子は、雪の中、車道がなくなる山裾の一軒家にたどり着く。陽介は幼馴染みで、好きだったのに遠ざかって別の高校に通っていたが、1年前の雪の日に父親を刺し殺して行方不明になっていて、花粧山に行きたいと書いていたことを知って、大学に合格した真帆子は山に向かっていた。
一軒家に住む伊久男と日名子の老夫婦は、人の世界と山の境にいて、思い詰めて山に向かおうとする人たちを迎え入れて休ませ、ある者はそこから戻り、ある者は山に入って帰ってきたり、帰ってこなかったりするという話を聞かせ、1年前に陽介が来て山に向かったが帰って -
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本シリーズで、純粋にミステリーとして楽しんだ感覚が大きかったように思う。これまでは信次郎の毒の強さにひりひりとしながら読んでいた。彼の毒がどのように周囲の人にまわっていくのか、浸潤という言葉が似合うような、毒の回り方にひりひりとしながら読んできたが、今作では、彼の毒も八方に撒き散らされたわけでもないように思った。読者として不快に思うことがなかった。怪しいと思われる登場人物に焦点化した毒、これまでと少し違うような。そのせいか、清之介が謎に向かって積極的に動いたようにも思う。まぁ、番頭の死が絡んでいるのだから、店の主として関わらざるを得ないのかもしれないが、それでも、これまでになく事件への関わりが