あらすじ
おれはなんで、こんなに空っぽなんじゃ――野球部を引退し受験勉強に邁進するはずだった高校3年生の渓哉。だが自分の将来を思い描けず、焦燥感に苛まれている。ある日、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになるが……あさのあつこが故郷・美作を舞台に描く“直球”青春小説。書き下ろし短篇「もう一つの風」を収録。
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Posted by ブクログ
綺麗な小説
地方出身で上京し二つの拠点で揺れ動いている自分としては、小説の登場人物に思いを馳せる場面もあった
映画化については、杉野遥亮くんが演じる渓哉はどんな渓哉になるだろうととても楽しみにした
実際観に行ったら、開始5秒で目を見開き心が揺れる渓哉の表情に惹き込まれた
本当は2回映画を見にいきたかった
上映期間と回数が短かったことが残念
でも観れて良かったし、映画化してくれてありがとうございました
Posted by ブクログ
2024/05/12
野球部を引退し受験勉強に邁進するはずだった高校3年生の渓哉。だが自分の将来を思い描けず、焦燥感に苛まれている。ある日、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになる。また、同じ部活の実紀と共に幼馴染の栄美の温泉旅館にいつものように温泉につかりに行くのだが、里香も一緒についてくることになる。
そこで初めて聞いた里香の弾くオルガン。そして渓哉の苗字を聞いて明らかに動揺している里香だけど何で岡山に来たかということは頑なに触れようとしてくれない。
岡山県美作市が舞台となっていて、読み進めていくたびに美作に行ってみたいなという気持ちが高くなっていくと同時に、読みやすさと合わせた爽やかな感じが物語全体から伝わってくるような気がしました。
とても読みやすくてひと息つきたい時とかにおすすめな内容なんじゃないかなと思います。
Posted by ブクログ
主人公の高校3年生の渓哉は野球部を引退し空虚な気持ちでいました。実家は老舗のお茶屋さんです。お父さんが亡くなって、お兄さんの淳也が都会から戻ってきて後を継いでいます。同級生の実紀は渓哉の幼なじみで、長年野球のバッテリーを組んでいて、渓哉の良き理解者です。そして老舗旅館の娘で陸上部の栄美は実紀の再従兄弟です。ある日渓哉は道に迷っていた美人の旅行者の女性とぶつかります。その女性の真の行き先は・・・
短編の「もう一つの風」は、栄美が主人公です。
岡山県の山の中、美作を舞台に、心が暖かくなる一冊です。
Posted by ブクログ
熱い青春ものではないが、高校生らしい葛藤が見え隠れして、応援したい気持ちになる。もう少し、ここにいる人たちの交流を突っ込んで見てみたくなる。
Posted by ブクログ
表紙から『バッテリー』的な話を想像したけれど、別物でした。
流れる空気?土地勘?は近しいけれど。
田舎に産まれて、田舎で育って、大学進学は一大転機。
何がやりたいのか、どうなりたいのか。大人だって分からないのに、1つの選択で人生が変わる。
Posted by ブクログ
爽やかな小説。死人や流血や暴力や詐欺師や変なクリーチャーや地球を攻めてくる宇宙人が全く出て来ないお話を、久しぶりに読んで心が洗われた。
山間の自然の美しい温泉街と若い人達の心の揺らぎ、良いですね。
Posted by ブクログ
谷川俊太郎の春という詩のように、大地から湧き上がってくるような、青春時代のなんとも言えない感情を描かせたら、あさのあつこさん、最高ですね。偶然出会って、ときめいた年上の人が美作というひなびた土地に来たのは、偶然なのか、何かの導きなのか。すっきり甘酸っぱい読後感が味わえます。
Posted by ブクログ
オリンピック熱がまだ続いております。
スポーツ青春モノが読みたくなり、あさのあつこさんを。
と思っていたのだが、主人公の少年が元野球部のエースでもう引退していたというだけで、スポーツ感はなかった。
でも、普通に青春小説として楽しく読めた一冊。
舞台は岡山県の美作市。主人公は高校3年の渓哉。野球部のピッチャーであり、引退後は、喪失感と将来の不安に襲われる。
親友である実紀も、同級生の栄美も進路は決まっているよう。そしてひと回り年上で、急逝した父を継いで稼業を盛り上げる立派な兄も、渓哉には眩しい存在。
短い物語で、大きな盛り上がりもないものの、登場人物に魅力があって、また彼らの話の続きを読みたいな、と思った。
Posted by ブクログ
ちょっと異世界に感じてしまう清らかさ。若くて青いレモンの風味というかんじ。。。小学生低学年にもオススメ図書にできるのではないかしら。主人公たる渓哉の抱えるモラトリアムも、こんな時期あるかもしれないけれど、健康と選択の自由を持った立場で、逆にいうとごく一部のひとにしか素直に理解されないだろう言動や思考回路。わかるわかる、という気持ちより、細目でこらえて言葉を飲み込みつつ見守る世界。青春まっただ中の渦中の彼から見て“オトナ”に見えている、兄、淳也ですら、私からしたら若さの輝きを放っている世代なので、、、
10歳~30歳まで、田舎住み経験あり、ひねくれていないひと、ピュアストーリーを読みたいひと、、に、オススメかな。行間の奥まで透き通っているような透明度は、昨今貴重かもしれない。