あらすじ
高2の琉璃は「ウリをやっている」という噂を流され、上級生に絡まれていたところを美少女・綾目周子に助けられる。周子もまた、動物や自然の声と対話ができるという特異な能力をもつために、周囲から浮いた存在だった。2人は魅かれあい、互いをかけがえのない存在として純粋に求めていくが――。親、姉妹、異性…一筋縄ではいかない関係性に悩む10代女子の、脆くてフキゲンな日常。大ヒット「バッテリー」シリーズのあさのあつこが贈る、瑞々しい青春小説!
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「恐れが皆無かと言えば嘘になるけれど、大多数の人たちとは異質であることを恐れ口をつぐむより、本気の恋を誇りたい。」
この一文に、本気の思いへの尊重や重たさを感じた。
ありふれているからこそ、本気の思いが際立ち、大事に思う。
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高遠さんと綾目さん2人が出会いから成長して結ばれるまでを綺麗に描いた小説でした。
女性同士の恋愛は夢物語のようでなかなか踏み込めなかった高遠さんが、現実との折り合いをつけて前に進んでいく感じ(恋愛のために全てを投げ出すわけではなく)がすごくかっこいいなと思いました。
お互いがお互いのことを常に真剣に考えてるからこその関係性を男女カップルとの比較によって鮮明に描いていて、すごく尊いものだと思いました。
これからの2人についてもっと眺めていたいです。
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青春物として女性同士の淡いような、甘酸っぱいような恋愛を描いた小説。タイトルの『ありふれた風景』では無い、不思議な内容。
売春を学校中から噂されながら否定もしない琉璃。先輩達に絡まれて偶然助けに来た先輩の周子。周子も動物や植物と話しが出来、カラスを操れるので不気味な噂を立てられている。
家庭でも親の不和、母親のメンヘラなどがあり居場所に困っているが、徐々に周子に惹かれ始めるとともに周子も琉璃に惹かれて行く。
作者は時代小説の暗いミステリーも多いが、学校教師の経験を活かした青春物も瑞々しさがあって読み応えがあり、つい買ってしまう。
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再読。
この作品、とてもすきなのである。
剥き出しの刃物のような鋭さ、透明さ、熟しきる前の果物のような若さとほろ苦さ。
あさのあつこさんの作品にはそれが満ちている。
瑠璃の薄桃色の爪。
校内を飛び交う陰口と噂、視線。
恋を実らせた朱里の存在の輪郭の明瞭さ。
瑠璃と周子ふたりの出雲旅行。
激情に駆られて紅い花びらを踏みつけた周子。
「捨てなさい。そんな思い出集めみたいなまね、しないで」
たくさんのシーンが脳裏に刻まれていて、
ときどきふと私の中を過る。そんな作品。
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あさのあつこは『バッテリー』しか読んだことがなかったけど、筆力のある作家だと思っていたところ、良い作品に出会えた。ちょっと不思議な2人の女子高生とその周囲の人物を描いた青春小説。10代ならではの心理描写が上手く、自分にもこんな時期があったかななんて少々ほろ苦く思いつつ、楽しく読めた。大人になると、悩みの種類が変わってくる。その時々で色んなこと考えてみんな生きているんだなと再確認。
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恋をする心地よさが瑞々しく描かれていて良い。
自分の好きな自分をもっと好きになれるのってほんとうに幸せなことだ。
(恋愛相手とかに限らず、)自分の好きなものをしっかりと責任もって愛することが自分の軸になるのだとあらためて思う。
笑いや怒りなどは、特に共感を呼びやすいこともあって話の種にしてしまいがちだけれど、つよくはなれない。
怒りを共有する三人よりも瑠璃の方がつよく、愛することを知ってからの瑠璃はもっと強くなったね。
惑う青春時代の小説といえば、「蹴りたい背中」も併せてどうぞ。
綿矢りさのシニカルで突き刺さる描きかたがすき。
Posted by ブクログ
高校生の頃に読みたかった。
でも今からでもこんな風に心を揺さぶられることもできるのかな。
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地方都市にある高校で、ウリをやっているという噂のために絡まれていた瑠璃を、偶然助けた上級生の周子。彼女もまた特殊な能力を持っているという噂により、周囲から浮いた存在だった。親、姉妹、異性……気高くもあり、もろくもあり、不器用でまっすぐに生きる重大の出会いと別れをみずみずしく描いた傑作青春小説。
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内容的にはどろどろしているところも多いけど、作中の空気は澄んでいてきらきらしている感じです。瑠璃の気持ちを周子が分かっちゃって悩むところで、複線の敷き方がすごいなと思います。
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悪い意味じゃないけど、「あさのさん、遂にやっちゃったかぁ……」という感じ。元々匂い系と評されていたものの、今作はド直球の百合で驚いた。瑠璃はあさのさんらしい、芯の強い子。だけど、周子はいわゆる天然、しかし中身はしっかりとした理知的な子で、今まで読んだあさの作品にいない女の子だと感じた。
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とりあえず、一番率直な感想としては。
「そっちだったのか……」
というところ。
物語は、上級生に言いがかりをつけられた琉璃を、たまたま周子が助けたことから始まります。
周子には不思議な力があって、動物や植物の言葉を聞き取ることができる。
しかし、それゆえ奇異の目で見られていた。
一方、琉璃も。
「ウリ」をやっていると、噂され、やや遠巻きにされていた。
そんな二人が出会って、少しずつ距離を縮めて。
他にも、琉璃が絡まれる原因となった男の人も出てきて。
それから琉璃の家族……。
そういう思春期の葛藤を書いた話でした。
現実はこんなにうまくいかないけれど、なんかみずみずしくて甘酸っぱい。
それと、琉璃の気持ちによく似た想いを(もちろん琉璃ほどモテたりはしませんが)、感じたことはあるので、ちょっとむずむずしたりもしましたが、入りやすかったです。
結局、とりあえず二人はハッピーエンドだったのだけれど、これから先が本当にハッピーかどうかはわからないような終わり方をしているのも、こういう青春小説としてはよかったんだろうな……と思いました。
少し青いけど真っ直ぐな青春小説を読みたい方にはオススメですが、偏見のある方には難しいと思います。
Posted by ブクログ
いい余韻の残る作品だった。
特に主人公と「綾目さん」が初めて出会って、
ハンバーガーショップで食事をするまでの描写は、
これといった特別な描写でもないのに、ほほえんでしまう、
そんな空気が描かれていた。
変わっていくところ、変わっていかないところ。
そういうところが、暖かく描かれた、と思った。
単純にこの作品が肌にあっただけで、
同じ作者の「ガールズ・ブルー」の方ではあんまり、上のような感じは受けなかったけれど。
手をつなぐぬくもりを、再確認できるような。
そんな感じ。
Posted by ブクログ
地方都市のある高校で、ウリをやっているという噂のために絡まれていた琉璃を、偶然助けた上級生の周子。
彼女もまた特殊な能力を持っているという噂により、周囲から浮いた存在だった。
親、姉妹、異性……気高くもあり、脆くもあり、不器用でまっすぐに生きる十代の出会いと別れ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
面白かった。
鴉のタロウがなかなか良い味だしてた!
琉璃と周子が惹かれあっていく感じとかほんわかしたし、琉璃の家族の問題の描き方もなるほどなーってなる。
ふっきれて堂々と二人が旅行するとこ可愛いよね!
あと、この「人の噂」って、やっぱり当事者としては気にならないってのは嘘なわけで、関係ない、他人はどうでもいいって割り切らないとやってけないから、そうするんだけど、簡単に切り離せるものじゃない…
切り離そうーーって考えてる地点でもう囚われてしまってるっていう厄介なものだよね…
朱理の周子にたいしての態度がすごくいいと思った。
いい…っていうかそうあるべきだよね…
学校なんて場所で、仲良い子意外はお互い余計な干渉するなよ、って思う。
……けど、人の噂が楽しい人も居るから厄介だね…
Posted by ブクログ
初あさのあつこ作品。映画化された作品とかもあるので、勝手に流行作家だとイメージしていて、こんなに書ける(描きこめる)作家さんだとは想像していなかった。思春期な日々の揺れが丁寧に描かれて、なんか無駄に(無駄じゃないんだりうけど)悩んでいた自分を思い出した。こんな頃もあるのよね。
タロウも小説を面白くしていますね。
Posted by ブクログ
10代の苦しみや楽しみ、恋が鮮明に書かれていて面白かった。同性愛という、少し変わった恋だけど、それをあまり気にするくとなく、人が人を好きになるといった用な感じだった。
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あさのあつこさんらしいといえばらしいのかな。
マニキュアのあたりの話が好きです。
最後の、かっちりとしないフェードアウトみたいな終わり方も素敵でした。
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友情と恋愛の境って何だろう。
互いがなくてはならない存在。
ふたりが最後、一緒にいられることを純粋に喜んでしまった。
あさのあつこの文体は苦手ではあったが、心理描写がすごく上手な人だと思った。
Posted by ブクログ
想像していたものと少し違った。
美しく妬みの対象となる琉璃と、不気味で特殊能力を持つ周子。2人が親しくなったのも、お互いが外見や噂で判断せずに中身を見る人だからだろう。やはり、まだ高校生だからか琉璃や、周子、洋佑に危うさがあった。自分が高校生のときはもうほぼ大人でしっかりしていると言う気持ちがあったら、周りから見ると琉璃たちのように、子供で脆いものだったのかもしれない。
Posted by ブクログ
何にもこだわりを持たず、当たり障りなく適当にやり過ごすタイプの瑠璃と、美人だけど不思議な力を隠さないため変人として扱われる周子。対極にいるふたりの少女が出会い、惹かれ合いながら季節が過ぎていくようすを描いた作品。
Posted by ブクログ
ちっともありふれた風景じゃないけど
爽やかな青春ストーリー。
女の子が女の子を好きって認めていく過程が丁寧に描かれている。
内容はかなり生々しくてドロドロしている場面も多いのに
あっさりと爽やかに駆け抜けていくのが不思議。これこそあさのさんの文章力だからなのだろうか。
Posted by ブクログ
頑なだった自分のガードが少しずつ崩れていく感覚の描写が巧みで共感出来る。
描かれている事に少々少女漫画のようなドラマチックさがあり、もう少し幼い頃に読んでいればもっと好きになっていた気がする。
「ありふれた」に込められたも、受け止められたように感じた。
Posted by ブクログ
再読だけど細かい所はけっこう忘れてた。現役女子高校生だった頃に読んでたら違った捉え方だったかも。今読むと大人として客観的に瑠璃や周子を見てる感じだった。
男の人を好きになれないというところに共感はできないけれど、異常と思われるんじゃないかとか拒否されるんじゃないかとか、とても不安で苦しいんだろうなと想像した。相手の気持ちに応えたいと思っても、やっぱり戸惑いはあるんじゃないかな。
この後2人がどうなったのかが気になるところ。
Posted by ブクログ
帯に「十代って、残酷な年代だ。」そう書いてあって興味を持った。この本を読んだのは十代だった。だからこそ読んだ。確かに自分の十代も残酷だったのかもしれない。
Posted by ブクログ
始まりは好き。
全体的にあまり共感が出来なかったのは年を取ったからか。
こういう風に老けていくのなら悪くない。
つらい経験をも超えて成長していく感覚はとても若くて、そうありたいと思う。
Posted by ブクログ
読みやすい。特に 何がどうという主張が感じられるわけでもないストーリー展開ながら、高校生ぐらいの年頃の感性が随所にあふれているという感じでした。
Posted by ブクログ
前に途中で挫折した本。
多分あの時の自分は(今もだけれど)まさに思春期の″ふきげん″真っ只中で共鳴する余裕も無かったのかもしれない。
なににも当たり障りなく、テキトーな自分。
異性に恋愛感情を持てない自分。
歪な愛情に、壊れかけていた家庭。
こんなにも自分とリンクするのに、あの時の私には綾目さんが見えなかったから。
今も決して見つかった訳じゃないけど、それでもこの物語を受け入れられるようになったのは、私もすてきに老けてきたってことなのかな。
Posted by ブクログ
まるで少女マンガのような。
漫画にしたらやすっちくなりそうだからこそ
文章でっていう。
あさのさん切り口多すぎだ。
ひさびさに清純な感じのおはなしですた。