あらすじ
小学生からの殺害予告に引きこもり人間からの告発――。
文通会社に届くワケありの手紙には、手紙で立ち向かえ!
「ねぇ、まめに手紙をくれてた人と急に音信不通になるって、どんな場合だと思う?」
叔母さんが突然切り出した質問にたじろぐ、17歳の岳彦。
叔母さんのむぅちゃんは秘密裏に、ILL(I love letter)という会員制の文通会社をやっている。
年会費を納めると、会員は自分のペースでILLの社員宛てに手紙を書いて出す。
毎日でも、ひと月に一度でも構わないが、姓と住所は本物を明記しなくてはならない。
子供の頃、せっせと叔母さんに手紙を書いていた岳彦はその腕を見込まれ、ILLの臨時スタッフとして雇われることに。
二年間、ずっとILLと文通していた水元さんに何があったのか。
岳彦は叔母さんに変わり、水元さんに手紙を書き始めるが……。
「ぼくはママをころそうと思います」――八歳の少年からの殺害予告や、「どうしても、あの恋文を見つけたい」――大女優からの無茶な依頼などなどの難問に、自分自身の言葉を便箋に書き連ねて向き合う岳彦。
メールや電話では伝わらない想いがある――。
温かくて切なくて、ちょっと怖い六つの物語。
※この電子書籍は2016年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あさのあつこの本を読んだことがなかったかもしれない。こんな話も書くんだ!と、驚き。さわやかな児童文学的な本を書く作家さんだと思っていたが、これはミステリーだ。ひきこもりの少年がひょんなことから叔母さんの「文通会社」を手伝う。その文通相手におこる事件の話。とにかく、話の流れがスムーズで読ませる。ひきこもりの彼の心のほどけ具合も本当にほどよい。どこかで誰かに褒められたり、必要とされているのは誰にとっても嬉しく、必要なことなんだと思う。ただ、おさななじみとの件だけはちょっといただけなかった。それは彼が可哀そう過ぎるだろうと思った。その結果は話として必然性が無いし、ちょっと安易に思わずにはいられなかった
Posted by ブクログ
文通業者というのが面白い。確かに誰かと手紙のやり取りをしたくなる時がある。
お客さんと文通する中で、各話で事件に巻き込まれるが、意外と重い事件が多くてちょっとびっくりした。あと、むうちゃんが万能すぎる笑
Posted by ブクログ
自分が文通サイトで知り合った人と文通をしているので、手に取った本。
まさにILLみたいな仕事ができたらなぁ…と思っていたので、そういう点でも惹かれるところがあった。ただ、自分が想像していた手紙を通してほっこり人と繋がる話、ではなく人とは繋がるけど人が死んでしまったり…という話が多かったので少しマイナス。
Posted by ブクログ
あさのあつこさんの小説を読むのは、
20年ぐらい前に夢中で読んだ
「バッテリー」以来です。
「I love letter」というタイトルに惹かれて
読み始めました。
時に重たいテーマを扱う割に、文章は全体的に
軽やかで一話完結というところも読みやすく、
本を読むのが遅い私でも1日掛からずに読めました。
自由奔放な生き方をしてきた叔母さんが経営する
文通を主な事業に据えている会社で働く
元引きこもりの青年が主人公です。
会社に届く手紙に真摯な返事を書くことが
彼の仕事なのですが、届く手紙は実に
ワケありなものばかり。
というところから展開していく話は、
いやいやこんなこと普通に生きていたら
そうそう遭遇しないでしょと思う事件ばかりで、
最初のうちは現実離れした話だなぁと感じていました。
でも、現実離れした物語こそ小説の醍醐味というもの。
読み進んでいくうちに、えぇ!それで?次はどうなるの?と
先が気になってどんどん読んでしまうのです。
ストーリー展開の面白さはさすが。
そして最後は号泣してしまいました。
手紙が好きな人、特に文通好きには共感できるところが
多いと思います。
読後感がとても清々しい一冊でした。
Posted by ブクログ
意外とミステリー?ホラー?系が少し強かった。
読後には私も誰かに手紙を書きたいと思えた作品。
ネットで『文通 会社』って調べてしまいました。笑