あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2024/05/12
野球部を引退し受験勉強に邁進するはずだった高校3年生の渓哉。だが自分の将来を思い描けず、焦燥感に苛まれている。ある日、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになる。また、同じ部活の実紀と共に幼馴染の栄美の温泉旅館にいつものように温泉につかりに行くのだが、里香も一緒についてくることになる。
そこで初めて聞いた里香の弾くオルガン。そして渓哉の苗字を聞いて明らかに動揺している里香だけど何で岡山に来たかということは頑なに触れようとしてくれない。
岡山県美作市が舞台となっていて、読み進めていくたびに美作に行ってみたいなという気持ちが高くなっていくと同時に、読みやすさと合わせた爽やかな感じが物語全体から伝わってくるような気がしました。
とても読みやすくてひと息つきたい時とかにおすすめな内容なんじゃないかなと思います。 -
Posted by ブクログ
2013年刊同名単行本の文庫化。島清恋愛文学賞受賞作。
陽介を探しに花粧山に登ろうとする真帆子は、雪の中、車道がなくなる山裾の一軒家にたどり着く。陽介は幼馴染みで、好きだったのに遠ざかって別の高校に通っていたが、1年前の雪の日に父親を刺し殺して行方不明になっていて、花粧山に行きたいと書いていたことを知って、大学に合格した真帆子は山に向かっていた。
一軒家に住む伊久男と日名子の老夫婦は、人の世界と山の境にいて、思い詰めて山に向かおうとする人たちを迎え入れて休ませ、ある者はそこから戻り、ある者は山に入って帰ってきたり、帰ってこなかったりするという話を聞かせ、1年前に陽介が来て山に向かったが帰ってこなかったことを教えると、真帆子は山に入る決心をする。
老夫婦は止めるのだが、真帆子に同行することを決めて、知人に飼い犬を預ける。後半は山を登る途中での「天神事件」の関係者だという日名子の打ち明け話で、一気に主人公が変わってしまう。
日名子は旧家の息子に見初められて嫁いで12年たって、夫が連れてきた同僚の伊久男と恋に落ちて家を出たが、その元夫は自分の両親、姉とその子を日本刀で殺し、日名子たちの家に押しかけてきて母親を殺し、日名子に襲いかかるが伊久男ともみ合うところを日名子が刀で反撃したため逃げ、花粧山で車が見つかった。その後日名子と伊久男は、あちこちを転々とするが、結局山に戻ったが、山には入ったことがなかった。
真帆子は山の上で陽介を見つけ(亡霊じゃない!)、罪に向き合うように諭して山を下りるが、日名子と伊久男は雪崩に飲み込まれてしまう。陽介が刑務所から戻るのを待ちながら、真帆子は山裾の一軒家で日名子たちの代わりを務めている。
ここ数年仕事で修験道の資料を読んでいるが、昔は山は畏敬の対象となる聖域であって、けっして楽しみで登るものではなかったのだが、日名子の感覚はそれに近いものがあると思う。 -
Posted by ブクログ
本シリーズで、純粋にミステリーとして楽しんだ感覚が大きかったように思う。これまでは信次郎の毒の強さにひりひりとしながら読んでいた。彼の毒がどのように周囲の人にまわっていくのか、浸潤という言葉が似合うような、毒の回り方にひりひりとしながら読んできたが、今作では、彼の毒も八方に撒き散らされたわけでもないように思った。読者として不快に思うことがなかった。怪しいと思われる登場人物に焦点化した毒、これまでと少し違うような。そのせいか、清之介が謎に向かって積極的に動いたようにも思う。まぁ、番頭の死が絡んでいるのだから、店の主として関わらざるを得ないのかもしれないが、それでも、これまでになく事件への関わりが積極的であったような。
遠野屋の商いも上手く進んでいるので、破綻をきたさないように予防の意味もあったのか。
終末の味わいは、そうですね、宮部みゆき・京極夏彦のテイストもちょっと感じそう。
これまでは、求めていないのに、そう、仇敵という言葉が似合うのに関わってしまう二人だったのが、今作では、互いに求めあっていることを感じさせるような。そこが、これまでとは違う読み易さを感じさせたのかもしれない。
これまで、信次郎はそのキャラクターの強烈さから私自身の胸の内で映像化が拒否されていたが、今作、なんとなく映像化も可となるような、そんな信次郎の柔らかさを感じたのでした。 -
Posted by ブクログ
なぜこのシリーズが「弥勒」しりーずなのかということを確認した一冊。
もう一度、あの時点を振り返ることで新しい展開へと進む一冊になるのだろうか。多分、大団円に向かうきっかけとなる一冊なのだろうと思うが、ここで一区切りという感じはしない。信次郎・伊佐治・清之介の関係性が新たに進んだようで、さらに強固に確定されたようでもあり、この後の3人の揺らめきを次回作に大いに期待している。
カバーの紅花が印象的だ。
そして、今回の展開が実に見事であった。
これ以上展開のしようがないのではないかと思えそうな市井の事件、伊佐治のひっかかり、信次郎の追い込み。
結びつきそうにもないものが、何の不自然も違和感もなく濃密に結びついていく。ページが進むごとに、ページを繰る速度が上がる。
普段は剣に触れぬ清之介と言葉を失っている女、それはただ鞘の中で研ぎ味を鋭くしているだけなのかもしれないと気が付く。
遠野屋は新登場人物を加えて変化していくのだろうか。
あれもこれも次回作に大いに期待している。 -
Posted by ブクログ
六巻を前にして、
読みたい、ああでも読みたくない、
読みたい、やだ終わっちゃう、別れたくない、
こんなに夢中になったシリーズは
初めて?久しぶり?
巧と豪が大好きすぎて。
最終巻なんて切なすぎる。
なんとかして続編書いてほしい。
巧がまたまた丸くなっていた。
豪に気持ちを伝えなきゃと頑張るシーン、
木登りのシーン、好きだ。
海音寺の、バッテリー陽動というか
豪に打たせようとする、あのシーン、
巧が恐れるというのも、あれも良かった。
こんな心情を描けるというのもすごいよね。
やっぱり、青春っていいなぁ。
夢中になれるものがあるって、いいなぁ。
私には何もなかったから、本当に憧れる
(あ、本作に夢中ってさっき書いた笑)
息子に読ませたい本を見つけるという気持ちで読み始めた本作だったが、私の方が大ハマりで、彼に読ませるには一体いつが適齢なのやら。
6年生?中学生?むしろ大人?!
息子も夢中になれるものが見つかるといいなぁ。