あさのあつこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【読み終わって感じたこと】
碧李と杏樹の未来に希望を持てる終わり方で、ホッとした。できない理由や辞める理由を探すのは、案外簡単だ。だけど、できない自分や辞める自分の弱さや狡さを認めることは、容易いことではない。碧李は強い。私も全てを背負った上で、何かに挑める人間でありたいと思った。
【印象に残ったシーン】
謙吾に引き取られる時に、杏樹が千賀子に向かって走り出し、2人が抱き合って号泣するシーン。やっぱりお互いを深く愛していたんだなと感じられて、私も泣きそうになった。
【好きなセリフ】
「走るの、怖くねえか?」
久遠が、自分の弱さを認めた上で問うセリフ。そして碧李も怖いという自分の感情を認める -
Posted by ブクログ
ネタバレ明帆と陽の関係性がすごく曖昧だ。友達でもない、同情でもない、仲間意識でもない。明帆は陽がこれからどう生きていくか、どう死んでいくかをそばで見ていきたいし、陽は明帆に生きていてほしい、自分の両親や藍子のように失いたくないと思っている。
私はこの関係性に名前を付けることができない。多分恋とか愛とかでもないし、相棒というくくりでもないだろう。
事件とか、真実とかは二の次で、ただ似ている性質を持った2人の少年が、藍子という少女を介して複雑に絡み合ってしまっただけ。その瞬間を、その部分だけを作者はこの本に記しただけなんだろうなと思う。
この2人が事件によって絡まっていく様を、私はただ見ているだけ。読み終 -
Posted by ブクログ
※作品とは全然関係ない感想を書いてます
あさの作品を読みながらどうしてもネズミと紫苑のことを考えてしまうのはこの作品に対して不誠実だなと思いながらずっとふたりのことを考えていた。
守ること守られること、愛と憎しみ、理由をつけて逃げること、やっぱりネズミはいつか紫苑の元に戻ってくるんじゃないかと読んでいて思った。全然違う話だけど。
「幸せって誰かが責任を負うものなのか」と悩みながら、責任をとってくれる存在に安堵する。人間らしい感情だと思った
紫苑たちと同じ16歳なのに子供として描かれていて、そうだ、彼らはまだ子供だと気付かされる。でもどんな16歳だって必死で生きているって分かる
スポーツものっ -
Posted by ブクログ
あさのあつこさんの初期の2作品が収められた文庫です。
「あかね色の風」は小学6年生の少女二人の短い出会いから別れまでのお話です。主人公の遠子のクラスに千絵という転校生がやってきます。そもそも田舎で1学年1クラスしかありません。古い靴屋を営むおばあさんの家に身を寄せ、化石が好きで、複雑な家庭環境も屈託に話す千絵に、遠子は不思議な魅力を感じます。
「ラブ・レター」は、主人公で小学5年生の愛美が、気になる隣の席の男子に、自分の純粋で真っ直ぐな想いを綴り、手紙を出そうとするお話です。
どちらの作品も少女たちの懐かしくも真っ直ぐな友情や恋心が、何か独特の想いとして心に響きます。