あさのあつこのレビュー一覧
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読みながら、前作を思い出しました。
あさのさんのスポーツ物は、競技そのものももちろんのこと、選手の家族、友達との関係も深く入っていくので面白いです。
今回は、前作でボロボロになってしまった碧李の復活へ向けての前哨戦です。
誰よりも早く競技場に入り、トラックを見ながら、前回の屈辱的なレースを思い出し、その恐怖と戦っています。
そこへ、他校のランナー・三堂貢が話しかけてくるのですが…!
スタートと同時に飛び出した三堂貢を追って、碧李も走ります
そして、走れなくなった碧李を見守って来た友達、監督、家族もそれぞれの想いが交錯し、じわーっと心に沁みてきます。
これからの貢との関係も面白くなりそうです。 -
Posted by ブクログ
夜とセットで購入、先に朝からよみました。
明るいあさのさん、ってかんじ。
夢とか希望とか、楽しいこととかそういった感じの明るいもので溢れた、まさに「玩具箱」
個人的には1話目が好きですね。
はぁい、と柔らかい返事をするお母さん、何となく想像できて、それでふんわり暖かくなるお話だと思いました。
あとは地球を目指すお話。
私があさのさんのSF結構好きだからなのもあるし、なによりも森の描写がいい。
緑の描写が本当にすてきだな、と思う。
あとは狐の話。孫の恋愛、か。あれもよかった。ちゃんと細かく人って書かずに全て狐、になってる細やかさに、
孫の恋愛に乗るおばあちゃんの逞しさとか、お上品さとか。
あと狐たちの名前もすてきだった。
あと医者の話。原因不明の病がはやりだした貧困街、ってところでしょうか。
あの話、すごく続きが気になりますね…続き、書いてくれないだろうか… -
Posted by ブクログ
全6篇の短編集。
*仕舞い夏の海
海の表現がとても好きだと感じた。いつか行ってみたいと思った。
ラストで過去の女性ではなく、今の家族を選択した主人公に感動した。
*うちの猫は鼠を捕りません
BARのマスターの雰囲気がとてもよかった。ラストには驚愕した。
*夢女房
人はあまりにも簡単に変わってしまうんだなと感じた作品だった。自分も何かの切欠で大きな間違いを犯してしまうのではないかと恐怖した。
*お花見しましょ
'それほど親しくない'2人が1点の作文によって関係が変わっていくのがよかった。自分も親友のことを考えさせられ、また、花見に行きたいと思わせる作品だった。
*蛍女
元盗賊である坊主、我丈に不思議と惹かれた。山姥のような話だと感じた。これからは蛍に少し恐怖しそうだと思った。
*もう一度さようなら
『仕舞い夏の海』の姉妹編。ここでは、仕舞い夏の海での主人公達樹の娘が主人公。
作中での事故は東北の震災を思い出させた。突然に襲ってきた衝撃、もしかしたら死んでいたかもしれない状況で、他人を思いやる人々に心を打たれた。病床に着きながら、意識の中で事故にあった娘を助けようとすることに感動した。決して濃密に他者と結びつこうとしなかった男が、妻の死の予感に心を動かされた時、人って素敵だなと思った。
全編を通して、人というものを考えさせられたように思う。とても面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレここまで一気に読みました。
全体を通して描写が少ないな、とずっと思っていましたが、少ないがゆえに行間を読む自由さが与えられているような気がします。
ここまで読んでいると、No.6は悪の権化である、という風に単純に思ってしまいがちですが、わたしはそう単純なものではないと思いました。
ネズミが西ブロックの象徴として描かれるのは当然のことながら、紫苑はあくまでNo.6の象徴、として描かれているのが本当に上手いと思います。紫苑は理想主義で夢見がちのお坊ちゃんですが、自分の大切な人のため、といいながらも自分の欲とエゴのため、あっさりと、純粋がゆえに迷いなく、他者の命に手をかけようとしてしまう危うさも持ち合わせています。
No.6もまた、理想を求めて求めすぎて、それを周囲に押し付けているうちにまるで反作用のように裏側にエゴを膨らませ、いつかエゴと理想が逆転し他者を犠牲にすることを厭わなくなってしまった、そんな都市であります。同じではないでしょうか。紫苑もまた、選択を誤るとむしろ以前よりもっとNo.6の本質に近い姿に向かってしまうように思います。紫苑を天使のようだと思うのは、No.6の「綺麗な」部分だけを見てそれを理想だと言ってしまうのと同じような気がしてしまいますね。
しかし、彼の傍らには西ブロックの象徴であるネズミがいます。No.6が目をつぶり排斥してきた、もう一つの現実が紫苑には見えています。お互いがお互いに誤った選択を踏みとどまらせ、正しい道へともに歩いていく。No.6と西ブロックの融和がこの物語のテーマなのでしょうが、紫苑とネズミ、この二人が象徴するものには深くて複雑な、勧善懲悪の二色に留まらない深い色合いが、書かれていない行間に滲み出るようですね。
最終巻が楽しみです。