あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレひとつ前に本棚に登録した畠中恵著《百万の手》を読んでからしばらくして出合い共通項の多さにセットで記憶に残った作品だった。しかし《百万の手》は読後数年を経ても覚えていたにもかかわらずこちらの《福音の少年》はうろ覚えでレビューのために手にとってみた。そうだった。こういう物語だった。読み出してすぐに思い出した。でもやめられずに結局、最後まで再読してしまった。二人の少年と一人の少女の物語だ。危うい、思春期というにはもっと駆け足でその先へたどり着いてしまった、青春というには哀しい時間のなかで足掻いている彼らの一人が死に、遺された二人は彼女の真実を追う。誰にとって誰が福音の少年だったのか。幾重にも読むことができるだろう。ラストで少年の一人、秋帆はまるでそのいのちを脅かされているように読める。そして殺し屋がいう、罰だと。罰などではない。たしかに彼一人で犯人と、さらには犯人に雇われた殺し屋と会うなど無謀だ。一人にすれば死ぬと警告してくれる大人もいたというのに。しかし、私は彼の生存を信じる。絶望したわけではないという殺し屋の言質もその根拠のひとつだ。殺し屋がそういう以上、この先に殺し屋と秋帆の再びの接点が予言されている。だが、最大の根拠は秋帆を失いたくないと強く願う者の存在にある。頽れ、倒れ三日月をその手に掴もうとした秋帆にはそう強く願う者がいる。それは必ず生への楔となる。ほんの微かにでも歩む角度が違っていれば人殺しとなっても不思議はないと思わせる少年だ。しかし彼は、殺し屋の誘惑を自らの意志ではね除けた。そんな彼が殺し屋に屈し、安易にいのちを捨てるわけはない。だが、結末は物語のなかで明確に語られることはなく、幕を閉じる。著者がそれ以上を物語ることなく沈黙するのならば読者は唯々諾々と従うまでだ。けれど私は信じる。彼の明日を。彼を失わぬ未来を。
ちなみにバッテリー、NO.6未読。本作が初あさのあつこ作品。 -
Posted by ブクログ
中学生のときにあさのあつこの中で初めて読んだ作品。
主人公の理穂と自分の性格や考えることが
どことなく似ていて衝撃を覚えて、
それから機会があるごとに読み返したりするけど
そのたびに自分を別の場所から見ているような不思議な感覚になる。
あさのあつこの中では一番すきな作品。
淡々としたストーリーなのに、
高校生のときの自分たちの思い出の輪郭を指でなぞるような、
経験した哀しみや楽しさ、怒りや喜びが胸の奥でふっとよみがえるような、懐かしい気持ちになる。
あとがきに記された、
「理穂と美咲は親友という言葉では表せない。
いわば共犯者なのである。」
という一文にもはっとした。
そうか、あたしたちが毎日の出来事になんとなく
胸の奥がうずくような切なさや
どこか秘密をふくむような楽しさを覚えるのは
あたしたちみんなどこかで小さな犯罪を共有した、
共犯者だからなのか。
読むたびにこれから立ちはだかる、
社会だとか責任だとかの壁を突き抜けていけそうな、
そんな感覚になる、元気がでるすてきな一冊。 -
Posted by ブクログ
5年生の女の子たちが口をそろえて面白いというので読んでみた。なるほど!確かにみんなが好きそうなのが分かる。とくに“ラブレター”の方は、等身大の5年生にぴったりくるようなドキドキするかわいいお話。いいお話だった。ときどきこっそりと「恋愛っぽいのが読みたい」と言ってくる女の子たちに手渡してあげたい。”あかね色の風”の方は、友達について考えさせられるお話。子どもだって、この子と合いそうかどうかって見かけや雰囲気で判断したりするところがあって、でも自分と合うかどうかは実際に深くその子を知ってみないと分からない、というようなことをさりげなく教えてくれるお話だと思った。大人が読むと、自分が小学生だった頃の気もちを思い出したり、小学校高学年ぐらいの頃の気もちの揺れを感じたり、ああこのぐらいみんな複雑なんだよな、ということを再発見する感じです。周りに高学年の女の子がいる人におすすめの1冊。