あらすじ
北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎の同僚で本勤並になったばかりの赤田哉次郎が女郎と心中した。その死に不審を抱いた信次郎は、独自に調べを始めた矢先、消息を絶つ。信次郎に仕える岡っ引の伊佐治は、思案に暮れた末、遠野屋清之介を訪ねる。次第に浮かび上がってきた事件の裏に潜む闇の「正体」とは――。あさのあつこの代表時代小説シリーズ、待望の第五弾!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
前作で見せ場が殆どなかった木暮信次郎を中心に物語が進む。清之助の過去は重く感じるが、信次郎が登場すると軽快さが増すように感じてしまう。
始まりは前作で登場した品川の旅籠の女将、お仙。この時は38歳だが、10年前に一大事が起こっている、お仙も過去を持っていた。それと同じことが信次郎の周りで起きた。
これまで以上にミステリーの要素が大きいと感じる。単純な動機ではなく、少し複雑に入り繰ったところに信次郎の推理が冴える。
人の気持ちや描写の仕方が美しく奏でられる文体は、あさのあつこさんの特有のものだ。表現に豊かさを感じる。起こった事件の壮絶さを、登場人物の描き方や表現力で、柔らかくしているために、軽快さがあり、心温かくしてくれる。
ミステリーの構成としては併せで、並行して描かれた場面を最後に併せる手法は、今回も顕在だ。
Posted by ブクログ
進次郎のセクシーな魅力に溢れた回でした。
シリーズ5作目になり遠野屋とは冗談を言い合えるほどの仲良し?に。
2人の間の伊佐治の役割も定着してきた感があり、謎解きベースのお話自体を腰を据えて楽しめる段階になった感じです。
シリーズを通した事件で少しずつ確実に変化していく遠野屋清之介と、ブレずにサイコパスな木暮進次郎。そんなつもりないはずなのにいつの間にか進次郎ペースで事件解決に協力しちゃってる遠野屋清之介と、事件解決に利用するついでに遠野屋を刺激しあわよくばダークな素顔を引きずりだそうとする進次郎。
ちょっとずつ信頼感が醸成されていくなかで、2人のやりとりも濃さを増しており良いです。
伊佐治にお茶かけられる場面最高。
女性のキャラクターも個性的な魅力いっぱい。いつの間にか3歳になってたおこまちゃんの出番がちょっとだけで残念でした。
Posted by ブクログ
信次郎カッコいい( ∗︎°▽°∗︎ )♡︎
推理もダークな感じも冴え渡ってましたなぁ。
お仙への思いやりが遠野屋を用心棒にするところで溢れてて萌。最高の用心棒。
そして最高の囮役。
2人の息が本当にあってきたのを感じる一冊でもありました。
2022.9.25
142
Posted by ブクログ
久しぶりに読んだ弥勒シリーズ。前作を読んでから少々間があきました。その分、新鮮さが増したように感じたのですが、いやいや、間があいたからではなく、5作目は新鮮なものだったように思います。
これまでよりも、グンと本格ミステリーになったような感じ。謎解きがとても楽しかった。木暮の語り口で謎が解かれていくことの快感を覚えるのです。
そして、遠野屋がもつ切なさが幾分少なくなり、なんというのでしょう、凄技を持ちながら、なんだか人間臭さが出てきたような。それは今作、木暮の動きがより注目されるようになったために、遠野屋の温かみが目だったのかもしれません。同様に伊佐治の人らしさも多く描かれているような感じがしました。木暮がホームズなら、遠野屋はワトソンか、となるのかもしれませんが、私は遠野屋はイリヤ・クリヤキンのように思えました。木暮はナポレオンソロには似ていませんが。
どうにも目が離せないシリーズです。
面白いです。
時々、この二人のセリフをつぶやいてみたくなります。
Posted by ブクログ
今回はいつもより木暮信次郎の捻くれた鋭さが分かりやすく描かれていた気がします。
それに対して真正面から素直に突っ込む伊佐治親分とは本当に良いコンビです。
Posted by ブクログ
シリーズ5作目。同僚の赤田が心中したと聞き、その死に不信感を抱いた信次郎が2人を巻き込みながら事件を解決していく。
いつもより人間味があるようにも感じられた。1巻目では分かりにくかった清之介の心理描写が増えてきているのでこちらは凄くわかりやすい。
今回はそんな人らの周りに生きる女たちが何人も出てくる。その人たちもまた魅力的なキャラクターの1人。強く生きる女性は素晴らしい。
さあ。次はどんな話だろう
Posted by ブクログ
弥勒シリーズ第5弾。
今回は不可解な心中事件の闇を暴く話だ。
遠野屋清之介の過去を知ってしまった同心の小暮信次郎。この血も涙もない、いけ好かない男が清之介を利用せずにはいられない。事件解決のためにはこの清之介をとことん利用する。己の欲望のために人を騙し、欺く人々。お金のために簡単に人を殺めてしまう人々。話は殺しから始まるが、清之介、信次郎、伊佐治の切れ者3人の活躍と互いの心の読み合いが面白い。
Posted by ブクログ
75 一歩を詰めねば見たいものは見えぬ気がいたします。
280 身体ならば腐りはてれば土にも還ろうが、心となれば腐りに腐り、ただどこまでも腐っていく。
人間は一度でも道を踏み外すと、どこまでも落ちてゆくものだということを再認識した。
自分の保身のためならなんでもできてしまうところが怖かった。
Posted by ブクログ
シリーズ中でも面白さでは群を抜いている「冬天の昴」。冴え渡る木暮信次郎の考察と推理。遠野屋清之介の過去の片鱗を見せる立ち回り。二人の主役がぶつかりながら、引き合う磁石のSN局のよう。さて、ふたりの駆け引きは次作ではどうなるのか?ワクワクするシリーズ。
Posted by ブクログ
「弥勒シリーズ」の第5弾とは知らずに最初に読んでしまった。しかし違和感なく読み切りで完結していた。冷静沈着で事件の筋を絶対外さない同心、木暮信次郎の捕物帳。女郎と武士の無理心中と思われた二つの事件が実は心中に見せかけた殺人事故ではないかと気づいたところから、数日のうちに事件を解決していく。この小説の面白さは、小間物問屋遠野屋の主人、清之介の存在にある。信次郎がシャーロックホームズだとすると、清之介は知らず知らずにさせられているワトソン。元武士である清之介の優しくてすこぶる強い紳士っぷりが、事件解決に役立つことが心地よい。
Posted by ブクログ
今作のおもしろさは、江戸の世を生きる女性の姿にあると思う。
おうの、お仙、お登勢など、各々が紆余曲折を苦悩して、もがいて、乗り越えてきた過去があって、それでもまだ何かに悩んでいる姿がある。
色っぽくて魅力的な女性たちだと思った。
メインは、信次郎、伊佐冶、遠野屋だけど、毎回スポットライトの色や、当たる角度が少しずつ違うので、読んでいて飽きが来ないのかもしれない。
Posted by ブクログ
シリーズ5作目。
無理心中に見せ掛けた殺しを軸に、遠野屋さんが木暮信次郎に引かれてく。
あさのさん、読ませるなぁ。
登場人物一人一人が奥深い。
お仙もおうのもお登世も。
次作も楽しみ。
Posted by ブクログ
相変わらず小暮様は怖いっ。
怖いというか薄ら寒さを覚えるお人だなぁ、そして伊佐治がまた良い。
小暮様を宥めつつ気を配り軽く悪態もつく。
この2人の距離感が緊迫する話の中で、読み手が一息つけ、考える時間を与えてくれる。
またまだ続いて欲しいシリーズ。
Posted by ブクログ
信次郎と遠野屋、じゃれあってて突然シャーッってなる猫のよう。
伊佐治、キレる。そりゃそうだ。笑。
しっつこーーーい心理描写がちょっとだけ、ほんのちょびっとだけだが減って、ちゃんとミステリーになっている。
Posted by ブクログ
同心と女郎の心中事件を発端として物語は動き出す。そして、10年前にも起きた同様の心中事件によって人生が大きく変わってしまったお仙と、遠野屋で仕事をすることになったおうの、遠野屋で催される集いに訪れるお登世。これら三人の女たちのそれぞれの人生の来し方といまが語られる。
Posted by ブクログ
第五弾
お栄の過去から始まり、同様な心中偽装事件が、世間的にはもっぱら心中として広まり、奉行所は
一人、同心の性格から疑問を持つ変わり者の同心木暮
彼を助けるいつものメンバー、そして背後には殺し屋組織と、犯罪をアレンジする者
観察力の鋭さと、新たに加わった遠野屋主人の兄の妾
色々な条件が重なり無事に
Posted by ブクログ
信次郎と同じ同心の赤田が女郎と心中した。
その事件に不審を抱いて調べ始める信次郎と岡っ引の伊佐治。そこにいつもの遠野屋も加わって、今作も面白かった。
この作品の真の主役は、江戸で生きる女達であったように感じる。皆、痛みを抱えながら直向きに生きていて心ひかれる。