あさのあつこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
再読完了。
身体的特徴じゃない何かが似ている2人の少年。平凡な表面に隠れる危うい『何か』。それを隠して過ごしている明帆と抑えきれなくなってきている陽が、同族嫌悪・同族意識というのかな、相手に反発しつつ惹かれあい、ズレているのは自分だけではなかったと安堵する。友情でも愛情でもない、細くしっかりとした糸で結びついている2人の間にある雰囲気が好き。
暗いけれど透明感のある作品。
作品全体に一人の少女と謎の男の存在が見え隠れして、読み終わった後も謎は解かれていないような気分になるけれど、そこは読者の想像次第。
記者さんが最後、舞台から強制的に途中退場になってしまって、そこがちょっと残念。もう少し彼 -
Posted by ブクログ
ネタバレひとつ前に本棚に登録した畠中恵著《百万の手》を読んでからしばらくして出合い共通項の多さにセットで記憶に残った作品だった。しかし《百万の手》は読後数年を経ても覚えていたにもかかわらずこちらの《福音の少年》はうろ覚えでレビューのために手にとってみた。そうだった。こういう物語だった。読み出してすぐに思い出した。でもやめられずに結局、最後まで再読してしまった。二人の少年と一人の少女の物語だ。危うい、思春期というにはもっと駆け足でその先へたどり着いてしまった、青春というには哀しい時間のなかで足掻いている彼らの一人が死に、遺された二人は彼女の真実を追う。誰にとって誰が福音の少年だったのか。幾重にも読むこと