あらすじ
※本書は、2019年8月2日~2022年1月20日まで配信していた角川書店単行本『烈風ただなか』を文庫化した作品となります。重複購入にご注意ください。
江戸時代中期、十五万石を超える富裕な石久藩。鳥羽新吾は上士の息子でありながら、藩校から郷校「薫風館」に転学、自由な気風を謳歌していた。その「薫風館」で陰謀が起きる。かつての学友たちが斬殺され、その真相を知った学友だった瀬島が自害。中老である彼の父も罷職となった。真実を知るはずの新吾の父は、事件後何事もなかったかのように妾宅に住み、そして二年が過ぎようとしていた。新吾は元服を迎え、親友の栄太は江戸へ遊学し同じく同輩の弘太郎には嫁取りの話が来ている。ゆっくりと時が進んでいたある日、弘太郎の近所で太刀傷の死体を見たと証言した隠居の老人が事故死する。同時に、弘太郎の許嫁の八千代が不自然に新吾の姓「鳥羽」に対し戦く。そして、突然栄太が謎の理由で帰郷する。かつての陰謀から再び不穏な気配がわき起こる。熱い「青春時代小説」!
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Posted by ブクログ
ついに父の隠していることが明らかになりました。そして、兄の真相も語られることに。隠されていた部分を知ることで、疑心暗鬼からの不安や恐れが、知ることで未来への不安や怖れに変わっていきます。生きることは、苦しみを2倍にも3倍にも背負っていくものなのかと、それでも生きていくことにためらわないことが、主人公の魅力です。
「何のために生きているのか」は「何故生まれたのか」の理由付けになると思います。必ずしも明確な答えが必要ではないけど、未来を明るくするためにとか、豊かに生きるためにとか、希望を感じられる生き方に繋がるのならいいなぁと思います。