あさのあつこのレビュー一覧
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少しずつ物語が進み、紫苑が暮らしていた「No.6」という理想都市の本当の顔が垣間見えてきました。
「寄生ハチ」という驚異がNo.6を襲うのか、はたまたそれは統治者たちの陰謀・計画なのか、謎は深まってゆきます。
紫苑と暮らすうちに少しずつネズミの生活にも変化が訪れていることが分かり、彼らの関係性の今後にも目が離せません。
といいつつ、単純な冒険YA小説のなかに、いちまつの説教臭さが漂っている気もします。主人公の独白が多いのが原因かとも思いますが、それもふくめて「あさのあつこ節」ということなのでしょう。
物語そのものは続きが気になる終わり方でしたので、次巻も楽しみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
知らないことは怖い。
ただ、知った後でも怖いこともある。
知ることと、わかろうとすることや、考えることは違う。
膨大な距離が存在する。
自分ではどうしようもできない大きなことの主語は大きく、主語の構成も複雑。
だから、主語を形作るひとつひとつのバックグラウンドを実名で表されないと、知ろうとされづらく忘れられやすく、その先の理解には進まない。
だけど、その大きなことの一端が身近な何かだったなら、一気に距離が詰まってくる。
そのことに対して、隣人が考えていること・感情は、たとえその隣人が家族ですら、わからない。
咏子さんのような、そういう正義感や、ある種の正直さは、生きづらさや、周りの人への影響も生むだろうけど、やっぱり人として強いんだと思う。
私はどうなのかな。
考えさせられるな。 -
Posted by ブクログ
東京の私立、桜修館という学校で20名ほどの中高生に作家である著者が授業をした記録。シェイクスピアの四大悲劇の一つ、『マクベス』の読書後の印象や感想を共有しながら、10代で本を読むことの意義について語られる。
本当にたまたまだけど、この前に読んだ本、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』という本も、専門家が中高生に授業をした記録、という体裁が共通していて、比べるものではないけど比べてしまって、正直こちらの本の内容の薄さを感じてしまった。もちろんページ数も比べ物にならないくらい薄いのだけど、自分もマクベス好きなので、もっとマクベスの解釈とかシェイクスピアの見せ方とか当時の時代背景とか、何かそういう話が見えてくることを期待していたが、確かに著者のオリジナルの解釈や見方は示されるものの、テクストから何らかの根拠が示されるというよりは感覚的な話なので、マクベスを読んだ人たちの感想を共有する、という程度に留まっている点、どうしても物足りなさを感じてしまった。
どちらかというと、著者個人の読書体験、読書に対する思い、というものが話の中心だったが、その中でも印象に残ったところのメモ。若い時は見栄もあってたくさん読まないと、みたいな感じだったが、「ああいう読書は、もうできないですね。生き急ぐように読み急げるのは、若さの特権でしょうか。老境に入りかけた私は、出会えた本とじっくり、ゆっくり、芳醇で濃密な時間を過ごしたい。そういう意味で、人と本はよく似ていますね。たくさんの人と出会い、たくさんの経験(すてきなことも嫌なことも)とぶつかる時代も、この人はと定めた相手と時を共有する時代も人には必要なのですから。」(p.5)というところは面白かった。ただ自分はまだ読み急いでたりするので、この著者の領域には全然達しないけど、いつか自分にもそういう時は来るのだろうか。「本に対峙することで、自分が変わったことを知るんです。本は変わらない。本を合わせ鏡のようにして、自分がどう変わってきたかということが、そこに照らし出されるのです。(略)四十代になって感じ取るものとは何か。あるいは五十代になって感じ取れなくなったものは何であるか。本をバロメーターにして自分で知ることができるという意味でも、『十代の読書』というのはとても大切だと思うのです。」(pp.68-9)、という部分はその通りなんだろうなあと思った。ただおれは中高生で全く本を読まない人だったから、なんかそういうことが出来なくて、残念。でも確かに映画とかを結構中高生の時に見ていて、久々に見たら全然感じ方が違ってた、というのもあるから、読書に限らず十代でいろいろ経験しておくのは重要だと思う。「手軽に役立てようとして読んでいる人には得られない何かが残ります。一冊の本を読んで、閉じて、そのまま忘れたにしても、まるで伏流水のように、いつかじわっとにじみ出てくることがある。全部の本ではないけれども。」(p.88)という部分は信じて、おれも読書を続けたい。あとは「埋没してしまえる心地よさという恐怖」(p.107)の部分は、よく言われることで、なんかトランプの演説とかを見ていて、確かにこれの支持者は居心地がよさそうだな、とか思った。
すぐ読める本だが、この本を読む前にまず『マクベス』を読むべきだと思い、その点で、『マクベス』のあらすじや魅力、ポイント、読む意義を紹介する、テレビの「100分de名著」とはちょっと違うんじゃないかな、と思った。(25/01/20) -
Posted by ブクログ
ランナー最終巻。貢の学校不祥事で大会に出られなくなり、碧李との再レースはどうなるのか、というストーリー。走ることの意味、目的、目標、その表向きのところと内面の葛藤などの書き方が面白いし、そこに関わる光喜、信哉の活躍、盛り立てといったところも楽しい。
ただエンディングがそれか、というのは残念。ラストランというタイトルも含めてこの終わり方で作者はいいのかなぁ。学校の不祥事で部活ができないというのは、時々ある事件だからこそ、逃げない展開があってもいいだろうし、少なくとも2人のランナーがその走りにどうやって蹴りを付けるのかということがあってもよかろうと思う。
4巻に渡って走り続けた青春物語は少々消化不良。「一瞬の風になれ」「風が強く吹いている」に比べると読後の爽快感が物足りないのは、競技の違いだけではあるまい。