マルクス・ガブリエルのレビュー一覧

  • なぜ世界は存在しないのか

    Posted by ブクログ

    多様性に振り回されている現代で、半歩進んで世界を前向きに捉えるための関わり合い方、新しい実存主義の提唱。同じ時代に生きる哲学者はその時代に必要とされる提唱をしているのだと思う。自分の気持ちと向き合うことで、その背景にある世界との繋がりを見出したい。

    0
    2025年05月03日
  • 世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか

    Posted by ブクログ

    読んだと思ったのに本棚になかった。二重登録かもしれないけれど書いておく。

    新実在論は未だによく分からないが,思弁的実在論やOOOとは違うらしいというのは分かった。新書ばかりでなくちゃんと著作を読まなければなりませんね。

    死刑反対の議論があって,これを覚えていたので読んだと思っていたのだが,他の著作でも言ってるのかもしれない。
    ①「尊厳とは,「人間はときには人間存在の概念に基づいてその人生を送っている動物である」という事実」
    ②「他の人の尊厳を減らす人は,自分自身の尊厳も減らしている」
    ③「尊厳がゼロになることはありません。ゼロになれば人間でなくなります。」
    ④「もしその人を殺せば,その人の

    0
    2025年04月27日
  • 人類の終着点 戦争、AI、ヒューマニティの未来

    Posted by ブクログ

    エマニュエルトッドのロシア観、ウクライナ戦争論が独特で、至近のトランプとゼレンスキー対談も相まって興味深く読んだ。本人はロシア寄りの発言をしている訳ではないようだが、そう見える上に一理ある。

    さて、人類の終着点。これは本書の対談に『歴史の終わり』のフランシスフクヤマがいる事からも、何かしらの不可逆的な転換点を示唆したタイトルだろう。こうした不可逆的転換論は、グローバル化が不可逆であり、すべての国が市場経済に統合されると主張したトーマス・フリードマン。「ワシントン・コンセンサス」の経済政策を推進し、発展途上国が自由市場に組み込まれる市場経済が最終形態と主張したジェフリー・サックス、EU統合が「

    0
    2025年03月09日
  • つながり過ぎた世界の先に

    Posted by ブクログ

    コロナの頃に書かれていた本ですが、哲学者の言うような世界になっているのでしょうか?ますます混沌とした社会になってるような気がして仕方ありません。それほど世界は単純じゃない、のかもしれません。SNSと距離を置いたほうが良さそうです。

    0
    2025年02月05日
  • なぜ世界は存在しないのか

    Posted by ブクログ

    毎年観ているドキュメンタリーの中で考えをきいていたのですが、著作は実は読んでいなかったので挑戦

    様々な角度から思考を回転させないと理解が進まず、
    思った以上に時間がかかったが、
    ひょっとしたら欧米より日本の方が理解しやすい内容なのかもしれない

    またそこから世界の断絶と資本主義の限界という近年の課題が導かれるヒントになるのかな

    何にせよ思考をまとめることは難しく、良い頭のトレーニングになったと思う

    0
    2025年02月02日
  • 人類の終着点 戦争、AI、ヒューマニティの未来

    Posted by ブクログ

    これからの世界について、今起きている戦争、AIの発展、資本主義、民主主義の今後など重要なテーマについて、複数の知識人たちの語りで展望が語られる。

    ロシアのウクライナ侵攻を西欧ほどそのほかの国々は嫌っていないとか、戦後ロシアとドイツの接近こそアメリカが嫌っているとか斬新な切り口もあり、人口減少する先進国なので第二次世界大戦ほどの拡大戦争にはならないという見方もあれば、それはわからないという意見もある。

    AIによるデータの大企業に寡占される様やソノ、IT企業組織はヒエラルキー型のトップダウンという保守的組織であるという指摘も興味深い。

    ただAIはよくできて効率的なWikipediaのようなも

    0
    2025年01月09日
  • 全体主義の克服

    Posted by ブクログ

    戦前の日本、ドイツが失敗した全体主義化の危険性を、現在ネットが起こしうる危機について述べている。

    中盤から後半は、欧州思想が二者択一論に陥る、それはキリスト教の枠組みを超えられていないこと、中国思想はそこにとらわれずなので、新たな可能性があるとすることなどが語られている。

    最後に人の資本主義、倫理を大企業はきちんと価値にする、そのため弁護士だけでなく優良な哲学者をコンプライアンス部門に雇うべきなど興味深い示唆もあった。

    理解にはまだ及ばないが、興味深い本だった。

    0
    2024年12月09日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

    Posted by ブクログ

    コロナ禍とウクライナ戦争で、世界の経済のグローバル化は減速した。だが、世界の経済のグローバル化はこれからも持続していくだろうという。SNSが普及して、これからに必要なのはリテラシー教育らしい。「未来の自分に利他的になろう」というメッセージには共感した。急速に物事が変化していく時代に、生涯学び続ける姿勢を持ちたいと思った。

    0
    2024年09月18日
  • 新実存主義

    Posted by ブクログ

    ガブリエルの新実存主義をめぐる哲学的な対話。

    最後のケルンの議論は腑に落ちなかったが、ガブリエルの反論で明瞭になった。おかしい議論はおかしいと言えるのが知性だ。

    全体的に、心、精神の問題を扱っている。「語彙」に注目するガブリエルの視点が興味深かった。
    また、ハラリなどが主張するニューロン主義や意思の欺瞞性への批判も痛快。確かな人間性を取り戻す重要な取り組みだ。

    0
    2024年01月24日
  • なぜ世界は存在しないのか

    Posted by ブクログ

    新進気鋭の哲学者マルクス・ガブリエルによる「新しい実在論」の解説書。物理的な宇宙は存在するが、それが即ち「世界」ではない。私たちは物理的でない意味合いも当たり前に実感し存在することを感覚的に理解できるのだから。「世界」とは物理的な意味合いもその他の意味合いもすべて含んだものであるはずだがそのようなすべてを包含する視点は存在しえない、というような話。めちゃくちゃ屁理屈言ってるようにも感じるが、ものすごく当たり前の感覚のことを言っているようにも感じる。ですます調の訳も含めて哲学書にしてはかなり読みやすい。

    0
    2023年12月10日
  • つながり過ぎた世界の先に

    Posted by ブクログ

    考えを整理するとき、哲学者の助けがあった方が良いケースはあるのだと思う。マルクス・ガブリエルは分かりやすく噛み砕いて、自分の考えを伝えようとする宗教者のようだ。

    倫理資本主義とは「“人と社会にとってよいこと”を判断軸とした資本主義」のこと。
    社会性と経済的(儲け)を高いレベルで両立した経済のあり方とも言える。
    ここで言う「社会性」とは、儲けの前に、まず人の幸せを本気で考え、顔の見える他者を想像する倫理性を持つこと。

    0
    2023年10月07日
  • つながり過ぎた世界の先に

    Posted by ブクログ

    この本が特に印象的だったのは倫理的価値と経済的価値は同意であると話してるのは本当に印象的でした。
    twitter含めてなんですが、近年、本当に倫理的に考えて発言しなくなってる事に危機感を覚える。
    また、企業も含めて本当にひどいなと感じます。
    改めて倫理の重要性を感じました。
    特に恋愛、仕事、婚活において!
    倫理と経済
    これは今後大事だと感じさせる本です。

    0
    2023年09月23日
  • つながり過ぎた世界の先に

    Posted by ブクログ

    科学に関するところは怪しすぎたのですが、後半はとても良い内容だった気がしました。
    ステレオタイプによって他者を判断することは非倫理的であること、対話が必要であること、SNSが我々に自己を与えていること、などのところはかなり興味深く感じました。
    この辺りは不必要に自己の属性についてSNSを通して自ら確定してしまうというのは実際に感じるところで、他者に対する属性化も問題だとは思っていたのですが、反面自己を不必要に規定してしまうことが生きづらさを生む温床となってしまうのを感じました。
    交友層の偏りがかなり出てるように見えるので自分がもっと広く対話したらどうかなと思いますし、哲学者を雇うべき的なところ

    0
    2023年09月12日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

    Posted by ブクログ

    金田一秀穂さんは
    日本語は緊急事態に向かないと言う

    緊急事態を宣言します、には
    本当に緊急事態なの?

    緊急事態宣言を発出します、だと
    ああそうですかとどこか他人事

    日本語の得意は落とし所を探す事

    ロックダウンより20時閉店
    和を持って貴しとなす、それでいい

    0
    2023年06月27日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

    Posted by ブクログ

    世界の頭のいい人たちからコンパクトに要点教えてもらおう!という、ある意味とても今っぽい本。中公新書で出た企画が成功したので、後追いという印象もある。
    後追いとはいえ、世界は変わっており、最新の状態を前提にスピーディに新書化してるので、つまらないということはない。
    今回はコロナとウクライナを前提に話している。
    複数の人が話し、それをまた複数の人が感想を言う二重構造で議論が深まっていて良い。
    学ぶとは考える体験であり、時間がかかるためデジタル化やコスパとは相容れないないという言葉は印象的。
    多元的に考えるという言葉一つでも、人によって表現が違い、印象も変わる。
    読後は「もっと本を読もう、ネットは減

    0
    2023年06月17日
  • わかりあえない他者と生きる 差異と分断を乗り越える哲学

    Posted by ブクログ

    みずからの人間性を否定したいという願望以上に人間らしいものはない ースタンリー・カヴェル

    人間は一生懸命、動物にならないようにしている。たえず他者に訂正される事で、私たちは心を持つ。だから、孤立すると頭がおかしくなるのだという。また、非人間化とは、人間を動物化したり、機械化したりする事。こうした定義、哲学的な人間とは、という語り口が一つ一つ胸に刺さる。

    コロナ禍で分断が露見したのか。元より人間には統一した思想がない事は、民主主義の必要性から自明。思想が異なるから、手続きが必要なのだ。ならば、コロナ禍で表面化したのは、その不寛容という事ではないのか。異なる意見に対して、許容できずに原状変更に

    0
    2023年06月06日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

    Posted by ブクログ

    『エマニュエル・トッド』
    (2022年現在、今後の世界情勢について)私は歴史家が本職。でも歴史の話はまったく役立たず。なぜなら、私たちが経験しているのは、まったく新しい何かだから。
    歴史と違う点
    ・20世紀初めは各国人口増加したが、今は中国も含め減少する見通し
    ・冷戦時は、ロシアとNATOが直接対決したことはないが、ウクライナ戦争は、核使用が現実味を帯びるロシア対NATOの本物の戦争
    ・プーチンは独裁者だと言うが、ヒトラーや、ムッソリーニ、スターリンと違いイデオロギーが無い折衷的で多様な独裁者
    ・各国国民は超個人主義になった。それはロシア国民も同じ。だから国家間の経済紛争や戦争が行っているのに

    0
    2023年06月04日
  • 全体主義の克服

    Posted by ブクログ

    他の新書系のマルクス・ガブリエル本では見なかった内容もあり、漫然とながら一読するには小気味よいスタイルだが
    対談形式ゆえの読み進めやすさと引き換えに失われるものも感じつつ、実在論などの進行形に踏み入れるには二の足を踏む。

    0
    2023年04月29日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

    Posted by ブクログ

    いずれの登壇者も中国を(アメリカも)過大評価せず、いずれたち行かなくなると考えている。また今後注目すべきインドについての見解が興味深かった。
    アタリ氏の「未来の自分に優しく」は、まさにその通りである。

    0
    2023年04月26日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    4名の著名な知識人へのインタビューと、それを踏まえた日本の知識人による論評という構成。日本の知識人の方々は、確り自身の意見を述べていて好感が持てた。


    また4名のインタビューの中では、ミラノビッチ氏の話が面白かった。

    曰く、エレファントカーブを見ると、程度の差こそあれ、あらゆる人々がグローバリゼーションを通じて所得が増加していることがわかる。また、グローバリゼーションに反発するのは、相対的に恩恵の少ない先進国の中産階級だけで、国内政策での対応が可能である。
    そう考えると、保護貿易的な政策で中産階級を保護するより、再配分や成長産業への労働力移動を通じた、グローバリゼーションに抗わない政策の方

    0
    2023年03月28日