マルクス・ガブリエルのレビュー一覧
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新実在論の話を聞いてから、たしかにそうだなぁと思うことが多くなった。
今回下の5つのテーマについてガブリエルさんの考察が書かれていた。
価値の危機
民主主義の危機
資本主義の危機
テクノロジーの危機
表象の危機
それぞれ面白い視点があったのだけれど、個人的には、多様性を否定する人を受け入れることが多様性なのかというパラドックスについての解説がとても納得した。
ラッセルのパラドックスから考えても、受け入れる必要はないという結論だった。
と言うよりも、受け入れてしまうと矛盾が生じるので、受け入れてはないないということだった。
個人としては多様性を否定する人も受け入れることが多様性なのだとは -
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友からの贈り物として。
ややこしい議論は抜きにして、ここでガブリエルたちが考えているのは、脳みそと意識の関係に他ならない。意識とは脳みその機能ととらえられるか。
機能とは目に見えない。けれど状況や環境に伴い機能は現れる。目に見えないが機能は確かにある。脳みそが環境と折衝する作用というものか。脳みそが自身のうちにあるものを具現化する、それこそが脳みその機能という形で現れる。心的語彙とは機能を意識化・言語化することそのものではないか。
脳みその機能は予測と制御である。それをもって、脳みそ同士をつなぎ、身体や環境という自然をその手中に収めようとする。人間が自己理解に照らし合わせてあり方を変えようとす -
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一般向けという触れ込みだったように記憶してますが、十分に理解するのに手間取ってしまいました。
新しい存在論というテーゼは、世界は存在するすべての領域がその中に現れてくる領域、「すべての領域の領域」であるために、「果てしない派生のなかで果てしなく増殖していく無数の意味だけが存在する場」であるがゆえに「世界は存在しない」という論理なのだと思う。
唯物主義や構築主義を否定する論理はすべてを理解するには至ってないが、それぞれに理論を証明できない部分があることが何となく分かったし、特にそもそも事実は存在せず我々が一切の事実を構築しているのみという構築主義は人間軽視の感があって寂しさも感じるところ。
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Posted by ブクログ
著者の主張に対する他の哲学者の反論、意見、それに回答するという形の討論形式の本。
難しい。まず哲学に興味があり近代哲学の本を何冊か読んでいないと何言っているかさっぱり分からんと思う。
自然主義的還元論の中に「心」は収まるものではないという主張を繰り出しているのだけど、読めば読むほど思弁が言葉に縛られるという西洋哲学の根本部分の受け入れがたい何かにつきあたる。が、なんとなくざっと読んでいても面白い。
言葉による現象の分別、意味の場の分別、存在の意味などすべて言葉による分別智であり、分別智の極限に向け突き進んでいる感じがする。
全く持って議論も何が正しいのか分からないし、どっちが説得力があるのか判 -
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最近気になる「若き天才」マルクス・ガブリエル。ドイツの哲学者で彼の主張する「新実在論」が今世界中で脚光を浴びている。本書では、大きく変貌する現代社会が直面する5つの危機(価値、民主主義、資本主義、テクノロジー、表象)の提示とその本質の解説と、特に日本に対して「優しい独裁国」と評し、解決方法を提案している。「インターネットは非民主的」「人工知能など存在しない」「GAFAにただ働きさせられている」など、一旦立ち止まって思考することで見えくる本質の大切さに気付かされる。本書の主たるテーマとは異なるが、なるほどと思ったのは、よりよく生きるための思考法ともいうべき「哲学」を、なぜ小学校から教えないのかと
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ネタバレ哲学者である著者が提唱する「新しい実在論」について、インタビューをもとに書き起こした本である。
本書では、「新しい実在論」を解説した後に、現代を5つの側面(価値、民主主義、資本主義、テクノロジー、表象)からの危機を論じている。
内容的には新書であるため、どうしても表面的なものとなってしまい、著者の哲学自体を理解するには内容が乏しく(自分の理解力の問題か?)、本質をもっと理解するためには他の著書を読み込む必要があるが、内容としては興味深いものであった。
本書で著者が主張していることは、自分ももだ未消化で文章としてうまく表現できないのが残念であるが、確かに現在の様々な問題に対する新たなアプローチを -
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2人の著者が現代社会の問題について、新たな全体主義の脅威への対応という視点から対談されています。まず、全体主義とは何なのか、それが現代にどのような形で存在しているのかについて明らかにされています。また、過去の例を採り、それらは全体主義にどう相対したのかを振り返る形を採られています。著者のガブリエルさんの新実在論と、東アジアの哲学(主として中国)をヒントに、資本主義を変化させることによって、将来の危機を克服することができるという光明があるということについて語られています。私たち全員の意識の問題だと思いますが、自分や仲間だけ良ければ良いという考え方ではなく、また自分の価値観が普遍だという誤った認識
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世界はなぜ存在しないのかという大胆な問いについて考えている本である。
なぜ世界が存在しないのか。
それは、世界はそれぞれの人が切り取った場で意味が変わってくる。
なので、世界は存在しない。
加えて、形而上学は事象の詳細それぞれのリアリティを考えられないことが欠点であると大胆に述べている。
最後には人生の意味とは生きること。尽きることのない意味に取り組みつづけることと実存主義にも触れて終えている。
感想
人生の意味を考え続け、取り組み続けけること、
これは普遍的に人類が取り組まないとならないことであろう。
そうしなければ、自由から逃走し続けることと、アノミー的な自殺者がついえることはなくなら -
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イントロ二篇がつまらなかったので投げ捨てようとしたが、最後まで読んでみた。
とっちらかった雑談を、無理やりまとめた感のある本。
それだけに、他人の悪口の部分があけっぴろげて面白い。
ハイデガーだけでなく、ハーバーマスへのディスり方はなかなか鋭い。
しかし、王弼の「老子道徳経注」にまでマルクス・ガブリエルの話が及んだのには驚いた。
ヨーロッパ世界、更にはユダヤ・キリスト教世界から離れた思想は構築しうるか、しかし同時に多元的世界の存在を前提とした場合には、実は全体主義的思考も、ひとつの考え方に過ぎないとなるのではないか。
習近平中国の自信は、脱ヨーロッパの新たな中華思想構築の試みだからか? -
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Memo:
インターネットはジャンクというガブリエルさんのお話なのだが、手軽に超すぐ読めて面白く、インターネットのコンテンツのようだった。
(P69) 深い文化的異質があるとするストーリーは、戦争をあおり、他者を攻撃する口実になる。こうやって「他者」の存在を作り上げる。
(P72) 人間性というのはきわめて普遍的。文化相対主義の機能は非民主的なインターネットを正当化するためのもの。
(P82) 人から人間性を奪うには。1:相手を悪だと思うこと 2:相手を善だと思うこと 本来、善悪などないただの人間。
(P104) 民主主義の本質:戦うことは合理的じゃない。もっと前向きなことに集中しよう。
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Posted by ブクログ
ネタバレなかなか手ごわい。それに、いっぺんでどうにかする相手じゃなさそう。
意味を測定のルールとする、という定義。対話している相手を特定のアイデンティティの代表者としない。社会のゴールは、企業のルールも含めて人間性の向上とすべき。下層にいる人の数がこれほど多くなったことはかってなかった。平均的人生がどのようなものになるかが研究されて人生のどの移行期も利用することがエコにつながる贅沢な消費という満足を与える定期サービスのオファーを受ける。資本主義。環境問題への抜本的な解決になる>ほんとかな。自然科学は価値判断しない。ので原始的な宗教みたいに。労働を機会に任せて末人になる。情報検索をすることが検索とネット