マルクス・ガブリエルのレビュー一覧

  • 世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか
    様々な危機(価値、民主主義、資本主義、テクノロジー、表象)が起きている現在、英国のEU離脱、トランプの独裁主義への動き等に見られるように世界史は昔に遡っている気がする。新しい実在論として真実を求めている、フェイクニュースは避けるということの大切さを唱えている哲学者だと思う。ヨーロッパが行っているのは...続きを読む
  • 新実存主義
     序文含めた全6章のうち、著者(以下MG)が1章を受け持ち自らが提唱する「新実存主義」のエッセンスを解説した後、4人の若き哲学者がこれに対する論評をくわえ、最後にMGが再登場し論駮もしくは補足するという章立て。新書なので分量はないが、世界的ベストセラーとなった一般読者向けの他の著書に較べると遥かに読...続きを読む
  • なぜ世界は存在しないのか
     ベストセラーにあまり触手が動かない僕だが(読むのがとんでもなく遅いので読みたくても読めないだけ)、こういう本があるからやはり油断してはダメだ。僕は、この著者の主張に対する反発と同意を同時に覚えながらこの本を読み進めた。こういう読み方ができる本は意外に少ない。

     僕はここのところずっと、「科学で世...続きを読む
  • 「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学
    論理的で、バランスの取れた著作。
    様々な論者の思想を暴き、批判し、人間の生、そして、哲学をあるべきものにする取り組みだ。
    特に最終章が素晴らしい。上への野蛮化が現代では神ではなく、テクノロジーに結びつき、下への野蛮化は進化論万能に結びつく。
  • 新実存主義
    『なぜ世界は存在しないのか』、『私は脳ではない』とセットにして読みたい本。

    簡単に理解できる本ではない。
  • なぜ世界は存在しないのか
    哲学書にしては非常に分かりやすい語り口と内容。

    キルケゴールを通して、宗教の意味を説く章は白眉。バランスが取れている。

    マレーヴィッチを通して、芸術の意味を説く章も刺激的。

    エンドロールに示された、世界がない故に、新たな意味の場が生まれる、との主張には希望すらある。
  • なぜ世界は存在しないのか
    哲学で最も基礎的な存在と認識に関する問題に真正面から取り組んでいる。結論だけ見れば、日常的な感覚に即した極めて穏当なものだが、少しでも哲学をかじった者ならば、著者の論の進め方になるほどと思うのではなかろうか。論の雰囲気だけで言うならば、フッサールの現象学にウィトゲンシュタインの言語ゲーム的なものの見...続きを読む
  • 新実存主義
    ガブリエルの新実存主義をめぐる哲学的な対話。

    最後のケルンの議論は腑に落ちなかったが、ガブリエルの反論で明瞭になった。おかしい議論はおかしいと言えるのが知性だ。

    全体的に、心、精神の問題を扱っている。「語彙」に注目するガブリエルの視点が興味深かった。
    また、ハラリなどが主張するニューロン主義や意...続きを読む
  • なぜ世界は存在しないのか
    新進気鋭の哲学者マルクス・ガブリエルによる「新しい実在論」の解説書。物理的な宇宙は存在するが、それが即ち「世界」ではない。私たちは物理的でない意味合いも当たり前に実感し存在することを感覚的に理解できるのだから。「世界」とは物理的な意味合いもその他の意味合いもすべて含んだものであるはずだがそのようなす...続きを読む
  • つながり過ぎた世界の先に
    考えを整理するとき、哲学者の助けがあった方が良いケースはあるのだと思う。マルクス・ガブリエルは分かりやすく噛み砕いて、自分の考えを伝えようとする宗教者のようだ。

    倫理資本主義とは「“人と社会にとってよいこと”を判断軸とした資本主義」のこと。
    社会性と経済的(儲け)を高いレベルで両立した経済のあり...続きを読む
  • つながり過ぎた世界の先に
    この本が特に印象的だったのは倫理的価値と経済的価値は同意であると話してるのは本当に印象的でした。
    twitter含めてなんですが、近年、本当に倫理的に考えて発言しなくなってる事に危機感を覚える。
    また、企業も含めて本当にひどいなと感じます。
    改めて倫理の重要性を感じました。
    特に恋愛、仕事、婚活にお...続きを読む
  • つながり過ぎた世界の先に
    科学に関するところは怪しすぎたのですが、後半はとても良い内容だった気がしました。
    ステレオタイプによって他者を判断することは非倫理的であること、対話が必要であること、SNSが我々に自己を与えていること、などのところはかなり興味深く感じました。
    この辺りは不必要に自己の属性についてSNSを通して自ら確...続きを読む
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2
    金田一秀穂さんは
    日本語は緊急事態に向かないと言う

    緊急事態を宣言します、には
    本当に緊急事態なの?

    緊急事態宣言を発出します、だと
    ああそうですかとどこか他人事

    日本語の得意は落とし所を探す事

    ロックダウンより20時閉店
    和を持って貴しとなす、それでいい
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    世界の頭のいい人たちからコンパクトに要点教えてもらおう!という、ある意味とても今っぽい本。中公新書で出た企画が成功したので、後追いという印象もある。
    後追いとはいえ、世界は変わっており、最新の状態を前提にスピーディに新書化してるので、つまらないということはない。
    今回はコロナとウクライナを前提に話し...続きを読む
  • わかりあえない他者と生きる 差異と分断を乗り越える哲学
    みずからの人間性を否定したいという願望以上に人間らしいものはない ースタンリー・カヴェル

    人間は一生懸命、動物にならないようにしている。たえず他者に訂正される事で、私たちは心を持つ。だから、孤立すると頭がおかしくなるのだという。また、非人間化とは、人間を動物化したり、機械化したりする事。こうした定...続きを読む
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    『エマニュエル・トッド』
    (2022年現在、今後の世界情勢について)私は歴史家が本職。でも歴史の話はまったく役立たず。なぜなら、私たちが経験しているのは、まったく新しい何かだから。
    歴史と違う点
    ・20世紀初めは各国人口増加したが、今は中国も含め減少する見通し
    ・冷戦時は、ロシアとNATOが直接対決...続きを読む
  • 全体主義の克服
    他の新書系のマルクス・ガブリエル本では見なかった内容もあり、漫然とながら一読するには小気味よいスタイルだが
    対談形式ゆえの読み進めやすさと引き換えに失われるものも感じつつ、実在論などの進行形に踏み入れるには二の足を踏む。
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    いずれの登壇者も中国を(アメリカも)過大評価せず、いずれたち行かなくなると考えている。また今後注目すべきインドについての見解が興味深かった。
    アタリ氏の「未来の自分に優しく」は、まさにその通りである。
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    4名の著名な知識人へのインタビューと、それを踏まえた日本の知識人による論評という構成。日本の知識人の方々は、確り自身の意見を述べていて好感が持てた。


    また4名のインタビューの中では、ミラノビッチ氏の話が面白かった。

    曰く、エレファントカーブを見ると、程度の差こそあれ、あらゆる人々がグローバリゼ...続きを読む
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    考え方、捉え方の好き嫌いはあると思うが、ガブリエル、トッド好きはすんなり読める。対談内容を日本人がさらに評論するという形式は面白い。本人がいないので忖度もなく好き勝手(良い意味で)言える。
    4人の主要な意見はもちろん勉強になるが、それでもその道を本業とする人たち固有の考え方の特長があるように感じる(...続きを読む