マルクス・ガブリエルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近とみに注目されているらしいマルクス・ガブリエル、2013年のベストセラー。邦訳は2018年講談社選書メチエなので、入手しやすい廉価設定かつ、ごつくない。
一般読者向けに自身の哲学を平易に記述したものなので、すこぶる読みやすい。ただし、文章は読みやすいが言っている内容はかなりラジカルな部分もあり、丁寧に読むために、私は時間をかけた。
非常に良い本だった。極めて論理的であり、例えばバートランド・ラッセルのように明快である。
本書で言う「世界は存在しない」というテーゼは、「あらゆるものを全て包含するような『世界』は存在しない」ということであって、物理学的な「宇宙」や、個人の意識と生活に基 -
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序文含めた全6章のうち、著者(以下MG)が1章を受け持ち自らが提唱する「新実存主義」のエッセンスを解説した後、4人の若き哲学者がこれに対する論評をくわえ、最後にMGが再登場し論駮もしくは補足するという章立て。新書なので分量はないが、世界的ベストセラーとなった一般読者向けの他の著書に較べると遥かに読み応えがある。しかし決して難解ではなく、僕のような哲学の門外漢でもな何とか読み進められた。当然ながらMG以外の4人の哲学者は全くの初見。
まずマクリュールによる序章からスタート。先鋭的ともいえる反自然主義的・反唯物論的な主張の目立つMGだが、「世界の全ては自然科学で説明できる」とする狭義の自然主 -
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ベストセラーにあまり触手が動かない僕だが(読むのがとんでもなく遅いので読みたくても読めないだけ)、こういう本があるからやはり油断してはダメだ。僕は、この著者の主張に対する反発と同意を同時に覚えながらこの本を読み進めた。こういう読み方ができる本は意外に少ない。
僕はここのところずっと、「科学で世界を説明する」というアイデアにシンパシーを感じてきた。特に分子生物学や脳科学の分野における成果を見るにつけ、人間と世界に関わる全てが自然主義的に説明される可能性は高いと思えたし、そのプロセスも十分に知的興味を刺激してくれた。今もこの期待感は全く揺るいではいない。
しかし、同様の立場に立つ本を読み -
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知の好奇心を煽られた。
でもなかなか理解できないこともあり。
著者が語る新実在論。
脳が受信機であれば、同じ受信機ではない。
だから人それぞれ、少しずつ見ている番組が違う。
そして放送されている番組(=現実)は単一の番組ではない。つまり世界は存在しない。
「私たちは現実をあるがままに知ることはできるが、現実は一つではない。よって世界は存在しない。
その現実とは、さまざまな断片の集まりだから。
※つまり世界とは、ひとつに繋がっている物語でないといけないのに、断片的であるから、存在しない、ということ?
※確かに東洋哲学だと 断片 を重視している。つまり、過去と現在と未来につながりはない、と。
で、 -
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気鋭の哲学者であるマルクス・ガブリエル氏の三部作最終章。三部作のなかでは(文章が平易であるという点において)最も分かり易いものの、相変わらず内容はさっぱり理解できず。ただ、知的刺激は大いに受けた。
前々作は「世界」、前作は「私」、本作は「考える」がテーマ。唯物論的神経中心主義を論駁した前作に対し、思想ならびにその表象化モデルである思考とはそもそも何かを再定義していく。著者は「考える」ことを「考覚」と言い、生物として元来備わっているものではなく、人間が生み出した「(人工知能ならぬ)人工知性」という捉え方がユニーク。
著者が語る「考える」ということが持つダブルミーニングつまり感覚器官と表象手段は、 -
Posted by ブクログ
いま最も有名な哲学者といっても過言ではないマルクス・ガブリエル氏の一般向け哲学書三部作の第2弾。1作目同様、内容はほぼ理解できなかったが、著者の深い造詣と考察に触れているだけで知的好奇心が刺激される。
昨今のニューロネットワークのAI花盛りの時代にあって、「AGIの登場がまもなく」というまさに今、著者は「神経(ニューロ)中心主義」に異議を唱え、「私」≠脳というテーゼを以って、我々の精神の深淵や本質に対する論理展開を図る。自由意志の存在は第三章や量子力学的パラレルワールドからすると制約条件の結果という気もするが、志向的意識と現象的意識という観点を経ると「現象的」は人間の精神の複雑さを示しているよ -