マルクス・ガブリエルのレビュー一覧

  • つながり過ぎた世界の先に

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    落ちぶれたマスメディアからは発信されないであろう事柄、倫理観に基づく洞察、偏りすぎていない確固たる主張。
    総じて勉強になることが多かった。

    トランプ支持者ではないものの、昨今のトランプ批判には疑問を抱いていた。しかしこの本の中でトランプの功績について触れられており、そこが特に、この本を評価した点。

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    2021年05月09日
  • なぜ世界は存在しないのか

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     最近とみに注目されているらしいマルクス・ガブリエル、2013年のベストセラー。邦訳は2018年講談社選書メチエなので、入手しやすい廉価設定かつ、ごつくない。
     一般読者向けに自身の哲学を平易に記述したものなので、すこぶる読みやすい。ただし、文章は読みやすいが言っている内容はかなりラジカルな部分もあり、丁寧に読むために、私は時間をかけた。
     非常に良い本だった。極めて論理的であり、例えばバートランド・ラッセルのように明快である。
     本書で言う「世界は存在しない」というテーゼは、「あらゆるものを全て包含するような『世界』は存在しない」ということであって、物理学的な「宇宙」や、個人の意識と生活に基

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    2020年12月28日
  • 全体主義の克服

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    新しい全体主義は科学や技術から来るのかもしれない、という指摘はすごく腑に落ちる。
    行き過ぎた相対主義からもう一度普遍性を見出せす取り組みこそ、新たな全体主義を防ぐ方法なのかもしれない。

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    2020年09月13日
  • 世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか

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    注目の「Neo existentialism」またはNew Realism をひっさげる哲学者マルクス・ガブリエルとの独占インタビューを元に構成した一冊。インパクトが大きい一冊。
    中身を咀嚼するために、ガブリエルの他の主要著作をみる必要があると思っているのですが、なかなか、進んでないです。
    そういうことをしなくとも、この一冊をしっかり読むことが大切かもしれません。

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    2020年08月16日
  • 世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか

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    非常にエキサイティングな内容の一冊だった。しかし自分には難解なところも多々あり、すべてを理解できたわけではなかった。日本がテクノロジーに関するイデオロギーを生み出すのが抜群にうまいというのは国際社会で今後生き残っていくために重要な示唆のように思う。
    優しい独裁国家とは言い得て妙だなと思った。特に海外の人から見たらおかしいなって思うようなことに暗黙の了解の上に服従しているように思う。

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    2020年05月30日
  • 世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか

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    とても良かった。特に、多くの人が民主主義を間違って理解している、言いたいことを言うのはフェイスブックであって民主主義ではない、とか。普遍的な道徳的価値観とか。
    新しい実在論の最後のところ読んで驚いた。明白なことなのに論理立てられてないことを普通の手段で説明している。すごい。
    社会を新しい視点で捉えられる。

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    2020年05月22日
  • 世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか

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    全貌がわかるわけではなかったけれど(そもそも人文的なものに「わかった」が存在するか怪しい)たしかにいい感触というのがあった新書だった。これをきっかけにして色々と読んでいきたい。一番新しめの哲学。

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    2020年04月24日
  • 新実存主義

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     序文含めた全6章のうち、著者(以下MG)が1章を受け持ち自らが提唱する「新実存主義」のエッセンスを解説した後、4人の若き哲学者がこれに対する論評をくわえ、最後にMGが再登場し論駮もしくは補足するという章立て。新書なので分量はないが、世界的ベストセラーとなった一般読者向けの他の著書に較べると遥かに読み応えがある。しかし決して難解ではなく、僕のような哲学の門外漢でもな何とか読み進められた。当然ながらMG以外の4人の哲学者は全くの初見。

     まずマクリュールによる序章からスタート。先鋭的ともいえる反自然主義的・反唯物論的な主張の目立つMGだが、「世界の全ては自然科学で説明できる」とする狭義の自然主

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    2020年04月13日
  • なぜ世界は存在しないのか

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     ベストセラーにあまり触手が動かない僕だが(読むのがとんでもなく遅いので読みたくても読めないだけ)、こういう本があるからやはり油断してはダメだ。僕は、この著者の主張に対する反発と同意を同時に覚えながらこの本を読み進めた。こういう読み方ができる本は意外に少ない。

     僕はここのところずっと、「科学で世界を説明する」というアイデアにシンパシーを感じてきた。特に分子生物学や脳科学の分野における成果を見るにつけ、人間と世界に関わる全てが自然主義的に説明される可能性は高いと思えたし、そのプロセスも十分に知的興味を刺激してくれた。今もこの期待感は全く揺るいではいない。

     しかし、同様の立場に立つ本を読み

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    2020年03月12日
  • 「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学

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    論理的で、バランスの取れた著作。
    様々な論者の思想を暴き、批判し、人間の生、そして、哲学をあるべきものにする取り組みだ。
    特に最終章が素晴らしい。上への野蛮化が現代では神ではなく、テクノロジーに結びつき、下への野蛮化は進化論万能に結びつく。

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    2020年02月26日
  • 新実存主義

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    『なぜ世界は存在しないのか』、『私は脳ではない』とセットにして読みたい本。

    簡単に理解できる本ではない。

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    2020年02月04日
  • なぜ世界は存在しないのか

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    哲学書にしては非常に分かりやすい語り口と内容。

    キルケゴールを通して、宗教の意味を説く章は白眉。バランスが取れている。

    マレーヴィッチを通して、芸術の意味を説く章も刺激的。

    エンドロールに示された、世界がない故に、新たな意味の場が生まれる、との主張には希望すらある。

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    2020年02月03日
  • なぜ世界は存在しないのか

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    哲学で最も基礎的な存在と認識に関する問題に真正面から取り組んでいる。結論だけ見れば、日常的な感覚に即した極めて穏当なものだが、少しでも哲学をかじった者ならば、著者の論の進め方になるほどと思うのではなかろうか。論の雰囲気だけで言うならば、フッサールの現象学にウィトゲンシュタインの言語ゲーム的なものの見方を導入したような感じだろうか。宗教や神の概念、あるいは芸術についての見方も独自で面白かった。

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    2019年03月24日
  • 世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか

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    世界史の針が巻き戻る――哲学者マルクス・ガブリエルはいまの時代をそう表現した。自由と理性を誇った近代が再び分断と独裁の影を帯びているというのだ。起点は情報の氾濫にある。真実よりも感情が優先され人々は自分の見たい現実に閉じこもる。だが彼は絶望しない。世界を救うのは「意味」を問い直す力だと説く。何が正しいかを問う勇気を取り戻すとき針は再び未来へと動き出す。

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    2025年10月28日
  • 時間・自己・幻想 東洋哲学と新実在論の出会い

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    注目を集める哲学者マルクス・ガブリエル氏との対談形式による、西洋哲学と東洋哲学の思考の往来は、難解ではあるが新たな気付きが散りばめられ、とても興味深く読み進めることが出来た。
    墓場と高層ビル群の視点も面白い。

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    2025年10月12日
  • 時間・自己・幻想 東洋哲学と新実在論の出会い

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    哲学系の本の中では読みやすい方だと思う。日常的な言葉を使いながら話されている対談なので、新実在論や仏教思想、日本哲学について詳しくなくても面白く読める。

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    2025年09月06日
  • 時間・自己・幻想 東洋哲学と新実在論の出会い

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    知の好奇心を煽られた。
    でもなかなか理解できないこともあり。
    著者が語る新実在論。
    脳が受信機であれば、同じ受信機ではない。
    だから人それぞれ、少しずつ見ている番組が違う。
    そして放送されている番組(=現実)は単一の番組ではない。つまり世界は存在しない。
    「私たちは現実をあるがままに知ることはできるが、現実は一つではない。よって世界は存在しない。
    その現実とは、さまざまな断片の集まりだから。
    ※つまり世界とは、ひとつに繋がっている物語でないといけないのに、断片的であるから、存在しない、ということ?
    ※確かに東洋哲学だと 断片 を重視している。つまり、過去と現在と未来につながりはない、と。
    で、

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    2025年08月01日
  • 考えるという感覚/思考の意味

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    気鋭の哲学者であるマルクス・ガブリエル氏の三部作最終章。三部作のなかでは(文章が平易であるという点において)最も分かり易いものの、相変わらず内容はさっぱり理解できず。ただ、知的刺激は大いに受けた。
    前々作は「世界」、前作は「私」、本作は「考える」がテーマ。唯物論的神経中心主義を論駁した前作に対し、思想ならびにその表象化モデルである思考とはそもそも何かを再定義していく。著者は「考える」ことを「考覚」と言い、生物として元来備わっているものではなく、人間が生み出した「(人工知能ならぬ)人工知性」という捉え方がユニーク。
    著者が語る「考える」ということが持つダブルミーニングつまり感覚器官と表象手段は、

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    2025年07月11日
  • 「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学

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    いま最も有名な哲学者といっても過言ではないマルクス・ガブリエル氏の一般向け哲学書三部作の第2弾。1作目同様、内容はほぼ理解できなかったが、著者の深い造詣と考察に触れているだけで知的好奇心が刺激される。
    昨今のニューロネットワークのAI花盛りの時代にあって、「AGIの登場がまもなく」というまさに今、著者は「神経(ニューロ)中心主義」に異議を唱え、「私」≠脳というテーゼを以って、我々の精神の深淵や本質に対する論理展開を図る。自由意志の存在は第三章や量子力学的パラレルワールドからすると制約条件の結果という気もするが、志向的意識と現象的意識という観点を経ると「現象的」は人間の精神の複雑さを示しているよ

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    2025年07月05日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    いまだ20世紀と変わらない西洋の独善を体現したようなアタリは論外としても、4名の「西洋」知識人達の議論には特に目新しい視点がみられない(トッドもこの時点では露ウ戦争へのスタンスを明確にしていない)。唯一ミラノビッチにはやや未来に開かれた現実主義のようなものが感じられたくらいか。
    一方で、その後を受けた日本の論者達の議論には共感する部分が多かった。特に小川さやか氏の途上国やインフォーマル経済に視点を置いた議論には、世界の広さや本当の多様性について考えさせられる。

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    2025年06月18日