前川ほまれのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
さらに、一編ずつが短いのもポイント。
ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰️ -
Posted by ブクログ
精神科病院の第7病棟は、性の在り方に関する不調をケアする「SOGI支援医」である海野が病棟医長を務めている。
海野を中心に、様々な医療関係者と患者の在り方を描いた連作短編集。
LGBTQについて多少は知っている気でいたけれど、本作を読んでまだまだ知らないことばかりであると気づかされた。
そもそも、自分は「SOGI」という言葉すら知らなかった。
調べてみたところ、LGBTQは性的マイノリティの当事者を指す言葉であるのに対して、SOGIとは性的指向・性自認の総称で、異性愛の人なども含めた、すべての人が持っている属性の言葉であるそうだ。
すべての人が持っている属性という括りの中で、人によってそれぞれ違うという意味合いをもつ「SOGI」のほうが主流の言葉となれば、マジョリティかマイノリティかといった線引きも緩和されやすくなるのではないかと感じた。
その他にも、様々な性自認があること等、知らなかったことがたくさんあり、知る機会となって良かったなと思う。
また本作では患者だけではなく医療者・支援者もまた様々な背景を抱えており、揺らぎがありながらも患者の前に存在していることが描かれている。
誰もが自身の在り方に揺らぎを抱えて生きているというメッセージが感じられた。
著者の前川さんは現役看護師とのことで、展開としては立ちどころに問題が解決というようなものではなく、良い意味で地に足のついた現実的な展開が多かったように思った。
続編も読んでみたいと感じるとともに、他の前川さんの作品も読んでいきたいと思った。 -
ネタバレ 購入済み
未来の有る話が良いな。「うさぎや」の真悟くんのように、未来に向かって、進んで行きたいと、思えるような。こんぺいとう商店街も、若い人達が、増えて来たみたいだし。
-
Posted by ブクログ
特殊清掃専門の会社で働くことになった主人公
特殊清掃といえば孤独死などの痕跡を現状復帰する業者さん。
身内があと数日発見が遅れていたら特殊清掃をお願いすることになる状況だったので、自身の気持ちの整理の意味合いも込めて読んだ。
死への向き合い方に考える場面も多く、主人公への共感はあまりなかったが全体的に暖かく優しい話だった。
描写は死の状況を必要以上に描くことなく淡々としている。
それでもどういう状態のお部屋なのかが手に取るように伝わる。
その人が生きていた痕跡は掃除するとなくなる、でも確かに生活していた場所がここにある
遺品のことを「誰かのたったひとつの生活のかけら」という表現はよかった。自分も身内の遺品整理した時に片付けないといけないことはわかるがそれでも思い出もあるし手放したらなくなるという状況もありなかなか進まなかった。
いざお願いするときはそういう業者さんと出会えたらと思う。 -
Posted by ブクログ
この本で初めて知ったSOGI(ソジ)という言葉。
性的指向と性自認を指す言葉なのだそう。
今はLGBTQも認知され始めて、あからさまな差別も減ってきている気がするけど、まだまだ悪意のない差別や偏見は多く、当事者が精神疾患になることも多い。
この病院の支援医海野先生は、腫れ物に触るようになったりしがちなところ、セクシャルマイノリティであるとか精神疾患であるとかを取っ払って、人として接している。さらりと自然な対応が素晴らしいなと思った。
私自身、カミングアウトされたり…ということは今のところないのだけど、「在る」がままを受け止められる人でありたいなぁ。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ精神科病棟のシーンの端々を少し感じさせてもらいながら、セクシャリティに関連したストレスを抱える人を対象とする診療のあり方を考えることができた。
また、セクシャリティだけでなく、この本では多くの社会的養護や親権、身近な人の死といった話題を取り扱っている。自身のセクシャリティを問うということは、深々と自分とはなにかとルーツをたどる作業になる。
アセクシャルでありながら暴力的に妊娠し出産した子を手放した女性にまつわる章がある。女性はその後、自分を責め、生きる資格がないと自傷行為をしている。海野先生は、「生まれた命を第一に考えた末に、手放せた勇気を褒めて良いんだよ」と腕に刻まれた言葉の傷痕に語り掛けるように言う。
ー全ての痛みを包括して癒す言葉なんて、存在しないのだろう。それでも、誰かが側で見守っている気配を伝えられたら。背中を摩る優しい手付きは、きっと彼女の支えになる。ー
カエルのペンが印象的 重い圧でないけど帰ってきてほしい大切に思っているという祈りの合図なんだろう。
なんでも、本当にちょっとしたものなんでもいいから、このような人たちを繋ぎとめるカエル、または近くの1人が、彼らの周りに在りますように。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ特殊清掃を通して成長していく主人公の物語
主人公はおバカで上面の優しさを本質と捉えてフラフラと生きている青年。わたしのとても苦手なタイプの人間
彼が、3ヶ月の子供を亡くした清掃会社の笹川さんと仕事を通して、死とは何か、死後何が残るのか、を学び成長してゆく。そして3ヶ月の娘を失った笹川さんの心と向き合っていく。
私は実際に主人公のような人がいたらとても苦手だ。自分の物差しで心に踏み入ってくる、そして自分の正義を振りかざしてこうあるべきというものを押し付けてくるような感覚
そこが終始売れ入れ難かった。成長はしているけれど、現実はそんな言葉を受け入れることなんてできないのではないか。
私は笹川さんの気持ちの方が痛いほどわかる。意固地になって心を閉ざして貝になってしまう気持ち。
その分、主人公の感情的な行動で心は救われないと思ってしまった。
ただ、色んな人の死を跡を消す、でも生きたことは消えない、ちゃんと心に残るっていうベースのストーリーはとても素敵だった。