阿津川辰海のレビュー一覧
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よし、これはシリーズ読破だ!と久しぶりに思いました…!
最近のミステリらしく、単なる館モノではない。
葛城と田所が山火事から逃げ込んだ先は有名な文豪の館、落日館。そこで起こる殺人事件と、元探偵。気弱な男と男前な女性。
ワトスン役の主人公田所と彼の名探偵葛城は、山火事・殺人事件・過去の連続殺人事件と元探偵の謎を解決できるのか…という時間制限アリの館モノ。
山火事は最近よくニュースになっていたので本当に怖い……。
舞台がからくり屋敷なので、なんとなく綾辻行人さんを想起しました。トンデモな感じも。
気になったのは、この作品で繰り返し出てくる【探偵とは何なのか】という問い。
また、【ワトスン -
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Posted by ブクログ
ネタバレ「コトダマ遣い」という能力者が存在する世界では、コトダマを使った犯罪が横行していた。それに対抗するために警察はコトダマ遣いで構成したSWORDを設立する。主人公の永嶺は捜一時代のトラウマをかかえつつも、SWORDの班長として「燃やす」のコトダマ遣いを追い始めるのだが……。
コトダマは全部で100種類あって、「燃やす」や「入れ替える」などその能力は様々。そしてそれらには力を使うための限定条件や縛りが存在する。たとえば永嶺のもつ「入れ替える(対象物と対象物の位置を入れ替える)」は、自分との距離が5メートル以内でかつ指をすり合わせないと使えない、というように万能ではないようになっている。
能力もので -
Posted by ブクログ
ネタバレ《館四重奏シリーズ》第1作。嘘がつけず惚れっぽい少年・田所くんと、ひとの嘘を見抜く達人である名探偵・葛城くんのコンビが活躍するミステリ小説。
読み終わった印象として、著者紹介で表されている「緻密な論理のアクロバット」という評がしっくりきた。
館ものらしい大仕掛けもあるけれど、基本は小さな気づきの積み重ねで謎を説いていき、気づいた頃には読者が想定していた筋書きや設定とは全く違うところに辿り着いている、という作品だったと思う。
登場人物たちの素性が二転三転する展開も面白かったけれど、一番の見せ場は葛城くんと、元名探偵・飛鳥井による「探偵」という「生き方」についての議論。
探偵の独善を巡る議論と -
Posted by ブクログ
有栖川有栖デビュー三十五周年記念トリビュート
錚々たる作家が7人も参加していてすごく豪華な短編集
「昨今のミステリ界を牽引する作家の中には、世代的に有栖川有栖作品に親しんだ経験を持つ人が多いことに着目」した企画とのこと
有栖川有栖作品には魅力的なキャラクターが多く存在するので書きやすくもあり、書いてみたかったのではないかと思う
有栖川有栖らしさの完成度で言うと
『クローズド・クローズ』 一穂ミチさん
『縄、綱、ロープ』 青崎有吾さん
『型どられた死体は語る』今村昌弘さん
は上手かった が、上手いだけに所々で本家らしくない違和感のある表現が気になってしまう
でもまたそれも良しと思える
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有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート企画に参加した作家たちのアンソロジー。
名だたる作家の完成された作品に有栖川先生の幾つかの本をもう一度振り返りたくなるほど。
何も知らされなければ有栖川先生が書いたのでは…と思いそうでもあり、とても楽しめた。
各々作家さんのこれまでのイメージが少し違って見えたりして短編であるのが残念なほどで、もっと堪能したかったという気分。
個性が光り、それぞれの特徴も魅力もあった。
どれも良かったが、一穂ミチと夕木春央が特に好き。
○縄、綱、ロープ〈青崎有吾〉
○クローズド・クローズ〈一穂ミチ〉
○火村英生に捧げる怪談〈織守きょうや〉
○ブラックミラー〈白井智之 -
匿名
ネタバレ 購入済み登場人物はラノベっぽい
謎解きの手順には若干気になる点がなくもないものの、それを重大な瑕疵とまでは言い切れず——むしろ視点を変えれば、巧みな計算のうちとも取れるほどです。そして、謎解きを経た結末は、まるで作者自身が“名探偵”という存在に挑戦しているかのような印象を受けます。