深町眞理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
裕福な家庭の飼い犬として過ごしていたバックが誘拐され、アラスカの橇犬として売られるところから始まる。健気な犬が前向きに頑張る話ではない。バックは文明的な生活を忘れ、弱肉強食の掟に順応していく。
バックは狼ではなく、あくまで犬である。人間に仕え、鞭を振るわれて橇を引く。忠義を尽くすべく愛した人間もいる。だが、父祖から脈々と受け継がれた眠れる記憶が呼び起されていく。バックをとおして、野生の生き物が持つ警戒心、狡猾さ、容赦のなさ、闘争心は当然に人間にも備わっているということに気が付く。実直や寛容に価値を置く世界に暮らしていても、猛獣の気配を気にしながら闇の中で眠った記憶がその身に刻まれている。 -
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