深町眞理子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
トミー&タペンスもの
冒頭のクリスティーのメッセージを読むと、読者からの「トミーとタペンスはその後どうなりましたか?」という問い合わせに応えるかたちで本書が書かれたように思えます。
なので、既に発行されているトミー&タペンスものは、当然読んでいるよね?という前提を感じさせる小ネタがそこかしこに見受けられますので、是非「秘密機関」「おしどり探偵」「NかMか」を読んでから、本書に取り掛かることをお勧めします。
さて、すっかり中年というか初老にさしかかっているトミーとタペンスですが、二人の軽快なやり取りは全然年齢を感じさせません。
タペンスは相変わらずアグレッシブで、トミーの伯母の遺品である風景画に描かれた家が“気になる!”のと、さらにその絵画の元々の所有者だった老婦人のある台詞が“気になる!!”為、単独で探索の旅に出てしまいます。
タペンスの行方を追うトミーの方も、思わぬ犯罪の影に迫る事になります。という訳で、今回はトミーとタペンスは、ほぼ別行動でした。
靄に包まれたような過去の悲劇の犯人は意外な人物で、作中のタペンスと同じくらい驚いてしまった私です。
因みに、何か重大なヒントらしきものを発見した、と思った途端に背後から襲われ気を失うパターンは、このシリーズのお約束なのでしょうか。(今まではトミーが殴られる事が多かったのですが、今回はタペンスでした)
あと、アルバートは、前作「NかMか」ではパブの亭主だったはずですが、本書では召使になっていました。パブ辞めたのですかね。。。 -
Posted by ブクログ
トミー&タペンスもの
まず、トミーとタペンスが40代になっているのに驚き。時の流れの速さを感じます。
さて、ナチのスパイを探り出す密命を受けたトミーが、タペンスには内緒で指定されたゲストハウスを訪れたところ、“ブレンキンソップ夫人”という偽名で、タペンスが何食わぬ顔で既に滞在しているのにはびっくり。さすがタペンス!この辺の掴みもバッチリですね。
というわけで、いつも通り協力し合いながら探索に励む2人。年をとっても仲の良さは相変わらずで、ドキドキの冒険サスペンスを堪能させてくれます。
中盤で、ゲストハウスに滞在中のベティーちゃんという女の子が誘拐されてしまう場面があるのですが、物語の終盤に、その誘拐の真相が解った時は胸が痛みました。本当、戦争は悲しみしか生まないですね。
因みに、あのアルバート青年も結婚してパブの亭主になっていましたが、トミーの危機を救うため、ちょっぴりですが登場してます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私はその風景を見たことがある。
タペンスは、トミーの叔母の遺品に描かれた家を見たことがある気がした。叔母を見舞った時に出会った老婦人が元々の所有者であり、彼女の行方が知れないことを知ったタペンスは、老婦人の言い残した言葉の謎を解くために出かける。会議から帰ってきたトミーが知ったのは、帰ってくるはずのタペンスがまだ帰ってきていないことだったーー。
タペンスのお節介とも言える、しかも有り余る行動力で、ぐいぐいと読ませる。事件が起きるとは思わず、せいぜい過去の悲劇を明らかにするものだと思っていたら、事件は現在形になった。トミーが別の方向から参加することで加速する謎解き。明らかになった真相は、一線を超えてしまった犯人の思想。誰かを愛する気持ちから生じる他人への害意の底知れなさを、クリスティは容赦無く描いていた。
トミーのぼやきは健在で、そこはほっとして読める。 -
Posted by ブクログ
近々この映画を見に行くことになりそうなので、手にとってみた。
海外の映画に関しては、そんなに「原作を読まなきゃ」と思うことはないのだが、今回は珍しくなぜか気になって、読んでみたくなった。
翻訳ものは、不自然な日本語表現が気になって、スムーズに読み進められないことが多いのだが、この本に関しては、内容を知りたい気持ちが勝っているのか、そういう部分があっても読み流して先に進むことができている。
なんか……不思議な吸引力のある物語。
確かに薄気味悪いんだけど、目が離せなくて、でも、おもしろい、っていうのともちょっと違うような……。
いやでもこの吸引力をひと言で表すなら、おもしろい、しかないのかも。
登場人物の言動に疑問を抱いていたら、後で「そういうことだったのか」と理解できてホッとしていたところ、闇の中から緑の目が光っていてギョッとしたり……。
うぅむ、さすがスティーヴン・キング、というところか。
何はともあれめっちゃ気になる未来が明かされちゃってるから早く続き読みたい!
さぁ、下巻下巻。
-
Posted by ブクログ
ネタバレトミー&タペンス、今度は大物スパイの正体を暴く!
いつのまにか双子が大人になっていても、トミーとタペンスは相変わらず国際的陰謀に首を突っ込んでいる。とはいえ、冒頭で二人は、自分たちがまだまだ役立ているはずなのに、必要としてくれない社会に不満をこぼしている。舞台は第二次世界大戦のイギリス、1940年の春といえば、なかなかに厳しい状況である。パリが落ちるかもしれない、ロンドンも直接攻撃されるかもしれない。そんな不安の中の話である。サスペンスというよりもアドベンチャー寄りのトミー&タペンスも、どことなく緊迫感を帯びている。それでも、トミーがタペンスにしてやられるところは面白いし、冗談を言いながらもお互いのことを思いやる二人の姿に心がくすぐられる。トミーが踏み込みすぎて生命の危機に陥るのも、単独行動のタペンスが勇気を示して大きな成果を得るのも、このシリーズのお約束。
舞台となる〈無憂荘〉は高級賄い付き下宿、ゲストハウスということで、管理人も含めここに滞在している人の中に大物スパイ〈NとM〉がいるらしい。この時代の典型的イギリス人とか様々な国の人々のステレオタイプをあまり知らない私でも、どの人の怪しく、その姿は演技ではないかと疑い、誰が祖国を売る卑劣なスパイなのかわからないまま、はやる思いでページをめくった。
近所の〈密輸団の巣窟〉という建物に住むヘイドック海軍中佐は、パターンでいうと、ちょっとブラウン氏に似ていて、信頼できる人と思っていたのに実は、という展開。トミーに関して、切り抜けた、と油断したところでやられるのは、ちょっと見えていたかも。
スプロット夫人に関しては、タペンス同様、子ども連れでスパイ活動はないだろう、という前提を崩せずにいたので、銃撃の腕には絶対素人じゃないと引っかかりを覚えたのに活かせなかった。言われてみれば、ぼろぼろの絵本に重要な機密を隠すってありそうな手だ。誘拐犯を撃てた理由は、そちらが本当の母親で、ベティは実の子ではなかったから。タペンスが母親の愛情を強調していて、それこそ証明はないけど諸々のことに対して雄弁な理由づけになると思っていたけど、こういう形で出てくるか。でも、顔が似ているって小説では示しにくい伏線では。それともどこかにそういう描写があったのかな。
私はこの第二次世界大戦の結末を知ってこの話を読んでいる。コピーライトが1941年とあるので、まだ大戦中に、クリスティーはこの話を発表したということだ。戦争批判ともとれるし、政府への批判と読まれそうなところもあるし、愛国心についての台詞もあるのが、なかなかロックだなと思った。この話が封じられる世界でなくてよかった。 -
Posted by ブクログ
シャイニングの下巻。概要は上巻のレビューに書いた。後半はホテルの怪異が本気を出してから結末までという内容になっている。
前に呪われた街のレビューを書いていて、これを書く前に呪われた街下巻のレビューを読んでみた。訳のわからない文章になっていて何を伝えたいのかわからなかった。どうしてこんな文章になったのかと考えていたらネタバレに触れずに無理やり書こうとしたので支離滅裂な内容になったんだと理解した。
若い頃に読んで以来2回目の通読なんだけど、ともかく読んだのだから感想を書いとこうと思う。
ホテルの悪意に苛まれていき狂気に侵される父親と、それに振り回される家族が描かれるわけだけど、閉鎖された環境という特殊な状況が逼迫した事態を強調させている。前半のホテルの歴史やホテルにまつわる人々を丁寧に描き積み重ねていくことでホテルの悪意に厚みをもたせることに成功し、逼迫した状況もあいまって恐怖を増大させている。2巡目で内容を知っているので1巡目ほどの怖さやどきどきはなかったけど、今まで読んだキングの作品では文庫上下巻で800ページという分量が構成のバランスも含めて一番まとまっていると思う。 -
Posted by ブクログ
コロラド州の雪山にある架空のホテルオーバールックを舞台にした恐怖小説。
父、母、男の子という構成のトランス一家が、冬の間外界から閉ざされるホテルの管理人を任される。
オーバールックは歴史のあるホテルで100年近い歴史の中でオーナーが何度も代わり様々な人々に利用されてきた。その中で様々な事件が発生して亡霊の住まうホテルと化してしまう。トランス一家もここに至るまでに問題を抱えていて管理人の仕事を頼みの綱としてオーバールックにやってきている。
閉ざされた世界で亡霊の住まうホテルの管理人を任された一家が辿る運命はいかにというのが本筋のお話になっている。
20年前に読んだ小説で、読み返そうと何年も前から手をつけて序盤まで読んで積んでを繰り返していた。最近になってやっと再読が完了した。スティーブン・キングの小説の中で一番好きな作品なので楽しく読めた。