深町眞理子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
原著は1929年刊行。初期の作品である。
ウッドハウスぽいクリスティー、ということで、クリスティーに詳しい方から紹介していただいて手にとった。
以前に読んだかも、とドキドキしたが、それはポアロの『複数の時計』のほうだった。
こちらはノンシリーズ、一応前段にあたる《チムニーズ館の秘密》があるそうで、それを飛ばして読んだけど、特に問題はなかった。
ジャンルとしては、スパイアクション。初期ぽい。
このジャンルはあついファンからはナメられているけど、私はけっこう好きで本作も楽しく読んだ。
冒頭の事件、なかなか起きない青年への友人たちのいたずらで、たくさんの目覚まし時計を置いてやる、って陽キャ大学サー -
Posted by ブクログ
久々にホームズのシリーズ。
二部構成になっており、一部はホームズの推理で事件解決、二部は一部の事件の引き金になった過去の出来事が語られる。いつものホームズよりやや切れ味鈍め?な感じがしましたが、メインはタイトルになっている二部の「恐怖の谷」の方なのかも。すっかりホームズ物だってこと忘れて読んでしまった。ラストは見事などんでん返し。そして一部の事件に繋がって行く、という構成も好き。ホームズの活躍譚としてはやや物足りないけど、物語としては面白かったので満足です。
しかし最初にホームズに情報垂れ込んできたモリアーティの部下は一体何がしたかったのやら…?? -
-
Posted by ブクログ
ノン・シリーズですが、“バトル警視もの”とも言えるかもです。
チムニーズ館に宿泊していた若者グループの一人・ジェリーが死んでしまい、数日後、今度はやはり件の若者グループにいたロニーが射殺されてしまいます。
ロニーの死の現場に偶々居合わせたバンドル(アイリーン)は、死ぬ直前に彼が口にした“セブン・ダイアルズ”なる謎の組織について、ジェリーやロニーと行動を共にしていたお気楽な青年・ジミー、死んだジェリーの妹ロレーンと共に探り始めます・・。
クリスティーの描く元気な若い女性に共通しているのですが、このバンドルも御多分に洩れず、無駄に行動力があり、無鉄砲なのでちょいとヒヤヒヤします。ですが、そんな彼 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ冒険もロマンスも盛りだくさん!
ジェリー・ウェイドが眠ったまま亡くなり、寝坊助のジェリーを驚かせるための悪戯だった時計7つが並べられているところから物語が始まる。同席していたロニーが死に、それを間近に目撃したバンドルことアイリーンは事件に首を突っ込む。ロニーが言い残したセブン・ダイアルズとは。友人ビルやその友人であるジミー、ジェリーの妹ロレーンと組んで作戦を立て、セブン・ダイアルズの秘密に踏み込もうとするバンドルだが、バトル警視も何やら作戦を実行してるようで——
バンドルと一緒にハラハラドキドキするのがとても楽しい。秘密結社セブン・ダイアルズの集会に潜入するところなど、行動家バンドルの本領 -
-
-
Posted by ブクログ
トミー&タペンスもの
冒頭のクリスティーのメッセージを読むと、読者からの「トミーとタペンスはその後どうなりましたか?」という問い合わせに応えるかたちで本書が書かれたように思えます。
なので、既に発行されているトミー&タペンスものは、当然読んでいるよね?という前提を感じさせる小ネタがそこかしこに見受けられますので、是非「秘密機関」「おしどり探偵」「NかMか」を読んでから、本書に取り掛かることをお勧めします。
さて、すっかり中年というか初老にさしかかっているトミーとタペンスですが、二人の軽快なやり取りは全然年齢を感じさせません。
タペンスは相変わらずアグレッシブで、トミーの伯母の遺品である風景画 -
-
-
Posted by ブクログ
トミー&タペンスもの
まず、トミーとタペンスが40代になっているのに驚き。時の流れの速さを感じます。
さて、ナチのスパイを探り出す密命を受けたトミーが、タペンスには内緒で指定されたゲストハウスを訪れたところ、“ブレンキンソップ夫人”という偽名で、タペンスが何食わぬ顔で既に滞在しているのにはびっくり。さすがタペンス!この辺の掴みもバッチリですね。
というわけで、いつも通り協力し合いながら探索に励む2人。年をとっても仲の良さは相変わらずで、ドキドキの冒険サスペンスを堪能させてくれます。
中盤で、ゲストハウスに滞在中のベティーちゃんという女の子が誘拐されてしまう場面があるのですが、物語の終盤に、そ -
Posted by ブクログ
ネタバレ私はその風景を見たことがある。
タペンスは、トミーの叔母の遺品に描かれた家を見たことがある気がした。叔母を見舞った時に出会った老婦人が元々の所有者であり、彼女の行方が知れないことを知ったタペンスは、老婦人の言い残した言葉の謎を解くために出かける。会議から帰ってきたトミーが知ったのは、帰ってくるはずのタペンスがまだ帰ってきていないことだったーー。
タペンスのお節介とも言える、しかも有り余る行動力で、ぐいぐいと読ませる。事件が起きるとは思わず、せいぜい過去の悲劇を明らかにするものだと思っていたら、事件は現在形になった。トミーが別の方向から参加することで加速する謎解き。明らかになった真相は、一線 -
-
Posted by ブクログ
近々この映画を見に行くことになりそうなので、手にとってみた。
海外の映画に関しては、そんなに「原作を読まなきゃ」と思うことはないのだが、今回は珍しくなぜか気になって、読んでみたくなった。
翻訳ものは、不自然な日本語表現が気になって、スムーズに読み進められないことが多いのだが、この本に関しては、内容を知りたい気持ちが勝っているのか、そういう部分があっても読み流して先に進むことができている。
なんか……不思議な吸引力のある物語。
確かに薄気味悪いんだけど、目が離せなくて、でも、おもしろい、っていうのともちょっと違うような……。
いやでもこの吸引力をひと言で表すなら、おもしろい、しかないのか