深町眞理子のレビュー一覧
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「ホームズ」シリーズの第四短編集『シャーロック・ホームズの最後のあいさつ』を読みました。
本作品には、以下の8編が収録されています。
■藤(ウィスタリア)荘
■ボール箱
■赤輪党
■ブルース=パーティントン設計書
■瀕死の探偵
■フランシス・カーファクス姫の失踪
■悪魔の足
■最後のあいさつ
"血の入ったバケツ"や"黒焦げの骨"、"切り取られた耳"、"奇妙な毒薬"等々、これまでのトリックを解く純粋な推理物… というイメージから少し距離を置いた、怪奇小説的な展開を見せる作品が多かったような感じがしましたね。
ネタが尽きかけていたんですかねぇ。
そんな状況下、「最後のあいさつ」で二度目の執筆終了を表明したものの、、、
幸か不幸か、まだまだ終わらない(終われない)「ホームズ」シリーズなのでした。 -
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「ホームズ」シリーズの最後の長編『恐怖の谷』を読みました。
「ホームズ」シリーズの長編って、あまり評価が高くないのですが、、、
長編の中では『バスカヴィル家の犬』と並んで、評価の高い作品です。
暗号文の解読から始まり、密室殺人での証言者の偽証を暴いて… と、「ホームズ」の活躍が存分に楽しめる作品になっているのは確かですね。(「ホームズ」が活躍するのは第一部だけですが… )
二部構成になっていて、第二部で事件の背景となった過去が語られ、しかも、それがアメリカでの出来事というのが「ホームズ」シリーズ処女作『緋色の研究』を思い起こさせました。
第一部と第二部が別々な物語として楽しめる構成となっているので、、、
良くいえば、それぞれが独立して楽しめるのですが、逆にいうと第二部の必要性が薄いという印象を受けました。
でも、結末では二つの物語が巧みに繋がっていて、事件の動機が明確になるので、読み終わったあとはスッキリしましたね。
強いていえば、「モリアーティ教授」の役どころが中途半端で、登場することに意味がない感じがするのが残念。
それにしても、、、
第二部の舞台となっているアメリカって、野蛮な国として描かれていて、差別的な感じを受けますね。
当時のイギリスの雰囲気って、そんな感じだったのかなぁ。 -
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「ホームズ」シリーズは長編が4作あるらしいのですが、そのうちのひとつ『バスカヴィル家の犬』を読みました。
とても有名な作品で、探偵小説の最高傑作と呼ぶ人も多いとか。
先日読み終えた『回想のシャーロック・ホームズ』同様、少年時代に読んだことがある気がするのですが、、、
ほとんど記憶にないので、初めて読む感覚で楽しめました。
発表順では、「モリアーティ教授」との死闘を描いた『最後の事件』後、8年ぶりに発表された作品だったらしいですね。
でも、発表当時、1893年の『最後の事件』で「ホームズ」はライヘンバッハの滝で転落死していたことになっていたので、『最後の事件』より前の1889年の事件という設定になっています。
≪年代についての補足≫
「モーティマー」が「ホームズ」の部屋に置き忘れたステッキに"1884"と年号が刻まれており、それを"5年前"といっていることから、事件が起こったのは"1889年"と考えるのが自然。
しかし"1889年"はワトスンが結婚生活に入っており、ホームズと同居していないため、矛盾あり。
ということで、研究者によってこの事件の発生年はまちまちであり、1886年から1900年まで諸説あり。
まぁ、正確な年代は物語には関係ないので、全然気にしていないんですけどね。
さて、物語ですが、、、
ダートムア地方の陰鬱な荒野や馬を飲み込む大泥沼、陰気なバスカヴィル館、呪われた伝説の火を吐く魔犬等々… を想像しながら、楽しく読むことができました。
「ホームズ」が現地に行けなかったので(実際は隠れて現地入りしているのですが… )、「ワトスン」が不安を抱えながらも活躍しているのが特徴的ですね。
伝奇的な要素を含んだミステリーとして楽しめましたが、、、
荒野で見かけた謎の人影が「ホームズ」だったり(「ワトスン」なら気付くんじゃない!?)、ご先祖の肖像画が「ステイプルトン」そっくりだったり(「ワトスン」は気付かなかったの!?)するトリックはイマイチでしたね。
物語の舞台となるダートムア地方の荒野って、どれほど陰鬱な場所なんだろう… と思ってネットで調べたら、いかにもイギリスらしい風景が残っている場所でした。
写真を見た感じでは、あまり陰鬱… って感じじゃないですねぇ。
行ってみたくなりました。 -
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天涯孤独になったアンがロンドンの地下鉄で遭遇した事件をきっかけに、好奇心に駆られアフリカに行く
お転婆お嬢様系ヒロインの冒険活劇
思い立ったらすぐ行動するヒロインの性格のおかげで飽きることなくさくさく読める
けど自分と似たものを感じるからかヒロインにそこまで魅力を感じなかった…
脳の大部分は3歳頃までに完成するのに対し、私たちの行動に抑制をかける働きを持つ前頭葉は20代で完成する
だからアンのようにリスクを顧みず行動できるのはやはり若いうちだけなのだと思う。私もまた然り
でも個人的にはメリットのほうが多い気がしている
しばらくは人に迷惑をかけない範囲でやはり思うがままに生きていきたい
(今も、一人で青春18切符で東北を一周している最中に書いている。これは1週間前にふと思い立った)
ちなみに老化による機能低下は前頭葉が最も早いらしい
何を悪とするかは人によってもちろん違うわけだけど、この本のラストではアンの一言によって善と悪をはっきりさせずに終わらせているのが良かった
でも人の気持ちを弄ぶのは悪だと言い切るアンの考えには激しく同意!
✏女性は男性の備えている肉体的な力を崇拝する。その力とはすなわち、女性はかつては持っていたけれど、今は失ってしまったものだから -
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ネタバレチムニーズ館の秘密に続きこちらも上流階級の言葉遣いが悪すぎてドン引き。まあ若手エリート外交官達が見たままの「ぼんくら」揃いでなかったのには安堵した。ダイイングメッセージでこっちが犯人だな目星をつけた状態で読んだので格闘も自作自演感がわかりやすかった。途中で自分が絞首刑になる運命とか言っているし。セブンダイヤルズの会合でロニーを事故死に見せかける噂が流布されて、それなら心配ない、と言うようなコメントが出ていたのは矛盾に見えるけど…
ポンゴが地味に好き。「私はなんと言われようと平気ですが」と平然と言ってのけるバトル警視の渋いキャラクターが好きだったのに、最後の現実離れした派手派手展開に驚愕。バンドルは本作の時点で爵位も継いでいるようだし、才気煥発な美女と恵まれすぎ設定だが、非モテ系に好かれ(前作に続き)そうでない人にスルーされたり、前作の初登場場面は「動く指」のミーガンを彷仏とさせ、終始とんちんかんな努力をしながらも憎めない感じだった。 -
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原著は1929年刊行。初期の作品である。
ウッドハウスぽいクリスティー、ということで、クリスティーに詳しい方から紹介していただいて手にとった。
以前に読んだかも、とドキドキしたが、それはポアロの『複数の時計』のほうだった。
こちらはノンシリーズ、一応前段にあたる《チムニーズ館の秘密》があるそうで、それを飛ばして読んだけど、特に問題はなかった。
ジャンルとしては、スパイアクション。初期ぽい。
このジャンルはあついファンからはナメられているけど、私はけっこう好きで本作も楽しく読んだ。
冒頭の事件、なかなか起きない青年への友人たちのいたずらで、たくさんの目覚まし時計を置いてやる、って陽キャ大学サークルのノリだ。
本編は、向こう見ずの金持ちお嬢様・バンドルが、謎にとりくむストーリー。
愛車イスパノを駆って、ロンドンの謎の秘密結社のクラブや、郊外のお屋敷をめぐって謎に挑んでいく。
金持ちライフ、恋や友情、社交にゴルフに政治パーティー、執事と秘書など、確かにウッドハウスばりにキラキラしている。
怪しいキャラだらけのなか、成り上がりのクート夫妻がいい味を出していると思う。
私が一番こわかったのは、最後のシーン。
黒幕がわかり、今までの謎もとけ、大団円。
主役のバンドルたちが、近くにしゃれたレストランがありますよ、ちょうどいいわ、お腹ペコペコだったの、と言い合うところ。
え、ちょっと待って、、、いま、盛大に☓☓が☓☓だったとわかって、ショックうけてないの?
平然とご飯を食べられる神経が怖いな、となりました。
いやあ、さすが金持ちは違うねー、ハハッ。
かつての雇用主、というだけで、相手に対して居丈高なバンドルにもびっくり。
あと、全体に訳が古風な気がする。
・ライオンのあぎと
・とつおいつ
・ヒヤ!ヒヤ!(←『黄色い本』のチボー家の人々シーンだと《謹聴!》って訳されるシーンですよね。和む) -
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久々にホームズのシリーズ。
二部構成になっており、一部はホームズの推理で事件解決、二部は一部の事件の引き金になった過去の出来事が語られる。いつものホームズよりやや切れ味鈍め?な感じがしましたが、メインはタイトルになっている二部の「恐怖の谷」の方なのかも。すっかりホームズ物だってこと忘れて読んでしまった。ラストは見事などんでん返し。そして一部の事件に繋がって行く、という構成も好き。ホームズの活躍譚としてはやや物足りないけど、物語としては面白かったので満足です。
しかし最初にホームズに情報垂れ込んできたモリアーティの部下は一体何がしたかったのやら…?? -
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ノン・シリーズですが、“バトル警視もの”とも言えるかもです。
チムニーズ館に宿泊していた若者グループの一人・ジェリーが死んでしまい、数日後、今度はやはり件の若者グループにいたロニーが射殺されてしまいます。
ロニーの死の現場に偶々居合わせたバンドル(アイリーン)は、死ぬ直前に彼が口にした“セブン・ダイアルズ”なる謎の組織について、ジェリーやロニーと行動を共にしていたお気楽な青年・ジミー、死んだジェリーの妹ロレーンと共に探り始めます・・。
クリスティーの描く元気な若い女性に共通しているのですが、このバンドルも御多分に洩れず、無駄に行動力があり、無鉄砲なのでちょいとヒヤヒヤします。ですが、そんな彼女の行動が物語を面白くしているのですよね。そしてバンドルとバトル警視のやり取りや、ケイタラム卿とジョージ・ロマックスの会話が面白くて、特に終盤の“勘違い?ジョージ”とバンドル&ケイタラム卿親子の応酬はめっちゃ笑いました。
ラストのどんでん返しは“セブン・ダイアルズ”の印象そのものがひっくり返るような意外さで、これは痛快でした。犯人もノーマークの人でしたしね。
因みに、時系列的にこの作品の前となる「チムニーズ館の秘密」を未読のまま本作品を読んでしまったので、そちらも読んでおかないと!と思った次第です。 -
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ネタバレ冒険もロマンスも盛りだくさん!
ジェリー・ウェイドが眠ったまま亡くなり、寝坊助のジェリーを驚かせるための悪戯だった時計7つが並べられているところから物語が始まる。同席していたロニーが死に、それを間近に目撃したバンドルことアイリーンは事件に首を突っ込む。ロニーが言い残したセブン・ダイアルズとは。友人ビルやその友人であるジミー、ジェリーの妹ロレーンと組んで作戦を立て、セブン・ダイアルズの秘密に踏み込もうとするバンドルだが、バトル警視も何やら作戦を実行してるようで——
バンドルと一緒にハラハラドキドキするのがとても楽しい。秘密結社セブン・ダイアルズの集会に潜入するところなど、行動家バンドルの本領発揮。パーティーに忍び込むためのおべっかで巻き起こる求婚騒ぎや、大ピンチから突然の告白シーンなど、ジェットコースターのような展開にワクワクが止まらない。バトル警視の例のシーンなどは、驚きでいっぱいだった。仮面を取ったらバトル警視の顔がどーん! 絵で思い浮かぶほど。
冒頭のチムニーズ館に滞在していた若者たちの1人であるジミーと、彼が熱を上げていたロレーンが悪役である。読み返してみると、ジミーが向こうサイドとして動いているからそういう動きになったのかとわかる。
秘密結社セブン・ダイアルズは、実は覆面の素人探偵団。そんなバカなと思いつつ、それはそれで楽しい。
小説の読みすぎじゃないかとか、小説の中に出てきたよとか、作者のセルフツッコミもあるくらい、冒険とロマンスに舵を切った作品。トミーとタペンスのように、これも映像化したら楽しそう。