深町眞理子のレビュー一覧
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ネタバレ昔、読んだことがあったなぁ、と主人公の名前を見て気づいた。大型犬のバックが主人公。うろ覚えだったため、いつ野生に戻って大暴れするのかハラハラしながら読み進めた。少し勘違いしていた。大暴れは大好きなソーントンのためだった。犬と人間の絆が、変に擬人化せずに描かれていて、我が家に犬がいた頃の感情などを思い出した。
北の国の厳しく美しい自然がすてき。また、ゴールドラッシュや犬橇、ネイティブ・アメリカンなどが普通に出てくると、こういう時代があったんだなぁ、と興味深く読んだ。
20250826再読
犬の運命は人次第だったが、バックは最後には人から離れて野生に帰る。
ソーントンとのエピソードは悲しかったが -
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ネタバレ不吉さを漂わせながら緩やかに進んだ上巻を経て、吸引力が凄い下巻。
上巻の最後で予言されていたとおり、幼い息子のゲージが亡くなります。死者の蘇りについての話である以上、この息子が生き返ることは明白なのですが、実際に生き返るのはラスト50ページ前ほど。それまでは「恐ろしいことがもうすぐ起こる」という予感だけで引っ張るのだから凄い。
上巻は「死」というものの悲しさが印象的で、涙を誘うところもありましたが、下巻は蘇りの元となる魔力の描写が圧倒的。違うジャンルを読んでいるよう。
自分にも幼い息子がいるので、他人事ではない感じで読みました。 -
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キングのホラー小説はほぼすべてジェットコースターだ。
落ちる落ちる落ちるぞ……ほら落ちたー!!と、緩急は絶妙にして盛り上げるだけ盛り上げてどん底に突き落とす、よくできた遊園地のアトラクションのような構成。
それ故に、彼の作品で恐怖を感じたことはない。
一時期ハマって読み漁ったのだが、「IT」も「シャイニング」も「呪われた町」も、モダンホラーの傑作と絶賛される完成度の高さは認めるが、お話としてはよくできてる、エンターテイメントとしては大満足、と感心しながら、真実の恐怖を味わったことはいまだない。
それよりはむしろ「刑務所のリタ・ヘイワース」や「11/22/63」のようなヒューマンドラマに重きをお -
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SF成分の摂取。飯田橋の書店のフェアで見つけたのだっけな。
初めての著者だったけど表題「たんぽぽ娘」「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」「ジャンヌの弓」あたりが好きだったな。ロマンスの方がうまくまとまってる気がするんだよなぁ。いやオチがつきやすいからすっと入ってくるという話かもしれない。
そうか。全編訳者の厳選した傑作だから、どれもしっかりまとまってるんだ。一定の完成度が担保ぽされてる。実際どれも読んで面白かったし、ギミックや世界観に唸った。ただやはり短編だから、「こじんまり」綺麗にまとまってる感もあって。物足りない感もあったのかな。その中でスパイス的にハッピーなロマンス要素がある -
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ネタバレコカインの描写ではじまり、コカインの描写でおわります。退屈な世界で、頭脳労働にたずさわっていないと生きていけないというホームズ。人間としてコカインはよくないのかもしれませんが、日常に飽き飽きしてしまうほどの頭脳を持つというホームズの非凡さを感じるようで、名探偵としては魅力的な要素にも思えてしまいました。
事件は、モースタン嬢がホームズの元に相談にやって来ることではじまります。彼女の父モースタン大尉は、十年前、イギリスに戻ったという電報の後、消息を絶ちました。そして、六年ほど前、≪タイムズ≫にミス・メアリー・モースタンの現住所を知りたいという〈尋ね人〉の広告があってから、毎年おなじ日に真珠が一 -
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複数巻の長編を平行に読破しよう月間。ほぼ消化。
上巻でほのめかされたとおり、2歳の息子が家の前の道路でトラックに撥ねられて亡くなってしまったルイス。頭にあるのは、猫のチャーチが謎の復活をしたペット霊園の奥のミクマク族の隠された丘の上…。
結構意外に思えるのが、下巻の大半は葛藤を描くことで費やされるのだ。もっと早く埋めて、家族の破滅でも来るのかと思いきや、驚くほどに焦らされる。それが良い意味で意外であった。
だいたい下巻(と言うか全編)を読んだ人の8割方は、悪魔と化したゲージとの死闘を記憶するのであろう。しかし、この本の面白さはそこではないと思うのだ。
自分でコントロールできる生き死に。 -