深町眞理子のレビュー一覧
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ネタバレ上巻ではまだ本格的な怪異は起きていないのに、たった三人の家族の内面を順番に読んでいくだけでまったく飽きない。人間の心を深くとらえた描写が素晴らしい。ひとりひとり抱えているものが少しずつ違っていて、簡単には割り切れないところをしっかりと書き切っている。こんなに読み応えのある作品だったとは知らなかった。
ホテルの歴史や地下室の不気味な記録や忘れ物が、嫌な空気を醸し出していて、今後起きることへの期待が膨らむ。謎の「レドラム」とやらも、トニーの警告も気になることばかりだ。トニーがあらかじめ未来を見せてくれているので、そこに向かっていくという恐怖もある。
この家族に関してはきっと誰も悪くないのだと思った。一番医者にかかるべきはジャックだし、「癇癪」とアルコール依存症さえ治療できればこの家族は十分愛し合っていて、三人でやっていけると思った。それが下巻でどういう展開を見せるのかすごく楽しみ。 -
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聞きしに勝る大傑作。面白さ半端なし。エンタメなのに文学。(文学が何なのかはよくわかってません)いや〜読後の余韻と興奮が納まらない。ホラーを舐めてた。モダンホラーの帝王の名は、あながち間違いではない。
癇癪持ちの酒癖が悪い父、ジャック。
離婚を考えるが踏み切れない母、ウェンディ。
そんな父母を心配する、特殊能力「かがやき」を持つ5歳の息子ダニー。
オーバールックホテルの冬の管理の仕事の為に家族で移り住むが、そこは長年の怨念が積み重なった血塗られた呪いのホテルであった。
家族三人三様の過去、人物像、心理描写が徹底的に描かれるので、共感し没入してしまう。
上巻はほぼ、それにページが割かれる。
もう息子ダニーが聡明で愛おしい。(幽霊と子どもで怖さ倍増。ホラーの鉄板)父として再起を計ろうと奮起するジャックは、オーバールックホテルの幽霊に弱みをつけ込まれ、変貌していく。そうなるよね〜って感じで読者は納得してしまう。
ウェンディもやり直そうとホテルに来たものの、ジャックの不可解な行動に不安が募り…。
しかし、ホテルの霊が狙っていたのは、かがやきを持つ子どもダニーだった。
雪に閉ざされたホテルは外部と遮断され、絶望感極まりない。
ホテルの霊達が暗躍する様子が不気味すぎる。恐怖と狂気がヒタヒタと迫り、もうやめて〜、行っちゃダメ〜、ギャー、怖っ、の連続。ラストは手に汗握る展開で、本を読んでる事を忘れるぐらいの臨場感だ。文章でこれほど書ける筆力に圧倒される。(ちなみにこれも映画は観ていない。)
もう、止められず読み耽ってしまった。はい、寝不足です。
エロ、グロ、ホラー、スリル、アクションそして愛。私はこういうのが好きなんだと気づきました。面白さてんこ盛りで、読み応えたっぷり、今年のNo.1本になりそうです。(まだ4月だけど)スティーブン・キング恐るべし。
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普通に作家として凄い才能。想像していたよりも明るい内容でぐいぐい読ませる。13歳〜15歳で書いたと言うのだから、驚きでしかない。後世に残る大日記となってしまった。
死の恐怖と闘いながらの隠れ家生活。しかも2年も。過酷だった暮らしの中で、人ととして成長していく姿に感銘を受ける。そして未来への夢を語る文章に泣いてしまった。
「わたしの望みは、死んでからもなお生き続けること!その意味で、神様が、この才能を与えてくださったことに感謝しています。」(本文433ページより)
アンネに伝えたい。あなたの思う通りになりましたよ。あなたの死後80年経った今でもあなたの日記は世界中の人々に読み継がれ、あなたは生き続けています、と。
日記は1944年8月1日で突然終わる。その後どうなったかは、解説に記載されている。わかってはいたが、生き生きと暮らしていた姿を読んできただけに突きつけられた事実の不条理に怒りと悲しみが溢れるばかりだ。
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原作を尊重しグラフィックをつけた絵本。
アンネの複雑な心情や、13歳とは思えない大人びた世の中の描写に驚いた。本当の友達を求めているけど出会えない屈折した気持ちを日記にぶつけるところや、両親との心理的溝。他人であるよそよそしさと諦め。恋人と接している時に現れる第2の自分を俯瞰して見ていること。
この日記は途中で途切れてしまう(秘密の部屋が発見されて収容所に入れられてしまうから)彼女が生きていてその先の物語が読みたかった...
日記の中でも、アンネが繰り返し尊敬していると言っていた、大好きな父親オットーが唯一生き残り、アンネの日記を世界中で出版することに尽力している。 -
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さあ皆様、お立ち会い。
ここに描かれるのはあるホテルでひと冬を過ごす事になった親子三人の物語だ。
何? そんなのつまらん? そんな事言わないで。ほら、頁を開いて読んでごらん……。
キングがキューブリック版をこき下ろしたのは有名だが、わからなくもない。ここにある親子の絆は欠片も出てこないし、ジャックはただの危ない親父で、次第に精神を狂わせていく怖さが出ていないからだ(個人的にあれはあれで悪くないし、面白いのだが)。
ここで目を惹くのはエンターテインメントとしての構成の上手さだ。何度読んでもドキドキ、ワクワク、同じところで怖がってしまう。
オーバールックホテルにようこそ! 入る時はニコニコ、出ていく時はどうなっているかわかりません。当ホテルでは永遠に遊べる楽しい仕掛けがたくさんございます。皆様にご愛顧頂ければ幸いです……。 -
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【トミー&タペンス】
1968年クリスティー78歳。
あんなに若々しかったトミー&タペンスが初老に。だけど気持ちは二人とも全然変わってない。
このシリーズは、夫婦が仲良くてどんな時でもポジティブで明るいのが良い。読むほどに2人が大好きになる。
家で待ってる奥さんではなくて、女性が歳を重ねても活躍し続けているのはクリスティー自身のよう。
暴走し続けるタペンスを温かく見守るトミー。この夫婦はいくつになってもお互いをリスペクトしているのが最高。
名脇役アルバートもかなり良い味出してる。
今回は今までのトミタペにはなかった強烈な衝撃もあった。そしてあの一言が光ってる。
クリスティーの名セリフシリーズ好きだなぁ。
「トミーとタペンスは今なにをしてますか?」という手紙が世界各国からたくさんクリスティーに届いたので、この物語を執筆したと冒頭に書いてあった。
手紙を書いた当時の人達、本当にナイス!!
手紙の書き方に愛しか感じない笑
前回の『NかМか』から27年!も経ってるので、待ち望んだリアルタイムのファン達はこの作品を読んでどれだけ嬉しかっただろう。
私は我慢できずに2週間と間をあけず読んでしまって申し訳なくなってきた。
ポアロとマープルは独身生活を謳歌していて、トミー&タペンスは仲良し夫婦で子供もいる。三者三様の魅力的なキャラクターを創り出せるクリスティーは本当にすごい。
どのキャラクターも好き過ぎて、1番好きは選べない。
このシリーズ残すはあと1冊。
あと1冊で2人の世界が読めなくなってしまうなんて寂しい。
しかも『運命の裏木戸』は全ての作品の中でも1番最後に執筆した長編とのこと。
最後に書いたのはポアロでもマープルでもなく、トミー&タペンスだったんだ。 -
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シャーロック・ホームズシリーズ最初の作品。ホームズとワトスンは、最初からコンビだったのですね。映画やドラマで知っているつもりになっていても、やはりちゃんと読んでおかないといけないなと思いました。
この作品、二部構成になっており、事件のあらましやホームズの推理が、ワトスンの語りで描かれる第一部と、犯行の動機にあたる過去が描かれる第二部に分かれています。
ミステリ慣れしていない自分のような読者からすると、第一部の高慢なホームズの態度に好感がもてなかったので、高尚な文学作品を読んでいるような錯覚を覚えるスリリングな第二部は、読み進めるほど夢中になって読むことができて良かったです。
最後は、ワトスンの語りの良さも相まって、上手くまとまっていましたね。
あらすじ :
負傷兵として軍を退いた軍医のワトスン。彼は、ホテルに逗留しながら、無目的に暮らしていましたが、懐具合の悪化から費用のかからない住まいを探していました。そんな折、偶然にも声をかけてきた知人が、手頃な家賃で住める同居人を探しているホームズを紹介され、ベーカー街221Bにあるアパートで二人は共同生活を始めます。
それからしばらく後、ホームズに刑事から殺人事件の助言を求める手紙を受け取ります。ロリストン・ガーデンズ三番地において、アメリカ人旅行者の男性遺体が発見されたとのこと。
ホームズはワトスンを連れて現場に行き、刑事も困惑する現場の状況を、鋭い観察眼と知識を駆使して謎解きをして、犯人逮捕に繋がります。途中で語られる物悲しい犯行動機が、同情を誘う哀しい物語。
追記 :
シャーロック・ホームズは、いろんな出版社から出ていますが、どれを選ぶかは個人の好みがあるのでなんとも言えないですが…
自分が創元推理文庫を選んだ理由は、挿絵があることと、ページ左下に章立てがあり進度がわかりやすいことです。もちろん、数ページ読んで読みやすかったこともありますけどね。 -
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ポー、横溝正史ときてクリスティーです
なんかそういう時ってある
どういう時かっていうとそういう時だ
トミー&タペンスのおしどり探偵も初老と言われるお年、孫もいます
だけんども二人(特にタペンス)はまだまだ元気
家族的には困っちゃうおじいちゃんおばあちゃんよね
も〜いい加減落ち着いてよ〜って言われてそう
いや実際娘に言われてたな
そしてだいたい面と向かって言われるのはお父さんの方
しっかり見張っててよ!とか言われる
いやもう無理やん
なんで無理だってことが分かっててお父さんにばっかりそういうこと言うのか!
「旦那さんの役目でしょ!」とか言われる
だから無理だっての!
今回もタペンス暴走、トミー後始末という役割分担w
しかも今作は二人の単独行動の時間が長い
それだけに二人が合流した時の安心感といったら
そしてあいかわらず会話がいかしてる
やっぱりクリスティーは会話の妙よね〜
そしてしっかり意外な結末が用意されてていて流石!
流石のアガサ・クリスティー! -
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クリスティの冒険ミステリー。主人公アンの冒険譚。当時の女性の生き方や考え方、社会的な通念をベースにしながら、主人公アンが生き生きと躍動する作品。イギリスから南アフリカへの船旅や謎の殺人事件の真相を巡る旅。
クリスティの初期に当たる作品の様だが、沢山の作品を読んだ後でも遜色無く楽しめる作品で、正しく「冒険活劇」に相応しい作品だ。
主人公がとても魅力的で、感情移入しやすく、スリリングなアンの行動を楽しむ事が出来る。物語は主人公であるアンの目線と、登場人物であるユースタス・ペドラーの手記という形で進行される。アンが発表する冒険譚にペドラーが手記を提供した形になる。各々、全く別の目線から今回の冒険を捉えている為、物語は一本道なのだが違った見方を楽しむ事ができる。
登場人物が秀一なのはいつもの事ではあるが、ミステリーの側面から見れば怪しい人たちばかり。悪の組織の親玉である「大佐」とは何者か。が話の肝になるのだが、誰もが「大佐」に見えてしまい、読者としてはアンの行動にヒヤヒヤさせられた次第だ。
アンと船旅中に出会った、魅力的なミス・ペディグルーや彼女の知り合いである諜報部員のレース。殺人事件が起きたミル・ハウスの所有者であるペドラーと彼の秘書であるバジェット。その他にも癖のある登場人物達が生き生きと物語で躍動している。
そもそもの物語は何の変哲もないアンの人生が父親の死により一変する。冒険を求めるアンであるが、プラットフォームにて男性の死を目撃し、ついでミル・ハウスでの奇妙な殺人事件に関わりがある犯人と目される「茶色の服の男」を探す旅がスタートする。被害者が持っていた一枚のメモから真相の追求が始まり、キルモーデン船での旅と登場人物達との会合が訪れる。
舞台はイギリス→船上→南アフリカと進行して行き真相では衝撃的な結末が待っている。
最後までだれること無く走り切っている冒険活劇でとても面白い作品だ。レースの人生に共感してしまい、彼が後々幸せであった事を願うばかりだ。