深町眞理子のレビュー一覧

  • 野性の呼び声

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    ネタバレ

    英語学習者向けとして読んだ物語の日本語訳版に触れてみた。この訳者の用いる日本語が最適なのか,原文の力強さがそのまま反映されているのかはよくわからないが,細かなシーンにぴったりの言葉の並びに感銘を受けた。野性味溢れた荒々しさとともに共存する美しさが純粋に表現されているのに加え,主人公の犬が擬人化されすぎていない。人間のような感性を動物に当てはめるのではなく,動物が持つ本能的な「悟り」が描かれており,主人公が動物のわりには,ただの動物好きが書いたり読んだりする小説ではないところが素晴らしいと思う。

    【ここからネタバレ注意】
    それに加えて,この物語は人間に対する危惧の意味も含まれていると感じる。動物をモノ扱いし金儲けに使う人々,人間の純粋な力では勝てない動物に対して文明が生み出した道具で制圧を加える人々… 物語の後半に登場する,愛犬に対する愛情に満ちた飼い主は,バックの以前の飼い主たちと相反していることによって,人間の愚かさを強調する役割を担っている。
    また,著者の経歴をたどってみると,彼の経験が少なからずこの物語に含まれているのだろうと読み取ることができる。自らの心に疼いた好奇心や野心とともに旅に出たが,帰宅すると大切なものを失っていた,というのは深く心に刺さるし考えさせられる。

    ひとつ,欲を言うならば,訳者のあとがきにあった「差別的な表現に対する配慮」について。私個人は,原文に人種差別や男性中心思想を含んでいたとしても,そのままに表現して欲しかったと思う。この物語が描かれた時代を克明に示す証拠になりうるだろうから。ますます原文を読んでみたくなった。

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    2019年05月14日
  • シャーロック・ホームズの事件簿(新版)【深町眞理子訳】

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     『事件簿』と聞いたら、中年から老境にかけての日本人シャーロッキアンは複雑な表情を浮かべること必至だろう。
     ホームズの冒険談は長編が4、短編集が5つ。9冊でコンプリートできるはず。……はずなのに、ミステリ好きが愛する創元推理文庫版では8冊しか揃えられない。新潮文庫版では10冊になってしまう。おかしな状況が長らく続いていた。
     というのも『事件簿』の版権を新潮社が握っていたため、他の出版社は出せなかった。
     創元推理文庫で8冊を揃えたシャーロッキアンは、しぶしぶ新潮文庫版『事件簿』を買った。これでコンプリートできるかと思えば、さにあらず。
     なんと、新潮文庫は他の短編集から少しずつ間引いた8編で『シャーロック・ホームズの叡智』なる日本独自の短編集を編んでしまった。
     『事件簿』から外れた短編は「ショスコム荘」と「隠居絵具師」。たった2つの短編のために『叡智』を買う羽目になった中学生の苦衷を察して頂きたい。残り6編は既読なのだ。
     いまの私なら「違った翻訳の味わいを楽しもう」、そうしたオトナの余裕もあるのだが、中学生が乏しい予算で買っている以上、文句の二つや三つ出てしまう。
     原作者の死後60年を経て、著作権が消失し、ようやく創元推理文庫版『事件簿』が上梓された。連載時の挿し絵も満載、シャーロッキアン感涙の一冊である。

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    2019年03月17日
  • 茶色の服の男

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    ミステリーあり、恋愛あり、若くてきれいで無鉄砲な女探偵のものがたりで楽しく読めた。1924年当時、女性が活躍する小説というのは今と受け取られ方がどれくらい違うのかな?職業婦人に対する憧れと同じくらい結婚にも憧れる。今と変わらないように思うし、女性は女性らしくエンディングを迎えられたことにとってもうれしい気持ちになったなぁ。

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    2019年03月11日
  • シャイニング(下)

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    下巻の後半、一気に読んで寝不足(そして眠れなくなった・笑)

    ジャックが自分の心と戦う場面で、もっと頑張ってよ!!と思ったりもした。癇癪持ちの父親でも、ダニーは本当にジャックのことを愛しているんだもの。頑張ってほしかった…
    そしてハローランがいてくれて良かった!

    一応、ハッピーエンドにはなったので、キングを読む時のいつものモヤモヤ感はなく終われた。
    けれど…
    ハッピーエンドなのに、不安感が残るのはキングならではだなー

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    2018年08月09日
  • シャーロック・ホームズの冒険【深町眞理子訳】

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    今読んでも、ほんとうに傑作ぞろいのすばらしい短編集。とくに赤毛組合は、みごとですわ~。
    これ、「ストランド誌」に掲載されていた当時の熱狂を想像すると、ちょっとテンションあがる。しかもドイルはものすごい速筆だったらしく、こんな完成度の高い短編をほんの2週間かそこらで書いていたらしいんですよね(というのは、ほかの本で読んだ。)

    子どものころポプラ社版のホームズを片っ端から読んでいた記憶はあるものの、ちゃんと発表順にしらみつぶしに読んだわけではないので、この機会にちゃんとぜんぶ読んでみようと思います。つぎは「帰還」かな?(ちがった。回想だ。)

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    2018年07月30日
  • シャイニング(下)

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    いよいよ本格的狂気炸裂の下巻。キーワードたる”レッドラム”は、なるほどそういうことか。ごく限られた登場人物に、ホテル内という閉鎖的空間。そんな中、次から次へとトラブルが起こって、飽きさせられることもない。それはもう、売れますわな。あと、自身で製作した映画版、そんなつまらんのなら逆に観てみたい。

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    2018年07月20日
  • シャイニング(下)

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    一気に読んだ。
    なんか、ジャックといい、ダニーといい、ウェンディといい、ホテルの“管理人”といい、全てが気の毒に感じた。何故かは分からないけれど。
    そのホテルの跡地には、やっぱり“管理人”の無念や思念が残り続けるんやろか。
    ハローランが、資材置き場で取り憑かれかけたシーンはゾクっとした(笑)

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    2018年07月07日
  • シャイニング(上)

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    大学生時代に映画版は観てるけど、原作は初めて。ってかキング作品を読むの自体、これがはじめてかも。ちなみに”百年の誤読”から。ただ映画版で印象に残っているのは、もはやジャックニコルソンの圧倒的演技くらいで、内容は殆ど覚えてなかった。上巻では、父の内に秘められた狂気性とか、あちこちに不穏な雰囲気を纏うホテルの描写とか、これから起こる悲劇の予兆があちこちに… 登場人物が少ないせいもあろうけど、リーダビリティの高さも特筆もの。

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    2018年05月28日
  • 回想のシャーロック・ホームズ【深町眞理子訳】

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    ネタバレ

    『〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪』
    近く開催される予定の〈ウェセックス・カップ〉の本命馬である〈シルヴァー・ブレーズ〉号の不可解な失踪と、同馬の調教師ジョン・ストレーカーの惨死という事件です。馬が無事でよかった、調教師ストレーカーは卑劣だ、と思いました。

    『黄色い顔』
    ノーベリーに別荘を借り、しあわせに暮らしてきた夫婦ですが、あるときから夫は妻の秘密に悩まされることになります。夫の話を聞いていると、途方に暮れて苦しくもなりましたが、最終的にはやさしい、しあわせな物語でした。
    また、ホームズの“見込みは結果的にまちがっていたものの、事の真相だけははからずも明らかになる(p56)”、ホームズにとって“ノーベリー”という言葉が意味を持つようになった事件でした。

    『株式仲買店員』
    パイクロフトは、コクスン・アンド・ウッドハウス商会を解雇されてしまいますが、ロンドンでも最高に資金の潤沢なモースン・アンド・ウィリアムズで採用されることになります。しかし採用の手紙をもらったまさにその晩、ピナーという男がやって来て多額の給料で雇うと言い、パイクロフトは幸運に舞いあがります。
    この話にはやはり、裏がありました。犯人は同情できない、悪党でした。

    『〈グロリア・スコット〉号の悲劇』
    ホームランが大学時代に手がけた最初の事件の話です。“帆船〈グロリア・スコット〉号で起きた凄惨な事件の記録”と、“トレヴァー治安判事がこれを一読して、恐怖のあまりその場でショック死してしまったという、いわくつきのメッセージ”(p127)にはどんな関係があるのでしょう。トレヴァー氏はどうして船乗りハドスンに頭があがらないのでしょう。
    ホームズが“手がけた”と言えるのかはわかりませんが、今の仕事をするきっかけを知ることができてよかったです。

    『マズグレーヴ家の儀式書』
    奇妙な〈マズグレーヴ家の儀式書〉にまつわる物語です。歴代のマズグレーヴたちが見のがしてきたなにかを、利口者の執事ブランドンと、ホームズが見つけました。

    『ライゲートの大地主』
    ホームズが二ヵ月以上にわたる捜査の重圧から病床に臥してしまったため、ワトスンとともにヘイター大佐の住む田舎で療養することになります。しかし、侵入盗と、殺人事件が起きてしまい、ホームズも捜査に関わります。その結果、ホームズは以前と変わらない元気のよさになり、田舎で静かに静養するという計画は、ホームズにとって大成功でした。

    『背の曲がった男』
    バークリー夫婦が口論をした後、夫は息絶え、妻は気を失って倒れていました。とてつもなく奇怪で、わけのわからない事件でした。そして、“卒中の発作による死”という“まるきり単純な事件”(p271)でした。

    『寄留患者』
    ブレッシントンは、あるときから、何事か、何者かを極度に恐れているような、奇妙にそわそわした興奮状態がつづきます。そしてその後、ブレッシントンは自殺してしまいます。
    ブレッシントンが、医師パーシー・トレヴェリアンに投資し、ブルック街で開業させたという話もおもしろいですが、本筋とは関係ないのが意外でした。

    『ギリシア語通訳』
    まずシャーロックに兄マイクロフトがいるということ、そして彼がシャーロック以上に資質をそなえていることに驚きました。今回はそのマイクロフトから聞かされた一件の物語です。
    語学の達人であるギリシア人メラス氏は、月曜の夜にあらわれたラティマーに通訳がいると言われ、辻馬車に乗せられます。その後目隠しされ連れて行かれた先には、顔に絆創膏を貼られた男が脅迫されており、また謎の女性がいました。ワトスンの推理が的中していたのが意外で、自分にわからなかったのが少し悔しくなりました。

    『海軍条約事件』
    外務省にいるパーシーのもとから、イギリスとイタリアで結ばれたきわめて重要な秘密条約が書かれている灰色の巻き物が盗まれてしまいます。そのため彼は、脳炎をわずらい九週間も寝こみ、衰弱してしまいます。
    あまりにも証拠がありすぎたため、肝心な点が隠されてしまっていた事件でした。

    『最後の事件』
    犯罪界のナポレオンであるモリアーティー教授と、ホームズとのあいだにあった出来事です。彼らはつかみあいの争闘をし、取っ組みあったまま滝壺に転落したと思われます。
    モリアーティー教授は急に登場して急に去ってしまっていて、ドイルがホームズものと訣別したかった思いを感じました。でも私はやはりホームズが好きで、こんなにあっさりいなくなるなんて思っておらず、復活するとわかっていても悲しい気持ちになりました。

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    2018年03月10日
  • シャーロック・ホームズの冒険【深町眞理子訳】

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    ボヘミアの醜聞を読んで、あの女性に敗れたシャーロック
    ここから始まったのかと感動!
    あの女性との戦いは映画とかでよく描かれていたけど、本ではどんな風になっているのかは知らなかったので読めてよかった

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    2018年01月25日
  • 回想のシャーロック・ホームズ【深町眞理子訳】

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    もはや説明不要なシリーズ第2短編集。

    収録は、
    ・〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪
    ・黄色い顔
    ・株式仲買店員
    ・〈グロリア・スコット〉号の悲劇
    ・マズグレーヴ家の儀式書
    ・ライゲートの大地主
    ・背の曲がった男
    ・寄留患者
    ・ギリシア語通訳
    ・海軍条約事件
    ・最後の事件

    最後はモリアーティーと滝壺に消えるところまで。

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    2018年01月17日
  • シャーロック・ホームズの冒険【深町眞理子訳】

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    観察と推理というやりかたをするホームズが携わった事件をワトスンが記録した、という形式の作品です。“日常的な謎を扱っている作品が多い(p519)”です。

    『ボヘミアの醜聞』
    ボヘミア王家を揺るがした一大スキャンダルをホームズが解決しようとするのですが、ホームズが“あの女性”の機知の前に破れ去ります。まさかホームズが負けるとは、意外でした。

    『赤毛組合』
    赤毛の男子ならばちょっとした仕事で週給四ポンドもらえるという“赤毛組合”、質屋の店主に勧める店員、最初からとにかく怪しいです。奇妙で、重大な事件でした。

    『花婿の正体』
    結婚式当日に消えてしまった花婿は、血も涙もない悪党でした。こういった悪党は、許せません。

    『ボスコム谷の惨劇』
    マッカーシーという男が殺されます。状況証拠から、ワトスンやレストレード警部は犯人はその息子だと考えてしまいますが、ホームズは違いました。

    『五つのオレンジの種』
    五つのオレンジの種をK・K・Kから送られた伯父、父が次々と殺されます。自分のもとにも種が届いたジョンは、ホームズに相談に来ます。ホームズは犯人を見つけ、報復も仕掛けたのですが、謎が残ってしまい、もやもやする事件でした。

    『くちびるのねじれた男』
    ネヴィル・シンクレア氏がいなくなり、シンクレア氏が最後に目撃された部屋にいた物乞いヒュー・ブーンが捕らえられます。単純そうに見えながら、難問をつきつけてくる事件でした。

    『青い柘榴石』
    使丁(コミツシヨネア)が街で手に入れた鵞鳥の餌袋から、青い柘榴石(ブルー・カーバンクル)が出てきます。神々しい宝石だからこそ、犯罪の核心にも標的にもなるのです。
    クリスマスーひとを許す季節のため特に、ホームズの優しさが見えました。

    『まだらの紐』
    ロイロット家の姉は、死の間際に“まだらの紐”という謎めいた言葉が叫びます。その意味とは…。
    昔読んで忘れてしまった話も多いのですが、一番印象に残っていました。この事件が奇々怪々な様相を呈しているからかもしれません。

    『技師の親指』
    技術が親指をなくした事件です。“本来、親指のあるべき箇所には、毒々しく赤い海綿状のものが見えるだけ。(p349)”という描写には衝撃を受け、想像するだけで恐ろしく感じました。

    『独身の貴族』
    結婚式後の披露宴で、花嫁が消えてしまいます。不可解で奇妙な事件ですが、確かに、自然な成り行きなのかもしれません。

    『緑柱石の宝冠』
    民営銀行の頭取が、イギリスの高貴な方から担保として緑柱石(ベリル)の宝冠を預かりますが、その一角が盗まれてしまいます。宝冠を持って立っていた息子のアーサーが怪しまれますが、口を割ろうとしません。それには立派な理由がありました。

    『橅の木屋敷の怪』
    よすぎる給料を支払う家庭教師先に不安になりますが、やはり、背後には強力な動機がありました。家庭教師先のルーカッスルは恐ろしい人物でしたが、雇われたハンター嬢は独力で人生を切りひらいてきた強い女性で、惹かれました。

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    2017年11月20日
  • シャーロック・ホームズの事件簿(新版)【深町眞理子訳】

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    創元推理文庫のシャーロックホームズ新訳版も遂に完結。『冒険』以降、「この版を読んでいこう」と決めて7年。感慨もひとしおであります。

    100年前の物語ながらも、しっかりとしたキャラクター設定に、今読んでも新鮮なストーリー(あまりに有名であるため完璧な模倣はすぐバレるからか)。古典として楽しむ視点を準備せずとも充分に面白い作品でありました。

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    2017年06月11日
  • 渇きの海

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    何度読み返しただろう。

    まだスプートニクの打ち上げよりも前に書かれたにもかかわら修正すべきところはないという驚きの作品。

    月面の海を航行する観光船が突如海に飲み込まれる。海を構成するのは固体と液体の悪いところばかりの性質をもつ細かい塵。この海の存在のみがSF的設定。閉鎖空間でのパニック・コントロールと次から次に発生する困難に立ち向かう乗員。パニック映画の王道をいく設定でクラークの独特の巨視的視点を絡めながら描かれます。

    自分がこの本を読みたくなるタイミングには傾向がやはりあったことに気づきました。困難な状況に陥っているタイミングなのでした。逃れられないし根本問題も解決することができない状況では、自分の持つスキルと周りの協力を引き出すことでしか脱出することはできない!今もって胸に響く傑作です。

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    2017年05月22日
  • シャーロック・ホームズ最後の挨拶【深町眞理子訳】

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    ライヘンバッハの滝から復活したホームズ譚12編の後、断続的に発表された短編が編まれたもの。表題作である「最後の挨拶」では、養蜂に明け暮れて晩年を送るホームズが、どうしてもと請われて乗り出す。『冒険』や『回想』で見られたアクティブなホームズとも、いよいよ本当にお別れが近いのだと思うと、感慨深いものがある。

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    2016年12月24日
  • 恐怖の谷【深町眞理子訳】

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    個人的評価としては、ホームズシリーズ屈指の最高傑作と思う。4作の長編のうち3作においては、後半でその犯罪にいたった経緯となる過去の出来事が語られるわけだが、その描かれ方に引き込まれる度合いが強烈で、谷にはびこる「恐怖」を共感させられる。これこそが、ストーリーテラーとしてのドイルの真骨頂と思う。
    一方の前半部分においても、伏線がきっちりと張られ、最後までにしっかりと回収され、宿敵モリアーティについても述べられており、探偵小説として申し分ない完成度を誇る。後世に与えた影響ははかりしれない。

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    2016年12月24日
  • シャーロック・ホームズの復活【深町眞理子訳】

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    ライヘンバッハの滝へと消えたホームズ。読者からの強い希望を受けて「バスカヴィル家の犬」で復活したホームズだったが、それは、ホームズが消える前の事件であった。
    が、本書では正真正銘ホームズが復活する!
    当時、駅の売店の本棚は、バーゲンセールの会場よりも凄まじいものだったという。それほどまでに渇望されていた短編を編んだ集成。
    ホームズが単独で事件の捜査を終えて戻ってくるときの様子をワトスンがみて、その捜査があまりはかどっていないようだ、という場面が初期短編集に比べて多いような気がする。

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    2016年12月13日
  • バスカヴィル家の犬【深町眞理子訳】

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    ホームズがモリアーティ教授とともにライヘンバッハの滝へと消えてから約7年ぶりに発表された本作。ホームズが姿を消す前の話という位置づけなので、完全復活というわけではないが、この時を待ち望んでいた読者は数知れなかったことと思う。
    他の3長編とは異なり、1冊まるごとホームズの活躍、という当時の読者の喝を癒すのに十分な作品だったろうことは容易に想像できる。

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    2016年12月04日
  • 回想のシャーロック・ホームズ【深町眞理子訳】

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    「ホームズの冒険」に収録されている12編に続き、出版社から要請されてさらに筆をとった12編を短編集としたもの。当時、2作目の「ボール箱」が省かれ11編とされたが、本全集でも、「ボール箱」は『最後の挨拶』に収録されている。 なので、作品発表順にこだわって読むのであれば、「黄色い顔」の前に「ボール箱」を読まれたし。 ワトスン自身が共に事件に関わるのではなく、ホームズが語る事件をワトスンが記録しているという形の作品が混じってくるのが、ホームズとの別離を暗示しているようだ。
    聞きなれない訳語が出てくる。「合点承知」とか「よござんす」とか。。

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    2016年12月02日
  • シャーロック・ホームズの冒険【深町眞理子訳】

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    今なお読み継がれる古典的名作推理。
    ホームズは超人的能力によって事件を解決するのではない。そのような推理にいたった理由・根拠を全て最後には示し、決して当て推量や思い付きで推理を展開しているのではないことが分かる。毎年、夏の一冊にも選ばれるのは、ホームズ物語の中でも傑作といわれる作品が、この短編集に多く含まれているからであろう。

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    2016年11月21日