吉田戦車のレビュー一覧
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私は“ら抜き”や“さ入れ”が嫌いなクセして、“ワラける”をよく使うんです。先日、「“ワラける”は日本語としておかしいからやめたほうがいい。“ワラける”を使うのは小薮とアナタぐらい」と飲み仲間のお兄さんから言われました。でも、この本はワラける。挿画もページを増すごとに可笑しくなる。「ごー」とか「うひょー」とか、擬態語まで可笑しい。
ありますよね、そのときは要ると思って買っちゃったもの。白衣高血圧の私は血圧計を買いましたが、家であっても血圧を測ると思った瞬間に上がるのでほとんど使えず。ジャマやっちゅうの。使わないあれこれを見ていると、人はなぜ学習できないのかと愕然。それも楽しいけど。 -
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相変わらずの取合せの強烈さ、意外性。
しかも意外性を何事もないやうに成り立たせてゐるところがただシュールであることに留まらない奇妙な面白さとなつてゐるのだと思ふ。
象の怒りでは、長編のストーリーを組み上げやうとすば、整合性やら物語世界を成り立たせやうと彼のみせる意外性は死んでしまふことであらう。よくわからないうちに始まり、よくわからないうちによくわからず終るくらいが、シュールさを保てるに違ひない。ことばだけが先行したスパイにFAX、なによりも象が象のままで人間のやうに何かするといふところの取合せが何をするでもとにかく強烈なシュールさを放つ。
後半作品は、やはり吉田戦車ならではといつたところだらう。ほんの生まれたばかりの記憶がないといふことはそのまま別の人間であり、思ひもかけないことをしてゐるといふ場における取合せの奇妙さを、何事もないかのやうにひとつの物語として成り立たせてゐる。
意外性は、その場を見下ろして眺めてゐる読む側といふこちら側に奇妙な感覚を与へる。登場人物にとつて当たり前であらうことが読み手には当たり前ではないからこそ心がくすぐられるといふ感覚や、意外性を意外と感じてゐない登場人物へのどことない恐怖の感覚だ。
特に徳育話材百選はどことない恐怖に似た奇妙な感覚を与へる。徳育話材である以上、下地にしたものは子どもの徳を教えるものであつたに違ひない。それが彼の手で視覚化されると、途端に不気味なものへと変る。しかし、それが徳といふものの姿なのだらう。 -
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このひとの言語感覚は本当にいつも驚かされる。
ことばの意味といふものが、これほどまでに不可解なものだといふところまで連れていつてくれる。しかも、それを叫んだり苦しませたりするのではなく、極めて軽妙に成すところが、稀有な点である。
5歳児やうさぎが課長であつたり、OLが男だつたり、兄(父)が嫁にいつたりと、一見すれば何が起きてゐるのかわからないほどの状況であるが、うさぎ語の理解できる相手や人間もどきであるならこうした状況は何の不思議もなく成立してしまふのである。一体意味とは何なのか。否、何が一体意味なのか。キャロルのナンセンスと同じ場所に辿り着く。 -
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そろそろではないかと思っていたが、やっぱり完結かあ。戦車さんの連載は、子どもに心からの愛情を注ぎつつ、「お父さん」としての自分を、距離を置いて見ているところがとてもよかった。理佐さんの「おかあさんの扉」とはまた違った味で、もしかしてこっちの方が好きかも。
最終回もいつもと同じタッチであっさり終わっているけれど、「にゃーちゃん」の歌はやっぱりしみる。抱っこされて、まわらない口で歌ってるような頃って、ほんのつかの間だ。親の感傷なんかどこ吹く風と、子どもはずんずん大きくなるわけで、そういう「ほどよいあきらめ感」に共感する。
あと、表紙の絵がとてもいいです。 -
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いやあ、予想以上に面白かったなあ。伊藤理佐さんが描く「オットの人」とはまた違う戦車さんの姿が味わい深かった。
伊藤さんの育児マンガは、完璧に「作品」になっていて、そこが身辺ネタ漫画として西原理恵子さんと双璧をなす素晴らしさだと思うのだが、戦車さんのは、少しホンネがのぞいていて、これがまた面白い。子供を心からかわいく思う一方で、そういうフツーの日常に煮詰まってしまう気持ちも時々描かれる。そうだろうな、「いいお父さん」っていうだけじゃないものってあって当然だよなと思う。
「天才」吉田戦車のファンの中には「こんなもの描くな!」と怒る人もいるようだけど、気持ちはわからないでもないが、そんな心の狭いことを言いなさんな。 -
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【本の内容】
戦車イン電車!
激走!
鉄道の旅エッセイ。
人気漫画家が鉄道の気配と麺を求めて全国を巡る「電車の旅」エッセイ。
懐かしいセンスあふれる近鉄特急で「いつもと違う感」を満喫。
伊勢うどんをすすれ!大江戸線では異様な駅名「面き番」に困惑し、西武多摩川線で八王子系ラーメンに邂逅。
健康的イラスト&写真満載の○(マル)車シリーズ第2弾。
[ 目次 ]
ああ近鉄!―伊勢湾にひびく巨獣の咆哮
魚罵倒!―ゴッドパワーを信じて
Vゴール!―魂の兄弟たちとの出会い
生玉ネギ!―ナイスバイク号はおかんむり
六本木!―ああミニスカポリスの脚
サンドイッチ!―胆沢平野に白鳥は舞う
ザネリ!―賢治ゆかりのつるつるしたもの
ジェームス!―八方尾根にコンタクトは光った
レール!―歳三うどんはミルク入り
戦車誕生―よみがえれスマートな俺よ!〔ほか〕
[ POP ]
吉田戦車が電車に乗って旅に出る。
そこで見たもの、聞いたもの、食べたもの、思ったこと、考えたことを自由気ままに綴った紀行文。
「吉田戦車というと、えーっと、かわうそ君、だよね……?」くらいの知識しかなくても、存分に楽しめる。
過激で豪快で破天荒な雰囲気を勝手に想像しつつページを開いたが、まったく違う。
実につつましやかで、ほほえましくて、こんな言われ方は心外だとは思うが、なんだかかわいらしい。
行く先々で必ず面白いことに出会う、あるいは面白いことを見つけてしまう、思いついてしまう著者のアンテナの冴えっぷりが素敵。
何かしてやろうという意気込みはまったくないのに、それどころか、かなり気の抜けた旅路なのに、あんなことが起きたりこんなことに遭遇したり。
ところどころに添えられたイラストも、なんとも楽しい。
本書の前後に出された「吉田自転車」、「吉田観覧車」も読まずにはいられなくなること請け合い。
そこかしこで顔がにやけたり吹き出しそうになったりしてしまうので、電車のなかなど人目のあるところで読むのは避けるべし。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]