吉田戦車のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私は“ら抜き”や“さ入れ”が嫌いなクセして、“ワラける”をよく使うんです。先日、「“ワラける”は日本語としておかしいからやめたほうがいい。“ワラける”を使うのは小薮とアナタぐらい」と飲み仲間のお兄さんから言われました。でも、この本はワラける。挿画もページを増すごとに可笑しくなる。「ごー」とか「うひょー」とか、擬態語まで可笑しい。
ありますよね、そのときは要ると思って買っちゃったもの。白衣高血圧の私は血圧計を買いましたが、家であっても血圧を測ると思った瞬間に上がるのでほとんど使えず。ジャマやっちゅうの。使わないあれこれを見ていると、人はなぜ学習できないのかと愕然。それも楽しいけど。 -
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Posted by ブクログ
マンガ家吉田戦車さんの買い物エッセイ。
マンガは各ひとコマくらいで、文章のエッセイ。買うまでエッセイマンガかと思ってた。前作「ごめん買っちゃった」も読んでいるのに。でも、そのときも書いたけど、吉田さんの文章がすごく好き。
今回も読んでいてなんだかすごく心なごんだ。
あと、いろいろ調べて万全を期して買っているようなのに、そしてその買い物に成功したようなのに、「その後」で「使ってない」とか「もとに戻った」とか書かれていると、そういうものですよね、とすごく共感する。
買い物って奥深い。
吉田さんが「レビュー」をかなり参考にしていて、買ったあとからも見たりしているのを知って、わたしももっとレビューを読 -
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相変わらずの取合せの強烈さ、意外性。
しかも意外性を何事もないやうに成り立たせてゐるところがただシュールであることに留まらない奇妙な面白さとなつてゐるのだと思ふ。
象の怒りでは、長編のストーリーを組み上げやうとすば、整合性やら物語世界を成り立たせやうと彼のみせる意外性は死んでしまふことであらう。よくわからないうちに始まり、よくわからないうちによくわからず終るくらいが、シュールさを保てるに違ひない。ことばだけが先行したスパイにFAX、なによりも象が象のままで人間のやうに何かするといふところの取合せが何をするでもとにかく強烈なシュールさを放つ。
後半作品は、やはり吉田戦車ならではといつたところだら -
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Posted by ブクログ
このひとの言語感覚は本当にいつも驚かされる。
ことばの意味といふものが、これほどまでに不可解なものだといふところまで連れていつてくれる。しかも、それを叫んだり苦しませたりするのではなく、極めて軽妙に成すところが、稀有な点である。
5歳児やうさぎが課長であつたり、OLが男だつたり、兄(父)が嫁にいつたりと、一見すれば何が起きてゐるのかわからないほどの状況であるが、うさぎ語の理解できる相手や人間もどきであるならこうした状況は何の不思議もなく成立してしまふのである。一体意味とは何なのか。否、何が一体意味なのか。キャロルのナンセンスと同じ場所に辿り着く。 -
Posted by ブクログ
そろそろではないかと思っていたが、やっぱり完結かあ。戦車さんの連載は、子どもに心からの愛情を注ぎつつ、「お父さん」としての自分を、距離を置いて見ているところがとてもよかった。理佐さんの「おかあさんの扉」とはまた違った味で、もしかしてこっちの方が好きかも。
最終回もいつもと同じタッチであっさり終わっているけれど、「にゃーちゃん」の歌はやっぱりしみる。抱っこされて、まわらない口で歌ってるような頃って、ほんのつかの間だ。親の感傷なんかどこ吹く風と、子どもはずんずん大きくなるわけで、そういう「ほどよいあきらめ感」に共感する。
あと、表紙の絵がとてもいいです。 -
Posted by ブクログ
いやあ、予想以上に面白かったなあ。伊藤理佐さんが描く「オットの人」とはまた違う戦車さんの姿が味わい深かった。
伊藤さんの育児マンガは、完璧に「作品」になっていて、そこが身辺ネタ漫画として西原理恵子さんと双璧をなす素晴らしさだと思うのだが、戦車さんのは、少しホンネがのぞいていて、これがまた面白い。子供を心からかわいく思う一方で、そういうフツーの日常に煮詰まってしまう気持ちも時々描かれる。そうだろうな、「いいお父さん」っていうだけじゃないものってあって当然だよなと思う。
「天才」吉田戦車のファンの中には「こんなもの描くな!」と怒る人もいるようだけど、気持ちはわからないでもないが、そんな心の狭い