平岡敦のレビュー一覧
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物語はロンドン警察の巡査が中世風のペスト医者を発見することから始まる。いかにも怪しい風体に加え、ゴミバケツになにかを隠していたように見えたので、巡査はその男を呼び止め、ゴミバケツを確認してみる。だがそこには何も見つからなかった。男は落ち着いた風で、自分は犯罪学博士だと名乗る。てっきり頭がおかしいのだと思いその男を解放するが、もう一度ゴミバケツの中を見ると、そこには死体があった。
事態はありえないような状況からさらにありえない状況へとエスカレートしていくのが、最後には綺麗にまとめ上げる手腕はアルテならではのもの。途中どう収拾をつけるのか楽しみでしょうがなかった。 -
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さすがのルパン!ホームズやポアロ、クイーンといった探偵やミステリ系の主人公って、たいがいは頭が良すぎて能力が高すぎるため、上から目線だったり自信たっぷりさが「いけ好かない」感をにじませるものですが「豪快なまでの傲慢」感が突き抜けちゃって、なんとも言えない魅力になつているのが、アルセーヌ・ルパン。たいがいは冷静さが勝って色恋にはギリギリの距離感を保つ(ゼロも多い!)のに、女好きでありしかものめり込むというアルセーヌ・ルパン。大仰だったり偶然が重なりすぎたりちょっとご都合よいところもあるけれど、魅力的なキャラクターがたくさん詰まっていて、まぁいいか、となる。カリオストロというワードは、やはりそれだけで魅惑的。さらにそれに見合った濃いキャラクターを書き込みつつ、謎解きを含めた疾走感のある物語に引き込まれる。常識的には、ルパンのあの性格と女性の扱いに文句があるが、読みものとしては納得してしまう、、、。キャラクターたちのややこしい精神世界と劇場的なセリフは、フランスだなー、と思う。
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ネタバレ陰鬱とした雰囲気。側から見ると異常だが、常識化している掟。カダレは掟世界に一石を投じたかった側面もあるのか?それよりは、それを題材に死が身近になった者達がまとう、違うもの、を描きたかった方が強そうか。
果たして、ディアナは何故抜け殻になったか。死に備える者達の巣窟では、心理が耐えきれない喪失を生じさせるのか。あるいは殺人者の巣窟は、自己との差があり過ぎて、心理が耐え切り得ないのか。
果たして、最後の、殺した者が自分だった点はどのような意味を持つか。掟に囚われ、殺人を犯す者は自分と同じように義務感に囚われている、ということを指しているのか。決まり・義務の只中にあると、殺しは我々が想像するような悪意とは離れた場所にあるということか。これは、この小説の異常世界以外でも生じうる構造か。義務の中での殺しは悪意とは離れている。これは戦争も同じか。殺しが当たり前化している。ただし、戦争は殺され待ちが確定するようなことが無い点が異なるが。とすると、殺しに拘らず実は異常に思えることが義務化している、という事象を考えると良いか。 -
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ネタバレあとがきで知ったけれど、これ災厄の子供たち三部作(未購入)の続きだったんだな……こちらから読んでしまった。いやしかし、それでも面白かった。曲者揃いのペルティエ一家を軸とした圧巻の群像劇。
全員異なるベクトルで狂人というか……。中でもスペック的には最も冴えない長男ジャンが冒頭からさらっと通り魔殺人をかましており、もはや悪癖のように語られるそれに戦慄。しかも弟フランソワは新聞記者で、兄が起こした殺人事件をそうとは知らずに取り上げ、出世街道を邁進するというスリリングすぎる展開。ジャンの妻で毒婦ポジションのジュヌヴィエーヴも絶妙に憎めないところがある。
三男エティエンヌのエピソードだと、シエウ・リン教団のパレードで教祖ロアンの正体に気付くシーンが好きだな〜。サイゴンという異質な街で存在感を示す教団のトップがまさかあの男とはね……。亡き恋人への愛故に静かに壊れていくはずだったエティエンヌが辿る数奇な運命、とても読み応えあった。
末っ子のエレーヌは何と言っても物語最後に母親とサイゴンを訪れた時に見せた、飾らない素のままの姿が1番魅力的なんじゃあなかろうか。憧れのパリで何者にもなれないと藻掻いていたけれど、エティエンヌを想ってなりふり構わず行動できる彼女は強いなと思った。まぁ事の決着を付けた母親が1番強いのは言わずもがな。
これが栄光の時代三部作の第一弾らしいので、新刊を楽しみにしている。 -
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むむ、黄色い部屋だと。なぜ黄色…。落ち着かないやろなあ。居心地の悪さでは徹子の部屋と双璧であろう。
さておき、最古典の密室ミステリーだそうで。
まあ、スゴかったですよ。
とにかく神作品を作るぞって気概をガストンルルーから感じました、そうビンビンにな!
なにせストーリーテリングが上手い、推理小説以前に読み物としてのレベルの高さが尋常じゃないです。
謎をもったいぶって、値打ちこいて、まあ自らガンガンハードル上げていくタイプのルルーさん。最後の法廷のシーンでのテンションはこっちが心配になるほどに期待感を高めてきます。
基本、主観は助手役の弁護士視点なんですが、探偵さんが書いた書簡を引用して探偵目線でのシーンを作ってみたりと、随所にテクニックを見せつけてくるルルーさん。さすがです。
で、肝心のトリックやオチですが…、これは漫画です。誰やねんです。
しゃーない100年以上前の作品ですからね。
続編読めば分かるのかな。
まあ差し引いてもとんでもない小説かなと。
以上、100年前の約束された神作、黄色い部屋の謎の感想でした。しかし、なぜ黄色…。
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ルルー氏はあの有名な「オペラ座の怪人」を書いた作者であると言う事で御座いますが、年代的には「黄色い部屋の謎」の方がどうやら先に書かれた作品の様であります。
こちらは早川書房様からも「黄色い部屋の秘密」として発売されており、散々悩んで私は創元推理文庫の方をを購入。
勿論ハヤカワ文庫も数多く所有致しておりますが、如何せん合うカバーがないのがデメリット。
ただ私は大好きな水色のA4カラーコピー用紙を文房具店で購入し、それをカバー代わりに使っておりますので、まあ問題ないと言えばないのでありますが(笑)。
では、あらすじを。
勲章を授与されるほど有名な科学者であるスタンガルソン教授と、その令嬢マティルド。
二人が住む森の外れにあるグランディエ城には父親の仕事用の実験室があり、其処でアカデミーに発表する研究を続けながら娘も助手として父親を支えていた。
この日の夜も父親と娘、そして昔から一家に使えている老人ジャックは三人で実験室にいたが、先に休むと言い残して娘はすぐ隣にある寝室へ入って行った。
しかし、暫くして突然娘の悲鳴が聞こえて来る。
慌てて父親とジャックがドアをぶち破ると、其処には寝間着姿の娘が瀕死の重傷を負い、血の海の中に倒れていた。
窓もドアも鍵が掛けられていたその「黄色い部屋」と呼ばれる密室には、娘の姿しか見当たらない。
一体、襲撃者は何処へ消えたと言うのか?
この事件の謎に挑んだのは若き新聞記者、18歳の青年ルルタビーユ。
パリ警視庁の名警部ラルサンと謎解き合戦を繰り広げながら、父親、ジャック、娘の婚約者、城の門番夫婦等、何か隠し事がありそうな関係者達を次々と問い詰めつつ、徐々に事件の真相に迫って行く。
果たして、どちらが先に犯人を突き止めるのか?
密室で娘を撃ち、其処から見事に消え失せた人物とは?
残念ながら私は「オペラ座の怪人」は未読でありまして、こちらの「黄色い部屋の謎」も100年以上も前に書かれた作品で御座います故、果たして世界観に馴染めるかと正直不安ではあったのですが。
そんな心配は、全くもって無駄で御座いました!
物語の初っ端から世間がこの「黄色い部屋の事件」で盛り上がっている様子が書かれており、娘の容態や父親の崩れ落ちるような心神喪失ぶりも共感出来る所があって、あっと言う間に物語に引き込まれて行きました。
探偵役のルルタビーユが18歳の若さである事に驚いたのですが、彼は真っ赤で真ん丸の福顔で人当たりが良く、どんな荒んだ人間も魅了する気のいい男だそうで御座います。
いや~、様々な証拠や登場人物達の聞き込みにより事件は二転三転して行く訳なんですけれども、どの人物も何となく怪し過ぎて読みながら大分振り回されました(笑)。
ルルタビーユは持ち前の頭の回転の良さで、周りがちょっとイラっとしてしまう程「自分だけは分かっている感」を出したりもするのですが。
最後、犯人が分かった時は「えーっ?そんなのアリ?」と、ちょっと吹き出しそうになりました(笑)。
まあ…思い返せば所々おかしな行動を取っていたと言えば取っていたのですが、逆にそう言う行動を取る事も…ある、か…なぁ…?と勝手に自分を納得させてしまっていたので、やっぱり其処で疑うべきでした(笑)。
ラストの展開は、まだこの物語には続きがありそうな雰囲気を醸し出しており、実際続編が出ているようなのですが、恐らく絶版になっているのではないかと思われます。
東京創元社の皆様!!!是非とも続編の再販を!!!!!