平岡敦のレビュー一覧

  • オペラ座の怪人

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    ネタバレ

    光文社古典新訳文庫のキャッチフレーズ「いま、息をしている言葉で」の通り、読みやすいです。
    訳者である平岡敦先生の解説も興味深いです。

    読んでいる途中、アンドリュー・ロイド=ウェバーの音楽(劇団四季のミュージカル、ジェラル・バトラーとエミー・ロッサムの映画)が何度も頭の中で流れていました。

    ミュージカルや映画は設定が多少変えられていますが、本質は同じ。
    「彼はただ皆と同じ人間になりたいと願っただけなのに。けれどもあまりに醜すぎた。もしも容貌があれほどでなければ」

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    2025年11月18日
  • 世界ショートセレクション1 ルブラン ショートセレクション 怪盗ルパン 謎の旅行者

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    子供のころ、夢中になって読んだルパンもの。その後も、度々手に取ってきた。実家にはルパン全集のうち数十冊が揃っている、というくらいのルパン好きです。恰好いいんだよなー、大胆不敵で自信家で、強くて優しい正義感。そして常に困難に挑戦して冒険を楽しんでいる。
    世界ショートセレクションのこちらも最高です。「怪盗ルパン」「ルパンの告白」「八点鐘」からの計4作品。わくわくしながら読みました。

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    2025年10月30日
  • ミゼレーレ 下

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    怨恨か、ヘイトクライムか、国家の垣根を超えた陰謀か、
    二転三転、時には振り出しに戻り、どこへ連れて行かれるか予測できないページターナーで一気読み。惨い描写もあり、魂の傷付いた刑事と元刑事2人の捜査は地獄巡りの様相を帯びるも目を逸らすことは出来ない。

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    2025年08月23日
  • 欲望の大地、果てなき罪 下

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    あー面白かった。上巻とは違い怒涛の展開で一気読み。新シリーズの序章という事でまだ不明確な部分はあれど、次回作がすごく今から楽しみ。
    「天国でまた会おう」また読みたくなった。
    (ニーヌって何者?)

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    2025年08月19日
  • 欲望の大地、果てなき罪 下

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    終わり方に絶叫!
    続編があるのね、一族の大河ドラマなのね、フランスでは既に発行されてるのね、と自分を納得させる。始めに長男夫妻が鼻持ちならない印象を受けたが、訂正します。暗くなりがちな展開にアクセントとなり、少し気分が上向くのは希代の悪女ぶりを発揮する長男の妻のお陰。そして激情に駆られての殺人をやめられない長男のお陰。それに比べるとどんな過去にしろペルティエ家の両親は素晴らしい。アンジェルにも拍手、彼女を信じる夫のルイにも拍手。

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    2025年07月29日
  • 誰が星の王子さまを殺したのか?

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    筒井康隆大先生が昔、乱調文学大辞典という作品の中で、星の王子さまについて、「犯人の息子」といってたような…

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    2025年06月22日
  • ミゼレーレ 下

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    音楽、武器、宗教、社会問題に対する深い知見を材料に、そうくるか!の連続する展開。しばらくこのストーリーテラーにハマりそう。

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    2025年06月04日
  • 世界ショートセレクション1 ルブラン ショートセレクション 怪盗ルパン 謎の旅行者

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    3年ほど前に、神保町を歩き回っていた時立ち寄ったブックハウスカフェでやっていた「理論社75周年記念フェア」をのぞいた際に購入。

    ヨシタケシンスケさんの表紙がかわいい、ルパン好き、で選んだ一冊でした。

    とても面白かった。
    これは同シリーズのⅡも欲しい。
    個人的には、「塔のうえで」〜「秘密を明かす映画」がワクワクして楽しかったなぁ。

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    2025年05月24日
  • 恐るべき太陽

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    うわあ!またすごい作家に出逢えた!!
    大ネタがわかったときは、大袈裟でなく声を上げてしまった。自宅でよかった。

    解説の阿津川辰海によれば(その解説が読めるのも豪華。ぜひ解説まで読んで欲しい)、フランス・ミステリーの真髄は「かたり」にあるそうで。
    気持ちよくやられた〜という、ミステリ好きとしては素晴らしい読書体験だった。シチュエーションもかなりクローズド・サークルに近いし、島での殺人事件なんて面白くないわけがないでしょう。

    ミシェル・ビュッシ、わたしが知らなかっただけで、翻訳されている既刊がけっこうあるみたいなので、読破したいと思います。フランス・ミステリーはあまり読んでこなかったからとても

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    2025年05月08日
  • 地底旅行

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    地底旅行、、冒険心がそそられる表題に惹かれて読み始めて途中でジュールヴェルヌって、、
    え?あのディズニーシーの海底二万マイルのモデルになった作品の作者?って気がついた。
    ちょっとちょっと、この世界観大好きなやつ。
    実際に地底に入るまでのところまでが結構長くて半分くらい、地理苦手なのでドイツからアイスランドまでの道程は、退屈だったけど、地底に入ってからはワクワク、残りのページ数が少なくなってきて、これで終わらせられるの?って心配になってきたけど、ちゃんと終わる。
    振り返ればまさにアトラクションでした。
    他のジュールヴェルヌも読みたい!

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    2025年01月05日
  • 地底旅行

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    少年時代に出会いたかった冒険譚。1864年発表というのが信じられない。
    自分の貧相な想像力ではついていけない部分あり。

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    2024年10月19日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    『十角館』フェアのアガサ→ポウ→カー→エラリイ→ヴァンに続いて、6人目「ルルウ」こと、ガストン・ルルー初読み。

    『オペラ座の怪人』で有名なガストン・ルルー。
    移動手段は馬車の時代。1908年と年代が古いので読みにくいかと心配だったけど、さすが新訳版!読みやすくスラスラ読める。

    内側から施錠された完全な密室で令嬢が襲われた。犯人は一体どこに消えたのか…

    謎に挑むのは、弱冠18歳の新聞記者ルルタビーユとパリ警視庁警部ラルサン。

    犯人がわかってもなかなか明かさずに、かなり焦らされる。
    でも全てがわかった時に、密室トリックの謎と、なぜ焦らされたのかに「なるほど〜!」とすごい納得できた。
    キーワ

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    2024年10月13日
  • ミゼレーレ 下

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    ジャン=クリストフ・グランジェ『ミゼレーレ 下』創元推理文庫。

    下巻に突入。型破りのフランチ警察ミステリーである。何しろ、捜査権を持たない62歳の元刑事とヘロイン依存症で休職中の若手刑事がコンビを組み、謎のベールに包まれた巨悪に挑むのだ。

    久し振りにグランジェ劇場を堪能した。


    アルメニア使徒教会で聖歌隊指揮者でオルガン奏者のウィルヘル・ゴーツが謎の凶器で両耳の鼓膜を破られ、殺害された事件を切っ掛けに、同様の殺人事件が連鎖していく。周囲に血文字で書かれた聖歌『ミゼレーレ』の歌詞。

    捜査権のない元刑事のカスダンとヘロイン依存症で休職中の刑事ヴォロキンにより明らかになる聖歌隊の少年たちの失

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    2024年10月03日
  • ミゼレーレ 上

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    ジャン=クリストフ・グランジェ『ミゼレーレ 上』創元推理文庫。

    何年振りに文庫化されたグランジェのミステリー小説。

    その昔、海外翻訳物の連続殺人鬼ミステリー小説ばかり読んでいた時期がある。扶桑社海外ミステリーが創刊され、勢いのあった時代である。グランジェもその時に読んだ作家の1人であった。その時は、後に映画化された『クリムゾン・リバー』と『コウノトリの道』を読んだ。2作とも非常に面白く、その後『ヴィドック』と『狼の帝国』も読んだ。

    それから何と長い時間が経過したのだろうか……

    さて、本作の上巻であるが、やはりグランジェだった。何とも重厚な雰囲気の中で奇怪な殺人事件が描かれる。謎が謎を呼

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    2024年10月03日
  • 天国でまた会おう 上

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    ネタバレ

    三部作の最初の物語ですって。
    舞台は第一次大戦下のヨーロッパ。もう終戦間近で、戦況も大勢は決していて、とっとと終わりたいってな状況。それなのに、最後に一発、ダメ元で手柄を立てようとするプラデル中尉の命令で、絶望的な攻撃に駆り出されてしまうアルベールとエドゥアール。からくも生還したものの、エドゥアールはアルベールを助けるために、顔を激しく負傷してしまう。終戦後パリに戻っても、障害者となったエドゥアールを抱えて、アルベールの生活は貧困を極めます。なぜか、エドゥアールが傷痍軍人向けの年金を受けとろうとしないし、大富豪の子息なのに身分を隠そうとするからです。
    どうも、エドゥアールは親と確執があるっぽい

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    2024年09月27日
  • あやかしの裏通り

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    ロンドンの霧深い夜に現れる「あやかしの裏通り」
    そこに入り込んだものは不思議な光景を見て、その後行方知れずや精神を病んでしまうらしいが……。
    オーウェン・バーンズシリーズ邦訳一作目!

    楽しいー!!わくわくが止まらないー!!
    不思議な通り、不気味な人々、謎の建物の中で目にするのは本来見えないはずの光景……。
    謎としても最高だし、トリックも納得(アルテにしてはかなりスマート)何よりもキャラが!最高なんですよ!
    二十代後半、細身でイケメン(おそらく)で美と美女が好きな探偵×南アフリカ育ちで体格良しの自信家、正直、頑固な語り手、というバディ……ありがとうございます大好物です(笑)
    警部も良い……逃亡

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    2024年05月29日
  • カリオストロ伯爵夫人

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    物語の核とはズレる愛欲に塗れたジョゼフィーヌとの時間が深く描かれておらず、変にラブロマンスに寄りすぎず冒険譚としての形を保てていて良かった。
    ラウールの心の揺れ動きや心躍る冒険と知略の数々の描写が上手い。訳も文句なし。

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    2024年05月13日
  • 天国でまた会おう 上

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    読み終わったあーー!

    いざ三部作を読み終え
    感じるのは、

    戦争の悲惨さと人々の
    決裂が描かれてるのに、

    読後感が意外に爽やか
    なこと。

    悲惨な状況の中でこそ
    慈悲深い行いが輝くし、

    決裂の先に和解もある
    からかしら。

    パリっ子ルメートルの
    エスプリに富んだ表現
    の数々はさすが。

    ハッピーエンドという
    わけじゃないけれど、

    いずれの作品も読者に
    希望を抱かせる物語の
    畳みかたで、

    その点もまた良かった
    です♪

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    2024年04月28日
  • 天国でまた会おう 下

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    ここから始まる厄災の
    子供たち三部作。

    己を利するためならば
    他人の犠牲を厭わない
    将校プラデル。

    彼の犠牲となる一兵卒
    のアルベールとエドゥ
    アール。

    生埋めにされて下顎を
    吹き飛ばされて、

    身も心も息絶えた二人
    が再び息を吹き返し、

    と、まあシナリオは横
    に置いておくとして、

    搾取する者とされる者、

    いつの世にもある憐れ
    な人間模様が、

    心に掻き傷を残します。

    でも物語の畳みかたは
    好きです♡

    この喧騒まだまだ続き
    ます。

    なんてったって三部作
    ですから。

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    2024年04月28日
  • われらが痛みの鏡 上

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    あのときこうしてたら
    ああしてたらと、

    正しい選択と間違った
    選択があったかのよう
    に、

    私たちはあとから思い
    返しますが、

    どのように振舞おうが
    けっきょく行き着く先
    に大差はないのではと。

    フランスの歴史が転換
    する激動の時期に、

    戦争という極限の状況
    下で、

    すべては必然であるか
    のように進行する物語。

    千年の時を僅か一瞬に
    感じるような、

    大きな大きな存在から
    眺めれば、

    大河に浮かぶ木の葉の
    ように、

    私たちは運命という名
    の大きな流れに逆らえ
    ない存在。

    極端な喩えをするなら、

    静止画とさして変わら
    ない存在ではないかと。

    三部に及ぶ長大な物語
    の最初と最

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    2024年04月25日