平岡敦のレビュー一覧

  • 炎の色 上

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    『天国でまた会おう』の続編だが、前作を読まずに本書を読んでも楽しめる。
    天国でまた会おうでは第一次世界大戦直後の物語だった。本書は第二次世界大戦の足音が聞こえてくる1927年〜1933年が舞台でペリクール家の物語となっている。
    7歳のペリクール家の子息が3階の窓から落ちるという悲劇的な場面から始まる。上巻の後半で真相がわかってくる。
    フランス人の名前は、聞き慣れておらず、最初は名前を覚えるのに少々苦労した。
    そんな苦労を乗り越えられたら、もう作者の世界にどっぷりハマってしまう。ここまできたら下巻一気読みに突入。

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    2022年07月18日
  • 炎の色 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    とはいえ、騙されて財産を失い、
    息子を傷つけられ車椅子生活になってしまったことを恨み、
    復讐をすることを決意するマドレーヌ。

    元夫の部下を金で雇うだけでなく、
    マドレーヌ自身も危ない橋を渡り、
    三人の男たちと一人の女性に
    (前作と違って)見事に復讐が果せて良かった。
    ナチスドイツに飛行機の情報を売ったと見せかけて、
    大金を手に入れ、かつ銀行家を陥れた手口は面白かった。

    息子の世話をする明るいポーランド女性や、
    息子が傾倒するディーバと
    印象的な女性たちも良かったので、
    前作より楽しめたが、
    実際の団体や事件が取り入れているらしく、
    そこらへんがわかっているとさらに面白かった

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    2022年07月04日
  • 炎の色 上

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    ネタバレ

    「天国でまた会おう」の続篇。

    前作で登場した、顔に穴の開いてしまった兵士の家族、
    銀行家の父の葬式から話が始まる。
    孫息子が三階の窓から落ち、
    一命をとりとめたが、歩けなくなってしまう。
    銀行家の唯一の相続人である母マドレーヌは、
    息子を看護するが…。

    前作で、容姿にひかれて結婚した夫を、
    詐欺を行ったと知り見捨てたマドレーヌ。
    今回もろくでもない男を息子の家庭教師として招き入れたり、
    長年勤めていた銀行の上級管理職員を手ひどく振ったり、
    しかもその男に資産のことを任せっぱなしにしたりと、
    ある意味、自業自得で財産を失う。

    (下巻へ続く)

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    2022年07月04日
  • 狂人の部屋

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    全体的にゴシックやオカルト風味たっぷりの雰囲気の中、不可能犯罪?が起こる。
    トリック(?)は少し物足りない+力業な気もするが、総じて面白く、安心して読める一冊だった。

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    2022年06月07日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    ネタバレ

    密室ミステリーの古典的なお話。

    ルールタビーユが犯人をなかなか言わないところにじらされてしまったが、それも、マチルダ嬢を守るため。紳士だと思った。

    たまに古典ミステリーを読むのもおもしろい。

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    2022年05月31日
  • 天国でまた会おう 下

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    原題 AU REVOIR LÀ-HAUT

    そして、明日は存在しない
    何らかの結末は必然的に訪れる

    前者はエドゥアールの、後者はマルセルの、彼ら父子の邂逅そのものを端的に表してる気がします。
    戦争が二人を分かたなくても既に交差する余地はなかっただろうし、それでも接点があるのであればああいう終わりしかなかったかな…と。
    〝感謝〟は、誰にも渡さないで済んだ親のエゴ…?でしょうか。

    さよなら、天国で
    タイトルはMartyrs de Vingréの一人、Jean Blanchardが妻宛に最後に記した言葉より。
    人の、底知れぬ悪意というものがどんなものか、
    人の、逃れ得ぬ義務とはどんなに悲劇で喜

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    2022年04月25日
  • われらが痛みの鏡 下

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    ネタバレ

    長い長いお話がようやく完結。
    一言でハッピーエンドなんて言うべきお話ではないはずだけど、ようやく帰結きた感はあります。
    しかし、初期の疾走感とノワール極まった小説はもう読めないのかな。

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    2022年02月15日
  • 第四の扉

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    雰囲気も良く物語の展開も早くて一気に読めるし、内容も面白かった。そして最後は、なるほど…となる展開。個人的に好き。翻訳ミステリーはカタカナの登場人物の名前を覚えられないから苦手、という方にはおすすめ。人物関係が分かりやすくて理解しやすい。

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    2022年01月22日
  • 狂人の部屋

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    タイトルから示唆されるように、過去に不自然な死が起こった書斎を舞台に、謎の事件が続く。
    取り憑かれたように、書斎に閉じ籠り、物語を書き綴っていた、館の現当主の大叔父。
    彼の突然の書斎から出た瞬間の死、書斎の暖炉のそばだけ絨毯が水浸し、疑問は解かれることなく、不審死のまま、書斎と共に封印されてきたが、当主の結婚を契機として、封印が解かれる。
    この館を舞台として、2組の結婚により住むことになった人々の間で、書斎の開放とともに、過去の不審死を彷彿させるような事件が起こる。
    登場人物の因縁めいた関係が絡まり、事件は暗礁に乗り上げるが、地元の警察署長から個人的な依頼を受けたロンドン警視庁警部が、犯罪学者

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    2022年01月13日
  • 混沌の王

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    ははは…いや、良いんじゃないでしょうか。
    雪に囲まれた屋敷と祟られた一族、鈴の音と共に現れる白い仮面の怪人の伝説、霊媒師による交霊会、足跡のない連続殺人、… そんな、クラシカルな怪奇趣味のミステリーがお好きな…物好きな方限定でお薦め。笑

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    2022年01月10日
  • 死まで139歩

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    舞台は1940年代のイギリス。PCもスマホも無い時代の中、犯罪学者のツイスト博士を中心として小さな綻びから事件の解明をすると言う内容。ホームズものにも通じるクラシカルな雰囲気が好き。

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    2021年12月26日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    ネタバレ

    密室トリックそのものより、人間の物語として面白く奥深い。人に隠しておきたい過去、現代も社会面を賑わす人間の煩悩、出生の秘密。
    百年ほど前の家族の物語。最後に読者を「黒衣婦人の香り」を読みたくさせて終わる。

    マイナス点
    100ページほど読み進むとその本の世界に引き込まれる、のが良い本、、この本は、200ページ以上、我慢した。
    更に、推理小説の先輩、エドガーアランポーとコナンドイルをけなして、更に彼らのトリックのネタばらしまで文中に書る。明らかに作家としてマナー違反。話の展開も稚拙な部分が随所にあり

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    2021年11月06日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    本屋で見かけて衝動買い。密室ミステリーの古典的傑作との評判に納得。陳腐な印象を受けた読者もいたようだが、百年以上も前に書かれたことを考えたら、それも当然である。むしろ本作を参考にいろんなトリックを考えついた作家さんが現代では多いと考えた方が良いと感じた。

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    2021年09月25日
  • クリムゾン・リバー

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    大学町で次々に発見される惨殺死体と別の町で起きた謎の墓荒らしと盗難事件。
    二つの事件がどう繋がるのか気になってページをめくる手が止まらなかった。
    明かされた真相に驚愕すると同時に「あれもこれも伏線だったのか!」と叫びだしたい気持ちになった。
    ラストも予想外で、最後の最後まで気が抜けない作品だった。

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    2021年08月19日
  • 炎の色 下

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    ネタバレ

    ダレることなく最後まで一気に読んだ。
    おっとりとしていた主人公が、冷徹に大胆にひとりひとり罠にかけていくさまは実に痛快。
    ポールとソランジュの美しいエピソードも素晴らしい。
    バカップルのドタバタコメディも復讐譚のなかで程よい分量。
    デュプレとの抑制の効いた愛情の芽生えで物語が閉まるという最高の読後感。

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    2021年05月08日
  • フランス組曲

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    去年マリエンバードとか、デュラスの、アンニュイ系を想像して、手に取るのをためらっていたが、いい意味で違った。今までの作者のイメージが変わった。戦争が始まって、敵に侵略される話だが、暴力描写などはなく、国が、今までの生活が崩れて行く様子を、人間の精神的、物理的な枯渇をまざまざと書いていて、なんというか、いい意味で人間の俗っぽさが書かれ、でもあくまで上品に、感情の起伏は丁寧に描かれ、今までの私小説っぽい作品とは違う、歴史的な本だった。

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    2021年04月24日
  • 第四の扉

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    初ポール・アルテでどんな作家なのか知らないままに読んでいましたが、なかなか凝ったプロットとアジな演出な作品でした。
    次々と起きる事件やおどろおどろしい物語背景から、なんかあの人の作風のモノマネっぽいなあと思っていたら、これはオマージュだったんですね!(^-^)
    後半のトリックの種明かしで題名がそのまんまやんけ!と心のなかで叫んでいましたが(笑)、どうりでこれもオマージュっぽさを出していたんですね!(^-^)
    最後はそのオマージュも勢い余って飛び出していて、これまたびっくり!!
    半分ニヤニヤもんのラストなだれ込みでした!(^-^)
    読み終わってみて、警部がみんなを集めての推理披露とか、一人称の語

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    2021年04月04日
  • ブラック・ハンター

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    この人の本はその風景が想像できるので非常に面白い。登場人物も警察の人間なのに普通っぽい感じの女性が出てきたりして描写もいい。あとは起こる事件が比較的猟奇的な内容なので私好み。

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    2021年03月20日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    ネタバレ

    古典密室小説の金字塔。確かに古さは感じたものの今読んでもかなり楽しめたと思う。フーダニットハウダニットも素晴らしい。当時もてはやされたのも理解できる。
    探偵役のルルタビーユも魅力だった。しかし、解決編まで長かったし、法廷に立っても18:30まで引っ張るのは冗長に感じる。短気な僕はイライラした笑

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    2021年03月15日
  • 世界ショートセレクション1 ルブラン ショートセレクション 怪盗ルパン 謎の旅行者

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    世界ショートセレクション①
    ルブランショートセレクション
    訳 平岡敦 絵 ヨシタケシンスケ

    ルパンが初めて登場した作品
    1905年「ジュ・セ・トゥ(われ、すべてを知る)」という雑誌に発表した「アルセーヌ・ルパンの逮捕」という短編
    「謎の旅行者」(第一作短編集『怪盗紳士ルパン』)
    「赤い絹のショール」(第二作短編集『ルパンの告白』)
    「塔のうえで」「秘密を明かす映画」(『八点鐘』)

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    2020年12月03日