平岡敦のレビュー一覧

  • 天国でまた会おう 下

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    戦後、称えられる戦没者、生きて行かねばならない帰還兵。
    いつの戦争でも、勝者も敗者も、苦しみしか残らない。

    上巻の前半は第一次大戦時の独仏前線での戦いが兵士目線で描かれていて、映画「プライベートライアン」のノルマンディ上陸場面のような迫力迫る描写で圧倒される。
    特に主人公の一人アルベールが生き埋めとなるシーン、それに続くエドゥアールの負傷と脱出の様子は、息つく暇もないほどの迫力がある。

    悪役ブラデルの戦後の描写でややスローダウンしたが、下巻、エドゥアールの仮面作りと大掛かりな詐欺計画が進み始めると、ブラデルの描写も結末へ期待をこめて大いに盛り上がっていく。

    「絶望からくる狂気に翻弄される

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    2023年03月13日
  • 第四の扉

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    紹介文の「歴史的傑作」は随分盛ったなぁと思いながら読み進めたけど、確かにこれはその名に恥じない大傑作…!
    こんな構成のミステリーは読んだことがない。小説ならではの仕掛け。最後は畳み込むような真相解明で動揺してるところに、ラスト1文で打ちのめされます

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    2023年01月29日
  • 世界の名探偵3 ルパン【試し読み】

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    意外や意外

    言わずと知れた世紀の世界的有名大泥棒、怪盗アルセーヌ・ルパンの物語です。これを読むとわかるのですが、実は彼は一度公安当局に捕まっているんですよね。ですがちゃんと頭脳をいかして脱獄し、その後も世界各地でカッコいい活動をし続けているという、かなりの強心臓の持ち主だといえます。イケメンという描き方も良いと思います。

    #深い #シュール

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    2022年12月01日
  • あやかしの裏通り

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    ポール・アルテ。霧の中に現れ、そして消えていく裏通りの噂とそこで起きた幻影の殺人、そして現実に殺人がおこる。どんどんオカルトな雰囲気に流れていき、トリックについてもこんなに簡単にいくのかと思ったが、最後には推理小説としてきれいに着地していたと思う。

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    2022年11月16日
  • 殺人七不思議

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    ポール・アルテ。世界七不思議になぞらえた予告殺人に芸術家気取りの探偵が挑む。古典の巨匠、ディスクン・カーを思わせる不可能犯罪が次々に起こり警察は振り回される。それらを最後に一気に解決するのはとても鮮やかだった。文章みも読みやすく、久々に古き良き推理小説を堪能できた。犯人の動機がいまいち取ってつけたようなのが、いただけなかった。

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    2022年11月07日
  • 天国でまた会おう 下

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    アレックスのヴェルーヴェン警部シリーズとはまた違うテースト。訳者が違うのもあるかも。第一次世界大戦後のフランスの様子も分かる。何とも落ち着かない、異様な、物語でしたが、巻末にあったように、一種の「冒険小説」とも言えるかと思います。でも、ヴェルーヴェン警部シリーズと異なり、なかなかページが進みませんでした。

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    2022年10月12日
  • 死が招く

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    ディクスン・カーの匂いのする作家。読んだのは『第四の扉』に続き2つめ。正統派密室の謎。密室の中で顔と手が焼け爛れた死体。傍にはなぜかできたての料理が。犯人は何のためにできたての料理を用意したのか?という魅力的な謎。でも正直密室のトリックは、残念ながら、鍵の仕組みがわからず、正直トリックを読んでもよくわかりませんでした。図解でもあればいいのですが。でも、犯人は意外性があり、まあまあおもしろかったかなぁと思います。

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    2022年09月17日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    ネタバレ

    よくできているけれど、こんなにまでして秘密にしたいのかというところが納得感が薄い。100年も前の話だから、感じ方が違うのだろうけれど。

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    2022年09月04日
  • われらが痛みの鏡 上

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    『天国でまた会おう』『炎の色』に続く第三部の上巻。今度の舞台は第二次世界大戦、ドイツがフランスに迫る時代の出来事。時代の波に翻弄される人々の群像劇。冒頭の強烈な出来事をきっかけに次々と新たな事実が明らかになっていく。ルイーズは、これからどうするのか?

    下巻に続く。

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    2022年08月24日
  • フランス組曲

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    フランスの「ルノードー賞」の歴史において初めての「死後受賞」作。

    1942年にフランス憲兵により捕縛され、同年のうちにアウシュビッツで無残な最期を遂げたイレーヌ・ネミロフスキーの遺作が、実に60年の月日を経て陽の目を見る”歴史的事件”があり、2004年に同賞が贈られたのだという。

    1942年の執筆時点で、ドイツ軍に占領されたフランスの運命は当然ながら誰も知らない。著者は、フランスの疎開地にいて戦争の行方を追いながら、5部作として構想した「フランス組曲」の執筆を進めるのだが、世界大戦の結末を見ることなく、ホロコーストの狂気に飲み込まれてしまう。(フランス組曲は2部まで書かれた未完の小説)

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    2022年08月15日
  • オペラ座の怪人

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    コンプレックス、愛情の渇望、不信感や恨みなど人間が隠し持っている負の部分が多分に描かれている。怪人に嫌悪感を感じるのは、そんな感情に身に覚えがあるからかもしれない。ありのままの姿を受け入れてほしいという欲求は誰しも持っているのではないか。
    自分に向けられた優しさや愛情は、人間性の基盤となり、優しさは循環していくものかもしれないと思った。

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    2022年07月30日
  • 炎の色 下

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    父が残した資産、邸宅を失ったマドレーヌが、彼女を裏切った人たちに復讐することを決意する。隣国ドイツでは、ヒトラーが首相となりファシズムが台頭する時代ならではの展開に、手に汗握る。当時のフランス史を知っていれば、より楽しめる作品。
    ポール・ペリクールとオペラ歌手ソランジュ・ガリナートとの交流が印象に残る。
    本書で初めて知った日本語がある。「身罷る(みまかる)」という言葉。久しぶりに国語辞典を手にした。
    三部作の第二部が本書、第三部『われらが痛みの鏡』を早速読み始めよう。

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    2022年07月18日
  • 炎の色 上

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    『天国でまた会おう』の続編だが、前作を読まずに本書を読んでも楽しめる。
    天国でまた会おうでは第一次世界大戦直後の物語だった。本書は第二次世界大戦の足音が聞こえてくる1927年〜1933年が舞台でペリクール家の物語となっている。
    7歳のペリクール家の子息が3階の窓から落ちるという悲劇的な場面から始まる。上巻の後半で真相がわかってくる。
    フランス人の名前は、聞き慣れておらず、最初は名前を覚えるのに少々苦労した。
    そんな苦労を乗り越えられたら、もう作者の世界にどっぷりハマってしまう。ここまできたら下巻一気読みに突入。

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    2022年07月18日
  • 炎の色 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    とはいえ、騙されて財産を失い、
    息子を傷つけられ車椅子生活になってしまったことを恨み、
    復讐をすることを決意するマドレーヌ。

    元夫の部下を金で雇うだけでなく、
    マドレーヌ自身も危ない橋を渡り、
    三人の男たちと一人の女性に
    (前作と違って)見事に復讐が果せて良かった。
    ナチスドイツに飛行機の情報を売ったと見せかけて、
    大金を手に入れ、かつ銀行家を陥れた手口は面白かった。

    息子の世話をする明るいポーランド女性や、
    息子が傾倒するディーバと
    印象的な女性たちも良かったので、
    前作より楽しめたが、
    実際の団体や事件が取り入れているらしく、
    そこらへんがわかっているとさらに面白かった

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    2022年07月04日
  • 炎の色 上

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    ネタバレ

    「天国でまた会おう」の続篇。

    前作で登場した、顔に穴の開いてしまった兵士の家族、
    銀行家の父の葬式から話が始まる。
    孫息子が三階の窓から落ち、
    一命をとりとめたが、歩けなくなってしまう。
    銀行家の唯一の相続人である母マドレーヌは、
    息子を看護するが…。

    前作で、容姿にひかれて結婚した夫を、
    詐欺を行ったと知り見捨てたマドレーヌ。
    今回もろくでもない男を息子の家庭教師として招き入れたり、
    長年勤めていた銀行の上級管理職員を手ひどく振ったり、
    しかもその男に資産のことを任せっぱなしにしたりと、
    ある意味、自業自得で財産を失う。

    (下巻へ続く)

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    2022年07月04日
  • 狂人の部屋

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    全体的にゴシックやオカルト風味たっぷりの雰囲気の中、不可能犯罪?が起こる。
    トリック(?)は少し物足りない+力業な気もするが、総じて面白く、安心して読める一冊だった。

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    2022年06月07日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    ネタバレ

    密室ミステリーの古典的なお話。

    ルールタビーユが犯人をなかなか言わないところにじらされてしまったが、それも、マチルダ嬢を守るため。紳士だと思った。

    たまに古典ミステリーを読むのもおもしろい。

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    2022年05月31日
  • 天国でまた会おう 下

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    原題 AU REVOIR LÀ-HAUT

    そして、明日は存在しない
    何らかの結末は必然的に訪れる

    前者はエドゥアールの、後者はマルセルの、彼ら父子の邂逅そのものを端的に表してる気がします。
    戦争が二人を分かたなくても既に交差する余地はなかっただろうし、それでも接点があるのであればああいう終わりしかなかったかな…と。
    〝感謝〟は、誰にも渡さないで済んだ親のエゴ…?でしょうか。

    さよなら、天国で
    タイトルはMartyrs de Vingréの一人、Jean Blanchardが妻宛に最後に記した言葉より。
    人の、底知れぬ悪意というものがどんなものか、
    人の、逃れ得ぬ義務とはどんなに悲劇で喜

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    2022年04月25日
  • われらが痛みの鏡 下

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    ネタバレ

    長い長いお話がようやく完結。
    一言でハッピーエンドなんて言うべきお話ではないはずだけど、ようやく帰結きた感はあります。
    しかし、初期の疾走感とノワール極まった小説はもう読めないのかな。

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    2022年02月15日
  • 第四の扉

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    雰囲気も良く物語の展開も早くて一気に読めるし、内容も面白かった。そして最後は、なるほど…となる展開。個人的に好き。翻訳ミステリーはカタカナの登場人物の名前を覚えられないから苦手、という方にはおすすめ。人物関係が分かりやすくて理解しやすい。

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    2022年01月22日