平岡敦のレビュー一覧
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戦後、称えられる戦没者、生きて行かねばならない帰還兵。
いつの戦争でも、勝者も敗者も、苦しみしか残らない。
上巻の前半は第一次大戦時の独仏前線での戦いが兵士目線で描かれていて、映画「プライベートライアン」のノルマンディ上陸場面のような迫力迫る描写で圧倒される。
特に主人公の一人アルベールが生き埋めとなるシーン、それに続くエドゥアールの負傷と脱出の様子は、息つく暇もないほどの迫力がある。
悪役ブラデルの戦後の描写でややスローダウンしたが、下巻、エドゥアールの仮面作りと大掛かりな詐欺計画が進み始めると、ブラデルの描写も結末へ期待をこめて大いに盛り上がっていく。
「絶望からくる狂気に翻弄される -
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フランスの「ルノードー賞」の歴史において初めての「死後受賞」作。
1942年にフランス憲兵により捕縛され、同年のうちにアウシュビッツで無残な最期を遂げたイレーヌ・ネミロフスキーの遺作が、実に60年の月日を経て陽の目を見る”歴史的事件”があり、2004年に同賞が贈られたのだという。
1942年の執筆時点で、ドイツ軍に占領されたフランスの運命は当然ながら誰も知らない。著者は、フランスの疎開地にいて戦争の行方を追いながら、5部作として構想した「フランス組曲」の執筆を進めるのだが、世界大戦の結末を見ることなく、ホロコーストの狂気に飲み込まれてしまう。(フランス組曲は2部まで書かれた未完の小説)
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ネタバレ(上巻より)
とはいえ、騙されて財産を失い、
息子を傷つけられ車椅子生活になってしまったことを恨み、
復讐をすることを決意するマドレーヌ。
元夫の部下を金で雇うだけでなく、
マドレーヌ自身も危ない橋を渡り、
三人の男たちと一人の女性に
(前作と違って)見事に復讐が果せて良かった。
ナチスドイツに飛行機の情報を売ったと見せかけて、
大金を手に入れ、かつ銀行家を陥れた手口は面白かった。
息子の世話をする明るいポーランド女性や、
息子が傾倒するディーバと
印象的な女性たちも良かったので、
前作より楽しめたが、
実際の団体や事件が取り入れているらしく、
そこらへんがわかっているとさらに面白かった -
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ネタバレ「天国でまた会おう」の続篇。
前作で登場した、顔に穴の開いてしまった兵士の家族、
銀行家の父の葬式から話が始まる。
孫息子が三階の窓から落ち、
一命をとりとめたが、歩けなくなってしまう。
銀行家の唯一の相続人である母マドレーヌは、
息子を看護するが…。
前作で、容姿にひかれて結婚した夫を、
詐欺を行ったと知り見捨てたマドレーヌ。
今回もろくでもない男を息子の家庭教師として招き入れたり、
長年勤めていた銀行の上級管理職員を手ひどく振ったり、
しかもその男に資産のことを任せっぱなしにしたりと、
ある意味、自業自得で財産を失う。
(下巻へ続く) -
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原題 AU REVOIR LÀ-HAUT
そして、明日は存在しない
何らかの結末は必然的に訪れる
前者はエドゥアールの、後者はマルセルの、彼ら父子の邂逅そのものを端的に表してる気がします。
戦争が二人を分かたなくても既に交差する余地はなかっただろうし、それでも接点があるのであればああいう終わりしかなかったかな…と。
〝感謝〟は、誰にも渡さないで済んだ親のエゴ…?でしょうか。
さよなら、天国で
タイトルはMartyrs de Vingréの一人、Jean Blanchardが妻宛に最後に記した言葉より。
人の、底知れぬ悪意というものがどんなものか、
人の、逃れ得ぬ義務とはどんなに悲劇で喜 -