平岡敦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
オーウェン・バーンズシリーズ。「世界七不思議」に見立てた七つの不可能殺人。芸術的にすら見えるその数々の事件と、次々と予告状を送り付ける大胆不敵な犯人。ミステリとしての楽しさがもうめいっぱいに詰まっている印象です。振り回される警察は気の毒ですが。
ただ、数々の事件のトリックは明かされてみると意外にシンプルで逆に驚かされました。解決編でテンポよく明かされていく謎に唖然茫然。そんな単純なことだったの? 中でも第四の事件の真相に一番びっくり。ていうか、そんなんありか! とぶっ倒れそうになりました(笑)。
そしておまけというには豪華すぎる芦辺拓「解凍された密室」。ツイスト博士と森江春策の共演という読みご -
Posted by ブクログ
ネタバレスウェーデン人のバランダー、グレーンスときて、フランス人ニエマンスもアラウンド還暦の姿で再登場。
知力、体力ともにバリバリの頃を思い出して切なくなるが、いずれも作者が齢を重ねていく上当然なことなのだなぁ。読者の方もまた。(引き寄せか?)
フレンチミステリの屈折具合は馴染みのもので、それが合わない方には気持ち悪いかとは思うが、私はむしろ好きなので楽しめた。
フレンチミステリがドロドロなのはフランス人だからかと思ったら、今回はドイツ人の大富豪一族が。アルザス地方ならではの複雑さも良い。
アラ還刑事は体を労わりつつ、節制に努め、体力つけないといけないから大変だわ。 -
Posted by ブクログ
不可解現象をトリックに使った本格推理小説。ポール・アルテ著のオーウェン・バーンズというアマチュア探偵が謎を解くミステリ。体裁としてはシャーロック・ホームズやクリスティのような謎解き。本格好きにはしっくりくる作品。しっくりしすぎて、どこかで読んだ気になってしまうのが惜しいところか。特にロンドンを舞台にしているので、どうしてもホームズと比較したくなる(してはいけない)。作品自体は、「どのように不可解な謎を解くのだろう」とドキドキしながら読んだ。最後の謎解きで明かされる、犯人の巧妙な手口については、本格らしく天と地をひっくり返される驚きもある。さくっと読めるので、謎解きが好きな人におすすめ。
-
-
-
-
Posted by ブクログ
「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズの第二弾。今回も不可能犯罪物で、雪の密室がメインの謎になっている本格ミステリ。
雪上の足跡トリックは、もう出尽くしたと思っていたが、まだこういうアイデアがあったとはね。アルテ氏、流石です。面白かったです。
ただ、今作は構成だけがあまり好みではなかった。過去と現代が交互に描かれていて、名探偵は過去の殺人事件にのみ活躍する。現代の方の謎と、それが過去の出来事にどう関わってくるかが見所でもあるのだが、その点は巧みと思えなかった。もっとシンプルに、名探偵が不可思議な謎に真っ向から挑む話が読みたいなあ。次回作はそうであって欲しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレさすがルメトール、ストーリーテリングは秀逸。ヒトラーが台頭する混乱のフランスを舞台にした没落貴族女性の復讐劇。ルメトールは、前半はこれでもかこれでもかという悲劇(わが子が車椅子になってしまったり、周囲に騙され資産を失ったり)を描き、後半はこれら騙された相手を秀逸に復讐する物語を描く。これだけの登場人物を魅了あるキャラクターに仕立て上げ、それぞれを絡ませながら、なおかつ面白く描くルメトールに脱帽の一冊。
ただ今までの作品に比べて鈍った印象。登場人物たちが多くてそれぞれの人物の描きわけが短かったり、はじめから全て関係した一つのストーリーだったからだと思う。今までの作品は、章によって登場人物が書き -
Posted by ブクログ
政界の黒幕ドーブレック代議士の別荘へ侵入したルパン一味。ところが計画が狂い、ルパンが可愛がっていた青年ジルベールを含む二人の部下が逮捕されてしまう。怪盗の部下逮捕の報に世間は沸きたち、迅速な死刑が決定した。部下救出に策を凝らすルパンは、そもそもの発端であるドーブレックがその力の源とする、ある品物に狙いを定めるが・・・迫りくるタイムリミット、強大な敵との対決。ルパン最大の苦闘が、今始まった。
はあーー意図せず平成最後の日に読み終えることになりましたが、やっぱり最高だ。ルパンシリーズの中でも屈指の名作だと思います。最後の最後まで気が抜けないというか、上手くいったと思わせたりこれはもう本当にダメな