平岡敦のレビュー一覧
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ピエール・ルメートル『欲望の大地、果てなき罪 下』ハヤカワ文庫。
長篇連作小説『栄光の時代』シリーズの第1弾。
下巻では、レバノンの首都ベイルートで石鹸工場を営む富豪ベルティ家の恐るべき血に塗られた大罪が次々と明らかになり、驚愕の連続となる。ベルティ家の出来の悪い長男で、欲望のままに密かに殺人を繰り返すジャンが一番の悪人かと思えば……
果てなき罪……
一族が次々と窮地に追い込まれ、大切な物を失う理由も理解出来よう。しかし、一族はただでは転ばない。
パリの劇場で女優のマリ・ランプソンが惨殺された事件を巡り、何故かジャンの妻であるジュヌヴィエーヴが警察にジャンを目撃者の首実験の対象に加えることを進言する。しかし、目撃者はジャンが犯人であるとは認めず、マリ・ランプソンの夫に嫌疑がかかる。
一方、サイゴンのインドシナ両替局に勤務していたエティエンヌは国際的な不正送金事件の証拠を掴んだことから、仲間と共に抹殺される。さらにはその余波がベルティ家の家族全員を襲い、ベルティ家の過去からの大罪が一つ一つ掘り起こされていく。
ベルティ家の大罪がまな板の上にのり、この先どのような未来が広がるのかというところで、第1弾は幕を閉じる。
本体価格1,500円
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ピエール・ルメートル『欲望の大地、果てなき罪 上』ハヤカワ文庫。
長篇連作小説『栄光の時代』シリーズの第1弾。
まともな人物が1人として居ないベルティ家を中心にベイルート、パリ、インドシナを舞台に混沌とした物語が展開する。ミステリーなのか、サスペンスなのか、歴史小説なのか、上巻を読んだ限りでは判然としないが、興味惹かれるストーリーだった。
1948年、レバノンの首都ベイルートで石鹸工場を営む富豪ベルティ家の長男のジャンは父親のルイから後継ぎとして期待されていたが、何をやっても上手く行かず、ベルティ家の稼業から締め出された挙げ句、郵便局長の娘のジュヌヴィエーヴと結婚し、パリに出奔する。
聡明な次男のフランソワもパリに移り住み、現地で新聞記者になる。三男のエティエンヌは同性愛者で、レイモンという青年と付き合っていた。レイモンは、インドシナで外人部隊に加わり、ベトミンと闘っていたが、ベトミンたちに捕虜にされ、激しい拷問を受ける。音信不通となったレイモンの身を案じたエティエンヌはインドシナへ向かい、レイモンの消息を探る。
そんな中、パリの劇場で映画の上映中、マリ・ランプソンという若い女優が惨殺される。犯人はベルティ家の長男のジャンで、ジャンにとって殺人は初めてではなかった。そして、殺人事件の起きた劇場には新聞記者のフランソワが居合わせ、初めての記事をモノにしようとする。
本体価格1,500円
★★★★ -
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前にも単行本で読んでいたが気付かずに再読。
読んでいる時には毛ほども注意しなかった事項も作者からの指摘には俄然頷ける。というより真相は本書の方が近い気がする(ネタバレになるので詳述はしない)。『アベ荘園』という短編でも恐ろしい裏の真相を推理している人がいたけど本書もそれと同類の怖さがある。
二段構えというかオチを本書の方に持っていけばサスペンスミステリーとして名前が残ったと思うが改めてドイルが気づいていなかったのかと再考。ドイルの持ち味はスッキリした読後感にあると自分は考えている。騎士道精神の持ち主であり歴史小説家(本人はそう思っていた)でもエンタメ要素を忘れない人なので敢えて本書の様にしなかったのではあるまいか。
それにしてもこんな風に色々解釈できる作品という事が本書を読んでまた分かった。やはりシャーロック・ホームズシリーズは不朽の名作! -
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ネタバレ2025年の12、13冊目は、フランスの誇るジャン=クリストフ・グランジェの「ミゼレーレ」です。
タイトルの「ミゼレーレ」は、イタリアの作曲家グレゴリオ・アレグリが、旧約聖書詩篇第51篇を元に作曲した合唱曲です。この合唱曲が、当然ながら全編を通して大きな鍵となって来ます。アルメニア使徒教会で聖歌隊の指揮者が殺害されます。更に関連したと見られる殺人事件が続けて起きます。最初は、グランジェお得意のバロック風ミステリーの体で展開して行きますが、徐々にカルト宗教に絡んだテロ話に集約して行きます。(オウム真理教も言及されています)そして最後は、要塞化されたような宗教施設に乗り込み、まるでC.J.ボックスのジョー・ピケットばりのアクションシーンでエンディングを迎えます。
主人公は、停年退職した元殺人課の刑事カスダンと青少年保護課の刑事ヴォロキンです。老刑事と青年刑事の組み合わせもグランジェのお得意で、「クリムゾン・リバー」を彷彿させます。そして、この刑事は2人共に大きな問題を抱えています。
一番の読みどころは、事件の顛末よりも主人公2人のキャラクターと衝撃過ぎる過去ではないでしょうか。カスダンの過去にはやられました。流石、グランジェと言った所でしょうか。
☆4.6 -
購入済み
読みやすい
子供のころに南洋一郎氏のルパンシリーズを読んだことがあり、もう一度その世界を大人向けの訳で味わいたいと思って選びました。
期待通り、難しくもなく、やさし過ぎもしない文体で満足してます。 -
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【2024年203冊目】
作家を生むための創作合宿――南太平洋仏領ポリネシアのヒバオア島に集められた五人の女達。号令をかけたのは人気ベストセラー作家。島で滞在しながらそれぞれが創作に勤しむだけの理想的な環境。の筈だったのに、参加者の一人が滅多刺しの死体で発見されて――。
外国の小説というのは翻訳されていても、日本の小説とは全く文体も、リズムも違うので、初めて読む方は戸惑うのではと思います。訳者によっても読みやすさは大いに異なるのですが本作は読みやすいので安心できますし、異国のリズム感を楽しめます。
明示されているようで隠されているようにしか思えない真実に翻弄されっぱなしでした。ミステリーに慣れた読者でも疑いはしても確信はできず、終始居心地の悪さを感じることになるのではないでしょうか。
謎解きは結構明白にされるので、ややこしい設定でもちゃんと理解できますご安心を。信じたり疑ったり、読みながらも一緒に推理できる小説で楽しいと思います。
唯一私的に混乱したのは名前。カタカナに弱いので、適宜登場人物一覧に戻りながら読みました。