平岡敦のレビュー一覧

  • 恐るべき太陽

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    美しいマルケサス諸島の風景とタナエの作る地元の美味しそうな料理がとても印象的。それと対照的な凄惨な殺人事件。伏線がありすぎてよく意味が分からず途中までは読みづらかったけど、2転3転する結末に最後までハラハラさせられた。ポリネシアンタトゥーの話やティキと呼ばれる彫像の話、ムルロア環礁での核実験の後遺症の話などもとても興味深かった。

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    2024年03月07日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    古典小説&元はフランス語?なのもあってちょっと読みにくかった(特に登場人部の名称がコロコロ変わったりするところとか)けど、最後の謎解き部分はなるほどーっと楽しく読めました。騙されたー!あとルルタビーユめちゃめちゃもったいぶるじゃん。

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    2024年02月15日
  • 恐るべき太陽

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    ネタバレ

    フランス領ポリネシア、ヒオビバ島のペンション「恐るべき太陽」荘で開催されている人気作家ピエール・イヴ・フランソワ(PYF)が講師の創作アトリエ(ワークショップ的なもの!?)。
    そこに参加するのは公募から選ばれた5名の作家志望女性、プラス同行者2名(ある参加者の夫ヤン、また別の参加者の子どもマイマ)。

    講師のPYFはアトリエの場で意味深な言葉を残したのち、姿を消す。
    そこから始まる『そして誰もいなくなった』劇場(参加者が次々に、、、)。

    ある参加者が滞在中の出来事を交えつつ書き記した作中作『海に流すわたしの瓶』、マイマの日記、ヤンの独白、3つの交互視点で語られる物語。
    どうにも矛盾したり、噛

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    2024年02月10日
  • 恐るべき太陽

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    ネタバレ

    読み終わった。完全に騙された。でも、面白かった。とにかく、ストーリーの展開が上手いと感じた。例えば殺人事件が起こる度ごとに、又は何か大事な出来事が発覚する度ごとに1度、間をおく感じでページを変えたり*や太文字を入れたり、1行開けて完全に場面を変えたりして、興味が続くようにしている。また島の美しい風景を綺麗な文章で表現したかと思うと、鬱陶しいジャングルや泥道、不気味な石像ティキの描き方も上手いと思うし、とにかく表現力が豊かだなと思う。走って逃げる場面など、海外サスペンスドラマを見ているような感じさえなる。
    本の紹介にアガサ・クリスティに挑戦とあったが、確かに本文中に何度も『そして誰もいなくなった

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    2024年01月27日
  • 世界ショートセレクション1 ルブラン ショートセレクション 怪盗ルパン 謎の旅行者

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    ▼気軽に読める、ルパン短編集。あとがきを読んで分かったんですが、この短編集のうち2編は「八点鐘」からでした。「八点鐘」丁度読もうとBOOKOFFで買っちゃんタンですが…。まあでも、この理論社さんの本は、装丁と言い活字密度大きさと言い、なんだかとても好感持てるので許します(笑)。

    ▼この理論社シリーズでいろいろ読んでみたくなりました。

    ▼ハヤカワから出ている平岡さんのルパン新訳、続刊を楽しみにしているのだけどなかなか出ませんな…。

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    2023年12月31日
  • ルパン対ホームズ

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    シャーロックホームズシリーズはいくつか読んだことあるけど、ルパンは初かも。ドラマ(BBCのシャーロックとNetflixのルパン)はどっちも大好きなので、そのイメージが先行しちゃっているかもしれないけど、ホームズ&ワトソンはもうちょっとカッコいいよな?!と思った。(解説にも書いてあった。)

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    2023年12月16日
  • われらが痛みの鏡 上

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    『天国でまた会おう』『炎の色』に続く三部作完結編。間を置いて読んでいるので前二作の詳細は覚えていないのですが、一作目を読んだあとの感想で、「面白かったけれどあえて言うならば男性ばかりでなくマドレーヌとルイーズについてもっと読みたかった」と思っていたら、二作目の主役がマドレーヌで我が意を得たり!と小躍りしたところ、完結編の主役がルイーズでした。素晴らしい。戦時下の話ではありますがルメートルの筆にかかるとどこか洒脱たような乾いた明るさがあって、気重にならずに読めました。教師をしながら週末に近所のカフェを手伝うルイーズとカフェの主人ジュールさん、軍の曹長フェルナンと病弱の妻アリス、真面目な兵士カブリ

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    2023年12月13日
  • 吸血鬼の仮面

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    イギリスを舞台にクラシカルなミステリーを繰り広げる、バーンズ探偵シリーズ。
    今回は吸血鬼を題材にしたミステリーだが、どこをとっても吸血鬼の犯罪にしか見えず、え?これどうやって落とし前つけるんだろう?と言う不安は300ページ辺りから払拭されて後は一気読み。二転三転しながらの伏線回収はお見事。

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    2023年12月12日
  • オペラ座の怪人

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    実在するオペラ座の構造等に着想を得た怪人エリック、舞台俳優のクリスティーヌ、青年貴族のラウールによる三角関係の愛憎劇。
    物語の構成が読み手の興味を惹く。はじめは殺人事件と怪人の謎を提示し、歌姫クリスティーヌと怪人の関係に及ひ、ボンボンのラウールとクリスティーヌの関係が語られる。このラウールがただ愛してると言い続ける薄っぺらな人物として描かれイライラさせられるが、これは怪人エリックの生い立ちが語られるに沿い読者の感情移入をエリックに向けさせる故であろう。建築家や奇術師、優れた歌い手など幾多の才能を持ちながら顔が悪いだけで邪悪な感情を持ちながらも人並みの幸せに憧れる切ない怪人の人物設定故に確立する

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    2023年11月05日
  • 恐るべき太陽

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    面白かったです。
    謎が謎を呼び、もう謎だらけ!全員怪しい!
    伏線が回収されていく時はスッキリしました。

    しかし…
    本の裏筋…書きすぎじゃないかな?
    『叙述トリックの巨匠』だとか『クリスティへの挑戦作』だなんて…ネタバレだと思います(ノᗝ˂。)

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    2023年11月04日
  • 恐るべき太陽

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    ネタバレ

    タイトルとあらすじに惹かれて読みはじめた作品。
    物語の中で感じていた違和感、ミステリーをあまり読まないながらに私がたてていた仮説に近くとも遠からずな結末に大変満足した。
    個人的には、この本を翻訳語として読むことに意味があるなと思った。

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    2023年10月22日
  • クリムゾン・リバー

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    「我らは支配者にして奴隷
    われらはあまねくありて、いずこにもなし。
    我らは測量士
    我らは緋色の川(クリムゾン・リバー)を制す」

    この、なんとも意味の掴めない呪文のような言葉が、この物語の全貌……。

    ニエマンスとカリム、二人の刑事はそれぞれの事件を追っていくうちに、大きな謎の淵へ導かれていく。

    2000年にフランスで映画化された。
    主役のジャン・レノはトヨタのCMでドラえもん、
    相方ヴァンサン・カッセルもオランジーナのCMで小峠と共演、作者ジャン=クリストフ・グランジェの妻は日本人と、結構日本には馴染み深い。

    物語はノワールの香りを漂わせながら、深い謎は徐々に姿をあらわしていくいく……。

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    2023年10月13日
  • 恐るべき太陽

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    著者初読み。
    翻訳本としては読みやすく、それぞれの視点で書かれた章立てが短く(これがストーリーに重要な組み立てだったのだか)没入しやすかった。

    アガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」のオマージュとのことだが、昔読んだはずだがすっかり忘れており、こちらももう一度読みたくなった。

    ヒバオア島の自然と歴史、神秘が背景にある中のミステリーに浸れる至福の時間を味わえた。
    いつかは行ってみたいところである。

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    2023年10月09日
  • われらが痛みの鏡 下

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    19世紀から始まった三部作は、1940年独が仏に侵攻した時間の苦しい時間が最も重きを置いたイメージの群像絵巻で幕を閉じた。
    表題「われらが痛みの鏡」は下巻160㌻に描かれているパリ市民が難民となって逃げ伸びる人々のあり様からとったとある。

    仏が独に宣戦布告したとは言うものの、「まやかしの戦争」とでもいえるような生煮えの時間が苦しめての時間が長かった。
    ルィーズを中心にガブリエル・ラウールとフェルナン・アリス、そして最後まで実像が分からないデジレが軸となっているが下地にあるのはDr.

    ルィーズの母と彼の紡いだ時間にジェルメールが絡まった恋の絵巻?と落とし物。
    余りロマンは感じないし、誰にも共

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    2023年10月05日
  • われらが痛みの鏡 上

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    まったく、だれることなく2部まで読んできた・・完結?しないかもしれないけどラスト3部作。

    この巻だけを読んでも十分に面白く、20Cドイツに蹂躙されたフランスの当時の社会を感じられる。
    ヒロインはパリ在住の元教師ルイーズ。伏線になっている若きエドゥアールとの関係はさらっとしていたが、彼自身の奇矯な存在感からすると、案外出だしは単調。

    しかし、数奇な因縁というのはこれこそと言えるほど面白い絡みで連なっていく。
    突拍子もない医師の自殺、親身に見守るジュール、ルイーズがけなげだけに身の上にほだされてしまう。
    一方、2人の脱走兵の動きや機動憲兵隊曹長の夫婦・・1点は繋がったが、もう一つのつながりが見

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    2023年10月01日
  • 炎の色 下

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    見事な着地、ポール中心のストーリー展開、1930年代の
    欧州の空気感が良く表れている。
    どこの国もつまるところ、金、女と権勢欲。
    よくも悪くも【これがフランス】って言うのを味わえる。
    映画にも小説にも最適の素材づくめ。

    ポールを取り巻く、歌姫ソランジュ、ヴラディの最期はストンと納得を。
    やせぎすのアクセサリーづくめの美女より、肥満体のおおらかな性格の勝利っていうのは面白い。
    この時代のプロパガンダの常軌を逸した盛り上がりが感じられ、ポールはもとより、ソランジェの描かれ方もなかなかひと方ならない。
    シュトラウス(ワグナーではなく)にはまっていく彼女、当初はナチズムへの傾倒がどこまで行くのか見者

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    2023年09月29日
  • 天国でまた会おう 下

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    歴史上、戦争が有する意義を書いた・・と言えば簡単だが、種々の自傷から筆者ル・メートルが読み取った推察、洞察力に舌を巻いた。
    題名の意、そして呟いた人物を初めて知った。
    そのJ・ブランシャールが真の主役と言えるかもと感じた。

    アルベールは無論、ブラデルは第一次世界大戦という商売市場で駆けずり回った小物。黒子 エドゥアールが天才の名を欲しいままに飛翔した詐欺のすべてが最期は血の結びつき・・で幕を閉じるとは。
    しかも植民地の服を着て羽を付けたという・・何という演技。

    そこから呟かれる作者の言葉は人生とは教誨語録の様。
    偶然性の複雑な絡まり、結末は必然的に訪れる。。。。

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    2023年09月23日
  • 恐るべき太陽

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    久しぶりのミシェル・ビュッシ。
    翻弄された。
    全てを知った上でまた読んだら見方が全く変わるでしょうね。
    舞台が南国ということもあり、この猛烈な暑さの中で読むのにも相応しかったように感じる。
    「時は殺人者」読んでないので読まねばと思いました。

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    2023年08月21日
  • 炎の色 下

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    フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇作品『炎の色〈上〉〈下〉(原題:Couleurs de l'incendie)』を読みました。
    『傷だらけのカミーユ』、『わが母なるロージー』、『監禁面接』に続き、ピエール・ルメートルの作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    1927年2月、パリ。
    一大帝国を築いた実業家の葬儀が粛々と進んでいた。
    しかし出棺のとき、思いがけない悲劇が起きる。
    故人の孫、七歳のポールが三階の窓から落ちたのだ。
    故人の長女マドレーヌは亡父の地位と財産を相続したものの、息子の看護に追われる日々を送る。
    しかし、そのあいだに、彼女を陥れる

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    2023年08月20日
  • 炎の色 上

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    フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇作品『炎の色〈上〉〈下〉(原題:Couleurs de l'incendie)』を読みました。
    『傷だらけのカミーユ』、『わが母なるロージー』、『監禁面接』に続き、ピエール・ルメートルの作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    1927年2月、パリ。
    一大帝国を築いた実業家の葬儀が粛々と進んでいた。
    しかし出棺のとき、思いがけない悲劇が起きる。
    故人の孫、七歳のポールが三階の窓から落ちたのだ。
    故人の長女マドレーヌは亡父の地位と財産を相続したものの、息子の看護に追われる日々を送る。
    しかし、そのあいだに、彼女を陥れる

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    2023年08月20日