平岡敦のレビュー一覧
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1912年の小説。ルパン・シリーズです。面白い、訳も良い。
ケレンとヒロイズムに満ちて、エンターテイメントずぶずぶです。
ルパンの手下が捕まった。もうすぐ死刑になってしまう。なんとかして救わねば・・・。という物語。
どうやら当時のフランスで話題を呼んだ汚職事件なども変奏して盛り込んでいるらしいですね。
(つまり、「モリカケ事件」を変奏して「新宿鮫」シリーズの新作を書くようなものでしょうか。期待。)
これも実はかなり読み終わってから経過しているので、詳細は覚えていませんが、とにかく悪役がすごい。強い。もうこの強烈さ、ダークさ、毒気。「そうか、伊坂幸太郎って日本のモーリス・ルブランだったのか!」という感じ。
そして、やっぱりルパンシリーズだから最後には、「あの女を手に入れる/守る」というとっても色っぽいところの攻防戦になるのも、実に素敵(笑)。
ドンデン返し、意外な落ち・・・に見えて事態は元の木阿弥に・・・スリリング。スピード感。やめられない止まらない、F1レースのような快楽。そして、もちろんハッピーエンド。
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恐らく「第5作」と言って良い作品。
1「怪盗紳士ルパン(短編集)」
2「ルパンvsホームズ(中編2作)」
3「奇岩城」
4「813」
5「水晶の栓」
以前から、「813」が並ぶモノ無き最強傑作だと思っていたのですが、「水晶の栓」もなかなかな歯ごたえ。
40代後半の楽しみとして、ルパンシリーズを再読破、というのがはっきり見えてきました。(ただ、それにつけては「ハヤカワ・ミステリー文庫の、実に素敵な大人向けの新訳で」、という条件が付きます。がんばれハヤカワ頼むぞハヤカワ) -
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「その女アレックス」が有名なピエール・ルメートル。
他の作品も含めて、日本の出版界にも旋風を巻き起こしたといっていいでしょう。
「アレックス」の2年後のこれがまた、フランスで最高の文学賞である、ゴンクール賞を受賞した作品。
奔流のようにあふれ出る才能を堪能できます☆
第一次大戦中の1918年から話は始まります。
真面目で平凡なアルベールは、上官のプラデル大尉の非道なやり方をたまたま目撃してしまいます。
戦場の混乱に乗じてプラデルに生き埋めにされかかったところを仲間のエドゥアールに助けられますが、エドゥアールはこれで顔を半ば失う大怪我。
裕福な家の出のエドゥアールは変わり果てた姿を見せたくないと家族に連絡を取ることを拒否し、アルベールが面倒を見ることになります。
一方、かっての上官プラデル大尉は、貴族の末裔で、ハンサム。
エドゥアールの実家を訪ね、なんと姉と結婚してしまいます。
しかも、戦死者の鎮魂のための事業で、大儲けしようという。
それを知ったエドゥアールは、復讐を考え‥?
救いのないような状況ですが、話はテンポよくどんどん進み、人生の皮肉をユーモアで包んで、いかにもフランス的なエスプリが溢れんばかり。
天才肌で手に負えない子供だったエドゥアールを親はもてあましていたのですが、戦死したと知らされてから、父性愛に目覚めていくことに。
二人の下宿先の女の子がエドゥアールのために可愛いマスクを考案してくれるところなど、なんとも微笑ましい。
これだけの作品は~なかなか読めないですよね。
面白かったです! -
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「よろしければ葉書でも…宛名はパリ、ルパンで十分です。切手はいりませんから。さようなら、また近いうちに…」
こりゃ、書いてる作家も、訳してる人も楽しいでしょうねえ(笑)
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コナン・ドイル(1859年生まれ)さんとモーリス・ルブラン(1864年生まれ)さんは、同時代人だったんですね。
アルセーヌ・ルパン(1905年から発表)は、当時人気のあったシャーロック・ホームズ(1886年から発表)を意識して、探偵ヒーローならぬ怪盗ヒーローを意識して作られたそうです。
今回、数年に渡ってホームズ・シリーズを全部読んでしまって。名残を愉しみたい気分もあり「ルパン対ホームズ」。
ルパン・シリーズは、ホームズ・シリーズより完全に後発です。ルパンの初期の頃から、ライバル的な名探偵としてホームズは出てきます。
当然なら、同時代ですから。
ホームズの出版社なのかドイルさん本人からなのか、抗議があったそうです。
そこで。
実は原文では、ホームズじゃないんですね。
シャーロック・ホームズじゃなくて、ハーロック・ショルメスなんだそうです。笑っちゃいますね。
それを、日本語訳にするときに、堂々と「ホームズ」にしちゃってる翻訳者と出版社には、拍手です。
最近出た新訳版だそうで、訳文としてはとてもスラスラ読めて良かったと思います。
肩の凝らないエンターテイメントの味わいをきっちり残しています。
「金髪の美女」と「ユダヤのランプ」という2つの中編が入っています。
それぞれに、パリを舞台に宝石やらダイヤやらの盗難を巡って、ロンドンからやってきたホームズとワトソンが、ルパンと対決します。
それぞれに、仕掛け建築の屋敷やら、密室的な謎がありながら、文字通り攻防互角、一進一退。
ルパンも全ては手に入れられず、でもホームズもルパンは捕まえられない上に、多少の苦い思いを残して去って行きます。
ホームズ・シリーズを読み終えてから読んだ身としては。
ルブランさんも相当にホームズが好きなんだろうなあ、と思いました。
それなりに揶揄するところもありますが、ホームズをこき下ろしてはいません。
リスペクトを払っていると思いますし、ホームズの個性や味わいは分かっています。
するすると読み易く愉しめました。そして、今回いちばんおもしろかったのは、お国柄っていうか個性っていうか。
やっぱりルパンは陽性で、人気者で、享楽的で、感情がはっきりしていて、何より美人が大好きなんですね。仲間が多い。その代り、子分や組織がすごくって、ずるいところもあります。
ホームズはオタクです。変人です。ともすれば陰気だし、引きこもりがち。いつも冷静。そして女性にも節度というか距離感があって、ワトソンと同性愛説もあるくらい(笑)。
その代り、ある意味潔くて、孤高で、群れず、倫理的にはとっても涼やか。
こんな風にレッテル付するのは、実際のフランスやイギリスの方には大変失礼なんでしょうけど、
それなりに両国のイメージ(実態は別として、ですが)を体現しているなあ、と微笑ましく思いました。
そして、敵対しながらも親近感のあるふたりは、イギリスとフランスという文化や歴史の距離感をそのまま表しているのかも知れませんね。
卑近に考えると、関東と関西、大阪と京都、みたいに想像してみるのも愉しみですね。
もちろん、昭和の日本産ヒーロー、ルパン三世と名探偵コナンの世界観と重ねてみるのも面白い。
ホームズ・シリーズを20数年ぶりに再読読破してしまったのですが、ルパンも何冊か読んでも良いなあ、と思いました。
大昔に「813」なんか、大興奮して読んだ気がします。
ルパンが折に触れて語り、謳い上げる、人生とロマンスと冒険への賛歌。きざな自画自賛な名調子。
負けじとマイペースで応戦するホームズ。
うーん。実はこれほど、人畜無害にオトナも愉しめる、ぬるま湯なエンターテイメントな小説もなかなか無いですね。 -
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ネタバレ『怪盗紳士ルパン』1907
(原題:Arsène Lupin, gentleman-cambrioleur)
収録作
アルセーヌ・ルパンの逮捕
(L'Arrestation D'Arsene Lupin)
獄中のアルセーヌ・ルパン
(Arsene Lupin en Prison)
アルセーヌ・ルパンの脱獄
(L'Evasion D'Arsene Lupin)
謎の旅行者(Le Mysterieux Voyageur)
王妃の首飾り(Le Collier de la Reine)
ハートの7(Comment J'Ai Connu Aresene Lupin:Le Sept de Coeur)
アンベール夫人の金庫
(Le Coffre-fort de Madame Imbert)
黒真珠(La Perle Noire)
遅かりしシャーロック・ホームズ(Herlock Sholmes Arrive Trop Tard)
Maurice Leblancのルパンシリーズ第一弾。平岡敦氏の訳は読みやすく、それでいて子供っぽい表現にはなっていない。ルパンのかっこよさ、頭脳の明細さがよく伝わってくる。
収録作品の中でも、「黒真珠」は一番のお気に入り。物語の構成が面白い。いきなりルパンの華麗な犯行場面が展開され、そこから話が二転三転していく。
「遅かりしシャーロック・ホームズ」で登場するHerlock Sholmes、コナン・ドイルの小説からそのまま出てきたかのような立ち居振る舞い、とはいかないもののホームズらしがあってよかった。 -
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今さらという気もしますが、実は読んだことがないという人も多いはず。ということでアルセーヌ・ルパンのデビュー本を読みました。
いきなり、逮捕されてしまうという意表を突いた登場のルパン。細かいトリックというよりは、心理トリックで獲物に近づくルパン。冒険も活劇もありだけど、一方でアイデンティティの喪失や恋に悩む一面も。短編それぞれに趣があってあっという間に読み終わっちゃいました。
それにしても、いきなりデビュー作品でシャーロック・ホームズと対戦させるとわね。ところで、このシャーロック・ホームズ、原作ではエルロック・ショルメとなっていることを初めて知りました!コナン・ドイルの抗議があったらしいよ。そこでSを移動させたんだって。
原書名:ARSÈNE LUPIN GENTLEMAN CAMBRIOLEUR
アルセーヌ・ルパンの逮捕
獄中のアルセーヌ・ルパン
謎の旅行者
王妃の首飾り
ハートの7
アンペール夫人の金庫
黒真珠
遅かりしシャーロック・ホームズ
著者:モーリス・ルブラン(Leblanc, Maurice, 1864-1941、フランス、作家)
訳者:平岡敦(1955-、千葉県、翻訳家) -
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ネタバレ短編集
アルセーヌ・ルパンの逮捕(L'Arrestation D'Arsene Lupin)
獄中のアルセーヌ・ルパン(Arsene Lupin en Prison)
アルセーヌ・ルパンの脱獄(L'Evasion D'Arsene Lupin)
謎の旅行者(Le Mysterieux Voyageur)
王妃の首飾り(Le Collier de la Reine)
ハートの7(Comment J'Ai Connu Aresene Lupin:Le Sept de Coeur)
アンベール夫人の金庫(Le Coffre-fort de Madame Imbert)
黒真珠(La Perle Noire)
遅かりしシャーロック・ホームズ(Herlock Sholmes Arrive Trop Tard)
ルパンの虜になりました。犯罪者を暴くだけのホームズよりは、どちらの立場にもなれるルパン。 -
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た ま ら な い !
最後の章を読むまでは、まぁ面白いミステリくらいな感覚だったんだけど、も、最後のルパンのフレーズのせいで、すべてのここまでの物事が、一気に色づいてと言うか。
あー!冒険活劇はこうでなきゃ!みたいな。ルパンは40歳くらいのオッサンになってますけどね。
正に紳士!で、また、コラもすごく魅力的な。宮崎アニメのヒロインのような。
ジョセファンとマリー=テレーズの兄妹の活躍っぷりとか、悪党3人組の間抜け具合とか、いやもう、王道っちゃ王道なのかもだけど、やっぱり王道がいいわよ。
で、こういう王道を宝塚で上演って、正に!だと思うので、宝塚もかつての「王道」通りの作劇をしていただきたいな、と思いました。 -
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大西洋を行く客船プロヴァンス号に無線が入った。「貴船にルパンあり。一等船客、金髪、偽名はR・・・」あの怪盗紳士がこの船に!いったい誰がルパンなのか?船客たちは恐怖と興奮に沸きたつが――。世界に知らぬ者なきヒーローが誕生した記念すべき「アルセーヌ・ルパンの逮捕」など、傑作九篇を収録。ルパンの前にルパンなく、ルパンの後にルパンなし。変幻自在、神出鬼没、快刀乱麻の怪盗の活躍を、最新訳で贈る第一弾。
小学生の頃に南洋一郎氏版で全巻親しんだルパンの新訳ということで、ずっと読みたかったのですが、品切れになって手元に置けなかったのがようやく再版にこぎつけたようでとても嬉しいです。多分最新作の影響でしょうが、早川書房はよくやった!
短編集って基本的に物足りない気がしてしまうのですが、ルパンはやっぱり面白かった。読んだのが昔だから話はほとんど忘れてるんですが、犯人やトリックが明かされるまでのわくわく感は健在で、大人でも楽しめる作品だと思います。訳も自然で読みやすい。「アルセーヌ・ルパンの逮捕」はやっぱりシリーズの原点なので思い入れも強いですが、「ハートの7」も面白かった。「黒真珠」は怪盗というより探偵みたいになってたけど、ルパンが頭いいのはよく分かります。子供時代の話もちょっと出てきて、確か乳母が出てくる話あったなと思い出した。これからまたシリーズ全巻読破を目指します。 -
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逮捕されてしまった部下を救うため、ルパンが大物悪徳議員のドーブレックが持つ水晶の栓の謎に迫る話。
とにかく導入部から水晶の栓をめぐって様々な謎や見えない敵の影もちらほらするなど、気になる展開でどんどん引っ張っていってくれます。
ドーブレックの悪役ぶりもすごい! ルパンを相手に一歩も引かないどころか常に先手を打ち、様々な策略を張り巡らすなど二人の勝負には最初から最後まで引き込まれてしまいました。
ポプラ社版ではカットされていたラストも、ルパンらしさが溢れていて良かったです。ルパンらしいというよりかは、フランスらしいの方が正しいかもしれないですが(笑)
ルパンとその乳母ヴィクトワールのやり取りも、あまり多くないものの良かったです。小学生の頃の記憶にあるヴィクトワールと違い、ずいぶんさばさばした感じだったのですが(笑)