奇岩城

奇岩城

小説・文芸
814円 (税込)

4pt

3.9

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レイモンドが放った一弾は、みごとに逃走せんとする賊を撃ち倒した。ところが重傷を負ったはずの賊が煙のごとく消え失せる。しかも屋敷から盗まれたものは何一つなかったのだ。この奇怪な謎を解き明かしたのは、まだ高校生のイジドール少年。しかも彼は事件の首魁を、かのアルセーヌ・ルパンだと喝破した!かくて怪盗対少年探偵の熾烈な頭脳戦の幕は切って落とされた……シリーズ初の長篇にして代表作に数えられる傑作アルセーヌ・ルパンが新訳で登場!

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奇岩城 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    思い出補正が入っていない、といえば嘘になる。それでも面白いものは面白い! 
    小学生の時、『奇岩城』を含むポプラ社版ルパン全集を、何度も繰り返し読んでいました。そして十数年ぶりのこの『奇岩城』

    消えた強盗犯、謎の暗号、天下の大怪盗対高校生探偵の追走劇、歴史に隠された秘密の城とお宝たちと、ワクワクする要素は盛りだくさん。昔繰り返し読んでいたため、話の筋はほとんど覚えてはいたものの、それでもテンポの良さでどんどん読まされます。

    ルパンと高校生探偵のイジドールの関係性も良かったなあ。怪盗と探偵という敵同士でありながらも、ルパンはイジドールの実力を認め、時によっては対等の友人、あるいはライバルに語りかけるように、また時には人質を取ってイジドールを事件から遠ざけようとしたり、親や師匠のようにイジドールを褒め称えたり。

    まさにルパンらしい掴みようの無さなのですが、根底にあるのは実力があり、なおかつ爽やかな少年へのルパンなりの好意であり、そして敬意でもあるような気がします。

    そしてルパンに対するイジドールのキャラも良かったなあ。マンガの影響か、高校生の名探偵ってだいたいひねてたり、生意気だったりというイメージが強いのですが(笑)このイジドールに関しては、ちゃんと警察官にも礼儀正しく謙虚だし、父親思いだし、純粋にルパンとの戦いを楽しんでる感じがみずみずしく、好感が持てます。
    それに、ちゃんと授業も受けに帰ろうとするのも、真面目な高校生らしい。他の高校生探偵なんて、だいたい授業ほったらかすし……

    フランスの壮大な歴史を辿りつつ、徐々にルパンの隠れ家に迫っていくイジドール。迎えるルパンとの対峙、そして二人が最後に見る光景は……

    ルパンは「ジュテーム」のエンタメだと個人的に思っています。ポプラ社版を読んでいたときは、ルパンの恋愛やロマンスに関わる部分はカット・改変も多く、女性や弱者に優しいルパンというイメージでした。なのでたまにこうした完訳版ルパンを読むと、ルパンは愛に正直な怪盗なんだな、と思います。(たまに正直すぎて、笑ってしまうようなものもありますが)

    結末もなんとなく覚えていたものの、ルパンの決意の重さも、ラストの余韻も当時は半分も理解してはいなかったでしょう。フランスの歴史の中の謎解きという壮大な趣向があったことに気づき、それなりに人の心や物語の酸いも甘いも知るようになり、そして、子どもの頃からルパンに親しんでいたこと。それらが合わさってこの『奇岩城』の物語の意味は、今回読んで自分の中で大きく変わったように思います。

    当時はルパン一冊読むのに1週間以上はかかっていた気がしますが、今では二日で読めるようになっていました。それでも童心に帰るように、ルパンを読めたことは変わりません。これからもルパンは、自分の読書人生の礎として、あり続けるのだろうと、改めて思いました。

    余談ですが、作中に出てくるシャーロック・ホームズは、コナン・ドイルとは何の関係もない、ということだけ一応言及しておきます。ルパンシリーズにおけるホームズの扱いは「ルブランも若かったんだなあ」と自分は理解しています(笑)

    0
    2020年04月26日

    Posted by ブクログ

    有名な怪盗アルセーヌ・ルパンが登場する、モーリス・ルブランの代表作。展開の速さと次々と登場する謎。読み応えのある名作。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    「奇岩城」モーリス・ルブラン。

    とても有名な、アルセーヌ・ルパン物語の長編。

    なンだけど、改めて読むとこれ、ルパンのほぼ一方的な敗北の物語でした。

    #

    ルパン・シリーズは、どうやら、1907年の短編集「怪盗紳士ルパン」から始まります。

    そのあと、中編集、とでも言うべき「ルパン対ホームズ」1908。

    そして戯曲の小説化である「ルパンの冒険」1909。

    そして同年1909に長編「奇岩城」。

    なので、簡単に言うと、「初のルパン物の長編」として構想された、と想像できます。

    想像なんですけど、短編中編ではなくて長編になると、「ルパンすごいぞ勝ちました」では、もたなくなった。むしろ、「ルパンという人の背景を描く」。そのためにはルパンの秘密が暴かれなくてはいけない。

    というわけで、小説「奇岩城」は、初の長編にして同時に、はやばやとスピンオフの趣(笑)。

    ぶっちゃけ、主人公はルパンぢゃなくて、名探偵役のイジドール・ボートルレ君。

    #

    ルパン一味による謎の殺人事件。
    イジドール君が解明、ルパンとの丁々発止。買勝った負けたの攻防戦。
    全てイジドールくんサイドからの視点で描かれます。

    ルパンは、やんごとなき女性を愛し、妻にして、まんまとハッピー…かと思いきや。
    そうはさせじと、イジドール君。
    「謎に包まれたルパンの、ルパン一味の本拠地。ルパンの巨万の富の秘密」に迫っていきます。

    このあたりはいわば、読者としては。「ヒーロー・ルパンが追い詰められていくのを愉しむ」、というねじれ構造。
    なんですが、小説「奇岩城」としては前半でユニークかつ冒険小説らしい夢のある「名探偵イジドールくん」に感情移入できているので、問題なし。イジドールくんと一緒に、「あのルパンの秘密が遂に分かるのか!」というわくわくですね。

    つまりルパンは、中世以降、歴代権力者が富を隠してきた、海岸沿いの奇岩の城(中身が空洞になっている)を手に入れている。蓄積された富ごと。
    その奇岩城をうまく使って、ここまでの一味の活動を展開してきた。

    その奇岩城の入り口を、面倒くさく書き記した暗号がうまく使われて、ダレずに筋が運ばれます。このあたり、フランス史に詳しければよりより楽しめるんでしょうけれど。
    日本に置き換えると、「天智天皇も源義経も織田信長も、みんなが奇岩城を手に入れたことで力を持ったのだ」みたいなロマンチックなお話です。胃もたれしなくて愉しい読書です。

    イジドール君が、ホームズもガニマールも呼び寄せた。
    御用御用!と奇岩城に打ち入ってみると。
    ルパンは「ふっふっふ待っていたよ」と余裕なんです。
    なんだけど、ともあれ奇岩城の機能はもう放棄せざるを得ない。

    このあたりから急激に物語の主人公としてルパンが帰り咲く。というか初めて描かれる。

    スリルを愉しむように間一髪で脱出。
    ところがその後、ホームズに追い詰められて。
    流れ弾?に愛しい奥さんが撃たれて死んでしまう。怒涛の展開。

    悲嘆にくれて去っていく、愛の怪盗ルパン1世。
    終わり。

    #

    だからつまり、ルパンが本拠地を暴かれ、手放し、結婚したばかりの愛しい妻を失って、泣きの涙で去っていく。
    つまりそういうお話なんです。ルパンが負けちゃう。

    #

    よく考えたらスピンオフの構造だなあ、と思いながらも。

    イジドール君のロマンチックな若さの謳歌、のびのびとした(瑣末なリアリズムとかブンガク性をふっとばすような)ロマンの味わいが、いかにもルパン・シリーズな食べ心地。

    序盤、なかなかルパンが出てこない(というか、ほぼ奇岩城のラスト山場まで出てこない)ので、乗りにくいところがありましたが、イジドール君が活躍を始めると一気にエンターテイメントが走りだす。

    #

    多分小学校とか以来の再読。
    大人になっても、いや、大人になってからだからよりより、罪なく楽しめました。

    この新訳シリーズで「813」を再読したいなあ、と。
    (まだ出てないんですよね。このシリーズでは)

    0
    2017年03月03日

    Posted by ブクログ

    これまたスケールの大きな物語だった。
    ライバル役が少年というところが良い。
    怪我は負わせても殺人はしない、ある意味で純粋な怪盗紳士の好敵手役にぴったりだ。
    ボートルレ少年が謎を解いていくシーンは必死にページをめくった。

    しかし、コナンドイルのホームズが好きな私としては、ルブランのホームズはどうにも受け入れ難い。
    そこを除いてはとても良かった。

    0
    2025年11月01日

    Posted by ブクログ

     昔に児童向けの小説で読んだことがあるが、大人向けのものを読んだのは初めてかもしれない。ルパンと、若い高校生探偵が争う冒険小説。ホームズやクリスティのような推理小説というよりは、冒険小説。もちろん古い古い小説であり、古典的な感じではあるが、読みにくいことはない。奇岩城についてはあまりに突拍子もない設定のような感じがしないでもないが、それはそれで小説だからいいのだろう。

    0
    2025年11月01日

    Posted by ブクログ

    まさかシャーロック・ホームズが出るとは思わなかった。
    アニメのルパンをイメージするとよろしくないが、
    話としては面白かった。

    0
    2018年11月25日

    Posted by ブクログ

    フランス王家のくだりは、元々興味がないし
    予備知識も何もないから微妙だったけど、この長文を飽きさせる事なく読ませるってすごいよな…。
    最後が超好き。

    0
    2009年10月04日

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