あらすじ
世紀の怪人物の末裔を称し、絶世の美貌で男たちを魅了するカリオストロ伯爵夫人ことジョジーヌ。彼女は権謀術数を駆使する怪人ボーマニャンを相手に、普仏戦争のどさくさで失われた秘宝をめぐる争奪戦にしのぎを削っていた。その闘争の最前線に一人の若者が割り込む。その名はラウール・ダンドレジー。彼こそは、のちの怪盗紳士アルセーヌ・ルパンその人だった。妖艶なる強敵を相手にした若きルパン、縦横無尽の大活躍!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
物語の核とはズレる愛欲に塗れたジョゼフィーヌとの時間が深く描かれておらず、変にラブロマンスに寄りすぎず冒険譚としての形を保てていて良かった。
ラウールの心の揺れ動きや心躍る冒険と知略の数々の描写が上手い。訳も文句なし。
Posted by ブクログ
ルパンものは,1作づつ,違うルパンが現れるように7変化。
カリオストロ伯爵夫人のような魅力的な女性が現れるのも,フランスものの特徴だろうか。
イギリスのホームズに対してフランスのルパンという文化の対比ができるかもしれない。
人の心の動きの機微に触れるのはルパンだと思う。
Posted by ブクログ
前半は会話劇のような雰囲気。物語の全体像を掴むまで読み進めるのに苦労したが、中盤以降は状況が見えてきて、派手な演出も相まって映像が目に浮かびぐいぐい引き込まれた。
カリオストロ伯爵夫人の妖艶な魅力と残酷な素顔に私も翻弄された。
最後にラウールと夫人が対峙しているシーンは、いくら周到に手を回したとは言え、夫人の手下が来るのではとどきどきしながらラウールの推理を読んだ。
エピローグが何とも切ない。
でもきっと当時リアルタイムで楽しんだ人たちは、この先の展開を既出エピソードも含めてあれこれ考えてきっとわくわくしたに違いない。
私もまだ読んでないエピソードが楽しみになった。
こっちは面白いです
カリオストロの復讐は、お勧めしません。
出来が非常に悪い。本編のように出来がいいのを読んだ後だと特に。
失望します。
コナンドイルや、アレキサンドルディユマに比べると、ルブランさんは歩留まりが悪い。
宮崎ルパンがところどころオマージュしてるのがわかるのと、
ヨーゼフバルサモを女性形にしてヒロインの名前に当てたような感じがします。
若いからところどころ荒削りなとこがありますが、
それはそれで有りな気もします。
お好みで。
Posted by ブクログ
子供向けのルパンしか読めてなかったので、ハヤカワミステリで読むとまた違って面白かった。
推理ものというより冒険譚という感じ?
まだ変装もせずに生身で勝負してる感が若い!って思ってしまった(笑)
Posted by ブクログ
「熱烈な恋人同士でありながら最大の敵」という複雑な関係性の描写は今観ても劣ることなくドラマティックでありスリリング。そして二人を別った理由も、今でも通用する「悪役でも守るべき一線」であり実にわかりやすかった。
しかしルパンの移り気の早さを「若いからしゃーない」で済ますあたりは本当酷いw
Posted by ブクログ
世紀の怪人物の末裔を称し、絶世の美貌で男たちを魅了するカリオストロ伯爵夫人ことジョジーヌ。彼女は権謀術数を駆使する怪人ボーマニャンを相手に、普仏戦争のどさくさで失われた秘宝をめぐる争奪戦にしのぎを削っていた。その闘争の最前線に一人の若者が割り込む。その名はラウール・ダンドレジー。彼こそは、のちの怪盗紳士アルセーヌ・ルパンその人だった。妖艶なる強敵を相手にした若きルパン、縦横無尽の大活躍。
2017年最初の一冊はルパンでした。文庫を買ってから大事に積みすぎた作品ですw青年ルパンの原点とも言えるカリオストロですが、やっぱりいいなあ。ダンドレジーが若くて有頂天になったり恋におぼれたりと隙は多いけど、それがまた彼の人間らしさとして共感につながっている気がします。自分の中に天才的な才能を見つけ、ジョジーヌにやられて教えられては自分もやり返すという流れが本当にわくわくする。結果的に二人の人生がパートナーとして交わることはなかったわけですが、それでも一部分で似た者同士であり宿敵であり続けるんだな。人を殺さないからこそルパンには魅力が詰まっているのであって、ジョジーヌとは大きな差がありますが。復讐編も本当に楽しみだけど、平岡先生が新訳を出して下さらないかな・・。
Posted by ブクログ
後の怪盗ルパンとなる青年ラウール・ダンドレジーと妖艶な美女ジョジーヌ、怪人ボーマニャン、三者の秘宝をめぐる争奪戦を描いた小説。
子供の頃、ポプラ社版「ルパンシリーズ」を愛読していた自分にとって、アニメ「ルパン三世」のルパンの女好きっぷりに違和感を持っていたのを覚えています。
ポプラ社のルパンは女好きというより女性に優しいジェントルマンの印象だったからです。
しかし、これを読むとルパン三世の女好きの方がアルセーヌ・ルパンの実像を捉えていたのだな、と思いました。
若いルパンにはクラリスという彼女がいるのですが、その彼女をほったらかし、カリオストロ伯爵夫人ことジョジーヌに入れ込みます。浮気なんてレベルを超えた入れ込み具合に、ポプラ社版ルパンのイメージを持っていた自分は唖然とするしかありませんでした(苦笑)
ポプラ社版は児童文学だったので、ルパンの女性に情熱的な部分はカットされたみたいです。
なのでぶっちゃけ読み始めは「こいつくそ野郎だな」などと思いながら読んでいたのですが(笑)読むごとに浮気者のルパンの姿でなく、恋と善悪の狭間で揺れるルパンの姿が鮮明に描かれるようになります。
そしてそれはジョジーヌの方も同じ。愛した人が宿敵であり、今更これまでの悪の生き方を捨てきれず、恋人と対決に至る姿は読みごたえがあります。
それだけに二人の対決、そしてジョジーヌの執念というものは読んでいて面白くもあり恐ろしくもあり、ミステリや冒険小説だけでなく恋愛小説でもあるわけですね。
読み終えてみるとラウールの愛の注ぎ方は浮気ではなくどちらも本気だったのだな、と思います。(その後のルパンの生涯にはいろいろな女性が出てきますがそれもすべて本気です!)
つまりルパンは浮気者なのでなく、常に女性に対し本気で恋をしているのです、ととりあえずフォローしておきましょうか(笑)
若き日の二人の対決の物語が終わった後、ルパンとカリオストロ伯爵夫人は再び相対することが示唆されて、この本は終わります。ただその最後の戦いである「カリオストロの復讐」はハヤカワミステリ文庫では未訳です。
創元推理文庫かポプラ文庫『ルパン最後の冒険』で読めることは読めるのですが、やっぱり同じレーベル、訳者さんで読みたいな、というのが本音でもあります。
今度ハヤカワ文庫70周年企画で『ルパン対ホームズ』が新訳で出版されるみたいなのですが、どうにかその勢いで他のルパンシリーズも出してくれないかなあ、と悶々とする日々です。
Posted by ブクログ
ルパンがルパンになる前の物語。
けなげな女性に恋をしたルパンは結婚を申し込みに彼女の父親のもとを訪れる。
しかし身分を口実に反対された彼は、その父親が持つ秘密をネタに結婚を承諾させようとその秘密を盗み出す。
そこに隠された秘密とは・・・。
普仏戦争にまつわるお宝を追うグループと100年前からまったく年をとってないと思われる怪しい麗人、そしてその麗人に協力する事で事件に絡んでいくダンドレジー。
そのダンドレジーがルパンになる前のルパンです。
アニメのルパンシリーズでも名作の呼び声の高い「カリオストロの城」の原作ともいえる物です。
物語はルパンと名乗る以前の話なんですが、ルパンの持つニヒルで颯爽としているが愛する女性のためには献身して尽くすところが随所に見られます。(かなり惚れっぽい所も)
やっぱりルパンは最初からルパンなんだと納得しました。
クラリスは名前もそのままに、峰不二子は彼女を連想させる人物として「カリオストロの城」の登場人物が出てくるので、「カリオストロの城」がお好きな方も一度読んでみるといいですよ。
Posted by ブクログ
ルパンが20歳の頃の恋と犯罪の物語。
男爵令嬢でピュアなクラリスを手に入れた途端、峰不二子ちゃんのモデルのような魅惑的な大人の悪女「カリオストロ伯爵夫人」にのめり込む「ラウール・ダンドレジー」こと血気盛んな若きルパン。
本作のルパンは若いから「俺さま気質」が鼻につくレベルで、このルパンのキャラクターが好きになれないと冒険譚も彼の都合の良い自慢話にしか感じられないかも。
クラリスもカリオストロ伯爵夫人ことジョゼフィーヌ・バルサモも男性目線からの都合の良い女だものね。
しかし、ルパンの最初の奥さんがクラリスで、クラリスとの間の息子が生まれて早々にカリオストロ伯爵夫人に誘拐されていた設定だったことを知れたのは良かったです。
他の作品を楽しむ知識を得ることができました。
実際のところ、クラリスよりもカリオストロ伯爵夫人のほうがルパンとお似合いだったけれどね。
年上の絶世の美女、凄みのある才色兼備な女詐欺師が事実上の妻のほうがルパンの格は上がると思うけどなぁ…。
Posted by ブクログ
カリオストロの城の元ネタとも言える作品。
但し内容はもちろん全然違う。
そもそも三世は漫画アニメ。
それは抜きにして、非常に面白かった。
アルセーヌ・ルパンものは長い長いシリーズ物のようだ。
Posted by ブクログ
カリオストロといえば『ルパン三世 カリオストロの城』
やはりネーミングは、この作品から取られているそうです。
これはミステリというよりも、とあるミステリを巡る冒険小説に
恋愛のエッセンスを濃厚に織り込んだ作品って感じかなぁ~
時系列的にみると、ルパンの最初の事件になるんだろうけど
ある意味、回想録的な位置づけみたいだし・・・
天才的な才能を発揮するものの、ヒヨッコだったから詰めが甘い。
っていうか油断し過ぎで痛い目をみる。
そういうのがハラハラして楽しく読めました。
続編にあたる「カリオストロの復讐」が気になります。