平岡敦のレビュー一覧
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バラバラ死体と密室殺人。このネタだけで中篇ミステリが二作完成する。それをひとつの長編として世に送り出した作者の構成力には素直に感心せざるを得ない。トリックも特に目新しいわけではなく、犯人も推理可能。部分的には平均レベルなのだが、ひとつの作品として見たときの完成度がずば抜けているのだ。パズルのピースがレドンナム村へ集まり、そこで事件が始まり探偵が登場する──よくある事件のアプローチもアルテにかかると吸引力は倍増。繋ぎ目がなくシンプルでスムーズで飽きがこない。お馴染みの怪奇趣味やラストのプチ爆弾(?)など、スパイスの調合も完璧。似て非なるネタのコラボに成功した海外本格の秀作。
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ルパンがルパンになる前の物語。
けなげな女性に恋をしたルパンは結婚を申し込みに彼女の父親のもとを訪れる。
しかし身分を口実に反対された彼は、その父親が持つ秘密をネタに結婚を承諾させようとその秘密を盗み出す。
そこに隠された秘密とは・・・。
普仏戦争にまつわるお宝を追うグループと100年前からまったく年をとってないと思われる怪しい麗人、そしてその麗人に協力する事で事件に絡んでいくダンドレジー。
そのダンドレジーがルパンになる前のルパンです。
アニメのルパンシリーズでも名作の呼び声の高い「カリオストロの城」の原作ともいえる物です。
物語はルパンと名乗る以前の話なんですが、ルパンの持つニヒルで颯爽としているが愛する女性のためには献身して尽くすところが随所に見られます。(かなり惚れっぽい所も)
やっぱりルパンは最初からルパンなんだと納得しました。
クラリスは名前もそのままに、峰不二子は彼女を連想させる人物として「カリオストロの城」の登場人物が出てくるので、「カリオストロの城」がお好きな方も一度読んでみるといいですよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ以前読んだ本の中に出てきた古典ミステリを読んでみた。
100年前のフランスの感じとか、城とか、それだけでもうロマン。
でも新訳版だからか、違和感なくすごく読みやすかった。
今なら犯人の血が現場にあったら1発アウトだろうに、鑑識のない時代っていうのも新鮮だった。
全体を通して、焦らしの天才。
連載ものだったようなので、次も読みたくなるように引っ張るのは納得できる。
随所に出てきた、関係者を一発で従わせる「魔法の言葉」の使い方が上手くて面白かった。
種明かしまで、どういうこと??と気になってワクワクした。
廊下で犯人消失は一人二役かなーとうっすら思ったものの、その他は最後の種明かしまで謎だらけだった。
黄色い部屋の密室の謎の真相については、分かってしまえば確かに「なんだ、そんなことか」だけど、色々と散らばっている証拠に惑わされた。
ひとつ気になったのは、第1の打撃を隠したいなら、離れの玄関の窓の血の跡を拭き取らなくて良かったのだろうか。
頑なに命よりも秘密を守ることを優先するスタンガルソン嬢とダルザックはちょっと理解できなかった。
恥を晒してでも死ぬよりはマシじゃない?と思うのだが、地位や立場がある人には世間体のほうが大事なんだろうか。
秘密を明かしてくれないからこそ謎が深まって物語が面白くなるのだけど、その秘密の内容は命をかけるに値するのものであるべきだと思ってしまう。
黒衣夫人の匂わせ、続編が気になる。
それにしても日本でも外国でも昔の人って、たいして抵抗もなく他人を家に泊める印象。
しかも何泊もお世話してあげる。
そういう文化だったんだろうなぁ。
この作品でも、捜査のために自宅で寝泊まりさせてくれちゃうんだ。
食事とかも出してあげてたなら大変じゃない?とどうでもいいことが気になってしまう。
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『怪盗紳士ルパン』などから4編入った短編集。
モーリス・ルブランはコナンの毛利蘭の名前の元ネタだったはず⋯そしてルパンといえばルパン三世は孫という設定だったことを思い出した。
恥ずかしながら本家を初めて読み、ルパン三世や怪盗キッドがいかにルパンのDNAを継いでいるのか知る。
なるほど。鮮やかな変装。巧みな話術。銭形警部のような警察を利用して裏をかき、欲しいものを手に入れて華麗に脱出。
こういうことだったんだ〜とじんわり納得。
ルパンとホームズの関係も調べてみた。
ルブランが作中で許可なくホームズを登場させて、かなり揉めて後で名前だけ替えたとか。今では考えられなくてちょっと面白い。
ホームズはイギリスの、ルパンはフランスの古き良き憧れの香りがするようだった。 -
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「"あの"ジャン・レノが小説家デビュー!?」という衝撃に身を任せて、内容もなにも確認せずに即購入。早速読んでみることに。
フランス・ブルターニュ地方のポルティヴィー海洋療法センターで働く、美貌の敏腕マッサージ療法士であるエマ・モルヴァン。ある日、オマーン国の海洋療法複合センターのVIP一行が、パートナー契約に関する視察のため、ポルティヴィー海洋療法センターを訪れる。エマは、VIP一行の一人、オマーン副首相の長男であるタリク・カーンのマッサージを任される。タリクを施術する中で、身中に運命的な<波動>を感じとるエマ。その後、オマーン国側は、ポルティヴィー海洋療法センターをパートナー契約の相手方として指名するが、タリクは契約の条件として、マスカットに新規オープンする複合施設のスパ・チーム育成のため、エマを講師として派遣することを求める。自身が引き起こした交通事故により母を亡くしてからの後悔の日々から新しい一歩を踏み出すため、また、タリクを施術した際に感じた<波動>の理由を確かめるため、異国の地オマーンへと旅立つ―――。
田舎町に住む美貌のフランス人敏腕マッサージ療法士が、オマーン国の要人と運命的に巡り会ったことをきっかけに、異国の地でハリウッド映画のようなラブロマンス&サスペンスを体験するお話。エマが抱える母を喪った過去、タリクとの身分差ラブロマンス、フランス情報機関から命じられるスパイ活動、触れた相手の"気"を操る(?)<波動>(異能)の力等、映画のようなエンタメ要素がこれでもかというくらい詰め込まれているのだが、どれもこれも中途半端。続編ありきの内容で、本書だけでは読後の満足感はあまり望めないかと。では、続きが気になる内容だったかと言われると、真相や結末が知りたいと思えるような魅力は薄い。好みの問題だと思うが、個人的には「ここまででもういいや」という感じ。 -
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南太平洋 仏領ポリネシア(通称 タヒチ)
ゴーギャンの絵画で世界中に知られている場所。
世界地図で見てみるとどうしてここが仏領なのか、とても理解できないほどヨーロッパから遠い。
その地理的遠さと異文化の環境が“密室”を高める、もちろん“島”でもあるし……。
主要な登場人物による語りで物語は進む。
でも、時系列で進んでいるにもかかわらず、行ったり来たり行ったり来たりして、なんだかのめり込めない。
その理由はラストでわかる。
確かに驚愕な結末で、結末は面白かった。
が、やっぱり叙述トリックは好きになれない。
だって、一生懸命に読んで理解しようとしていた途中の自分がかわいそうすぎるから。 -
Posted by ブクログ
所々スムーズに読めなくて苦労する作品だったが、訳者あとがきにこの作品が世に出た経緯が書かれていて納得した。
モーリス・ルブラン本人はもっと推敲したかったかもしれないが、一読者としては公開してくれて嬉しい。
カリオストロ伯爵夫人では無邪気な青年だったのが、すっかり壮年期を迎え世のため後世のためにどう生きるかに重きを置いていて、人としての円熟味が心地よい余韻をもたらした。
その一方で惚れっぽい性格・気障な愛情表現は相変わらずでラブロマンスが作品に色を添える。
シリーズの締めくくりとして穏やかにクローズしていくので、派手なアクションや展開を求める人には少し物足りないかもしれない。
ハッピーエンドで読後感もすっきり終えたい人にはハマるかも。