平岡敦のレビュー一覧
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バラバラ死体と密室殺人。このネタだけで中篇ミステリが二作完成する。それをひとつの長編として世に送り出した作者の構成力には素直に感心せざるを得ない。トリックも特に目新しいわけではなく、犯人も推理可能。部分的には平均レベルなのだが、ひとつの作品として見たときの完成度がずば抜けているのだ。パズルのピースがレドンナム村へ集まり、そこで事件が始まり探偵が登場する──よくある事件のアプローチもアルテにかかると吸引力は倍増。繋ぎ目がなくシンプルでスムーズで飽きがこない。お馴染みの怪奇趣味やラストのプチ爆弾(?)など、スパイスの調合も完璧。似て非なるネタのコラボに成功した海外本格の秀作。
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Posted by ブクログ
ルパンがルパンになる前の物語。
けなげな女性に恋をしたルパンは結婚を申し込みに彼女の父親のもとを訪れる。
しかし身分を口実に反対された彼は、その父親が持つ秘密をネタに結婚を承諾させようとその秘密を盗み出す。
そこに隠された秘密とは・・・。
普仏戦争にまつわるお宝を追うグループと100年前からまったく年をとってないと思われる怪しい麗人、そしてその麗人に協力する事で事件に絡んでいくダンドレジー。
そのダンドレジーがルパンになる前のルパンです。
アニメのルパンシリーズでも名作の呼び声の高い「カリオストロの城」の原作ともいえる物です。
物語はルパンと名乗る以前の話なんですが、ルパンの持つニヒルで -
Posted by ブクログ
南太平洋 仏領ポリネシア(通称 タヒチ)
ゴーギャンの絵画で世界中に知られている場所。
世界地図で見てみるとどうしてここが仏領なのか、とても理解できないほどヨーロッパから遠い。
その地理的遠さと異文化の環境が“密室”を高める、もちろん“島”でもあるし……。
主要な登場人物による語りで物語は進む。
でも、時系列で進んでいるにもかかわらず、行ったり来たり行ったり来たりして、なんだかのめり込めない。
その理由はラストでわかる。
確かに驚愕な結末で、結末は面白かった。
が、やっぱり叙述トリックは好きになれない。
だって、一生懸命に読んで理解しようとしていた途中の自分がかわいそうすぎるから。 -
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Posted by ブクログ
所々スムーズに読めなくて苦労する作品だったが、訳者あとがきにこの作品が世に出た経緯が書かれていて納得した。
モーリス・ルブラン本人はもっと推敲したかったかもしれないが、一読者としては公開してくれて嬉しい。
カリオストロ伯爵夫人では無邪気な青年だったのが、すっかり壮年期を迎え世のため後世のためにどう生きるかに重きを置いていて、人としての円熟味が心地よい余韻をもたらした。
その一方で惚れっぽい性格・気障な愛情表現は相変わらずでラブロマンスが作品に色を添える。
シリーズの締めくくりとして穏やかにクローズしていくので、派手なアクションや展開を求める人には少し物足りないかもしれない。
ハッピーエン