あらすじ
ホームズの推理は間違っている! 『アクロイド殺害事件』におけるポワロの推理に異を唱え、真相を暴いて話題を呼んだ推理批評家バイヤール。フランス論壇の雄たる彼が、今回はシャーロック・ホームズに挑んだ。長編『バスカヴィル家の犬』のホームズ推理の疑問点・矛盾点を鋭く指摘し、真犯人を炙り出す。/【目次】登場人物/ダートムアの荒地/捜査/第一章 ロンドンにて/第二章 荒地(ムーア)で/第三章 ホームズの手法/第四章 不完全性の原理/再捜査/第一章 推理批評とは何か?/第二章 複数の語り/第三章 犬のための口頭弁論/第四章 ステープルトンの弁護/幻想性/第一章 シャーロック・ホームズは存在するのか?/第二章 テクストへの移住者/第三章 テクストからの移住者/第四章 ホームズ・コンプレックス/現実/第一章 文学による殺人/第二章 見えない死/第三章 真実/第四章 そして真実のみを/バスカヴィル家の犬/訳者あとがき/解説=杉江松恋
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Posted by ブクログ
前にも単行本で読んでいたが気付かずに再読。
読んでいる時には毛ほども注意しなかった事項も作者からの指摘には俄然頷ける。というより真相は本書の方が近い気がする(ネタバレになるので詳述はしない)。『アベ荘園』という短編でも恐ろしい裏の真相を推理している人がいたけど本書もそれと同類の怖さがある。
二段構えというかオチを本書の方に持っていけばサスペンスミステリーとして名前が残ったと思うが改めてドイルが気づいていなかったのかと再考。ドイルの持ち味はスッキリした読後感にあると自分は考えている。騎士道精神の持ち主であり歴史小説家(本人はそう思っていた)でもエンタメ要素を忘れない人なので敢えて本書の様にしなかったのではあるまいか。
それにしてもこんな風に色々解釈できる作品という事が本書を読んでまた分かった。やはりシャーロック・ホームズシリーズは不朽の名作!