平岡敦のレビュー一覧
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ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 下』ハヤカワ文庫。
3部作の完結編の下巻。戦火の中で運命に翻弄されながら、歴史の1ページを刻んだ登場人物たち。ミステリーの要素は希薄で、歴史大河小説のような趣の作品だった。はっきりとしたテーマや結末は見当たらず、読み終えても満足感は得られなかった。
密林では評価が高いようだが、レビューは無いという不可思議。ステルス・マーケティングなのだろう。
レストラン店主のジュールと共に戦火を逃れ、兄のラウールを捜すためにルイーズはパリを後にする。ラウールはガブリエルと共に捕らえられていた軍から脱走する。そして、終盤にルイーズはラウールと会うのだが……
本体価 -
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ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 上』ハヤカワ文庫。
『天国でまた会おう』『炎の色』に続く3部作の完結編。前2作とは間接的には関連するが、全く独立した物語である。
ミステリーなのか、歴史小説なのか、どういう展開になるのか全く読めない展開の作品。一応、乗り掛かった船ということで完結編も読むことにしたが、期待はしていない。
ドイツが進行し、戦火が迫る1940年のパリが舞台。『天国でまた会おう』に登場した戦争で顔を半分失ったエドゥアール・ペリクールが身を寄せた下宿先の娘、ルイーズ・ベルモンの数奇な運命とフランス軍の兵士、ガブリエル、ラウール・ランドラードの物語、天才的な詐欺師デジレの物語 -
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1918年第一次世界大戦、銀行の会計係だったアルベール・マイヨールは今は前線でフランス軍兵士となっている。
ドイツが降伏し戦争終結というタイミングで事件が起きた。中尉ブラデルは終戦後の地位を求めて兵士達に更なる戦いへ奮い立たせる為に部下2人をドイツ兵の仕業に偽装して射殺し、兵士の怒りをドイツ兵に向けさせた。
前線で事実を知ったアルベールはプラデルに殺されかけ、更に救おうとし重症を負ったエドゥアールをも見殺しにしようとしている。
奇跡的に助かった2人だが、エドゥアールは亡くなった兵士の身分を偽装して家族には亡くなったと伝わっている。アルベールは命の恩人エドゥアールの面倒を見ているが悲惨な -
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ネタバレオーウェンの友人、ラルフが脱獄囚と間違えられ、ロンドンの霧の裏町を逃げ回り、迷い込んだクラーケン・ストリート。
その通りの家の窓から女にナイフで斬りつけられる男性を目撃して立ち去るが、ライターを落としたことに気づいて引き返すと、クラーケン・ストリートは忽然と消えていた。
ラルフから話を聞いたオーウェンはクラーケン・ストリートに興味を持ち、調べ始めると奇妙な体験をした人々が他にも存在することが。
クラーケン・ストリートとは本当に幻の通りなのか?オーウェンと友人のアキレスは捜査に乗り出す。
霧の裏通り、声をかける赤いショールの女、ぶどう売り。
部屋の窓からぼんやりと見える一場面。
わずかな時間の -
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ドイツの大富豪で会社経営者が狩猟休暇中に惨殺された。広大な領地の黒い森で狩猟者が獲物に儀式をする様に内臓を取り去り頭部を切り離し性器も切り取った。
犯人は、動物と同じ様に人間を狩ったのだった。
フランス警察のニエマンスと相棒のイヴァーナはドイツへ捜査に向かう。
殺害されたユルゲンの妹で共同経営者のラオラも巨大な犬に咬み殺されそうになった。
その犬は殺人鬼ならぬ殺人犬でナチス時代に訓練された犬だった。資産100億ドルのを巡っての一族の骨肉の争いが動機なのか?
また、一方でユルゲンとラオラの叔父フランツは兄妹の父親である兄に狩場で謝って撃たれ車椅子人生となった事に対する恨みを息子ユ -
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ネタバレ「その女アレックス」を中心としたヴェルーヴェン警部シリーズとは全く趣向の違った作品でした。
後書きでは冒険小説とのワードもありましたが、それもしっくりこない。
舞台はまさに第一次世界大戦が終わろうとしているフランス。
そこで戦った兵士(アルベール)が戦場で見た光景と自身の体験。
命を救ってくれた戦友(エドゥアール)と、その際におってしまった人生を狂わせる大怪我。
その後、始まった共同生活の中で彼等が取り戻す日常は、国中を巻き込む一大詐欺事件へ...
後半に入り、少し世界観には入り込めたが、暗いイメージは今までの著者の作品と同じとは言え、期待していただけに全体を読み終えても残念な気が -
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1863年5月24日ハンブルグ。鉱物学の高名な教授リーデンブロックと、彼の甥で研究助手のアクセルは、教授が持ち帰った稀覯本に挟まれたボロボロの羊皮紙を見つけた。そこに書かれたルーン文字は暗号で、解読は難航したものの、アクセルが偶然解いてしまった結果、それは、地球の中心へ行く方法を示したものだった。好奇心旺盛で行動的な叔父は、その暗号のメッセージに従い、アクセルを連れて冒険旅行に出ることを宣言する。大急ぎで準備が進む中、恋人への未練と危険な旅への恐れからアクセルは躊躇するが、ついに出発の時は来た。冒険の荷を積んだふたりは、アイスランドのスネッフェルス山を目指す。
地球の中心を目指す旅を、アクセ -