平岡敦のレビュー一覧

  • 金時計

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    1911年と1991年の物語が交互に語られていき、金時計、磔刑像、『黄衣の王』などどちらにも登場する小道具が謎を呼ぶ異色ミステリ。
    クラシックな密室殺人とサイコサスペンスっぽい過去への探求物語はそれぞれ魅力的だが、結び付ける必要はあったのかなという気はする。(2つのパートの結びつきについては、解説を読んではじめて気づいた。)
    しかし子供の頃に見た映画を探すための精神分析から怒涛のようにラストに続く流れはワクワクした。やはりアルテは面白い。

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    2022年04月24日
  • われらが痛みの鏡 下

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    戦争って・・・
    もっと者がない事かと思ってたのに
    あるところにはあるのねえ

    それでもやっぱり
    タイトルには・・・

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    2022年03月22日
  • 死まで139歩

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    ツイスト博士シリーズ。
    暗号のような言葉を残して消えた女、毎日手紙を運ぶ怪しげな仕事に雇われた男、施錠と五年分の埃という密室の中に忽然と出現した死体・・不可解な出来事がツイスト博士によって一つに結びついてゆく。
    序盤のサスペンスは古典的で大変ワクワクしたが、真相がわかって実際やっている様子を想像すると少々無理があるような。しかし本格ミステリっぽさ全開の楽しい話だった。

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    2022年03月16日
  • 死まで139歩

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    ネタバレ

    読んでいる最中に浮かんだいくつもの?に
    解説で法月倫太郎先生が鮮やかに回答をくださり、すっきりした。

    わたしが大好きな殊能将之氏が、いかにポール・アルテが好きだったかという件はとても読み応えがあってよかった。

    フレンチミステリはやはり奇妙な味がする。

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    2022年02月09日
  • 混沌の王

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    しょっぱなの主人公の行動からして謎でね、フラグたてて、見事に人死んじゃうし。
    知らん女性の美醜についてとやかく言うアキレスにはデコピンしたい。
    なんだかんだでこの人の作品、好きなんじゃ。

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    2022年02月06日
  • 殺人七不思議

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    ネタバレ

    4件目の被害者の死に方というか死に至った原因の癖が強すぎて、思わず声が出ました。〝クセ〟というか、〝へき〟だなと。
    七不思議やわ〜。
    これ、ネタバレになるのかしら。

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    2022年02月06日
  • 第四の扉

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    ポール・アルテという作家の推理小説を次々読んで感じるのは、導入部の面白さと謎解きの物足りなさだ。「第四の扉」でも、おどろおどろしい導入ストーリーはとても面白く、ぐんぐん読めてしまう。しかし謎解きとなると・・・果たしてこれは本格推理と呼ぶべきなのか?

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    2021年12月22日
  • 世界ショートセレクション1 ルブラン ショートセレクション 怪盗ルパン 謎の旅行者

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    フランスの作家、モーリス・ルブランが産み出した傑作、「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」シリーズから、ルパンがルパンを追うという、摩訶不思議かつ巧妙な設定にひきこまれる表題作はじめ四つの短編を選び、新訳で紹介する。

    早川文庫からシリーズ全巻新訳が出ないかな~と首を長くして待っているのですが、売れ行きが厳しいのか頓挫していて寂しい。なぜか短編集が理論社から出るという謎。平岡先生の新訳は非常に読みやすくて好きなので迷わず購入しましたが、どうせなら文庫で出してほしかった気もする。内容はどれもわくわくする素晴らしい作品です。特に「赤い絹のスカーフ」はルパンの推理が冴える名作。しかしこうして振り返るとルパンってめちゃくちゃ女の人にモテますよね。こんなあちこちで仲良くして、よくトラブルにならんな(笑)

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    2021年09月18日
  • われらが痛みの鏡 下

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    三部作、終了。
    様々な人間模様が楽しめた。

    最終的に登場人物が同じ場所に行きついて、「集結した!」と声を出してしまいました。

    デジレ気になる。
    詐欺師でも、人を救えるらしい。今までの罪滅ぼし?とも思ったけど、違ってた…デジレだけで、1冊書いてほしい。

    ジュールさんも素敵。パリに戻った翌日にはお店を開けるとか、本当に素敵!

    それにしても、私はこの戦禍をくぐりぬける自信はない…もちろん、ご先祖様たちはくぐり抜けてきたわけだけど。

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    2021年09月10日
  • われらが痛みの鏡 上

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    昔、親戚がフランスの方と結婚し、その義理のお母さまが、ドイツはフランスをぐちゃぐちゃにし、大切なピアノも壊された。一生、許さない。
    と言っていた話を思い出しました。
    ちょうど、この頃なんだなぁ…

    下巻へ

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    2021年08月31日
  • 水晶の栓

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    アニメの「怪盗ルパン」のイメージが強い分、小説のルパンは数度の窮地をどのように乗り越えるのか興味津々となり、一気に読み終えたくなる。それは変装し現場に赴くと相手は既にルパンの正体を知って逆手に取りルパンを窮地に追い込む。最後の最後まで騙す、騙されるを繰り返すが危機一髪で事件を解決する。ルパンの難題を乗り切る知恵は現代でも参考になる。
    現代、世の中を金を使い権力を手にしている輩がいる。が、金で得たものはやはり金でしか解決しないのだ。人は常に「情」を持って従うのを忘れている。

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    2021年08月17日
  • 黄色い部屋の謎【平岡敦訳】

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    1907年の作品で密室ミステリの名作と評判の一冊。
    緻密に練り込まれたトリック、物語の構成力、そしてキャラクターの色の濃さ、
    どれをとっても時代を超えてワクワクとさせてくれる一冊でした。
    その頃の推理小説がどのようなものだったのかを知らないが、あっと驚かせたのは間違いないだろう。
    情報自体は全てが揃っている訳ではないものの、犯人を理論的に導き出す為の事柄は出揃っていたので、
    謎解きを楽しめるようになっている作り。
    古典ミステリといえど、素晴らしい作品はいつまでも素晴らしい。
    ミステリの歴史をどんどん散策したい。

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    2021年08月15日
  • われらが痛みの鏡 下

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    ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 下』ハヤカワ文庫。

    3部作の完結編の下巻。戦火の中で運命に翻弄されながら、歴史の1ページを刻んだ登場人物たち。ミステリーの要素は希薄で、歴史大河小説のような趣の作品だった。はっきりとしたテーマや結末は見当たらず、読み終えても満足感は得られなかった。

    密林では評価が高いようだが、レビューは無いという不可思議。ステルス・マーケティングなのだろう。

    レストラン店主のジュールと共に戦火を逃れ、兄のラウールを捜すためにルイーズはパリを後にする。ラウールはガブリエルと共に捕らえられていた軍から脱走する。そして、終盤にルイーズはラウールと会うのだが……

    本体価格900円
    ★★★

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    2021年08月11日
  • われらが痛みの鏡 上

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    ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 上』ハヤカワ文庫。

    『天国でまた会おう』『炎の色』に続く3部作の完結編。前2作とは間接的には関連するが、全く独立した物語である。

    ミステリーなのか、歴史小説なのか、どういう展開になるのか全く読めない展開の作品。一応、乗り掛かった船ということで完結編も読むことにしたが、期待はしていない。

    ドイツが進行し、戦火が迫る1940年のパリが舞台。『天国でまた会おう』に登場した戦争で顔を半分失ったエドゥアール・ペリクールが身を寄せた下宿先の娘、ルイーズ・ベルモンの数奇な運命とフランス軍の兵士、ガブリエル、ラウール・ランドラードの物語、天才的な詐欺師デジレの物語の3つを軸にストーリーは展開する。

    公立小学校の教師でレストランでも働くルイーズは『ドクター』と呼ばれる常連客の老人から奇妙な申し出を受けたことから、事件に捲き込まれ、自身に関わる過去の秘密を知る。

    本体価格900円
    ★★★

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    2021年08月11日
  • われらが痛みの鏡 下

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    上巻までは全く関係なく描かれていた4人(組)が集結する下巻は俄然面白くなりました。前2作は実際の出来事をモデルにしていたとのことですが、本作はどれくらい事実が元になっているんでしょうか。それにしても戦争は悲惨ですね。

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    2021年08月08日
  • 天国でまた会おう 下

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     惨めな生活を送るアルベールとエドゥアールは、戦死者記念墓碑詐欺を実行する。一方でプラデルは、戦死者埋葬事業で数々の契約違反を行い運に見放されつつあった。

     戦争で大きく運命を変えさせられた若者二人と私利私欲のプラデル、息子の死に後悔で苛まれるマルセルがそれぞれが戦死者追悼事業に関わり、人生奪還・金儲け・息子への愛慕の気持ちが向かう結末は悲しいものだ。

     本作は、2013年にフランスの文学賞''ゴンクール賞''を受賞し2017年には映画化もされました。

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    2021年07月23日
  • 天国でまた会おう 上

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     1918年第一次世界大戦、銀行の会計係だったアルベール・マイヨールは今は前線でフランス軍兵士となっている。
    ドイツが降伏し戦争終結というタイミングで事件が起きた。中尉ブラデルは終戦後の地位を求めて兵士達に更なる戦いへ奮い立たせる為に部下2人をドイツ兵の仕業に偽装して射殺し、兵士の怒りをドイツ兵に向けさせた。
     前線で事実を知ったアルベールはプラデルに殺されかけ、更に救おうとし重症を負ったエドゥアールをも見殺しにしようとしている。

     奇跡的に助かった2人だが、エドゥアールは亡くなった兵士の身分を偽装して家族には亡くなったと伝わっている。アルベールは命の恩人エドゥアールの面倒を見ているが悲惨な生活だ。エドゥアールはモルヒネ中毒、アルベールは定職がなくバイトを転々と、
     戦争で2人の人生は大きく変わってしまったが、きっかけを作ったプラデルは資産家エドゥアール家の娘でエドゥアールの姉マドレーヌと結婚し着々と富豪の道を固めつつあった。

    顔の下半分を無くし自暴自棄なエドゥアールと命の恩人を献身的に支えるアルベールの悲惨な生活と戦争をテコに野望を遂げようとするブラデルの悪と餌食にされた弱者の対比が生々しい。

    本作は、''炎の色''、''われらが痛みの鏡''の歴史ミステリー三部作の初作です。

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    2021年07月22日
  • あやかしの裏通り

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    ネタバレ

    オーウェンの友人、ラルフが脱獄囚と間違えられ、ロンドンの霧の裏町を逃げ回り、迷い込んだクラーケン・ストリート。
    その通りの家の窓から女にナイフで斬りつけられる男性を目撃して立ち去るが、ライターを落としたことに気づいて引き返すと、クラーケン・ストリートは忽然と消えていた。
    ラルフから話を聞いたオーウェンはクラーケン・ストリートに興味を持ち、調べ始めると奇妙な体験をした人々が他にも存在することが。
    クラーケン・ストリートとは本当に幻の通りなのか?オーウェンと友人のアキレスは捜査に乗り出す。

    霧の裏通り、声をかける赤いショールの女、ぶどう売り。
    部屋の窓からぼんやりと見える一場面。
    わずかな時間の間に消え失せる通り。
    ホームズの世界を思わせて舞台だけでドキドキする。 
    美に対するこだわりで奇行も飛び出すオーウェンがラルフと美女について当てこするのにニヤニヤして、語り手のオーウェンの友人、アキレスの目前に現れる奇怪な出来事。
    ちょっとそーかなーと思って読んでたけど、驚かされる結末、楽しかった!

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    2021年05月29日
  • ブラック・ハンター

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     ドイツの大富豪で会社経営者が狩猟休暇中に惨殺された。広大な領地の黒い森で狩猟者が獲物に儀式をする様に内臓を取り去り頭部を切り離し性器も切り取った。
     犯人は、動物と同じ様に人間を狩ったのだった。

     フランス警察のニエマンスと相棒のイヴァーナはドイツへ捜査に向かう。

     殺害されたユルゲンの妹で共同経営者のラオラも巨大な犬に咬み殺されそうになった。
    その犬は殺人鬼ならぬ殺人犬でナチス時代に訓練された犬だった。資産100億ドルのを巡っての一族の骨肉の争いが動機なのか?

     また、一方でユルゲンとラオラの叔父フランツは兄妹の父親である兄に狩場で謝って撃たれ車椅子人生となった事に対する恨みを息子ユルゲンに向けたのか?

     ニエマンスとイヴァーナが複数の男達に襲われた。殺人犬を訓練しユダヤ人虐殺を行なっていた傭兵軍"ブラック・ハンター"だ。同じ晩にユルゲンとラオラの従兄弟がユルゲンと同じ手口で狩られた。ブラック・ハンターは一族が森を最高の狩猟場として使える様に雇った人間達だ。 

     大富豪一族に起きている不可解な死者は過去にも起きていて、一族内の間引き殺人なのか、昔は避妊する行為が一般的では無く子沢山で一家全員の食べ物に困窮した際に''口減らし''で長男以外の子供を売っていた事実が有る。本作の大富豪一族は経済的な理由では無く血統や領主としての才覚を見極める事が重要だったのかも。

     作者は、主人公がジャン・レノの映画化された''クリムゾン・リバー''を23年前に上梓して居り本作は待望のシーズン二作目です。飽きさせない展開と主人公ニエマンスの粗暴で正義感溢れる様はジャン・レノとオーバーラップし脳内で映像化する様に読み進められ面白い。

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    2021年05月29日
  • 天国でまた会おう 下

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    はぐれ者二人の詐欺計画が着々と進行する最中、杜撰な仕事ぶりが露呈したブラデル社は一気に窮地へ。更には一枚岩のペリクール父娘、偏屈な監査人メルランも介入し、物語は一気に佳境を迎える。<ヴェルーベン警部シリーズ>最終作「傷だらけのカミーユ」の結末を鑑みる限り、晴れやかな幕引きは想像し難かったが、最終的に思いの外妥当な着地点に収まった印象。しかし、アルベールとエドゥアールの別離は実に切ない。主人公と敵役、復員兵の両者が戦没者を冒涜する悪事に身を染めていくのは実に皮肉的。原作に忠実と言われている映画版が気になる。

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    2021年05月17日