平岡敦のレビュー一覧
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フランスの作家、モーリス・ルブランが産み出した傑作、「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」シリーズから、ルパンがルパンを追うという、摩訶不思議かつ巧妙な設定にひきこまれる表題作はじめ四つの短編を選び、新訳で紹介する。
早川文庫からシリーズ全巻新訳が出ないかな~と首を長くして待っているのですが、売れ行きが厳しいのか頓挫していて寂しい。なぜか短編集が理論社から出るという謎。平岡先生の新訳は非常に読みやすくて好きなので迷わず購入しましたが、どうせなら文庫で出してほしかった気もする。内容はどれもわくわくする素晴らしい作品です。特に「赤い絹のスカーフ」はルパンの推理が冴える名作。しかしこうして振り返るとルパンってめちゃくちゃ女の人にモテますよね。こんなあちこちで仲良くして、よくトラブルにならんな(笑) -
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ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 下』ハヤカワ文庫。
3部作の完結編の下巻。戦火の中で運命に翻弄されながら、歴史の1ページを刻んだ登場人物たち。ミステリーの要素は希薄で、歴史大河小説のような趣の作品だった。はっきりとしたテーマや結末は見当たらず、読み終えても満足感は得られなかった。
密林では評価が高いようだが、レビューは無いという不可思議。ステルス・マーケティングなのだろう。
レストラン店主のジュールと共に戦火を逃れ、兄のラウールを捜すためにルイーズはパリを後にする。ラウールはガブリエルと共に捕らえられていた軍から脱走する。そして、終盤にルイーズはラウールと会うのだが……
本体価格900円
★★★ -
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ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 上』ハヤカワ文庫。
『天国でまた会おう』『炎の色』に続く3部作の完結編。前2作とは間接的には関連するが、全く独立した物語である。
ミステリーなのか、歴史小説なのか、どういう展開になるのか全く読めない展開の作品。一応、乗り掛かった船ということで完結編も読むことにしたが、期待はしていない。
ドイツが進行し、戦火が迫る1940年のパリが舞台。『天国でまた会おう』に登場した戦争で顔を半分失ったエドゥアール・ペリクールが身を寄せた下宿先の娘、ルイーズ・ベルモンの数奇な運命とフランス軍の兵士、ガブリエル、ラウール・ランドラードの物語、天才的な詐欺師デジレの物語の3つを軸にストーリーは展開する。
公立小学校の教師でレストランでも働くルイーズは『ドクター』と呼ばれる常連客の老人から奇妙な申し出を受けたことから、事件に捲き込まれ、自身に関わる過去の秘密を知る。
本体価格900円
★★★ -
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1918年第一次世界大戦、銀行の会計係だったアルベール・マイヨールは今は前線でフランス軍兵士となっている。
ドイツが降伏し戦争終結というタイミングで事件が起きた。中尉ブラデルは終戦後の地位を求めて兵士達に更なる戦いへ奮い立たせる為に部下2人をドイツ兵の仕業に偽装して射殺し、兵士の怒りをドイツ兵に向けさせた。
前線で事実を知ったアルベールはプラデルに殺されかけ、更に救おうとし重症を負ったエドゥアールをも見殺しにしようとしている。
奇跡的に助かった2人だが、エドゥアールは亡くなった兵士の身分を偽装して家族には亡くなったと伝わっている。アルベールは命の恩人エドゥアールの面倒を見ているが悲惨な生活だ。エドゥアールはモルヒネ中毒、アルベールは定職がなくバイトを転々と、
戦争で2人の人生は大きく変わってしまったが、きっかけを作ったプラデルは資産家エドゥアール家の娘でエドゥアールの姉マドレーヌと結婚し着々と富豪の道を固めつつあった。
顔の下半分を無くし自暴自棄なエドゥアールと命の恩人を献身的に支えるアルベールの悲惨な生活と戦争をテコに野望を遂げようとするブラデルの悪と餌食にされた弱者の対比が生々しい。
本作は、''炎の色''、''われらが痛みの鏡''の歴史ミステリー三部作の初作です。 -
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ネタバレオーウェンの友人、ラルフが脱獄囚と間違えられ、ロンドンの霧の裏町を逃げ回り、迷い込んだクラーケン・ストリート。
その通りの家の窓から女にナイフで斬りつけられる男性を目撃して立ち去るが、ライターを落としたことに気づいて引き返すと、クラーケン・ストリートは忽然と消えていた。
ラルフから話を聞いたオーウェンはクラーケン・ストリートに興味を持ち、調べ始めると奇妙な体験をした人々が他にも存在することが。
クラーケン・ストリートとは本当に幻の通りなのか?オーウェンと友人のアキレスは捜査に乗り出す。
霧の裏通り、声をかける赤いショールの女、ぶどう売り。
部屋の窓からぼんやりと見える一場面。
わずかな時間の間に消え失せる通り。
ホームズの世界を思わせて舞台だけでドキドキする。
美に対するこだわりで奇行も飛び出すオーウェンがラルフと美女について当てこするのにニヤニヤして、語り手のオーウェンの友人、アキレスの目前に現れる奇怪な出来事。
ちょっとそーかなーと思って読んでたけど、驚かされる結末、楽しかった! -
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ドイツの大富豪で会社経営者が狩猟休暇中に惨殺された。広大な領地の黒い森で狩猟者が獲物に儀式をする様に内臓を取り去り頭部を切り離し性器も切り取った。
犯人は、動物と同じ様に人間を狩ったのだった。
フランス警察のニエマンスと相棒のイヴァーナはドイツへ捜査に向かう。
殺害されたユルゲンの妹で共同経営者のラオラも巨大な犬に咬み殺されそうになった。
その犬は殺人鬼ならぬ殺人犬でナチス時代に訓練された犬だった。資産100億ドルのを巡っての一族の骨肉の争いが動機なのか?
また、一方でユルゲンとラオラの叔父フランツは兄妹の父親である兄に狩場で謝って撃たれ車椅子人生となった事に対する恨みを息子ユルゲンに向けたのか?
ニエマンスとイヴァーナが複数の男達に襲われた。殺人犬を訓練しユダヤ人虐殺を行なっていた傭兵軍"ブラック・ハンター"だ。同じ晩にユルゲンとラオラの従兄弟がユルゲンと同じ手口で狩られた。ブラック・ハンターは一族が森を最高の狩猟場として使える様に雇った人間達だ。
大富豪一族に起きている不可解な死者は過去にも起きていて、一族内の間引き殺人なのか、昔は避妊する行為が一般的では無く子沢山で一家全員の食べ物に困窮した際に''口減らし''で長男以外の子供を売っていた事実が有る。本作の大富豪一族は経済的な理由では無く血統や領主としての才覚を見極める事が重要だったのかも。
作者は、主人公がジャン・レノの映画化された''クリムゾン・リバー''を23年前に上梓して居り本作は待望のシーズン二作目です。飽きさせない展開と主人公ニエマンスの粗暴で正義感溢れる様はジャン・レノとオーバーラップし脳内で映像化する様に読み進められ面白い。