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Posted by ブクログ
ピエール・ルメートルの壮大でかつ人間味あふれた歴史群像劇。
20世紀の二つの戦争に翻弄されたフランスの人たちの三部作、完結編。
上巻からひきつづき「ルイーズの物語」「ガブリエルとラウールの物語」「デジレ・ミゴーの物語」が進む中、新たに「フェルナンの物語」が加わって、下巻は4本同時に進行していく。
が、次第にそれらが交わり始めると、妙な期待感に浸っていき、読むのが楽しくなる。
いったいどこですべてが交わるのか……ああ、そうなんです。
そのためにこの人はいたのですね。
とても効果的です。
詐欺師と神様は、“カミヒトエ”……なんちゃって。
それと映画的でもあるけど、完結編もエピローグで登場人物の“その後”が描かれていて、すっきりした後味がとてもステキなお話でした。
Posted by ブクログ
今年はピエール・ルメートルの作品が二作立て続けに読めた年。しかも先に読んだ『僕が死んだあの森』の後は、ルメートルはミステリーをやめたという話もあるくらいだから、今後は本書のようにハヤカワ・ミステリで出版されてはいるものの、冒険小説に近い普通小説の枠で書いてゆくのだろうか?
本書は第一次と第二次世界大戦の間のフランスの大作三部作の最終編であって、確かにこれまでのルメートルお家芸の謎解きミステリーやスリラーとは縁遠いものがある。それにしても三部作といいながら時代と家系を組み立て繋ぎ語りつつ、一作一作が独立して読んでも楽しめるエンタメ性に満ちており、ルメートルならではの面白さには太鼓判といった味わいはいささかも減じていない。
本書は三部作の中でも、図抜けた面白さを持っているように思う。キャラクターたちの運命、すれ違い、出会い、絡み、いずれもナチに今にも占領されようとしているフランス国民の逃走を背景としたスケールの大きい群像小説として楽しめる、いわば現代の『戦争と平和』なのである。
かつて第二次世界大戦をモチーフにした映画には事欠かなかった世代であるぼくら昭和戦後生まれ世代にとっては、懐かしくわかりやすい一時代のヨーロッパが久々に活写されており、まるでエンタメの故郷に還ってきたようなわくわく感があると同時に、ルメートルならではの酷薄な真実と遠慮のない暴力の世界が痛いほどに味わえる力作なのである。
前作のヒロインでもあった亡きジャンヌ・ベルモンの娘ルイーズが巻き込まれるパリの事件に始まり、一方ではガブリエルとラウールという『兵隊やくざ』を思わせる前線コンビの噛み合わないロードノヴェルが展開。さらにはどこでこの大きなストーリーの流れに組み込まれてゆくのか想像すらつかない稀代のペテン師デジレによるド派手な詐欺のあれこれが語られつつ、戦争の危機感が増幅してくる総体的スリルを読者は味わうことになる。
後半ではさらに機動憲兵隊フェルナンとその妻が加わり、前半の各キャラの世界に合流して新たな展開を見せてくれる。これら主要キャラクターたちの離合集散やその運命の翻弄そのものが、ひときわ語りに優れたルメートルというストーリーテラーによって構築されてゆく。大作であり力作であり、一見、別々の物語にしか見えなかったものが、集結して大きなうねりをもたらしてゆくダイナミズムは本書最大の読ませどころであろう。
できれば三部作を順番に読んで頂きたいが、それぞれ独立して読んでも、何ら問題はない。ルメートルという作家の新たな地平を今後も期待したくなるエネルギッシュな本編に、是非とも翻弄され、身を委ねてて頂きたい。
Posted by ブクログ
ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 下』ハヤカワ文庫。
3部作の完結編の下巻。戦火の中で運命に翻弄されながら、歴史の1ページを刻んだ登場人物たち。ミステリーの要素は希薄で、歴史大河小説のような趣の作品だった。はっきりとしたテーマや結末は見当たらず、読み終えても満足感は得られなかった。
密林では評価が高いようだが、レビューは無いという不可思議。ステルス・マーケティングなのだろう。
レストラン店主のジュールと共に戦火を逃れ、兄のラウールを捜すためにルイーズはパリを後にする。ラウールはガブリエルと共に捕らえられていた軍から脱走する。そして、終盤にルイーズはラウールと会うのだが……
本体価格900円
★★★
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