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Posted by ブクログ
インドシナ戦争中のサイゴンが主要な舞台で、上下巻通していわゆる「ピアストル事件」が背景になっている。ベイルートで石鹸工場を営む夫婦と、その3男1女を軸に語られる戦争の傷痕、インドシナ戦争の裏側。ベトミンとフランスの関係。長男のジャンは石鹸工場の後継ぎだが、経営の能力はなくパリへ。フランソワはENSを期待される能力を持つが、彼もパリでジャーナリズムの道へ。エティエンヌは愛した男性レイモンを追ってサイゴンへ。ここで就いた職場、両替局から話は広がる。
途中、第一次大戦末期の記念碑詐欺の話が出てきて、あれ?どこかで読んだ記憶が…というのがうれしい驚き。記憶を辿りつつ、そういうことだったのか、という連鎖を楽しめる。次作が楽しみでもある。
Posted by ブクログ
ピエール・ルメートル『欲望の大地、果てなき罪 下』ハヤカワ文庫。
長篇連作小説『栄光の時代』シリーズの第1弾。
下巻では、レバノンの首都ベイルートで石鹸工場を営む富豪ベルティ家の恐るべき血に塗られた大罪が次々と明らかになり、驚愕の連続となる。ベルティ家の出来の悪い長男で、欲望のままに密かに殺人を繰り返すジャンが一番の悪人かと思えば……
果てなき罪……
一族が次々と窮地に追い込まれ、大切な物を失う理由も理解出来よう。しかし、一族はただでは転ばない。
パリの劇場で女優のマリ・ランプソンが惨殺された事件を巡り、何故かジャンの妻であるジュヌヴィエーヴが警察にジャンを目撃者の首実験の対象に加えることを進言する。しかし、目撃者はジャンが犯人であるとは認めず、マリ・ランプソンの夫に嫌疑がかかる。
一方、サイゴンのインドシナ両替局に勤務していたエティエンヌは国際的な不正送金事件の証拠を掴んだことから、仲間と共に抹殺される。さらにはその余波がベルティ家の家族全員を襲い、ベルティ家の過去からの大罪が一つ一つ掘り起こされていく。
ベルティ家の大罪がまな板の上にのり、この先どのような未来が広がるのかというところで、第1弾は幕を閉じる。
本体価格1,500円
★★★★
Posted by ブクログ
あとがきで知ったけれど、これ災厄の子供たち三部作(未購入)の続きだったんだな……こちらから読んでしまった。いやしかし、それでも面白かった。曲者揃いのペルティエ一家を軸とした圧巻の群像劇。
全員異なるベクトルで狂人というか……。中でもスペック的には最も冴えない長男ジャンが冒頭からさらっと通り魔殺人をかましており、もはや悪癖のように語られるそれに戦慄。しかも弟フランソワは新聞記者で、兄が起こした殺人事件をそうとは知らずに取り上げ、出世街道を邁進するというスリリングすぎる展開。ジャンの妻で毒婦ポジションのジュヌヴィエーヴも絶妙に憎めないところがある。
三男エティエンヌのエピソードだと、シエウ・リン教団のパレードで教祖ロアンの正体に気付くシーンが好きだな〜。サイゴンという異質な街で存在感を示す教団のトップがまさかあの男とはね……。亡き恋人への愛故に静かに壊れていくはずだったエティエンヌが辿る数奇な運命、とても読み応えあった。
末っ子のエレーヌは何と言っても物語最後に母親とサイゴンを訪れた時に見せた、飾らない素のままの姿が1番魅力的なんじゃあなかろうか。憧れのパリで何者にもなれないと藻掻いていたけれど、エティエンヌを想ってなりふり構わず行動できる彼女は強いなと思った。まぁ事の決着を付けた母親が1番強いのは言わずもがな。
これが栄光の時代三部作の第一弾らしいので、新刊を楽しみにしている。
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