いしいしんじのレビュー一覧
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泥の中でうなぎを捕まえる「うなぎ女」たちの子どもとして生まれた少年ポーが、数百年ぶりの大雨のなか川を流され、いろんな場所やひとに出会って別れて、また生まれた泥の中に還ってゆくおはなし。
いしいしんじの作品というのは、どうも、やさしすぎて残酷というか、ぬるま湯でゆっくりと絞殺というか、安寧と絶望がお互いを認識しないまま同居しているというか、そういう表裏的な、生と死が弧を描いているさまがあっさりと描かれていて、読み終わって直後は気持ちが動揺します。
ぐらぐらするわりに「ああそっか」と思える。どうすれば……と思うけれど回答は示されてる。
あがなうこと、つぐなうことに対してとてもまっ -
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この作家さんをどう評価すべきなのか?
寓話作家なのか、一種のファンタジー作家なのか。児童文学作家なのか。カテゴライズすることは無意味と判っているのですが、悩んでしまいます。
ともかくも、この作品。特に前半は何が語りたいのか良く判らず、かなり読みにくい。ミステリーでは良く、最後にそれまで散りばめられていた場面が、ジグソーパズルのように嵌まっていくような構成があります。それにちょっと似ています。もっともパタパタ嵌ると言うより、繋がりが見えるようになるという感じですが。
読後感はなかなか良いのですが、それが何処から来るのか判らない。物語そのものの筋は通っても、その中で語りたかったことは何なのかが判ら -
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ネタバレいしいしんじさんの人生相談。新聞の連載らしいけど、読んだことがなかったのでまとめて読めて良かった。
悩みへの回答には、いしいさんの小説の世界のにおいがどこか漂っている。いのちはすべて響き合っている、つながっているという世界観が、たびたび顔を出す。
50代にして膝を悪くし不整脈も患って健康不安から鬱っぽくなっているおじさんの相談にも、いしいさんはいきなり、死を超えた百千億兆の生命とのつながりを説く。おじさん、新聞読んでぽかんとしただろうな(笑)。健康不安からこの境地に至るまでには何ステップも階段を上らなきゃいけないと思うけど、いきなりこれを読んで得心するのは難しかろう。このズレが面白い。
罪のな -
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次から次へ多様な趣味に手を出し
没頭しては飽きて放り出す
その繰り返しを生きるのがトリツカレ男
愛の多い男とも言える
しかし偶然出会った女に一目惚れ
それから、過去に培ったあらゆるテクニックを駆使して
不器用なアプローチを試みる
不器用というか、むしろ器用なんだけど
いつまで経っても肝心の気持ちを伝えられない
それは勇気がないからではなくて
一種の完璧主義なんだよね
…いや、やっぱり勇気がないから
そうなるのかもしれない
トリツカレ男はあらゆることをやり
彼女を喜ばせることには成功を続けるものの
一向にその仲は進展しないのだった
そのような状態を打開する幸運は
トリツカレの積み重ねによって築い -
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感想。タイトルがそうとしか言えませんよねという感じの話。主人公ポーの生まれから(おそらく)死までの話。ポーのラストが一体どういう事なのかというのは読み手に委ねられているとは思うけれど、ポーという人間は自然との合いの子のような存在なので何かが一回りして還っていくような余韻がある。
描かれている世界と人間達が私達の現実に片足突っ込んでいるとはいえ、どこかファンタジーでもあってといって童話の世界のように本当に違う世界でもないその不思議な塩梅。水というものの描写がポーと共にずっとあって、それがポーの人生と呼応する感覚。ずっと何かに包まれているような読書体験だった。宮沢賢治のクラムボンの事を思い出してい -
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◼️ いしいしんじ「げんじものがたり」
京ことばで、くだけた語りの源氏物語。
関西弁というか、やはり京言葉、そして今ふうの言葉で訳してある源氏物語。大谷崎をはじめ多くの方が現代語訳している源氏物語。専門的なことは知らないが、私的に紫式部は素晴らしい物語作家で、一文が長すぎる人だと思う。特に日本人が訳すと古語の知識にどうしても引きずられてしまう傾向があるかなと。私が通読した与謝野晶子も苦戦している跡が見えた気がした。
まあともかく今作はある意味思い切った、パロディ的な訳。目的が違うかもと思う。
まずは「桐壺」に、「雨夜の品定め」の「箒木」。プレイボーイ光源氏が唯一?逃げられてしまう「空蝉 -