【感想・ネタバレ】息のかたちのレビュー

あらすじ

ひょんなことからひとの「息」が見えるようになった京都の高校生・夏実の物語。

どんな世界になっても息づくいのちの躍動を描いた青春小説。

コロナウイルスという「目にめーへんややこしいもん」にも変えられないもの。
突然の休校や陸上大会の延期、急なモテへの戸惑い、そして受験と進路……
コロナ禍の「青春のかたち」を切り取った、待望の作品集。

息は、光は、そこにある。気に留めるか、留めないか、そのちがいがあるだけ。

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Posted by ブクログ

慌ただしい暮らしの中でまとった固い表皮を、ペリペリとはがして、ティーンの頃のようなヒリヒリする肌と心の感覚を思い出させてくれる本だった。
穏やかで、何となく懐かしい物語。
子守唄を歌ってくれた母の、ささやく歌の間に絡まる吐息を思い出した。

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2025年01月17日

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ネタバレ

息のかたちが見える。素敵だなあ。いいなあ。
私の大切な人たちはどんな息のかたちなんだろう。
私の息は澱んでないかなあ。
きれいな息になるように自分を大切にしていきたい

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2024年09月22日

Posted by ブクログ


⭐️息のかたち
 息が見え、操ることができる家系の夏実。コロナ禍の状況を背景に、インターハイは中止だが、オリンピックは開催、進学問題、母への想いなどが描かれる。ファンタジー要素があるが、なかなかいい感じ。おばあちゃんの「無事、いうのんは、危険がないとか、大事のうて平穏やとか、そんな意味やあらへんねん。おきとことの、自然にまかす、いうことやねんて。」という言葉が刺さった。素敵なキャラだ。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

なんだか不思議な話です。
コロナ禍を背景に、ある出来事から他の人の息の形が見えるようになった女子高校生が主人公。もっともこの変わった能力は血筋らしく、祖母も父親も息の形が見えるらしい。そんなちょっと変わった能力を持った家族の普通の物語。
祖母は茶人、父は宮大工。主人公の女子高生は初めは陸上選手だが、途中からは絵画の世界で才能を現す。舞台である京都の町はどこか柔らかく雅、そして清涼感。
それにしても、いしいしんじってこんなに文学的だった?私の知ってるいしいしんじは『トリツカレ男』や『ポーの話』などの児童文学。それらとはかなり文体が違い、凝ったどこか抽象的な表現。しばしばそれにまぎれて具象を見逃し、話の展開が見えなくなって、前から読み直す事も何度か。
もっとも、なんか結論の様なモノを求めるのではなく雰囲気を楽しむ物語ですね。そう見れば、コロナ禍の世界をフワフワと、でも綺麗な色彩感で、結構良い感じです。

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2025年05月23日

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京都の町が迫ってきた。(おばあちゃんの京都弁がいいなぁ。)
コロナを描いた本はたくさんあるが、こんな淡々として、しかも肯定してるのがなんかよかった。息でコロナを描くのがさすがって感じ。
読み始めは現実的で、アニメの話や高校生の青春の話からどんどん幻想的になっていって、
最終章、お母さん、結局なんやったの?
霧の中に迷い込んだみたいに、まさに煙にまかれた感じがして、その余韻がいいけど、はっきりさせてほしい気持ちもある。

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2025年03月24日

Posted by ブクログ

息や声、いしいしんじは見えないものを描こうとしている、と思った。
私たちは冬の寒空の下でしか、白く染まった息を見ることができない。その息が見えて、操って物理的な力を行使したり、人の心に作用するのは面白い。
息繋がりで、鬼滅の刃の話題が出たが、そこから着想を得たのだろうかと思ってしまった。

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2024年11月07日

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高2の夏実はひょんな事から他人の息が見える様になる。どうも遺伝らしい。読んでいると透明感溢れるパステルカラーを想像する、が、これは20年から24年までのコロナ禍の時代が舞台だと思うと切なくなる。あの頃の狂気溢れる自粛警察を思い出すからだ。不思議な世界なのに絵空事に感じなかった。

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2024年09月14日

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なんとも言えない。
文体が好きだから読めたけど、内容はうーん。
とはいえ、コロナがあったからこそ生まれた文学。どんな状況も文化を生み出す。
コロナを知らない世代が読んだら意味わからんのやろうなあ…。

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2025年06月02日

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あることがきっかけで人の息のかたちが見えてしまう夏美の不思議小説。コロナが世間を席巻したあの時の設定。確か咳をした時にどんなふうに咳が広がっていくのか盛んに画面で説明していたっけ。それと同じように主人公には人それぞれの息のかたちが色付きで見えてしまいます。なんだが不思議でフワフワした小説。また、主人公が住む京都の街並みと京都弁がとてもマッチして浮かんできます。

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2024年12月25日

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ネタバレ

ある日金属バットが頭に当たった夏実は、人の吐く息が目に見えるようになる。そんな彼女のコロナ禍の日常、事件、悩みながら決める進路などのおはなし。色とりどり、形も様々にあらわれる息が素敵。息をしているとはつまり生きていることとおんなじであって、息のかたちを見られている側はどこか深いところに触れられるように感じてしまうがために夏実が急にモテモテになってしまうという事件が面白かった。古代ギリシアでプネウマ(息)が生命のもと、命そのものとされていたのを思い出す。私たちは自分でも知らぬうちに常に命のかたちを吐き出していて、それがちぎれては世界に満ちているなんて、なんてロマンティックなんだろうか。
3章の展開はちょっと唐突に感じたが、おばあちゃんの「息してますえ」の一言はすごく好き。その場の緊迫した空気をさっと払うユーモアもあるけど、この小説の「息」のイメージの豊かさによってコロナ禍のやるせなさをやわらげる感じが良かった。夏実も家族も、周りの人々も、たくましく息をしてそれぞれの生活を生き抜いている。

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2024年09月03日

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高校生の夏実は、ジョギング中に金属バットが頭にあたった日から、人の息が見えるようになった。そして、どうやらそれは父親も祖母も同じだということも知った。そんな夏実のコロナ禍での高校生活を描く3連作。
不思議な設定なのに、不思議さを感じさせないところが面白かった。
3番目の「息してますえ」が、一番好きだ

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2024年08月28日

Posted by ブクログ

新型コロナが蔓延した2020年~2023年にかけて、人は人の吐く息というものに対して異様なまでの嫌悪感を抱いていたように思う。
「飛沫」や「エアロゾル」という言葉自体にも強烈な忌避感があったのではないだろうか。

著者は、コロナ禍の人々の息遣いを、それとは真逆の色とりどりで生き生きとしたものとして描いている。
見境なく周囲を疑っていたあの頃、もしこんな風に人の息遣いが見えていたらもっと穏やかな気持ちで過ごせたのではないかと考えてしまう。

主人公の夏実を取り巻く大人も皆魅力的。
京都が舞台なのも少し時間の流れ方が違う感じがしてくつろいだ気持ちになれる。
ただ最後の方の夏実と母のエピソードが唐突な感じがした。
祖母と父と暮らしているのは、読んでいれば分かることだが、母の話を引っ張りすぎたような...もう少し欲しかった気がする。

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2024年08月23日

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