あらすじ
ひょんなことからひとの「息」が見えるようになった京都の高校生・夏実の物語。
どんな世界になっても息づくいのちの躍動を描いた青春小説。
コロナウイルスという「目にめーへんややこしいもん」にも変えられないもの。
突然の休校や陸上大会の延期、急なモテへの戸惑い、そして受験と進路……
コロナ禍の「青春のかたち」を切り取った、待望の作品集。
息は、光は、そこにある。気に留めるか、留めないか、そのちがいがあるだけ。
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Posted by ブクログ
息のかたちが見える。素敵だなあ。いいなあ。
私の大切な人たちはどんな息のかたちなんだろう。
私の息は澱んでないかなあ。
きれいな息になるように自分を大切にしていきたい
Posted by ブクログ
ある日金属バットが頭に当たった夏実は、人の吐く息が目に見えるようになる。そんな彼女のコロナ禍の日常、事件、悩みながら決める進路などのおはなし。色とりどり、形も様々にあらわれる息が素敵。息をしているとはつまり生きていることとおんなじであって、息のかたちを見られている側はどこか深いところに触れられるように感じてしまうがために夏実が急にモテモテになってしまうという事件が面白かった。古代ギリシアでプネウマ(息)が生命のもと、命そのものとされていたのを思い出す。私たちは自分でも知らぬうちに常に命のかたちを吐き出していて、それがちぎれては世界に満ちているなんて、なんてロマンティックなんだろうか。
3章の展開はちょっと唐突に感じたが、おばあちゃんの「息してますえ」の一言はすごく好き。その場の緊迫した空気をさっと払うユーモアもあるけど、この小説の「息」のイメージの豊かさによってコロナ禍のやるせなさをやわらげる感じが良かった。夏実も家族も、周りの人々も、たくましく息をしてそれぞれの生活を生き抜いている。