ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。――天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて……。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。(解説・増田喜昭)
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
どのジャンルに当てはまる小説なのか見当がつかない。そんなお話にすっかり魅了されてしまった。新聞の人生相談を拝読してから気になり手に取った、初めてのいしいしんじ著書。主人公の賢い弟を、本当に「かしこい」と感じるのは、大好きな姉や家族、飼い犬や動物たちの気持ちを敏感に感じ取ることができるから。弟のかわい...続きを読むい「つくり話」の合間に、背中を押してくれる言葉たちが待っている。
この本は、きっとだれかの大切な本になり続けていくんだろうな、生きることにくるしくなったり、悲しくなったりしたときのおまもりのような本だと思う。 何回か読んで噛み締めたいようなお話。
言葉を話す代わりに、物語を 現実のような、空想のような、確かに存在していて、目には見えないもの 弟が本当に考えていたこと、私にもお姉ちゃんにもわからないけれど、大事なのはそこじゃない あたたかい
小学生のときに見たのを思い出した。 ローリングのくだりが衝撃的すぎて覚えている。 ずっとしっとり悲しかった記憶。
とても良かった。 全体的にふわふわとした独特な世界観で、浮遊感を感じる作品だった。平仮名が多く、一見児童書のような優しさがあるけれど、もっと覗いてみれば、切なくて哀しい孤独感が漂っている。 言葉にするのが難しい作品。そっと寄り添ってくれているような優しさと、ふっと遠くへ行ってしまうような怖さを同時に...続きを読む感じた。 「あっち側」と「こっち側」、弟が何度もそう表現することで、明確にその世界が分けられているように見えるが、私はそれにより、その世界の境界がどんどん曖昧になっていった。それは私にとって怖くもあり、温かくもあった。 弟は声を失い(実質的には)、しかし動物と話すことができる。その「動物と話す」というのも、動物たちが語りかけてくるのを根気よく待ち、動物から伝わってくる「ふるえ」からなんとか自分の言葉を探す。 「あっち側」でも「こっち側」でも完璧にその世界に統合できない弟が、ぶらんこに乗ってあっちにいったりこっちにいったりしながら必死に世界と繋がろうと、世界に自分を溶け込まそうとしているところが、見ていてとても痛々しく、愛おしい。 誰といてもいつも孤独で、世界を曖昧にいったりきたりしている弟は、本当は誰よりもこの世界の全てを丸ごと愛しているのだと思う。 読んでいくうちに、この物語、言葉のひとつひとつ、物語に出てくるもの、人、動物、全てに愛しさが溢れてくる。泣きそうになっても、それが愛しさからか、哀しさからか、切なさからか、あるいはそれら全てが混ざり合ってくるものなのか分からない。この何とも言えない感情を言葉にできないのがもどかしい。それでも、この本を読みながら感じた自分の感情の全てを大切にしたくなる。 この作品の良さを言葉で表現するのは非常に難しいと思う。いしいしんじさんの独特の世界観が滲み出ていて、まだあまり掴めていない部分も多いけれど、その掴みどころのなさもまた良い。 改めて、本っていいな〜と思える作品だった。
え、めちゃくちゃ良い小説…。全く知りませんでしたすみません…。 喪失、祝福、死者との対話…色々と考えるものがありました。 途中で挿入される物語も面白く一気に読ませる魅力があります。 カバーも素敵。 次は「プラネタリウムのふたご」「麦ふみクーツェ」を読もうと思います。 素敵な世界を体験させてもらいまし...続きを読むた。
いしいしんじさん、「トリツカレ男」と「プラネタリウムのふたご」以来久しぶりに読んだのです… あーもー、これは好きなやつだなあと最初の3ページくらいでわかる…。 小川洋子さんとも通じるんだよねえ。こう、静かな語りとどこか外国の童話のような世界。なんていうか、黒電話を使ってて、出窓のある洋館に住んでいて...続きを読む、肉屋で夕飯用の肉を買うような。 賢い弟とそれを見守る姉、両親、おばあちゃん、犬の家族。 母は画家、父は額縁職人。それぞれ個性的だけど愛し合って暮らしている家族。 いやほんとね、前も思ったけど、いしいさんの物語は繊細なだけにこう、薄氷の上に立ってるような危なっかしさが漂ってるというか、いつ大きな不幸が襲ってきてこの登場人物たちのささやかなしあわせが踏みにじられてしまうんだろう、みたいな怖さがずっとあるんだよな… だけど、あ〜〜〜後半のほう、そうだったのか〜〜〜って畳み掛けられてきてずっと泣く。 長い詩のようにうつくしい物語なんだけれども、小説としての伏線がいくつも張られてたって最後に気付いてにウワーーーッてなりました。 良かったー。良かったー。 ひやひやしたけどハッピーエンドで良かった…
自己で声をうしない、動物たちのことばを理解することができるようになった弟と、彼ののこしたノートに記されているいくつもの物語をたどる姉をえがいた作品です。 著者はしばしば、「物語作家」ということばで紹介されることがあります。本書でも物語の美しさにひたる歓びを読者にあたえてくれますが、それだけではなく...続きを読む、いろいろな読みかたに開かれている小説です。 本作は、死んでしまった弟がのこしたノートを姉が受けとることからはじまります。そこに記されている物語は、弟が動物の語る声に耳を傾け、聞きとったものとされています。そして本書の終わりのほうでは、飛行機の事故に遭いもはやこの世にはいなくはずの両親からの手紙がとどけられます。これらのことから明瞭にうかがえるように、本作はメタ物語的なモティーフを含み込んでいる小説だといえるでしょう。 いうまでもなく、ミステリにおいてこうしたメタフィクショナルなモティーフは自覚的に追求されてきました。しかし、それらの試みは現在、袋小路に入り込んでしまっているのではないでしょうか。佐藤友哉までもが民俗学的な想像力に「物語」を開放する可能性を求めたのは、個人的にはこうした主題からの明らかな後退であるように思えます。 これに対して本作は、「他者」や「異界」からの呼びかけを聞きとることに物語の「起源」を求めようとしてはいないといえるでしょう。たしかにそれらの物語は、動物や死者、エクリチュールなどのかたちで姉のもとにとどけられているのですが、「他者」や「異界」へと遡行するわれわれの試みは、それらの物語が相互に嵌入しあうような作品世界のなかに巻き込まれていくことになります。
1ページめから、もうぐっときてしまいました。こんなふうに感じさせてくれる作家さんなかなかいないです。いしいしんじさんがますます大好きになりました! 一回読むだけじゃ足りないです。何度も何度も味わいたい素敵なお話。 2023.1.5再読 前回この本を読んだのが10年前ということに驚く。 内容はすっ...続きを読むかり忘れてしまっていたので初めて読むような気持ちで読めた。 キラキラといつまでも胸の中に残る余韻が心地いい作品。 主人公や指の音は最後また弟に会えたのかなぁ。 宝物のような愛おしい作品です。
不思議だけれど少しも不思議じゃない、でもやっぱり不思議なお話。 ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意だった弟。声を失ったけれど動物と話ができた弟。みんなに愛され、お話をつくるのがとても上手だった弟。 姉の“私”は、弟が残した古いノートを読みながら、彼の心の本当を知ってゆく。小さな弟が“私”を精一杯守...続きを読むろうとしていたことも。 彼がノートに綴っていたお話は、どれも優しくて切なくて、不思議なのに本当すぎて、心の鈴は鳴りっぱなし。 たとえば彼が書いた「おばけのなみだ」。 「川のおばけはもう二度と川へはもどれない。それは、ひとがしんだらこのよにもどれないのとおんなじです。川のおばけは、川のなかではいきいきとしていた。こわれたおもちゃやうんちや、しんだどうぶつたちとはなし、わらったりできた。へどろのついたほそながいいしころを、すきになって、ふられちゃったこともある。しゃりんのとれたミニカーとみずごけが、そのときはざんねんかいをしてくれた。みんなおなじ、くろいくろい川のなかの、なかまだったのです」 このくだりを読んでいたのはちょうど電車の中。いしいしんじという人の、深くてピュアな感性にしばらく震えが止まらなかったほど。そして心の中で秘かにガッツポーズをした。なんて素敵に美しい物語作家をみつけたのだろうと。 それから数日間、出かけていても、この本が鞄に入っているというだけでなんだかとても幸せだった。 弟がつくったあるお話の中で、ぶらんこのりのだんなさんはぶらんこのりのおくさんにいう。 「おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ」 裏表紙に「奇跡的に愛おしい」作品と書かれていたけれど、まさしくそのとおりでした。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
ぶらんこ乗り(新潮文庫)
新刊情報をお知らせします。
いしいしんじ
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
悪声
ある一日
息のかたち
海と山のピアノ(新潮文庫)
げんじものがたり
作家と楽しむ古典 平家物語 能・狂言 説経節 義経千本桜
且坐喫茶
白の鳥と黒の鳥
「いしいしんじ」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲ぶらんこ乗り(新潮文庫) ページトップヘ