いしいしんじのレビュー一覧
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◼️ いしいしんじ「トリツカレ男」
なかなか胸がキュンとなるストーリー。トリツカレ男・ジュゼッペと異国の少女ペチカの物語。
だいぶ前に「トリツカレ男」おもろしろいよね、と言う声を本友から聞いてた時、気になりながらも、なんだか気持ち悪そう、とよく知ることもなく敬遠してしまっていた。今回アニメ映画化されるとのことで読んでみたら・・見事なハートウォーミングなお話でした。
ジュゼッペは何かに夢中になると我を忘れて没頭する癖があり、ついたあだなが「トリツカレ男」。オペラ、三段跳、探偵ごっこ、昆虫採集、十五カ国語の勉強、サングラス集め・・様々なものにとりつかれてはレストランの雇い主を困らせて、時に長 -
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Posted by ブクログ
なんだか不思議な話です。
コロナ禍を背景に、ある出来事から他の人の息の形が見えるようになった女子高校生が主人公。もっともこの変わった能力は血筋らしく、祖母も父親も息の形が見えるらしい。そんなちょっと変わった能力を持った家族の普通の物語。
祖母は茶人、父は宮大工。主人公の女子高生は初めは陸上選手だが、途中からは絵画の世界で才能を現す。舞台である京都の町はどこか柔らかく雅、そして清涼感。
それにしても、いしいしんじってこんなに文学的だった?私の知ってるいしいしんじは『トリツカレ男』や『ポーの話』などの児童文学。それらとはかなり文体が違い、凝ったどこか抽象的な表現。しばしばそれにまぎれて具象を見逃し -
Posted by ブクログ
ネタバレ麦ふみクーツェ
主人公のねこはティンパニー奏者のおじいちゃんと数学教師のお父さんと暮らしていました。おじいちゃんは町の吹奏楽団の指導に没頭し、お父さんは素数に取り付かれてだんだんと奇行を繰り返すようになります。
鼠が大量に降ってきたことから町の調子がおかしくなっていき、一段落したところで現れたセールスマンによってとても大変なことになってしまいます。そんな町の物語と、音楽学校に留学していたねこの周りの物語が平行して語られていきます。
とても感心したのが、ゴシップのスクラップを趣味とするねこのクリップする物語の小さな謎解きや、その登場人物のお話が各所にちりばめられている構成で、とても楽しむことが -