いしいしんじのレビュー一覧
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ネタバレ「晴れ、時々クラゲを呼ぶ」で小崎ちゃんが激薦めしてたので。
山に囲まれた街にあるブラネタリウムを独りでやっていた泣き男さんが、ある日ブラネタリウムに捨てられていた双子に彗星の名前からとったテンペルとタットルという名前を付けた。二人は成長し、ブラネタリウムを手伝いながら、郵便配達をしていたが、ある時街にやってきた手品師の興業にテンペルはついて行ってしまう。双子は違った運命をたどっていく。
騙される才覚が人にないと、この世はかさっかさの世界になってしまう。
タットルは熊狩りで村人たちを騙し、テンペルは手品師として人々を騙す。事故で命を落としたテンペルの代わりにタットルが一世一代の騙しをすることで、 -
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ネタバレ昔新聞で連載していたらしい日記をまとめた本。いしいさんの本久々に読んだけど、やっぱりとても好き。ことばが自由に本の中で踊りまわっていて楽しい。それはなによりいしいさん自身がとてつもなく自由な人だからだ。きぐるみや着古して破れた服を着て生活することにも、遅刻することも子供のようにはしゃぐことも本人としてはあまり気にしていない様子。でも、その場に漂う「おはなし」の気配にはなんと敏感であることか。面白いことも、日常のことも、ご家族やたくさんのご友人たちのことも、「おはなし」交じりにみずみずしいことばで生き生きと綴られていて、読んでいるとわくわく、切なく、楽しく、一緒になって心を揺さぶられてしまう。マ
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『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集』は一冊も読んでいないし読む気もないが、現代語訳をした方々が何を思ったのか、そして単純に「平家物語」と付くものは何でも摂取したいという気持ちから手に取りました。
「平家物語」古川日出夫
…『平家物語』のなかで人は本当によく泣きますよね。…月を見て泣きます。風が鳴ると泣きます。…現代のわれわれは近代ヨーロッパ以降に教育された泣き方しか知らないんです…現代の教育が入ってくる前の人は別の感性をもっていて、別のことで泣いていたはずなんです…(p.48)
私は月を見て泣き、空の色が変わっていくのを見て泣く人間なので、そうか私は別の感性で生きている人間なのかと指摘された -
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ネタバレプラネタリウムもサーカスも「現実と見紛うような虚構性」により魅力を放つが、それらはあくまでも「虚構」であることが暗黙のうちに了承されていなければならない。
「虚構」は他者と共有され「物語」化された時に命が吹き込まれる。一方で「物語」を共有しない者にとっては何の意味も持たない。
タットル扮する熊は町の猟師以外が銃を向けたら恐らく弾が当たっていたし、テンペルの悲劇は「物語」を共有しない者によって誘発される。
「虚構」と「現実」を見誤ってはいけない。
500Pほどありなかなかのボリュームでゆっくりと読んだが、興味深く読むことができる内容だった。
次は「麦ふみクーツェ」を読みたい。 -
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とある片田舎の工場のそばにあるプラネタリウムの座席に、双子の赤ちゃんが捨てられていた。双子はプラネタリウムを経営する"泣き男"に、タットルとテンペル名付けられ、いたずら好きの青年に育つ。ある日、村にやってきた手品を見せる一団に出会い、ふとしたきっかけで双子の人生は引き裂かれ、それぞれの道を歩み始める。
大河ドラマ的にこってりとしたストーリーに、自問自答するようなストーリーテリングで、ぐいぐいと双子の人生の紆余曲折を描いていく。父親代わりの泣き男、双子のいたずらをたしなめる工場長や盲目の老女、テンペルを世話するテオ団長など、双子の成長にともなって人生に介入して導いていく。
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どこかの国の昔話のような、おとぎ話のような。
いろんな不思議や疑問も多かったけど『だまされる才覚がないと、かっさかさの人生』なんだって。
たしかにこの本は、上手にだまされて人生を楽しんでる人たちが描かれてるのかな。
テンペルとタットル、星の名前をつけられたふたごが、だましてだまされる。プラネタリウム(星がない天井をみせてる)が好きな村の人たちも、サーカスや手品(だましのたかまり)を楽しみにする人たちも、だまされる才覚があるんだね。
手品師テンペルの最後のうそと、そのうそを守ろうとするタットルのうそが優しい。
人を傷付けないための優しいうそには、だまされたほうがいい。
私も上手にだまさ -
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猫集会をテーマにした文とコラボの写真集。
・猫のカラー写真 沖昌之
・エッセイと物語 「毛玉」前田司郎
「化身」池澤春菜 「猫をやめたい」いしいしんじ
・解説「猫集会の科学」今泉忠明
猫たちは何処へ行くの?何故集まっているの?
なんだか不思議な猫集会をテーマにした写真とエッセイ、物語。
そろそろかな・・・行こう!・・・一緒に・・・挨拶して・・・集まる。
三々五々集まって・・・猫集会・・・時が経ち・・・解散・・・またね!
そんな感じの猫たちの写真が並ぶ合間に、猫集会をテーマにした
エッセイ、物語が顔を出します。最後に猫集会の研究の話。
集会?な場面の猫たちの様子は、等間隔だっ -
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ネタバレ水といのちのお話。陸は海、海は陸、生も死も一続きになって「うた」にのせてぐるぐる回る、そういう強いテーマが短編たちの間に貫かれていてとても統一感ある短編集だった。
「ルル」はちょっと反則だろう、と思いながらボロボロ泣いたけど、一番好きなのは「野島岬」だ。
「わかんねえからってびびっちまって、ちっちゃけえ理屈ぶっかぶせようってもよ、金魚すくいの網でメカジキ追っかけようってなもんなんだ。わかんねえもんはしゃんねえべ、オイラもオメエらも脳みそこんなだしよ。けどよ、パッと見意味なくって、わかんなくってもよ、どんぴしゃのアタリって、案外目の前にぶらさがってんみてえなもんじゃねえか、なあよ、オイ」
そう、