いしいしんじのレビュー一覧

  • ヒミツのヒミツの猫集会
    猫集会をテーマにした文とコラボの写真集。
    ・猫のカラー写真 沖昌之
    ・エッセイと物語     「毛玉」前田司郎  
       「化身」池澤春菜  「猫をやめたい」いしいしんじ
    ・解説「猫集会の科学」今泉忠明
    猫たちは何処へ行くの?何故集まっているの?
    なんだか不思議な猫集会をテーマにした写真とエッセイ、...続きを読む
  • 海と山のピアノ(新潮文庫)
    水といのちのお話。陸は海、海は陸、生も死も一続きになって「うた」にのせてぐるぐる回る、そういう強いテーマが短編たちの間に貫かれていてとても統一感ある短編集だった。
    「ルル」はちょっと反則だろう、と思いながらボロボロ泣いたけど、一番好きなのは「野島岬」だ。
    「わかんねえからってびびっちまって、ちっちゃ...続きを読む
  • プラネタリウムのふたご
    プラネタリウムのようにゆっくりと回る世界で、優しい嘘、ときに必要な嘘と、それに騙されてやる才覚のある人達の優しいお話だと思った。
    人の名前がふたご以外出てこないのも、不思議な感じがして面白かった。
  • 海と山のピアノ(新潮文庫)
    自分と他、あるいは人と人以外のもの、現実と幻想、生と死、さまざまな境がしゅるんと溶けて、それがどうしたの?という顔で成り立つ世界。
    解説が彩瀬まるということにも納得。

    一読しただけではよくわからず、各篇を2度読みした。(短編集で助かった…。)
    『四とそれ以上の国』より、はるかに受け入れやすい。

    ...続きを読む
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵
    取り付きにくい古典を身近にしてくれる訳者の方に感謝。
    曽根崎心中、女殺油地獄、菅原伝授手習鑑、義経千本桜はストーリーも非常に面白い。
  • みずうみ
    この衝撃的に素晴らしい物語をウー
    ごくごく飲みほして体を満たしたいのにアエー
    私の創造力ではこの世界観をちゃんと咀嚼できず
    読んでいて苛々したレーイレーイ
    いしいしんじすごいな
  • 海と山のピアノ(新潮文庫)
    隅から隅までいしいしんじで満たされている。そんな短篇集です。
    生と死、光と影、静と動、清と濁、それらが対を為すのではなく混じり合い、しかしひとつにはならないような。そんな混濁とした感じなのに清らかに透き通っている。それがいしいしんじの作品に接した時に感じるものなのです。

    二年に一度行なわれる「村う...続きを読む
  • プラネタリウムのふたご
    プラネタリウムに置いて行かれたふたご。テンペルタットル彗星の解説中に泣いたことから、テンペルとタットルというなまえで呼ばれるようになる。銀色の髪をした美しいふたご。
    紙製品の工場が動き続ける村では、もやや煙で星が見えない。
    ふたごは解説員「泣き男」のもとでプラネタリウムや星、神話に親しみながら育つ。...続きを読む
  • 四とそれ以上の国
    出身ではないけど、四国で我が青春時代を過ごしたこともあり、かの地には人並み以上の思い入れがあります。本作で一番目を引くのはお遍路さんだと思うけど、個人的にそれをやったことはなし。巡礼の中で自分と向き合っているうち、本作で描かれたような、常識を超越した世界観が心に浮かんでくるんでしょうか。上手いこと不...続きを読む
  • 白の鳥と黒の鳥
    なんだか不気味だったり、ほんわかしたり、深い意味があるような、やっぱりなにもないような。いしいしんじさんの作品はなんとも中毒性が高くてやめられない。あれ、自分の方が世界を見逃していたのかな?と感じてついつい読み返してしまう。

    太った人ばかりが住んでいる村の朗らかさ、紅葉狩り顛末の爺さまの格好よさが...続きを読む
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵
    菅原伝授手習鑑 三浦しをん 訳
    実際の出来事を後年、娯楽として楽しみながら市井の人間は、知って行ったのだなということがよく感じられる人形浄瑠璃。これが、今、私たちが普通に使う言葉に置き換えられているのだから臨場感あふれるのは当たり前。ここまで持って来てくださった役者三浦しをんさんに感謝。
  • プラネタリウムのふたご
    ある村のプラネタリウムで拾われた双子のお話。

    これはファンタジーなのだろうか、それともそうではないのか、と不思議に思う程、摩訶不思議なことだらけなものだったと思います。
    泣き男が語る星の話は、普段はあまり興味のない分野なのですが、ひとつひとつ星には物語があるのだなと新たな発見が出来たような気がしま...続きを読む
  • 毎日が一日だ
    毎日新聞に連載されていたエッセイをまとめたもの。
    『京都ごはん日記』に書かれていたことが、
    読みやすい文章で、説明も加えられて、
    いしいしんじを知らない人にも分かりやすくなった感じ。
    息子に対する愛情を、作家の客観性と文章力で書くと
    誰のココロにも繋がっていく深みが出る。
    男性作家が子供について書く...続きを読む
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵
    能・狂言(岡田利規)
    説教節(伊藤比呂美)
    曽根崎心中(いとうせいこう)
    女殺油地獄(桜庭一樹)
    菅原伝授手習鑑(三浦しをん)
    義経千本桜(いしいしんじ)
    仮名手本忠臣蔵(松井今朝子)
    月報:酒井順子・後藤正文
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵
    タイトルは知っているものの
    中身は案外知らない
    有名、名作、古典がズラリとそろった
    分厚い一冊。

    読めるのかな?
    と、少し心配しながら手にとったところ
    これがさすがに、現代作家にかかると
    すいすいと読めてしまう。
    ストーリー展開のおもしろさに
    「こんな話だったの?」と驚かされたり。

    物語に、古い...続きを読む
  • 白の鳥と黒の鳥
    筆者のなかでもわりあい読みやすい作品が詰まってると思う。寓話めいたものがたりを描くときの文章はほんとうにうつくしく憧れる。
  • 毎日が一日だ
    いしいしんじは、小説も好きだけど、日記がもっと好き。これは日記じゃなくて新聞の連載だけどとても好きでした。運転中今ハンドルをきったら死ぬだろうって、他のでも読んだけどどれだっけ? そういうのとか、一時期着ぐるみをきて暮らしてた話とか。まじめに、そして中学生みたいで楽しい。
  • ある一日
    読み進めていくうちに、タイトルの「ある一日」を実感してハッとした。

    1つ目は、この小説が一日ちょっとの出来事であること。
    いしいしんじの言葉巧みな描写が、「ある一日」にこれほどの読み応えを与えている。

    そして、もう1つは当たり前だけど「ある一日」の過ごし方は人それぞれ違い、どこかで違うドラマが起...続きを読む
  • 四とそれ以上の国
    なかなか頭に入らない物語。
    阿波、讃岐、土佐、伊予の四つの国の、過去と現在、伝説や歴史的人物、そして土地の「もの」が絡み合い、混然一体となって物語が動いていく。
    冒頭の「塩」という作品で言えば、人形浄瑠璃の義太夫節がウキを乗っ取り、主人公をはじめとする登場人物を引きずり回し、カタストロフに追い込んで...続きを読む
  • 白の鳥と黒の鳥
    万人には到底思いつかないような着眼点で魅せる、ファンタジーでもありリアルでもあり、悲しくもあり愛くるしさもあるショートストーリー集。
    こんなにも多面性がある作家さんだったなんてと、驚きの連続。

    すごく悩ましいけど、私は「緑春」の発想や言葉の表現と、「太ったひとばかりが住んでいる村」の鮮やかで艶やか...続きを読む