いしいしんじのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何が書いてあるのかよくわからない。でも、とても大切な何かが書かれていることはよくわかる。
字幕なしで知らない外国語の映画を見ている感じる、と言えば伝わるだろうか。
読みはじめてすぐ、あ、これは『みずうみ』で変わった方のいしいしんじだ、と分かる。何が変わったのか、うまく言えないけど何かが変わった。
『みずうみ』を読んだ時には「ついていけない、理解できない」としか思えなかったが、『四とそれ以上の国』では「理解はできない、でもわかる」に変わった。
おそらく、いしいしんじさんの「その場小説」を体験したから。出かけて行ったその場でその場所にちなんだ短編小説を即興で作って朗読する、というものだけど、そこで感じた違和感がパズルのピースのような気がする。 -
Posted by ブクログ
不思議だけれど少しも不思議じゃない、でもやっぱり不思議なお話。
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意だった弟。声を失ったけれど動物と話ができた弟。みんなに愛され、お話をつくるのがとても上手だった弟。
姉の“私”は、弟が残した古いノートを読みながら、彼の心の本当を知ってゆく。小さな弟が“私”を精一杯守ろうとしていたことも。
彼がノートに綴っていたお話は、どれも優しくて切なくて、不思議なのに本当すぎて、心の鈴は鳴りっぱなし。
たとえば彼が書いた「おばけのなみだ」。
「川のおばけはもう二度と川へはもどれない。それは、ひとがしんだらこのよにもどれないのとおんなじです。川のおばけは、川のなかではいきいきとしていた。こわれたおもちゃやうんちや、しんだどうぶつたちとはなし、わらったりできた。へどろのついたほそながいいしころを、すきになって、ふられちゃったこともある。しゃりんのとれたミニカーとみずごけが、そのときはざんねんかいをしてくれた。みんなおなじ、くろいくろい川のなかの、なかまだったのです」
このくだりを読んでいたのはちょうど電車の中。いしいしんじという人の、深くてピュアな感性にしばらく震えが止まらなかったほど。そして心の中で秘かにガッツポーズをした。なんて素敵に美しい物語作家をみつけたのだろうと。
それから数日間、出かけていても、この本が鞄に入っているというだけでなんだかとても幸せだった。
弟がつくったあるお話の中で、ぶらんこのりのだんなさんはぶらんこのりのおくさんにいう。
「おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ」
裏表紙に「奇跡的に愛おしい」作品と書かれていたけれど、まさしくそのとおりでした。 -
Posted by ブクログ
うなぎ女から生まれた人間でも魚でもないポー。
真っ黒い体と裏腹に真っ白い無垢な心を持っている。
やがてポーはうなぎ女のもとを離れて、
悪も善も感情もたくさん吸収して、たいせつなものを知る。
メリーゴーランド、ひまし油。
天気売り。
犬じじいと少年、子供。
埋め屋の旦那と鳩レースの女房。
海岸の老人たち。
うみうし女。
ポーが出会うすべての人がいかにも人間らしくて、いとおしくて、頭から離れない。
寂しい気持ちにもなったし笑ったし悲しくもなったしうれしい気持ちにもなった。
少し長いけど、読んでみて欲しい作品。
なんというかうまい言葉がわたしには見つからないので、それを読んだ人それぞれで感じ取ってもらいたいです。
いしいしんじさんを読むのは初めて。
もとはプラネタリウムのふたごをよみたかったけど、本屋になかったので買ったのがポー。
とにかく情景の描き方が誰よりもドラマチック。
好奇心の昼間と、悪事を隠してくれる夜。
きらきらした昼間と、考え事をする夜。
泥臭い昼間と、空の深い静かな夜。
色えんぴつで描いたような、すべてがこの世界だからこそあるものだなと思った。 -
Posted by ブクログ
短編で不思議な話や心温まる作品などたくさん入っていて楽しいアンソロジーでした。
作品の色が出ていて読んでいて楽しかったです
飛び出す、絵本 恩田陸
十一月の約束 本多 孝好
招き猫異譚 今江祥智
白ヒゲの紳土 二階堂黎人
本屋の魔法使い 阿刀田高
サラマンダー いしいしんじ
本棚の片隅から 柴崎友香
読書家ロップ 朱川 湊人
バックヤード 篠田 節子
閣魔堂の虹 山本 一カ
気が向いたらおいでね 大道珠貴
さよならのかわりに 市川 拓司
メッセージ 山崎 洋子
迷宮書房 有栖川有栖
本棚にならぶ 梨木香歩
23時のブックストア 石田衣良
生きてきた証に 内海隆一郎
The Book Day 三崎亜記