いしいしんじのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
不思議だけれど少しも不思議じゃない、でもやっぱり不思議なお話。
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意だった弟。声を失ったけれど動物と話ができた弟。みんなに愛され、お話をつくるのがとても上手だった弟。
姉の“私”は、弟が残した古いノートを読みながら、彼の心の本当を知ってゆく。小さな弟が“私”を精一杯守ろうとしていたことも。
彼がノートに綴っていたお話は、どれも優しくて切なくて、不思議なのに本当すぎて、心の鈴は鳴りっぱなし。
たとえば彼が書いた「おばけのなみだ」。
「川のおばけはもう二度と川へはもどれない。それは、ひとがしんだらこのよにもどれないのとおんなじです。川のおばけは、川のなかではいきいき -
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うなぎ女から生まれた人間でも魚でもないポー。
真っ黒い体と裏腹に真っ白い無垢な心を持っている。
やがてポーはうなぎ女のもとを離れて、
悪も善も感情もたくさん吸収して、たいせつなものを知る。
メリーゴーランド、ひまし油。
天気売り。
犬じじいと少年、子供。
埋め屋の旦那と鳩レースの女房。
海岸の老人たち。
うみうし女。
ポーが出会うすべての人がいかにも人間らしくて、いとおしくて、頭から離れない。
寂しい気持ちにもなったし笑ったし悲しくもなったしうれしい気持ちにもなった。
少し長いけど、読んでみて欲しい作品。
なんというかうまい言葉がわたしには見つからないので、それを読んだ人それぞれで感じ -
Posted by ブクログ
「息を吸ったときはいってくるのは
空気だけじゃない。
きみがいる時間や土地、風景のすべてが、
からだにすいこまれ、細胞からはきだされ、
すいこまれ、また吐きかえされる。
息をする、ってのは、
おおさっぱにいえばそういうことだ。
生きているっていいかえてもいいが」
これは主人公『なにか』と共に寺に住む
寺さんの言葉
こんな言葉が次から次へとあふれてくる
苔たちに守られていた『なにか』
成長して
本人も知らないうちに
美しい声を発するようになる
人々の心にさまざまな風景を呼び出す
はたして『なにか』は
苔の妖精なのか?
はたまたイエスキリストなのかとも思わせる
いや、しかし普通の人間のようで -
Posted by ブクログ
いしいしんじさんの訳す源氏物語。訳すというか、いしいしんじのものがたりになっているというか、現代の京都のおじさんがしゃべってるみたいなかなりぶっとんだ訳なのでびっくりした。
セレブとかのカタカナ語、「ぐうかわ」みたいなネットスラング、「三冠王」とかの時代を超えた概念がバンバン飛び出す。登場人物の口調もすごく砕けている。いや、面白いから私はありなんだけど!奥ゆかしさ、格調高さとかは全く失われてる(笑)。その分、各登場人物の性格、特に夕顔の可愛らしさというのが、角田光代訳で読んだ時よりよく伝わってきたかも。夕顔は、ヤリチン光君にとっては死ぬほど都合が良くて、ちょうどいい感じの女だったんだなあ。かわ