いしいしんじのレビュー一覧

  • ある一日
    読み進めていくうちに、タイトルの「ある一日」を実感してハッとした。

    1つ目は、この小説が一日ちょっとの出来事であること。
    いしいしんじの言葉巧みな描写が、「ある一日」にこれほどの読み応えを与えている。

    そして、もう1つは当たり前だけど「ある一日」の過ごし方は人それぞれ違い、どこかで違うドラマが起...続きを読む
  • 四とそれ以上の国
    なかなか頭に入らない物語。
    阿波、讃岐、土佐、伊予の四つの国の、過去と現在、伝説や歴史的人物、そして土地の「もの」が絡み合い、混然一体となって物語が動いていく。
    冒頭の「塩」という作品で言えば、人形浄瑠璃の義太夫節がウキを乗っ取り、主人公をはじめとする登場人物を引きずり回し、カタストロフに追い込んで...続きを読む
  • 白の鳥と黒の鳥
    万人には到底思いつかないような着眼点で魅せる、ファンタジーでもありリアルでもあり、悲しくもあり愛くるしさもあるショートストーリー集。
    こんなにも多面性がある作家さんだったなんてと、驚きの連続。

    すごく悩ましいけど、私は「緑春」の発想や言葉の表現と、「太ったひとばかりが住んでいる村」の鮮やかで艶やか...続きを読む
  • プラネタリウムのふたご
    泣き男の台詞がどれも深かった。こんな風に丁寧に適切な距離で子どもと接していきたいと思う。そしていつかこの話を読んであげられたらいいな。
  • プラネタリウムのふたご
    まるで童話のように優しい、大人のための物語。頭の中で想像を巡らす時には絵本のような絵柄が似合う、そういう小説です。

    登場人物のほとんどは名前が明かされていないのですが、代わりの呼び名がとても良いです。
    泣き男、妹、ベテラン配達夫、栓ぬき…
    「かささぎ親方」が個人的にはツボ。

    物語の中ではいくつか...続きを読む
  • プラネタリウムのふたご
    『ひょっとしたら、より多くだまされるほど、ひとってしあわせなんじゃないんだろうか』

    そうかもしれない
  • プラネタリウムのふたご
    上映中のプラネタリウムに捨てられた双子、周りの温かい人々に支えられながら自分の役割を見つけていく物語。

    自分の役割、仕事を見つけたら、それだけは全力で取り組む、諦めない。
    そんな素敵な役割、仕事を見つけた人々がたくさん出てくる、いしいさんらしい柔らかく優しい作品です。
  • プラネタリウムのふたご
    いしいしんじさんの作品は初めて読みました。前半から中盤にかけては、大人のための童話、もしくはファンタジーなのかなと思うタッチで優しさと暖かさに包まれているのですが、終盤に向けて一気に現実に引き戻されて、そのままラストへ。このラストは予想してなかったです。もっと暖かいお話のまま終わるのかと…。山間にあ...続きを読む
  • みずうみ
    いしいしんじ氏の作品は『ポーの話』と『四とそれ以上の国』しか読んでないのだけど、冒頭からしばらく読んで、その2冊が繋がるような気がしました。第1章。しずかに淡々として、すこし不穏で、これは何かが起こる前なのだとわかるけど、起こったことさえも淡々と描かれる。
    それこそひたひた水が満ちて、穏やかにまた引...続きを読む
  • 四とそれ以上の国
    四国を舞台にした短編集。これまでのいしいしんじをイメージして読み始めたため、その作風の変化にびっくり。今までの寓話的な、ちょっとふんわりした要素は全く0。なかなか続きに手が出せず、読み終わるのに3ヶ月近くかかってしまった…嫌いじゃないよ、嫌いじゃないけど、このいしいしんじを受け入れるのに少し時間がか...続きを読む
  • みずうみ
    いしいしんじ作品についてのおぼえがき

    ”みずうみ”をよんだあとは、水音が印象に残った。
    水くみたちのみずうみから、タクシー運転手、分娩台まで全章にわたる水の気配。羊水ってどんな匂いなんだろ?としりたくなる。
    ものごとはおこるだけ。みずのなかを漂っていくような。

    ”死産”というほんとのできごとをゆ...続きを読む
  • 四とそれ以上の国
    古来から現代までに存在した,
    神様だとか精霊をはじめ,人間から動植物にいたるまで
    ありとあらゆる魂が四国中で静かに息づいていて
    物語はいつどこを切り取ることなく流れるように展開されていく.

    ときどきぞくっとするほど怖くって
    途方もなくグロテスクな文章は
    やっぱりいしいしんじだな,って思わずにはいら...続きを読む
  • みずうみ
    凄く良い変態的で素晴らしい!読んでも何もわからんかったのでレビューできない笑
    最終的にみずうみに還るのだ…
  • みずうみ
    どう受け取るべきか悩む作品。今までの物語とはかなり違う印象です。
    3章仕立てで構成されていますが、それぞれがそれぞれに影響し合っているというか、同じことを全く違うアプローチで表したというか。また作者のエッセイを読めば3章は実体験を元にしていることは読み取れ、より一層どう受け取るべきか悩みます。
    正直...続きを読む
  • 白の鳥と黒の鳥
    やっぱりいしいしんじさんの
    短編集は素敵。
    東京夜話よりもメルヘン度が高い。
    しかししっかりと
    いしいしんじさんらしい
    毒が出ている。
    もう一度読み返したい。
  • 白の鳥と黒の鳥
    少々ブラックな短編集。
    世にも奇妙な物語的かと思ったら、もうちょっとぶっとんでて、
    自由なかんじ?
    あいかわらず、色んな国(仮想っぽいところも)のエッセンスが織り混ざってる印象を受けます。
    感動的な小説とは違うが、確かに同じ人が書いてるんだなあ、と思う。
  • プラネタリウムのふたご
    一気に読みきるのではなく、
    少しずつ読んでいく本だと思います。

    ふたごが閉鎖的な田舎町で育ち、
    別々の道を歩んでいく話。
    一人は手品師になって世界中を渡り歩き、
    一人は町で郵便局の配達員になります。

    ところどころ、ぐっとくるところがあります。
    最後はやりきれませんが、
    それでも、あったかい素敵な...続きを読む
  • 白の鳥と黒の鳥
    いしいしんじの不思議な世界。
    メルヘンな、ファンタジックな設定の裏に潜むリアリティ。
    いしんしんじという人の感性にやられ続ける短編集です。
    「カラタチとブルーベル」
    「緑春」
    「透明に関する四つの小話」
    「太ったひとばかりが住んでいる村」
    この4つのお話が特にお気に入り。
    全部で19...続きを読む
  • 白の鳥と黒の鳥
    めずらしくジャケ買い(中古じゃない文庫!笑)

    不思議な短編集。
    どうやら最近不思議系によく出会う。

    大人の童話という感じ
    ちょっとこわくて、森の中に迷い込んだよう。
    海外ものを読んでいる気分にもなった
  • 白の鳥と黒の鳥
    いしいしんじ2冊目

    SS集なので、区切りも良く読みやすい。
    『しろねずみ』と『白黒の鳥の声』が中でもお気に入り。
    主人公と動物たちのやりとりの様子が可愛らしく、どこかコミカルで心が和む。私もこんな風に動物と楽しく会話してみたい♪

    ちょっと不思議でゆったりとした一時が過ごせる。そして、なんとなく紅...続きを読む