いしいしんじのレビュー一覧

  • ぶらんこ乗り(新潮文庫)

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    不思議だけれど少しも不思議じゃない、でもやっぱり不思議なお話。
    ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意だった弟。声を失ったけれど動物と話ができた弟。みんなに愛され、お話をつくるのがとても上手だった弟。
    姉の“私”は、弟が残した古いノートを読みながら、彼の心の本当を知ってゆく。小さな弟が“私”を精一杯守ろうとしていたことも。
    彼がノートに綴っていたお話は、どれも優しくて切なくて、不思議なのに本当すぎて、心の鈴は鳴りっぱなし。
    たとえば彼が書いた「おばけのなみだ」。
    「川のおばけはもう二度と川へはもどれない。それは、ひとがしんだらこのよにもどれないのとおんなじです。川のおばけは、川のなかではいきいき

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    2025年01月11日
  • みずうみ

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    最高!いしいしんじのやりかた大好き

    あまりにも露骨に世界観が出すぎてるとも思うけどそんなのがあったっていい

    いしいしんじの長編は好きだったけど、これ読んでやっとしっくりいった

    全ての物語に通底してる思想のようなもの 私が感じてたのは間違ってなかった と

    いしいしんじがあんまり好きじゃないという人にも読んでほしい
    好きだっていう人にもぜったい読んでほしい

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    2011年07月16日
  • プラネタリウムのふたご

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    「だまされることは、だいたいにおいて間抜けだ。ただしかし、だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの、笑いもなにもない、どんづまりの世界になってしまう。」

    現代のおとぎ話。
    この不思議な世界観が気に入った。

    自分にできることを精一杯やって、それでなにか少しでも人のために役に立てるのなら素晴らしい。
    決して出しゃばらず、かといって遠慮せず。分をわきまえて生きられたらいい。

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    2019年01月16日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    物語作家いしいしんじの面目躍如、次から次へと物語が紡がれ広がっていく。善も悪も綺麗なものも汚いものも、何もかも飲み込んで物語は流れていく。
    今まで読んだいしい作品の中で最もアクが強く毒も強い作品かも。しかしアクや毒が強いほどに純粋なるものも光り輝くんですね。ポーという少年がその象徴的存在として、寓話的に扱われています。そのため物語の意図は読み手に委ねられているかのような印象を受けました。

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    2010年09月16日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    なんて言ったら良いのか『夢』を見ているみたいな気分になる本。無防備に、ふんふん、と読んでいるとエラい目に遭います。読み終わって我に返ってみると、このお話の数々が、手のひらに収まる小さな本に詰まってるのがなんだか不思議。

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    2010年06月10日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    うなぎ女から生まれた人間でも魚でもないポー。
    真っ黒い体と裏腹に真っ白い無垢な心を持っている。

    やがてポーはうなぎ女のもとを離れて、
    悪も善も感情もたくさん吸収して、たいせつなものを知る。

    メリーゴーランド、ひまし油。
    天気売り。
    犬じじいと少年、子供。
    埋め屋の旦那と鳩レースの女房。
    海岸の老人たち。
    うみうし女。

    ポーが出会うすべての人がいかにも人間らしくて、いとおしくて、頭から離れない。
    寂しい気持ちにもなったし笑ったし悲しくもなったしうれしい気持ちにもなった。

    少し長いけど、読んでみて欲しい作品。
    なんというかうまい言葉がわたしには見つからないので、それを読んだ人それぞれで感じ

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    2010年05月21日
  • プラネタリウムのふたご

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    『ふたご』をキーワードにとある本屋で見つけた一品。

    プラネタリウムに拾われた双子の話。
    ある日双子の片割れは運命を違い、それぞれの人生を歩む。
    そして再び出逢った時には・・・

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    2019年01月16日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    初めていしいしんじさんの作品を読みましたが、よかったです。
    じわじわと世界観に引き込まれました。
    出てくるキャラクターもみんな魅力的で、彼らの身に起こる出来事をポーと一緒に見ている気分です。ポーの目になって。
    また読みたいです。

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    2009年12月09日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    良いことも悪いことも全部、この世は美しい。
    独特の文章と世界観、少しクセがありますが、深い愛に感動します。

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    2009年11月06日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    こどものときに、おばあさんから聞いた昔話のような、おそろしさがありました。
    すりガラス一枚隔てたところから見た、きらきら光る世界です。と言われているようでした。

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    2009年10月04日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    一つ一つが異様に心に残る短編集

    どれから読んでもいいけど、
    どれから読んでも全部一気には読めない


    中でも
    「すげ替えられた顔色」がお気に入り

    「私の顔じゃない!私はもっと綺麗なはず!」
    現在の美を求め続け、ありのままを否定する風潮をあざ笑っているかのように思えた

    母曰く「美の市場は永遠に拡大する」
    子曰く「結局自意識の拡大さ」

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    2009年10月07日
  • 麦ふみクーツェ(新潮文庫)

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    いしいしんじによって紡ぎ出される物語は力強く、物語に接する楽しさを体感させられます。物語のリズムを身体に叩き付けられるんですね。
    とん たたん とん と。読むことが本当に楽しくて、楽しいが故にガツガツ読むのでなく、文章の流れに漂うように身を任せて触れていたく思わされました。

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    2023年11月26日
  • 本からはじまる物語

    購入済み

    読みやすい

    本屋の魔法使い。よかった。自分もこんな本屋の人に会いたいと思った。自分の好みの本を見抜いて勧められたり、欲しい本があるとすぐに取り寄せてもらえる。うらやましいな。

    #ほのぼの #共感する #エモい

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    2025年11月22日
  • トリツカレ男(新潮文庫)

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    ミュージカルアニメーションで映画化ということで読んでみようと手に取った作品。
    新しいのかと思いきや奥付けを見たら平成十八年と結構古いのに驚いた。

    ページ数も160ページと薄くて隙間時間に読むのにちょうど良い一冊。
    装画も物語自体も童話のような不思議な世界観を感じさせられる。

     こんなにも物事に夢中になれるジュゼッペが羨ましく感じた。
    ただ好きだからという単純な理由でたくさんの事に次々と夢中になっていく。
    何故か子供の頃の心を思い出させられる。
    朝から夕方まで夢中でカブトムシやクワガタを採りに行ったり何をやるにも一生懸命だったなぁ。
    大人になるとどうしても仕事が優先で効率や結果を求めたり時間

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    2025年10月31日
  • 息のかたち

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    ⭐️息のかたち
     息が見え、操ることができる家系の夏実。コロナ禍の状況を背景に、インターハイは中止だが、オリンピックは開催、進学問題、母への想いなどが描かれる。ファンタジー要素があるが、なかなかいい感じ。おばあちゃんの「無事、いうのんは、危険がないとか、大事のうて平穏やとか、そんな意味やあらへんねん。おきとことの、自然にまかす、いうことやねんて。」という言葉が刺さった。素敵なキャラだ。

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    2025年10月19日
  • トリツカレ男(新潮文庫)

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    もらった本。

    取り憑かれてしまう男のバイブル。
    なんだか青春みたい。

    青春の真っ只中に読んで、その時いた女の人との思い出が忘れられない、とかそんな物語があって私にくれたんだろうな。

    忘れないでおきます

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    2025年10月18日
  • 義経千本桜

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    十月大歌舞伎 通し狂言『義経千本桜』に際し課題図書。物語の筋や人物への理解が深まった新訳。「忠義」で起こる不幸の数々は、個人の価値観や気持ちとしては理解できないけれど、そんなことも忘れて物語を楽しめた。

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    2025年10月05日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    能や文楽、歌舞伎に行きたくなった時、読んでおくと筋がわかって理解が深まり、余裕を持って楽しめます。 時代が違うと景色が違い、常識や価値観が違って、なかなかわかりづらいことが多いのですが、どの新訳も面白く、登場人物が生き生きと動き、楽しく読み進めました。 一家に一冊。

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    2025年10月01日
  • トリツカレ男(新潮文庫)

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    仙台駅にて。東京駅ゆきの東北新幹線の発車時刻を待つあいだ、僕は駅ビルの本屋にいた。とくに目的などはなく、ただ時間潰しを目的に。
    本屋に入れば真っ先に、文庫本の棚を見てまわるのが、いつもの癖で。吸い寄せられるように、文庫本の棚の前に立ち尽くす。目的があれば目の色も変わるけれど、今日はとくに何もない。あるとすれば、新幹線での移動時間いわゆる“繭の時間”を充実させるための何かを。さて、発車時刻まで、あと何分?そうのんびりとも、していられない。

    “繭の時間”というのは、上白石萌歌さんのエッセイに出てきた言葉。海外へ向かう飛行機など、ある程度まとまった移動時間を過ごす際、乗客の思い思いの時間の過ごしか

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    2025年09月29日
  • トリツカレ男(新潮文庫)

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     純粋な精神の塊、トリツカレ男ジュゼッペの、超絶ピュアなラブストーリー。
    一片の隙もないほどに相手の事を思い、姿形と内面までが変わるほどに行動する。そこに綺麗事感がないのがすごい。
    ちょっとどころか、ここまで変わっている人間はいないだろうというレベルの男なのに、なんだか愛されているジュゼッペ。
    こんな人になりたい。

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    2025年08月26日